医師たちは肝炎の蔓延を恐れている
IRIN
2005年4月18日
Electronic Iraq 原文
バグダード発:イラクの首都バグダードの医師たちは、肝炎の爆発的蔓延を恐れている。伝染病コントロール・センター(IDCC)は先週、肝炎の患者が増大していると述べていた。
関係者は、肝炎の増加は、とりわけバグダード周辺部で下水・汚水処理が不十分なためであると言った。
IDCCの所長アブドゥル・ジャリル博士はIRINに、2005年3月の肝炎は、2004年3月比で30%増えており、剥き出しの下水と汚染された水が問題を悪化させていると語った。
IDCCのスタッフによると、2004年3月に認定された肝炎の症例は615件だったのが、今年3月には899件となっているという。さらに、昨年8月には、1298件が診断された。気候条件により急増したものである。
ジャリルはさらに、チフスと結核(TB)をはじめとする他の水を原因とする病気も増えていると述べた。彼は状況に対処するために緊急の対策を呼びかけている。
「首都の下水設備を緊急に修理する必要がある。公共労働省はこの問題の対処が遅く、イラクの人々の健康に悪影響を与えている」とジャリルは説明する。
さらに、バグダードには、修復されない古い下水と水路がある。これらの水路はしばしば並行して流れており、電力が不足しているため水を汲み上げる圧力が低く、結果として下水が浄水配給使節に染み込む結果を招いている。
イラク献血全国センターの所長ハイダル・シャマリ博士によると、汚染した血液サンプルで最初に見つかった病気が肝炎だったという。彼は、C型肝炎が非常に多く、その次がB型肝炎で、医師たちは心配していると付け加えた。
C型肝炎の予防接種は現在行われておらず、また慢性C型肝炎の治療は発展途上国では高すぎてほとんどの人が利用できないと世界保健機関(WHO)は述べている。
ジャリルはさらに、首都バグダードの周辺部で流行が予想されると言う。というのも、多くの地域で下水設備が復旧されておらず、夏になるとウィルスが繁殖するに適した状況となるため、病気の流行を悪化させることになるからと。
環境省(MoE)が現在下水と水の浄化の需要に責任を負っている。以前はその仕事の責任は保健省(MoH)にあった。
この担当変更により、さらに仕事の遅れが生じたとMoHのスタッフは語っている。
「彼らにとっては新たな経験だったため、一からすべてをやり直さなくてはならなかった。誰も最初から専門家になれるわけではなく、この問題の専門知識を身につけるためには時間がかかる。けれども、その間にイラクの人々は苦しんでいる」とMoHの上級完了ユーセフ・シナウェはIRINに語った。
関係者はまた、この部門に投資がなされていないこと、そして州間での通信が極めて困難なこと----これによりイラクの肝炎の報告が週単位で遅れることになりかねない----を憂慮している。
INCBDの予防局に務めるムニール・イェヒア博士はIRINに大使、路上のゴミと露出した下水廃棄設備に加えて、何らの防衛策なしにレストランで食べ物を扱う人々も肝炎を広げる高い危険を伴っていると言う。
「労働者は食べ物を適切に扱う方法をしらず、それは今日イラクでとても一般的に見られる状況だ。衛生と安全のことをもっと考えて食べ物を提供するよう定める法律を作るべきだ」とイェヒアは付け加えた。
2004年のユニセフ報告によると、2003年の紛争のときに飲料水供給が破壊されたため、都市部の家庭の約20%が安全な水にアクセスできないという。
さらに、水道管が古く腐っているため、不法に水を引くため、最近の紛争と略奪の副次的被害として、50%以上の水が水道供給の過程で失われる。地方部では、半分以上の家庭にきれいな水や十分な衛生設備がないとユニセフ報告は述べている。
ジャリルはさらに、患者を治療するための薬、とりわけB型肝炎の薬がイラクでは手に入らないという。彼は、MoHの国営薬品会社キマディアに助けを求めたが、そこでも薬と資金が不足しているという。
イラクのWHOはIRINに、水を浄化するタブレットを提供し病気の蔓延を予防する方法にイラク人家庭の注意を促すことでMoHに支援を申し出たと語った。けれども保健医療関係者は、病の主原因である劣悪な下水処理設備が改善されない限り、あらゆる努力は焼け石に水であると述べている。
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投稿者:益岡
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