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2005/04/27

英国と拷問について。

ひとつ前の記事で、拘束したイラク人の扱い方について、非常に生々しい記述があります。
我々は大ハンマーを持っていた。壁にたたきつけると、爆発音のようにこだまし、奴らを無茶苦茶怯えさせるんだ。それでもうまくないときは、9ミリのピストルに球を詰めて、頭のそばで撃つ真似をする。奴らを撃つと思わせるんだ。それをやっておけば、奴らを好きなように操れる。

――私がイラクについて耳にしたこと (6)


このような「尋問手法」はイラクでの米軍に限った話ではありません。例えば、イラクとは直接的関係のない場所での「身柄拘束の後にとられる尋問手法」について、「尋問される側」による「対処マニュアル」が、ネット上にあります。直接関係がないのでどうかなとも思ったのですが、このような手法が取られていることは「イラク」固有の問題ではないし、ちょっと書いてみることにしました。

さて、「警察に身柄を拘束されたらこういう尋問が行なわれるので、各人、心しておくように」というこの「対処マニュアル」は、IRA(Irish Republican Army)によってメンバー向けに作成された「行動規範」の一部です。下記アドレスで、全文を読むことができます。
http://www.residentgroups.fsnet.co.uk/greenbook2.htm

マニュアルの初めの部分から少し引用。(文中のVolunteerはIRA用語で、「義勇兵」の意味、つまりメンバーのことを言います。)
What A Volunteer Should Do When Arrested
義勇兵は逮捕されたときにどうすべきであるか

1. The most important thing to bear in mind when arrested is that you are a volunteer of a revolutionary Army, that you have been captured by an enemy force, that your cause is a just one, that you are right and that the enemy is wrong and that as a soldier you have taken the chance expected of a soldier and that there is nothing to be ashamed of in being captured.
1.逮捕された際に心に留めておくべき最も重要なことは、貴君は革命軍の義勇兵で、敵軍に捕らわれたのであり、貴君の大義は正しい大義であり、正しいのは貴君であって敵は誤っているのであるということ、そして、これは兵士には当然予想された事態であって、捕らえられたことについて恥に思うべきことは一切ない、ということである。

2. You must bear in mind that the treatment meted out to you is designed to break you and so bleed you of all the information you may have with regard to the organisation to which you belong.
2.貴君に対する扱いは、貴君を破壊し、貴君が属している組織について持っている可能性のある情報をすべて搾り出すことを目的としているのである、ということを、心に留めておかねばならない。


この部分に明示されているように、この文書は、「我々の組織の破壊を目的としてこのような手法が取られるので、それらは無視するように」という、対処マニュアルです。(ちょっと変な連想ですが、例えば大学のキャンパスで新入生向けに配られる「近くの繁華街で悪質なセールスがありますから気をつけてください」というプリントで、「悪質なセールス」の具体例を説明しているようなものと考えてよいと思います。)

この「IRA拷問対処マニュアル」に個別に例示されているのは、次の3つの手法です。
1. Physical Torture.
2. Subtle Psychological Torture.
3. Humiliation.

1. Physical Torture
1.肉体的拷問

The physical torture will be in the form of beatings, kicking, punching and twisting of limbs, it may even be burning from cigarette ends.
肉体的な拷問は、殴る、蹴る、パンチをする、四肢をねじる、といったかたちを取る。火のついた煙草を押し付けるといったこともあるかもしれない。

2. Psychological Torture
2.心理的拷問

This will be in the form of threats to his family, his friends and himself, e.g. threats of assassination and threats to castrate him
家族や友人、あるいは本人への脅迫というかたちを取る。例えば誰それを殺すぞとか、あるいは去勢するぞといったものである。

3. Humiliation
3.はずかしめ

This takes the form of stripping the prisoner of his clothes and remarks passed about his sexual organs. This period of interrogation may last for as long as two hours or more and at the end of that period they may produce a factual or faked confession from an associate. Failing to get their confession they leave the cell, telling him they will be back and when they do come back they will break every bone in his body. This process can continue for seven days without a break, the minimum of sleep is allowed and if they deem it necessary, no sleep will be allowed. Lack of sleep causes the prisoner to become confused.
はずかしめは、囚人の服を脱がせ、生殖器についてあれこれ言われるというかたちを取る。尋問におけるこの段階は2時間ほど続き、その終了間際で、仲間からの自白(真実であれ虚偽であれ)を出してくるかもしれない。自白が得られない場合はまた戻ってくるからなと告げ、戻ってきたときには、拘束している人物の骨を折る。この段階は休みなく7日間続くこともあり、睡眠は彼らが必要と判断した場合に、最小限しか許されない。必要と判断されなければ睡眠は許されない。睡眠ができないことで、拘束された人物は段々混乱してくる。


アブ・グレイブなどイラクの収容施設で用いられた米軍の「尋問手法」――今年の1月に、「エルサルバドル・オプション」についての記事がいくつかありましたが(Newsweekラフール・マハジャン、当ウェブログでの日本語化記事)、英国は、こんなに明白な「拷問をしていた過去」があるのに、はっきり言えば「我関せず」な態度でいます。例えばアブ・グレイブの件が大きく報じられていたときには「あれはアメリカ人がやったことだ」という論調の記述を、いくつか読んだ記憶があります。この4月にBBCで放送された番組ではウルグアイやアルジェリア、南アフリカで拷問を行なっていた人たちの証言を取り上げるなどしていたようですが、「そんな遠くまで行かなくても、証言者は近くにいるじゃん」じゃないですか?

一方、BBCでも時々、英国の拷問への加担を報じる記事が出ているのですが、それらにしても、「いや、そーゆーこととは別に」と思わざるを得ないことがあります。

ますます「イラク」とは関係なくなっていきますのでこのへんで終わりにしますが、英国の治安当局による北アイルランドでの行動については、下記などをご参照ください(順不同)。(欧州人権法廷での判断は、多分1977年のものが最初です。)
http://www.coe.int/T/e/human_rights/awareness/
6._Human_Rights_Issues/3_prohibition_of_torture.asp

http://www.phrusa.org/past_news/iraq051004_stressandduress.html
http://www.humanrightsfirst.org/us_law/detainees/
prohibits_torture.htm

http://rwg.phoblacht.net/conroy.html
http://www.nihrc.org/index.htm
http://www.wsws.org/articles/2001/may2001/
ire-m11.shtml


アブ・グレイブでの拷問が明らかになった後の、アイルランド国内での反応としては:
http://www.trocaire.org/newsandinformation/iraq/
concernabouttortureiniraq.htm


いけだ