今日、クラスで私はたった一人だった
今日、クラスで私はたった一人だった
サミール・イブラヒーム
2007年1月29日
IRIN
Electronic Iraq 原文
バグダード発。私は11歳で、一人息子です。バグダードのマンスール小学校の生徒です。最近、クラスでとても寂しく感じています。今週、私はクラスでただ一人の生徒でした。というのも、色々な理由で、クラスメートが一人も学校に来なかったからです。
昨年9月以来、クラスメートの3人が誘拐されて、2人が殺されました。一人は自宅で家族と一緒に殺され、もう一人は1カ月前、爆弾が爆発したとき犠牲になったのです。
他のクラスメートは、家族と一緒にヨルダンやシリアに避難したか、何か起きるといけないと心配して親戚が学校に行くのを禁じたのです。
私は学校のすぐ近くに住んでいるので、歩いて2分で学校に行けます。母が、毎日、学校に連れていってくれ、迎えに来てくれます。行き帰りの道中ずっと、母は神に祈っていて、私に怖がってはいけないといいます。少なくとも私は勉強を続けていて、いつか重要な人物になってイラクを永遠に離れることができるだろうと母は言います。
学校で生徒の誰かに何かが起きると必ず、次の日は学校中が空っぽになり、1週間誰もいない日が続きます。家族も先生も怖がって、絶望的な気持ちになるのです。
しばらく前、学校から帰ろうとしていたとき、車に乗った4人の男がカディジャを誘拐しました。彼女は私の友だちの一人で、まだ10歳でした。彼女が殺されるのじゃないかと思って、何日も泣き続けました。両親が家と車を売って身代金を払ったので、彼女は釈放されました。でも、そのとき彼女はとても体が弱っていて、2週間入院しなくてはなりませんでした。
今、彼女と家族はヨルダンにいます。彼女がいなくて寂しいのですが、彼女たち皆にとってそれがいいことだというのもわかっています。
唯一恐いのは、私が誘拐されれば、殺されるのは確実だということです。私の家族には身代金を払うお金はありません。家も車もないし、売り物になりそうなものもありません。ですから、誘拐されたら私たちが日々その中で暮らしているテロの犠牲になるのは確実ですが、神が私を守ってくれると信じています。
先生も、ほとんどが学校を去っていきました。外国に行った先生もいれば、家族の求めにしたがって安全のために仕事をやめている先生もいると聞きました。いない先生みんなのことを懐かしく思っています。学校の中を走り回り、子どもたちだけで家に帰り、暴力の心配をしなくてよかった日々が懐かしいです。
今週、私は母に、家にいたいと言いました。クラスで生徒は私一人になってしまったからです。でも、母は私が学校に行くべきだと言い張りました。恐かったのですが、母の言葉に従いました。
クラスには21人生徒がいましたが、今日は、私がただ一人の生徒でした。
事態が良くなって安全になる日が来るとの希望を持っているかと聞かれると、持っていないと答えます。暴力は毎日悪化していて、友だちを失う日々は続いているからです。
もう勉強はできません。集中できないし、先生たちも前みたいに授業をしないのです。この頃勉強しているのは、2年前に学んだ内容です。こんな風に勉強していても、母が信じているように、いつか重要な人物になれるかどうかは、わかりません。
このニュースは国連人道ニュース・情報サービスIRINから届けられるが、必ずしも国連やその機関の見解を反映するものではない。IRINの文書はすべて無料で再ポスト・再プリントできる。使用条件については、IRINのコピーライト・ページを参照のこと。IRINは、国連人道問題調整局のプロジェクト。
投稿者:益岡
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