ハディタ虐殺 第三部 鉄は熱い
ハディタ(ハディーサ)虐殺について、『ファルージャ2004年4月』の著者の一人ラフール・マハジャンが分析する。
ハディタ虐殺 第三部 鉄は熱い
ラフール・マハジャン
2006年6月5日
EmpireNotes原文
氷が割れ始めた。ハディタ虐殺の報道が活気づいてきた。記者たちは事件を振り返り、犠牲者の家族にインタビューし、虐殺を映像におさめたジャーナリズム専攻の学生にインタビューし、海兵隊がこの出来事に何の対応も示さなかったことを重視し始めた----海兵隊の士官たちは、事件の2日後には、犠牲者が爆発によってではなく銃で殺されたことを知っていたにもかかわらず、3月になるまで調査が行われなかったのである。
特に、エヴァン・トーマスとスコット・ジョンソンは『ニューズウィーク』誌に発表した長い秀逸な記事で、2004年11月のファルージャ攻撃にまでさかのぼり、そこでなされた「リベラルな」交戦規定と呼ばれるものを検討し----彼らは記事で、ある司令官が(どうやら半分冗談で)語った「携帯電話を持っているやつを見たら、そのクソ頭を吹き飛ばせ」という言葉を引用している----それを、ハディタ虐殺をはじめとする事件と結びつけている。この記事は、さらに進んで、この虐殺は少なくとも部分的には、米軍海兵隊が、ゲリラをかばうとどのような結果が待ち受けているかイラク人に示すためのみせしめとしてなされたのではないかという明らかな可能性に言及さえしている。
AP通信のチャールズ・ハンリーは、さらに、朝鮮戦争のときに起きた事件----老斤里(ノグンリ)という場所で米軍兵士たちが400人もの民間人を虐殺した事件を掘り起こした。
ペンタゴンは、この事件----3日にわたり続いた----は「意図的な殺人」ではなく「不幸な悲劇」であると結論したが、今年の春に新たに出版された本には、駐韓米国大使が米国国務長官に送った手紙の中で、一定の状況で民間人を殺すことははっきりと決められた政策であることを詳しく述べていることが示されている。ハンリーたちは、そのほかにも、司令官が民間人の殺害を命令したり承認したりしたことを示す機密解除された文書を19件あげている。
調査に関わる人々は、米軍がイラク人民間人を殺しているという、他のイラク人からの告発も、真剣に考慮し始めている。残念ながら、イシャキの町で11人を殺したことが疑われる事件については、軍の調査団は合法的なものと判断した。実際には、米軍兵士による出来事の説明を反駁するビデオの証拠があったにもかかわらず、である。けれども、他の調査も進んでいる。たとえば、ハムダニアの事件で、米軍はここで、50歳台の障害のあるイラク人男性をしつこく追い回して協力者にさせようとし、結局彼が拒んだため、彼を家から引きずり出して殺し、彼の遺体にシャベルとAK47を持たせて、自分たちは彼が手製の爆発物を仕掛けようとしているところを捉えたのだと主張した。
右翼がアブグレイブ・ゲームのように、これは孤立した出来事だと主張することはますます難しくなって----ほとんど不可能になってきている。実際、彼らは逆の方針を採り、そうした出来事はずっと起きてきたことをみとめた。そこでの戦略は、そうした出来事を「良き戦争」である第二次世界大戦の中から見つけ出し、そうした事件があったにせよ、第二次世界大戦は善き大義にもとづくものだったから戦わなくてはならなかったと主張し、イラクも善き戦争なのだからそうしたことはしょうがないというものである。ビル・オッライリーは、さらに、ドイツ軍兵士が降伏した米軍捕虜を射殺したマルメディの事件をとりあげ、それを歪曲して、米軍兵士が降伏したドイツ軍兵士を射殺したものであるとさえ述べた。
海兵隊さえ、交戦規定の見直しを迫られ、法的および倫理的要件を今よりはるかに尊重する妥当な「戦士の文化」を訓練すると言い始めている。
こうした論議が増える中で、反戦運動と進歩的陣営は、不在ではないにせよ、どちらかというと静かだった。その一部は我々がコントロールできない理由による ----我々は誰もがイラクのニュースを得るのに主流派メディアに依存している。けれども、他の部分は手に負えないわけではない。
ご存じのように、コミュニティ・ラジオで、我々は行動の呼びかけを行っていない。けれども、呼びかけを行うならば、反戦運動に、次のことを提案したい。
イラクに従軍したことのある他の元兵士たちおよびイラクの人々に、そうした戦争犯罪を目撃したならば申し出るようにと呼びかけ----さらに米軍にイラクで同様のことをするよう呼びかける。
ファルージャに対する第二の攻撃での従軍規則を明らかにするよう改めて努力する。このときには、ジュネーブ条約の一部があからさまに否定されたと信ずるに足る証拠がある。情報公開法による請求はなされたが、そのフォローアップはほとんどない。
再び行動に出る。兵士リクルート・センターでデモを行い、議員に圧力をかけ、事件を報道していない新聞に働きかける。ニューヨークやワシントンで次に予定されている大規模なデモが何とかしてくれるだろうと待っていてはいけない。
戦争に対する不満の増大を利用する、大きな機会である----60%の米国人がこれは誤りだったと考えている。不満を戦争への倫理的な嫌悪に転ずることが、効率的な反対運動を作り出すための大切な一歩になる。それができるかどうかは、かなりの程度、私たちにかかっている。
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投稿者:益岡
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