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2005/05/04

医者たちは新生児の形態異常が増加していると警告

 
2005年4月27日
IRIN
Electronic Iraq 原文

バグダード発、2005年4月27日(IRIN):イラクの首都バグダードの医師たちは、新生児の間で形態異常が急増していると報じている。

保健医療関係者や科学者たちは、イラクで永年続いた紛争を通して、母親から子どもに受け継がれた放射能による可能性があると述べている。

専門家によると、最も影響の大きな地域はイラク南部、とりわけバスラとナジャフである。1991年の湾岸戦争で使われた兵器の中には劣化ウラン弾があり、バグダードの科学者たちは、新生児形態異常の増加の主要因はそれではないかと述べている。

「私たちの経験から言うと、母親か父親が南部で使われた兵器の汚染被害を受けているケースがあり、それがイラクの新生児に影響を与えていると思う」とバグダード大学の科学者イブラヒーム・アル=ジャブーリ博士はIRINに語った。

新生児研究部門で働くバグダード大学のナワル・アリ博士によると、2003年以来、形態異常の新生児がとても多く報告されているという。

「2003年8月以来、政府の病院で650ケース異常が報告されています。前政権時代から20%の増加です。この数値には私営病院のデータは入っていないので、実数はこれより多い可能性があります」とアリは述べる。

保健医療専門家は、前回の紛争で使われた兵器から出た放射能を含む汚染された水が、この増加の主要因であると述べる。

新生児に見られる形態異常には、指が多すぎること、通常でない大きさの頭、唇が片方しかないこと、手足がないことなどである。

さらに、バグダードにあるイラク赤新月社(IRCS)病院の小児科医ラミアー・アムラン医師によると、血族結婚もまた原因であり、多くの形態異常児は、南部の貧しい家族の子どもであるという。

「私たちの病院で形態異常の子どもを持つ女性の多くが親類と結婚しており、血が近いとそうした問題を起こしかねないことについて知らない」とアムランは付け加えた。

IRCS病院では毎週少なくとも形態異常児のケースが4ケースはある。今年の4月には15ケースが報告されており、同病院の報道担当によると、こうした短期間では高い数字であるという。

ちなみにアムランは、ケースの60%は血族結婚が原因ではなく、他の要因であるという。彼女は、形態異常児の親の家族歴を調べ、放射能と汚染が形態異常の主原因であると結論している。

報告されているケースのほとんどで、子どもは1週間以上は生き延びることができないと医者たちは語る。バグダードの小児研修中央病院では、そうしたケースの90%は生き延びることができないと、病院長のワティク・イブラヒムは言う。

「何千という家族が影響を受けているのだから、政府により突っ込んだ研究を行うための援助を求めています」と彼は言う。

「私の二人の子どもは異常をもって生まれました。そして今日、私は三人目の子どもを出産しましたが、同じ問題があります。医者は、汚染が原因だと言っています。そして今、夫は、私は健康な子どもをこの世に生み出すことができないというので離婚したがっています」と同病院の34歳の患者、ファティマ・フセインはIRINに語る。

イラク保健省(MoH)は母親にこの問題に対する注意を喚起するプログラムを作成中である。MoHの高官はIRINに、形態異常の原因を突き止め、解決策を見つけだすべく研究しているところだと語った。

世界保健機関(WHO)職員は、これについてまだ何ら研究をしえいないが、求めがあればMoHを補佐すると述べている。

「この問題についてはイラク政府が主導すべきで、求めがあれば援助は行う」とカイロにあるWHOの報道官ファデラ・チャイブはIRINに言った。

「これはとても微妙な問題です。汚染が引き起こす癌については効いたことがありますが、新生児の形態異常は新しいことで、イラクでは治安問題があるため、私たちスタッフはイラクにはいません。そのため調査は複雑になってしまうのです」と彼女は付け加えた。

「イラク人の子どもたちは、永年の戦争と災害の影響にくるし見始めています。戦争が起きましたが、誰一人それがもたらる結果は気にせず、今日、罪のない命が汚染と情報の欠如により失われています」とIRCSの報道担当フィルドス・アル=アバディはIRINに語った。

この記事は国連のIRIN人道情報局の「アフリカ=英語」サービスに届けられたものだが、必ずしも国連の見解を反映しているわけではない。さらなる情報、無料の購読、キーワード変更については、電子メールIRIN@ocha.unon.orgあるいはウェブwww.irinnews.orgに連絡すること。この記事を再掲、複写、アーカイブ、再ポストする際には、このクレジットと注意書きを必ず保持しておくこと。商用サイトへの再掲載には書面でIRINの許可が必要である。


第一次湾岸戦争以来、ずっと問題となってきたことです。そして米国政府や日本政府がずっと無根拠に否定を繰り返してきたことでもあります。

いつもながらIRINのニュースでは、劣化ウラン弾を使ったのが米軍であることといった、明確な主体の指示が回避されています。

劣化ウラン弾については、

森住卓 『イラク 湾岸戦争の子どもたち』(高文研・2000円+税)

をご覧下さい。また、「アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局」さんが、様々な調査・情報を提供しています。

2003年当時(正確な日時は確認していません)、川口外相は、WHOは劣化ウランが健康に害を及ぼすものでないと結論した、と発言しています。けれども、その当時からすでに、劣化ウランの害については十分明らかにされており、また、「劣化ウラン弾は人体に極めて有害」と結論したWHO核医学専門家の手になる報告書の公表をWHO自身が禁じていたこともリークされています。

国際的な環境活動家のヘレン・カルディコット博士は、次のように述べています。

米国は、二度、核戦争を行なった。最初は一九四五年、日本に対して、次は一九九一年、クウェートとイラクで。


投稿者:益岡