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2005/05/03

2004年11月、モスクでの負傷者銃殺を撮影したジャーナリストが語る。

昨年11月、総攻撃が開始された後のファルージャにおいて、モスクにいた男性が米兵に射殺するまさにその瞬間の映像が、日本でも流されました。

この映像を撮影したフリーランス・ジャーナリストのケヴィン・サイツさん(当時はNBCの記者として米海兵隊にエンベッド)が、オーストラリアのテレビ局SBSのインタビューに答えました。(SBSのニュース番組DATELINEで、4月20日放送。)彼が米国外のメディアの取材に応じたのはこれが初めてとのこと。

このときの映像と、インタビュー部分のスクリプトが、ウェブに上がっていて、確認しただけでも、次の2つのURLで見ることができます。映像は要RealPlayer。

http://news.sbs.com.au/dateline/の番組アーカイブ、April 20 2005のFEATURE Shoot the Messenger
↑Shoot the Messengerの文字列をクリックするとポップアップが出ます。その中の「PLAY」をクリックすると、RealPlayerが立ち上がります。

http://www.informationclearinghouse.info/article8667.htm
↑このURLをクリックすると、映像が自動的に再生されます。うまく行かない場合は、RealPlayerを立ち上げて、[ファイル]→[開く]で、http://www.informationclearinghouse.info/video1/99dl_200405d.rm と入力してください。

インタビュー映像に入る前に、スタジオのキャスターの前置きが48秒あります。そのすぐ後に、かなり強烈な「エンベッド記者のレポート映像」があります。(流血シーンではありませんが、銃撃戦の現場を撮影したものです。苦手な方はご注意ください。その後は、例の場面以外は、あまり強烈なものはないと思います……私も麻痺してきているのですが。)

映像の長さは12分12秒と表示されていますが、ケヴィン・サイツのインタビューの部分は0分47秒から10分36秒までです。その後キャスターの非常に短いコメントがあって、あとは「次回の特集は」という内容。

以下、ウェブに上がっていたトランスクリプトに、映像の概要を付け加えておきます。

この記事は、日本語だけ読んで終わりにしていただきたくないので――映像を理解するための助けという前提で日本語にしたものなので、映像を見て理解するための一助となるよう、原文も併記しておきます。

映像の切れ目ごとに区切ってあるので、映像を見ながら「今スクリプトのどこ」ということは、英語がはっきりわからなくても、ある程度は追っていけるのではないかと思います。

Shoot the Messenger
http://news.sbs.com.au/dateline/の番組アーカイブ、April 20 2005のFEATURE Shoot the Messenger
http://www.informationclearinghouse.info/article8667.htm

【番組キャスターの導入部コメント(概略)】
昨年11月、ひとりの米海兵隊員が、武器を持っていない負傷したイラク人をファルージャのモスクで射殺しました。このニュースは世界中でトップ記事となりました。アブ・グレイブ以来最大のスキャンダルでした。しかし、今もって私たちにはわかっていないのは、カメラのフレームの外で実際にはどのようなことが起きていたかです。そこにはどのような個人的な選択があったのか、など。

当番組ではあの映像を撮影したケヴィン・サイツさんにインタビューを申し込みました。国外メディアのインタビューにサイツさんが応じたのは、今回が初めてです。


戦闘の映像。ファルージャの砂色の街路。建物の中から。銃撃戦。米兵が「気をつけろ!」などと叫んでいる。一際大きなボンっという音。「アッ」という人の声。その映像に重なって、レポーター(ソフィー・マクニール)のナレーション。

REPORTER: Sophie McNeill
There were a number of journalists embedded with the US Marines as they embarked on the battle for Fallujah in November of last year.

ナレーション(女性の声、以下同じ):昨年11月、ファルージャのための戦いが開始されたとき、多くのジャーナリストが米海兵隊にエンベッドされていました。


映像が変わる。やはり戦闘の映像。走る米兵たち(5~6人)。銃声、煙。建物(?)に入る米兵たち。さらに映像切り替わって、建物の中、窓から外に向けて銃を構えた米兵3人。

Sophie: One of those reporters was Kevin Sites from the American network NBC.

ナレーション:そのうちのひとりが、米国のネットワーク、NBCのケヴィン・サイツでした。


NBCでのケヴィン・サイツのレポートの映像。

KEVIN SITES, NBC NEWS: This morning the marines, the marines swept into the centre of the city unopposed.

ケヴィン・サイツ:この朝海兵隊は、抵抗もなくファルージャ中心部に進撃しました。


すぐにソフィー・マクニールのナレーション。

Sophie: Kevin has spent nearly 10 months as an embedded journalist in Iraq. But he'd never before captured anything like this.

ナレーション:ケヴィンがイラクでのエンベッド・ジャーナリストとなって10ヶ月近く経っていました。しかし、このような映像を撮影したのはこれが初めてでした。


日本でも放映された「モスクでの銃殺」の映像……銃を左下向きに構えて建物(=モスク)に入る米兵。白い壁に四角い窓。カメラが左にパン、倒れている複数の人間。カメラがその人間の側に寄った映像に切り替わり、

SOLDIER: He's faking he's fucking dead.
兵士:死んだふりなんかしてやがる。


銃声。硝煙。

SOLDIER: He's dead now.

兵士:これでほんとに死んだ。


ケヴィン・サイツ、インタビュー。

KEVIN SITES: I had a pit in my stomach. I didn't feel like this was great footage. I knew exactly what it was. It was something that has been captured on camera very few times in war.

ケヴィン:胃がムカムカしてきて、これを撮影したからってすごいというわけではないと感じていました。あれが何なのか、僕にははっきりわかっていました。あれは、戦争においてもカメラにはほとんどとらえられたことのないものだ、と。


モスクでの映像、スチール(静止したもの)。

Reports of a marine shooting an unarmed, wounded combatant quickly flashed around the world.

ナレーション:武器を持っておらず負傷した戦闘員を海兵隊員が撃ったという報道は、すぐに世界中に広がりました。


ここで、当時の米国での報道の一場面(NBCのニュース番組)が挿入される。

白黒の静止写真。床に脚を投げ出して壁にもたれかかる人物と、床に崩れ落ちている人物と、窓からの光と、えぐられた壁、床の上に散乱する何かの破片が写っている。


At the time, most Western audiences didn't even get to see the shooting. For instance, NBC only showed this black-and-white still.

ナレーション:しかし、その時は、西洋のほとんどの人々は、その銃撃を見ることすらなかったのです。例えば、NBCはこの白黒のスチール写真を見せただけでした。


動画に切り替わる。モスク内の空間、柱があり、米兵が2人。床に倒れている人間に米兵たちが銃を向け、その倒れた人が手をちょっと上に伸ばす。米兵が何かを叫ぶ(私には聞き取り不能)。倒れた人は手を引っ込める。米兵は銃を向けたまま後づさりする。

But with Kevin's raw footage and his eyewitness account, Dateline can now reveal the full story behind the incident.

ナレーション:しかしケヴィンの生の映像と彼の目撃証言で、当番組Datelineは、あの一件の裏に何があったのか、その全容を把握することができました。今夜はそれをお伝えします。


暗転。インタビュー場所。ケヴィンがパソコンでインタビュアーのソフィに映像を見せている。

It had all begun the day before the shooting.

ナレーション:すべてが始まったのは、あの銃撃の前日のことでした。


ファルージャの映像。街路に戦車。ぐずぐずにつぶれた車らしきもの。建物に入る米兵。Friday, November 12, 2004というテロップ。(注釈:金曜日は礼拝の日です。ついでに言えば、ラマダーンでした。)

Kevin had been at that same mosque with a unit of the third battalion first marine division.

ナレーション:ケヴィンは海兵隊第一師団第三大隊の1ユニットに同行して、あの一件が起きたモスクに居ました。


カメラが米兵を追って建物の中へ。入り口は緑色。建物の中にカメラが向いた瞬間、仰向けに倒れた人の足。さらに左にカメラが向くと別の死体。その奥にもさらに死体死体死体。その中を米兵が歩いている。

As the US troops fought their way into the mosque on that Friday, they had killed 10 out of 15 suspected insurgents.
ナレーション:この日、米兵たちはモスクに攻め込んでいくときに、武装勢力との容疑のある15人のうち10人を殺していました。


2人で1枚の大きな青い袋を持った米兵。(この青い袋は死体袋。)

SOLDIER: Yeah, we've got to fucking put two in each bag.

兵士:1枚の袋に2人を入れないとどうしようもないな。


青い袋の向こうに死体。口をあけているように見える。映像切り替わって、例のモスクの中。白い壁と柱、米兵7~8人、床に2~3体の死体がフレームの中。

Five wounded men remained. They were disarmed and treated by marine medics.

ナレーション:負傷者5人が残っていました。彼らは武器を取り上げられ、海兵隊の衛生兵によって手当てを受けていました。


ケヴィン・サイツのインタビュー映像。

KEVIN SITES: Their wounds didn't seem to be life-threatening, they were serious but not life-threatening and I asked the lieutenant colonel what will be done with these men? Will they be evacuated? And he said, "Yes, they will." So we left that mosque, the men were still alive. Apparently they were left unguarded but without weapons or anything and the marines advanced forward, moving south from the city.

ケヴィン:この人たちは、重傷ではあったのですが、命に関わるようなものではなさそうでした。中佐にこの人たちはどうするんですか、どこかに退避させるんですかと尋ねたところ、中佐は「そうなるだろう」と答えました。で、私たちはモスクを後にした。あの人たちはまだ生きていました。警備はつけられていなかったようですが、武器も何もなくて、海兵隊は南方面に前進していました。


暗転。当時の映像。青空。装甲車両かまたは戦車。Saturday November 13, 2004のテロップ。米兵たちが壁に囲まれた敷地の中へ、門から入る。敷地内。緑の芝生(?)の中に建つ大きな建物。

The next morning, on the Saturday, Kevin and the marines returned to that mosque after reports of fresh fire from the area. When Kevin was still outside the mosque, he heard shooting.

ナレーション:翌土曜日の朝、ケヴィンと海兵隊はまたその一帯で発砲があったと聞いて昨日のモスクに戻りました。ケヴィンがモスクの外にいるときに、銃撃の音を耳にしました。

SOLDIER: They're on the fourth floor. Far right, far right.

兵士:4階だ、右、ずっと右だ。


ケヴィン・サイツのインタビュー。

KEVIN SITES: We heard gunshots outside the mosque before we went in. And to my ear - I'm pretty familiar with what an M16 sounds like - they were single M16 gunshots and there were three of them.
It sounded like someone was being fired upon, and then moving over, firing again and then firing again.

ケヴィン:中に入らないうちに、モスクの外で銃声が聞こえました。私の耳には――M16の音にはかなり詳しいんですが――その銃声は単発のM16のもので、全部で3回。誰かが撃たれ、移動して、それから撃ち、また撃っているというような感じでした。


建物の外周部の廊下の部分の映像。米兵の背中。

Kevin overheard the following exchange between the platoon commander and his troops before they went inside.

ナレーション:中に入る前、司令官と兵士の間で、次のような会話が交わされていたのを、ケヴィンは聞いています。

SOLDIER: Did you shoot them?

SOLDIER 2: Roger that, sir.

兵士:撃ったか?

兵士2:はい、撃ちました。

KEVIN SITES: He comes up to the squad that had been inside the mosque and he says "Are there people inside there?"

ケヴィン:彼は先にモスクの中に入っていた隊のところに行き、「中に人はいるのか」と言っていました。


映像がインタビューのものに切り替わる。

and the marine that had been inside holds up five fingers signalling five people inside.

ケヴィン:そして、先に中に入っていた海兵隊員が5本の指を示し、中に5人という合図をしました。

ケヴィンはここで「手の指で5を示す」ジェスチャーをする。

And then the lieutenant asks "Did you shoot them?", and the marine says "Roger that, sir." And then the lieutenant asks "Were they armed?" and the marine just shrugs his shoulders.

ケヴィン:すると、中佐が「撃ったのか」と尋ねました。それに海兵隊員が「撃ちました」と答えている。中佐は続けて「武器は持っていたのか」と尋ねましたが、海兵隊員は肩をすくめただけでした。


モスクの広い空間(例の白い壁に四角い窓の広間)に入っていく米兵たち。

SOLDIER: Same guys from yesterday?

Another SOLDIER: These are the ones from yesterday.

Another SOLDIER: These are wounded that they never picked up.

兵士:昨日の奴らか?

別の兵士:昨日の奴らだな。

別の兵士:ここに残された負傷者だ。


ケヴィンのインタビュー。

KEVIN SITES: When I walked into that room, I immediately knew that these men that had just been shot again were the same wounded insurgents from Friday, from the day before.

ケヴィン:その部屋に入ると、ついさっき撃たれたのは、金曜日に負傷していた反乱者たちだということがすぐにわかりました。


両脚を前に投げ出して壁にもたれかかっている人と、床にうずくまるように倒れこんでいる人のアップ。米兵たちの声。


映像切り替わり、柱のところで倒れている人に米兵2人が銃を向けている映像(さっきのと同じか?)。倒れている人が手を動かすと米兵が銃を構える。

Sophie: So apart from the shooting Kevin captured on camera,

ナレーション:カメラにとらえたものは別として……

カメラが右にパン。壁に窓。さっきの人たち(倒れている)。別の人たち(倒れている/転がっている)。

he believes these other unarmed wounded men were also shot that day. This was largely ignored by the media at the time.
……これらの武器を持たない負傷者たちはその日にも撃たれたのだとケヴィンは考えています。当時のメディアでは、これは大方、無視されていました。


ケヴィンのインタビュー。

KEVIN SITES: We look at the evidence that these men were definitely shot again, freshly shot, after having been wounded the day before. And then one is actually killed point blank in front of my camera.

ケヴィン:前の日に負傷していたのに、この人たちはまた撃たれたのだということ、新たに銃撃されたのだということを示す証拠を見ていたのですが、するとさらにひとりが、私のカメラの前で、至近距離から射殺されたわけです。


モスクでの映像。手前の、さっきの人たちの向こうで、銃を構え発砲する米兵。硝煙。

After capturing that image, Kevin discovers that this man is still alive.
ナレーション:この映像をとらえた後、ケヴィンはこの男性がまだ生きているということに気づきます。

ソフィーがthis manと言っているのは、柱の側で倒れている人。その人がアラビア語でしゃべる。声ははっきり聞こえる。

MAN, (Translation): I was shot...

柱の側の人(アラビア語で):撃たれた……


ケヴィンのカメラが、柱の側の人に素早く駆け寄る。

KEVIN SITES: What happened?

ケヴィン:何があったんですか?/どうしました?


柱の側の人、身体にかけている毛布のようなものを手でめくり、上体を起こそうとしながら(上半身は紫色のシャツ、下半身は下着のみ)

MAN ,(Translation): Please... I was shot... there...

柱の側の人:頼みます……撃たれた……そこ……


片腕で身体を支えながら上半身を起こした柱の側の人(割と若い。30歳くらい? くちひげ、声はしっかりしている)、空いている手でジェスチャーをしながら

I spoke... with you... who are filming. Yesterday, here in front of the whole group. I gave information. Please. Speak Arabic anything?

柱の側の人:あなたとは……お話したことあります……カメラマンの方ですよね。昨日、全員の前で、ここで。その情報を出したのが僕ですよ。お願いです。アラビア語は?

KEVIN SITES: I don't speak Arabic.

ケヴィン:アラビア語はできません。


柱の側の人、後ろに倒れるように見えるが、ケヴィンのカメラは窓の方に向いてしまう。

MAN: I want to give you information.

柱の側の人:あなたに情報をお伝えしたい。


カメラは不安定に、柱の側の人の方に向き直る。

The fate of this witness is unknown.

ナレーション:この証言者がどうなったのかは不明です。


ケヴィンのインタビュー。

KEVIN SITES: I felt at that moment I wish I hadn't been there. I wish I hadn't been in that spot at that time just because I knew the responsibility I would have from that moment on.

ケヴィン:あのとき、ここに来なければよかったと思いました。あの場所に、自分がいなければよかったのにと、というのは、あの瞬間から、自分が背負うことになる責任がわかっていたので。


暗い中の戦闘。銃撃。米兵の背中。夜明けか、薄い光の中、「戦場レポート」をしているケヴィン。背後に装甲車両もしくは戦車。発射された砲弾(?)が光の尾。爆破される建物。

Having been embedded with one particular marine unit for six weeks, Kevin had become very close to the men. But things changed dramatically after the shooting.
ナレーション:6週間にわたってある1つのユニットにエンベッドしていたため、ケヴィンはそのユニットの兵士たちととても親しくなっていました。けれどもあの銃撃以降、事態は激変しました。


ケヴィンのインタビュー。

KEVIN SITES: It was a really dark time. I had time after this incident where I was moved to the rear from the front line, I had to leave my unit.

ケヴィン:本当に暗い時期でした。あの一件で、最前線から後方に下がらされた、自分のユニットを去らなければならなかったんです。


パソコン画面の映像。

But the reaction from back home was much worse. Kevin came under personal attack from the American public.

ナレーション:しかしアメリカからの反応はもっとひどいものでした。ケヴィンはアメリカの一般大衆からの個人攻撃にさらされたのです。


画面の中、I hope you rot in hell.(地獄で腐れ)という文字列。インタビュー映像と交互に、画面の中の文字列――Anti-American bastard Kevin Sites... You are guilty of treason... (反米野郎……売国奴……)

KEVIN SITES: I spent my days poring over thousands of hate mails and death threats every day. They were calling me a traitor, a liberal media scumbag, hope that the next piece of video we see your severed head on your back, hope some marine frags you over there, hope the insurgents kill you, everything that you can possibly imagine. I'll be honest with you, there were times when I really felt like I wanted to destroy that tape and not release it to the public.

ケヴィン:何千通というヘイトメールや殺すぞという脅迫状に毎日じっくり目を通していました。売国奴だとかリベラル派メディアの最低の野郎だとか言われました。次の映像ではあんたの頭がかち割られてるのが見たいだとか、海兵隊の旗でもかけてもらいなよだとか、武装勢力に殺されてくれだとか、人が思いつく限りのことはすべて。正直なところ、あのテープを完全につぶして世間に公表できないようにしてしまいたいと思ってました。


アメリカのどこかの街角の映像。

The controversy over Kevin's footage has fed into a growing debate about how the American media reports home from the war in Iraq.

ナレーション:ケヴィンの映像をめぐる論議は、イラクでの戦争についてアメリカ国内におけるアメリカのメディアの報道はどうなされているかについての議論の高まりに、拍車をかけました。


教室で座っている学生たちの映像。

Kevin is showing these final-year journalism students the difference between the raw footage he shot and the report that was actually put to air.

ナレーション:ケヴィンはジャーナリズム専攻の最終学年の学生たちに、自分が撮影した生の映像と、実際に放映された映像との違いを見せています。


教室で授業中のケヴィン。

KEVIN SITES: You probably have never seen this because I don't think it's even aired on American television, the full shooting.

ケヴィン:これは誰も見たことがないでしょう。アメリカのテレビでは放映されてないはずです。ノーカットの映像です。


生徒たちのアップの連続。教室のスクリーンに映し出されるケヴィンの映像。生徒のアップ。(この反応は……どう説明すべきか。映像を見てください。)

With the war such a hot political issue, the American media has become very reluctant to criticise the actions of American soldiers. So even before Kevin received the hate mails, he and NBC knew the delicate tightrope they would have to tread.

ナレーション:戦争は非常にホットな政治的問題であり、アメリカのメディアは米兵の行動の批判をしたがりません。それゆえ、ケヴィンがヘイトメールを受け取るようになる前でさえも、ケヴィンやNBCは自分たちがどのような微妙な綱渡りをしなければならなくなるかを承知していました。

In the NBC report, Kevin went to great lengths to explain why the marine might have pulled the trigger.

ナレーション:NBCのレポートでケヴィンは長い時間をかけてじっくりと、その海兵隊員がひきがねを引いた理由について、説明をしました。


NBCで放送されたケヴィンのフィルム。米兵たち。走行する車両から、路上の死体をとらえた映像、負傷した米兵を運んできた別の米兵2人。転がっている死体。

KEVIN SITES: These US Marines have had to fight for nearly every inch of ground taken in Fallujah. They've inflicted heavy casualties on insurgents here but have also suffered many of their own, some from a new and harrowing tactic - booby trapping dead bodies to explode when marines come near.

ケヴィン:海兵隊員はファルージャではまさに1インチ進むにも戦わなければならない状態でした。反乱勢力側に大きな犠牲を出させましたが、同時に自分たちの側でも犠牲が多く出た。中には、それまでなかったおそろしい戦術の犠牲となった兵士もいたのです――海兵隊が寄ってきたときに爆発するように、死体に爆弾を仕掛けたんです。


授業中のケヴィン。

We were diluting it every step of the way. A lot of the mitigating circumstances we had to say over and over again - he got shot in the face, they booby trapped bodies. In fact we didn't start with the shooting at all. We talked about X, Y and Z and backed into it.

ケヴィン:私たちはあらゆる段階で話を希薄なものにしていた。何度も何度も、こういう事情だったのでと言わなければならなかったわけです――顔を打たれたとか、死体にブービートラップを仕掛けてあったとかね。実際、最初っから銃撃の話をすることはなかったんです。まずXについて話し、Yについて話し、さらにZについて言ってから、その話に戻る、ということです。


授業で使っている映像の中のケヴィンの声がして、その映像そのものに切り替わる。

At the same time just a block away, one marine was killed and five wounded by the booby trapped body of a dead insurgent. So as dangerous as Iraq is, could the shooting be self-defence?

ケヴィン:同時にほんの1ブロック先で、反乱者の死体に仕掛けられたブービートラップで、海兵隊員がひとり死に、5人が負傷しました。イラクは危険です、しかし、あの銃撃は自衛でありえたのでしょうか?


授業中のケヴィン、学生たちに向かって

That was a conscious effort basically because we felt like we were going to take such fire on the story.

ケヴィン:基本的には意識してやってるわけです。なぜなら、報道することで攻撃を受けることになるだろうと感じていたからなんですね。


インタビュー。

Sohpie: Some people might think that you defended the marine too much in your report.

ソフィー(インタビュアー):あなたの報道は海兵隊に対してあまりに擁護的でありすぎではないかと思う人もいるでしょうね。

KEVIN SITES: I think that people could make that argument. They could say that the mitigating circumstances were presented in such a strong forthright way that perhaps, you know, the incident that happened didn't get proper play.

ケヴィン:そういう点が議論になることはあると思います。情状酌量すべきだったと非常にストレートに提示されているから、起きたことが本来伝わるべきであるほどには伝わらない、という指摘は成立するでしょう。


パソコンを使ってソフィーに映像を示しながら説明するケヴィン。

Kevin: The marine squad has already been in here and shot the wounded men again.
ケヴィン:この海兵隊のスクワッドが既に中に入っていて、負傷した人たちを(前の日に続いて)また撃ったんです。


ナレーション

In the middle of all this media management and political controversy, the real debate appears to have been lost.

ナレーション:メディアに対する管理と政治的な論議の真っ只中で、本質的な論争は失われてしまったように見受けられます。


ケヴィンのパソコンの中の映像。銃を向ける米兵にズーム。

REPORTER: Do you think that because of a paranoia to tell both sides of the story, and to explain everything and to make sure you're not accused of being biased, do you think you can sometimes lose the truth?

ソフィー:話の両面を伝え、すべてを説明し、偏向していると非難されないようにしなければならないという気持ちが原因で、真実を失ってしまうことも時にはある、と思いませんか?


ケヴィンのインタビュー映像

KEVIN SITES: I think that the truth can become muddied in that process, I think that it can become fairly foggy.

ケヴィン:そういうプロセスで、真実が濁ってくることはあると思います。つまり、曖昧模糊としてくることがあるんではないかと。


倒れている人に銃を向けている米兵の静止映像。広間の静止映像。柱の側の人の静止映像。
 

Despite evidence of what appears to be a war crime, the tape hasn't provoked a much greater soul searching about acceptable rules of engagement for the US military.

ナレーション:このテープは、戦争犯罪に見えるものをはっきり示しているにもかかわらず、受け入れられる米軍の交戦規則についての内部での深い省察にはつながっていません。


死体を引いている米兵たちの静止映像。


ケヴィンのインタビュー映像。


KEVIN SITES: Are these the kind of rules of engagement we use? And if so, we should be very open about it. Are we willing to live with the fact that they may do the same thing to US soldiers and US marines and potentially, that kind of rules of engagement will they lead to other repercussions for us in society, will they create more terrorist acts because people feel we are behaving unnecessarily violent or barbaric in war?

ケヴィン:これが我が国の交戦規則なのか? もしそうであるならば、それについてオープンになるべきです。同じことが米国の軍人や海兵隊員にされるかもしれないという事実を受け入れてやっていけるか? また、潜在的に、そういう交戦規則は社会にいる私たちに対して跳ね返ってくるのではないだろうか? 人々は私たちが戦争で不必要に暴力的に、あるいは野蛮に行動していると感じ、そのために、テロ活動をますます増やすのではないか?


スタジオ、ニュースキャスター。じっと見ていて、

What do you say?

みなさんはどうお考えでしょうか。


■Related Links (関連リンク)
Kevin Site's Official Website:
http://www.kevinsites.net

この映像を使ったことで批判されたとき、ケヴィン・サイツは自身のウェブログで批判に応え、自分の決定について詳細に説明している。

Payne Award for Ethics in Journalism:
http://payneawards.uoregon.edu/news2005.html

この映像を使う決意をしたことで、ケヴィン・サイツは2005年の「報道倫理に関するペイン賞(Payne Award for Ethics in Journalism)」を受賞する。受賞式は5月12日である。

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記事内容はここまで。

この「ファルージャのモスクで非武装の人間を米兵が銃殺」の報道については、当ウェブログでは……過去記事を調べてみたのですが、軽く触れているだけです。当時は、ほかにもっと非道な話がこれでもかこれでもかというほど連日入ってきていて(「もっと非道な」などという程度の問題では、本来ありえないのではあるのですが)、「たまたま撮影されていた」この映像の意味がわからなかった、というのが正直なところです。

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この件とはまったく無関係ですが、同じ日のこのニュース番組DATELINEの第一の特集が「ハワード豪首相の日本訪問」で、小泉首相へのインタビューもあります。インタビュアーからの最初の質問が、「おかしなことを訊くとお思いになるでしょうが」という前置きつきで、Why did you agree to have us interview you, because you give interviews very rarely to the non-Japanese media? Why us at this point?(日本以外のメディアにはほとんど応じないあなたが、今回私どものインタビューに応じることにしたのはなぜですか)。

このインタビューは……ちょろっと読んだところで、語数のわりに、どうにも中身がなさそうな気がして(それはいつものあれが英訳されたものだからかもしれませんが)読むのをストップしました。


いけだ