今だに封鎖され、ファルージャ再建は遅々としている(米NBC、4月14日)
今だに封鎖され、ファルージャ再建は遅々としている
Still locked down, Fallujah slow to rebuild
反乱勢力は去ったが、ファルージャはまだギリギリの状態だ
Insurgents are gone, but city remains on edge
By Jim Miklaszewski
Correspondent
NBC News
Updated: 7:47 p.m. ET April 14, 2005
http://msnbc.msn.com/id/7503610/
【イラク、ファルージャ発】イラクのこの都市では、米海兵隊が徒歩でのパトロールを続けている。当地での大規模な戦闘はとっくに終わっているが、それでもここはホット・ゾーンである。
「現状に満足してしまっては足元をすくわれると一般に言う通りで、我々としても気を抜かずにやっているわけです」と、NBC取材陣に市内を案内してくれた海兵隊員が言う。
ファルージャは、11月の海兵隊の攻撃で彼らのほとんどが一掃されるまでは、イラクにおけるテロリストとインサージェントの活動(terrorist and insurgent operations)の中心であった。
しかしつい先週のことだが、海兵隊が路上爆弾を5つ発見した。今でも当地に隠されていると考えられる爆発物の備蓄を用いて作られた爆弾であった。
それだからこそ、こんにちもまだファルージャは、ほとんど完全に封鎖されているのである。すべての車両が市に入る前に(爆発物などがないかどうか)捜索を受けるため、数時間に渡る交通渋滞が発生する。また、夜間外出禁止令は今でも出されている。これらすべての手段は、ファルージャが反乱勢力の手に再び落ちることを避けることを目的とするものである。
「現段階で、この市を少しだけきつい統制化においておくことによって、我々はあれらの連中(those guys)がここに戻ってくることを防ぐことができるのです」と、Mark Gurganus少佐は言う。
セキュリティが最優先事項であり、かつ最大関心事である一方で、現在の最大の課題は、この戦争の市街戦のうち最も破壊的なものであった戦闘のあとで、ファルージャを再建することである。25万の人々のうち、海兵隊の攻撃以降、市に戻ることができているのは半数にも満たない。昨年11月の戦闘では9000軒の家屋が破壊され、さらに数千単位の家屋が損傷を受けた。
家屋所有者は毎日、補償の手続きを取るために行列を作っている――しかし32000件の届出のうち、補償金が支払われたのはわずか2500件である。
タリブ・ハリーファ(Talib Khalifa)は自宅と娘を失った。自宅の補償の手続きをしたが、全額の2割しか受け取っていないとわかったとき、彼の不満は怒りに変わった。
今日現在、今でも倒れずに立っている家屋のうち半数にしか電気がなく、電話はほとんどまったく通じない。
シャイフ・ハリード(Sheik Khalid)は臨時の市議会の議長である。彼は、ファルージャの人々は段々としびれを切らしていると警告するが、市が回復するには1年かかるであろうと予測している。それも、もしセキュリティが確保されていればの話だがと。
「今でも反乱勢力との問題がある経済にテコ入れしようとすることが課題です」と、米海兵隊のChuck Risio小佐は言う。
昨年11月、海兵隊は激戦の末に勝利を勝ち取った。それを失うわけにはいかない。
最後から2つ目のパラグラフはかなり唐突で、ちょっとよくわかりませんが、少佐の言葉の原文は、The challenge is trying to kick-start an economy that still has its problems with insurgents(the economyではなくan economy、うまく日本語にならない)です。
さて、これはよくある感じの報道記事だと思います。ですが、多くの問題を感じることができると思います。
例えば、自宅と娘を失ったファルージャ市民のタリブ・ハリーファさんのくだり。
タリブ・ハリーファ(Talib Khalifa)は自宅と娘を失った。自宅の補償の手続きをしたが、全額の2割しか受け取っていないとわかったとき、彼の不満は怒りに変わった。
この箇所は原文では、
Talib Khalifa lost his home and his daughter. His frustration turned to anger when he found that for now he'd receive only 20 percent in compensation for the claim on his home.
この人は「自宅と娘を失って」います。ですが、この記事を書いた記者がこの極めて短い記述で問題としているのは、自宅に対する金銭的な補償のことだけのように読めます。
この人が「自宅を破壊され、娘を殺されて」いることは――この受動態を能動態にすれば、多分「米軍が彼の自宅を破壊し、娘を殺した」ということになるのではないかと思いますが、この記述ではそれがまったく不明確です――「怒りに変わ」っている「彼の不満」とはあたかも直接的関係がないがごとく、「補償金の支払いが2割」だから「不満が怒りに変わった」と書いているようです。
この人は自宅を破壊され、娘を殺された。町も相変わらずひどい状態である。市外から市内に入るのも一苦労である――この短い記事に書かれているだけで、これだけの事情があるのですが、その上に、この人が支払いを請求した補償金は2割しか支払われていない。
誰だってこんな目にあえば「どうなってんだ」と言いたくなるでしょう。
けれども、この記事はそういう書き方ではないのです。
昨年4月、バグダードのFaizaさんが、彼女のウェブログにこんなことを書いていたことを思い出しました。
何日か前に『USA TODAY』の記者が訪ねてきました。このサイト(blog)のことを話しました。いつ始めたのか、その理由は。そのあと、私はファルージャから来ている女性たちと子供たちを呼びました。彼女たちはうちの隣にいます。親戚を頼ってきたのです。記者が彼女たちに取材できるようにと思ったのです。
そのとき、ファルージャでの戦闘は熾烈を極めていました。
この記者の書いた記事は出ました。
http://www.usatoday.com/news/world/iraq/2004-04-20-bloggers_x.htm
しかし無味乾燥で無意味な記事でした。
記者はファルージャ住民に会っているのに、それについて一言も書いていませんでした。
セザール(・G・ソリアーノ)記者に何があったというんでしょうか。私にはわかりません。
でも彼が、私たちのメディアのやり方はこうなんですと言って謝罪している光景は浮かびます。すみません、ファルージャの人々のことは書けなかったんです、と。
セザールさん、ありがとう。何があったのか私にはわかっています。あなたはいつも、真実の半分を示すのです。
――ウェブログ『バグダッドのある家族』より、4月27日
Faizaさんを取材したセザール記者が書いた記事は「サダムの時代には考えられなかった自由を謳歌するバグダードのブロガーたち」というような記事でした。
いけだ
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