米国を訴追するさらなる証拠
イスタンブールで開催されたイラク国際法廷の裁決の概略を、ダール・ジャマイルが報じます。
米国を訴追するさらなる証拠
ダール・ジャマイル
インタープレス・サービス
2005年6月27日
Electronic Iraq 原文
イスタンブール、6月27日(IPS)----日曜日(6月26日)、イスタンブールで開かれたイラク世界法廷結審セッションの公聴会で、米国の戦争犯罪と国際法違反の新たな証拠が提出された。
イラク世界法廷(WTI)は、研究者や人権活動家、NGOが設置した「人民法廷」で、米国や、英国などの占領勢力のイラクでの行動記録を独立に検討することを目的とする。この法廷は、ベトナム戦争時代のラッセル法廷に影響を受けたものである。
3日間の法廷は、この2年間に開催された一連の会合の21番目で、26日日曜日の爆発で41人が死亡する新たな暴力の噴出事態がイラクで起きているときに行われた。死者には4人の米軍兵士が含まれていた。そのうち3人は女性だった。
法廷は、その正当性を、イラクに対する侵略戦争が「世界中の人々と政府の反対にもかかわらず」開始されたという事実から得ていると述べる。さらに:「けれども、米国とその同盟国の行為を裁く法廷も当局もない。当局が何もできなければ、普遍的道徳と人権原則にもとづく権威において世界に語ることができる」。
最終会期は、作家アルンダティ・ロイやベトナムでの米国の犯罪に関するバートランド・ラッセル戦争犯罪法廷にも参加したフランソワ・オタールを含む「良心の陪審」の前で開催された。全部で54人が、イラク侵略と占領に関する諸側面について証言を行なった。
「イラクへの攻撃は私たち全員への攻撃です:私たちの尊厳への、知性への、そして未来への攻撃です」とロイは公聴会で語った。「イラク世界法廷の判決は国際法上の拘束力を持つものではないことはわかります。けれども、私たちの望みはそれをはるかに越えるものです。イラク世界法廷は、イラクの人々が塗擦され、隷属させられ、侮辱されているときに、それを何もせずに傍観することを望まない世界中の何百万という人々の良心に信頼を置いています」。
イラクへの経済制裁に抗議して辞任した元国連事務総長補佐は、証言の中で、「2003年の不法侵略に先立ってイラクの攻撃力を弱めることとなった米英による完全に違法な米英による飛行禁止地帯爆撃を、国連は黙って受け入れた」と語った。
ハリデーは、「こうした様々な手段で、国連は自ら、世界人権宣言の第22条から28条を意図的に無視することで、イラクの人々の基本的人権を破壊してきた。国連は、2003年の前もあとも、子どもと人々を保護し防衛しなかった」と語る。
ニューヨークのマウント・シナイ医学校の病理学助教授トマス・ファシーは、1990年から2001年の間に、イラクの新生児の先天的形態異常が7倍になったという証拠を提出した。
ファシーはまた、1990年から2002年に、バスラ州での5歳未満の小児ガンと白血病が26倍増加したと証言した。
昨年11月の包囲攻撃の際ファルージャにいたBBCとロイター通信の記者ファディル・アル・ベドラニは、米軍による民間人の集団的懲罰の証拠を提出した。
イラク人女性の権利を擁護する活動家ハナ・イブラヒムは、女性が90%の失業に苦しみ、しばしば強姦や無法性、強制売春や誘拐の犠牲になっていると述べた。
「イラクで占領が始まった日から、女性と女性の権利に対する体系的な侵害が始まった」と彼女は語る。
イラクの再建と政治的移行を研究してきた「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」という団体の研究者ハーバート・ドセナは、イラク侵略占領の背後にある経済的・政治的動因を指摘した。
「2003年2月の段階ですでに、米国は、ウォールストリート・ジャーナルが『イラク経済を米国のイメージで作り直す包括的計画』と呼んだものの草案作成を終えていた」とドセナは述べた。「米国がほとんどすべてのイラクの省庁を爆破し物理的に抹消したように、この計画は、米国のデザインに合致するものを除いては、現行法のほとんどすべてを破棄し、既存の機構を解体することを意図していた」。
陪審は裁決で、「自国の不法占領に抵抗するイラクの人々の権利を承認した」。
裁決は、「すべての占領軍の即時無条件撤退」を勧告し、「同盟国政府はいかなる損害に対してもすべてイラクの人々に全面的な賠償を支払い、占領下で創り出され、イラクの人々が自分たちにとって有害だったり無用だと考えるすべての法律、契約、条約、機構を破棄する」よう求めた。
その他に、米国大統領ジョージ・ブッシュ、英国首相トニー・ブレアそして同盟国に属するすべての国の大統領を人道に対する罪で即時に取り調べることが勧告された。
さらに、陪審は、嘘をついてイラクへの暴力をそそのかしたジャーナリストとメディア機構、そして戦争で利益を得ている企業を裁く責任追及を行うことを提唱した。
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投稿者:益岡
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