BBCトップページでの「白燐」の位置づけ&英軍の「虐待」リスト
英国時間で11月16日、米国が白燐の対人使用を公式に認めた。(11月16日、ブッシュは京都でfreedomを連発していた。)続いて英国が、白燐の使用を認めた。
先日(8日)、BBCが記事の見出しをchemical armsからincendiary armsにサシカエるということをして英語圏のブロガーたちからさんざんツッコミを入れられるという事態があった。ブロガーとBBC担当者とのメールのやり取り(公開されていたもの)も読んだが、このサシカエは、「白燐(WP)は化学兵器である」と理解されることを妨げる目的と私には解釈された。
この時点で、必然的に、「米国だけじゃないんだな」という推測はできた。
だから、「英国がイラクでWPを使用」という記事が出たときの私の反応は、「やっぱり」だった。
しかし、「やっぱり」とは思えないことが、BBCで起きた。
2時間の間に、BBC NEWS (world edition)のトップページから、「英国がWPを使用」の文字列が消えた。
それでは、劇的ビフォーアフター!
BEFORE: 最終更新時刻 2005年11月16日 20:28(画像は原寸表示)
UK used WP...の記事が、トップ記事に付属している形でリンクされている。
▼およそ2時間後・・・▼
AFTER: 最終更新時刻 2005年11月16日 22:30(画像は縮小表示。クリックで原寸)
※画像はクリックで原寸。
やってくれるねぇ、BBCも。
運良く別なウィンドウで開いたままにしてあったので、古い方のページをキャプチャすることができたのだが、そうじゃなかったら、16日の夜のニュースで「サン・ライジング」とかいう変なエイゴを聞かされたショックで幻覚を見たのだということにしていたかもしれない。
BBCに限らず、英国の大手マスコミは概して、アブ・グレイブのときに「だからアメリカ人は」的なムードの記事を連発していた。「私たちはあんなことはしない」というようなスタンスから記事、他人事という感じだった。
が、今年の1月にバスラの施設で英軍兵士による同様の「虐待」が起きていたことが明らかになった。このとき英国の大手マスコミは「これは『恥』だとみんなが言っている」みたいな調子になった。つまり、アブ・グレイブでのあれが明るみに出たときの米国のマスコミの反応とあんまり変わらない。っていうかほとんど同じ。
さて、今回のWP報道ではどうなるか。
などという野次馬的なことを書きつつ。
ついでなので、英軍による「虐待」(=拷問)リスト:
2005年1月
バスラで英軍兵士がめちゃくちゃなことをやっていたことが判明(BBCの写真記事、BBCの記事、マイケル・ジャクソン総司令官のステートメント:マイケル・ジャクソン将軍は、1972年1月30日にデリー(ロンドンデリー)で非武装のデモ隊に発砲して13人を殺した英軍の部隊の副司令官だった人物)。
↓
この行為を実際に行なった英軍兵士3名は軍事法廷で懲役刑の判決(BBC記事)
しかし、後に刑期短縮となり(BBC記事)、うちひとりは6月には出所(BBC記事)。
2005年7月
英軍に拘束されていたイラク人(Baha Mousaさんというホテルのフロント係)が死亡した件(2003年9月)で英軍兵士7人が英軍の軍事法廷に(BBC記事<2つの事件のことを一緒に書いているので、情報が錯綜していて読みづらい)
これは「戦争犯罪」として裁かれる(The charges faced by three of the men - of "inhuman treatment of persons" - were brought under the International Criminal Court Act 2001 and will be tried as war crimes.)。
まだ判決は出ていない。
補足:この裁判については、「退役軍人が読む新聞」という評価のあるデイリー・テレグラフの最新記事(話半分で読むべき)などを見ると、とんでもない方向(部隊の責任者は責任を問われない)に行きかねないようにさえ思えてくる。
なお、アムネスティ・インターナショナルなどは、戦争犯罪を軍事法廷で裁くということ自体を批判している(BBC記事)。
2005年8月
新たに英軍による「囚人虐待」の疑惑(BBC記事
元はBBCのNewsnight。「45分説はsex upだ」のアンドリュー・ギリガン@BBCラジオ4のときのような騒動になってないところを見ると、「BBCが嘘をついた」わけではなさそうですね。新しい情報はないものかと検索してみましたが、見当たりません。
そのほかにもいくつか類似の軍事法廷は開かれています。うち1件は証拠不十分で棄却(2005年11月3日)。
投稿者:いけだ
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