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2006/03/02

「サマラ危機」~イラクのブロガーたちの伝えていること(1)

サマラでのアスカリ聖廟爆破以降、「宗派間対立」が「激化」し、少なくとも1300人が死亡したと伝えられ、Fox Newsなどが「全面的内戦(all-out civil war)」と位置づけています。これら大手メディアの記事とは別に、イラクの/イラク系のブロガーたちの記事からいくつか見ていきたいと思っています。

イラク・ブログから、当ブログ(teanotwar)にて何らかの形でご紹介したいと思う記事はいくつもあるのですが、とりあえずはイラクのブログを巡回してまとめてくれている在英のイラク人Salam Adilのブログから。

彼は先日アルジャジーラの取材を受けていて、その中で「英国のBBCや新聞の報道とイラクのブログの内容を読み比べてみると、まったく別世界のようだ」と述べています。彼自身、だからこそイラクの外でイラクの“ニュース”についてのブログを書いています。(なお、このアルジャジーラの記事は「イラク・ブログ最新事情」的な記事で、Salam Adilのほか、Zeyad、Baghdad Treasure、Riverbend、Hammorabiなど11人のブログ/ブロガーが紹介されています。)

2月23日、Blog Roundup: Catastrophe in Samarraという記事:

Thursday, February 23, 2006
Blog Roundup: Catastrophe in Samarra
原文:http://asterism.blogspot.com/2006/02/blog-roundup...

【概要】
ブロガー全員に共通しているのは、サマラのアスカリ聖廟爆破をやったのはイラク人ではない、という意見だ。外国人テロリストの仕業というブロガーもいるし、アメリカだというブロガーもいる。イランがやったという意見すらある。そしてほとんど全員が、これが全面的内戦の始まりとなるのではないかと心配している。

まずは現場からのレポート:

Christopher Albrittonは、爆破が報じられたときにグリーンゾーンにいた。ある人物にインタビューする予定だったのがキャンセルされたので、何か大きなことが起きたのだということは知っていた。

Iraq the ModelのOmarは、外国から来たテロ集団の仕業と考えている。また彼はバグダードの緊張を次のように報じている。
――「散発的な銃声がバグダードのあちこちでしている。しかしその銃声が銃撃戦なのか、それとも腹立ちのあまり空に向けて撃っているのかは誰もはっきりとはわからない状態だ。」

Healing IraqのZeyadのブログが、今の雰囲気を最もはっきりと伝えている。
――「バグダードの状況は悪い、本当に悪い。シーア派の地域で大規模な抗議行動が起きているとか、バラディヤット(Baladiyat)やシャアブ(Sha'ab)やドーラ(Dora)でスンニ派のモスクへの攻撃があったと知らされて、仕事を早引けして帰宅しなければならなかった。サマラはスンニ派がほとんどの都市で、シーア派の神殿への攻撃はスンニ派がやったとされている。今は街には誰もいないようで、商店も軒並み閉店しているようだ。銃声やら、米軍のヘリやジェットが空を旋回している音がする。」

Baghdad Treasureも家まで帰るのが大変だったそうだ。
――「仕事を早引けして帰宅することにした。治安当局がほとんどの道路を封鎖しているだろうと思っていたのだ。今日ばかりは運転手に言って、装甲を施した車で帰宅することにした。私はこれが大嫌いなのだが避けられない。日没の時間だった。ふだんなら、あまり遅くならないうちにと、人々はこの時間帯に買い物をしたり楽しんだりするのだが、今日のバグダードはまるでゴースト・シティだった。家に着くまでに見かけた車はほとんどなく、見た車もすべて何か危険があってはと猛スピードで飛ばしていた。恐ろしかった。何せまだ完全に日が落ちてはいなかったのだから。」

An Average IraqiのHassan Kharrufaがサマラの爆破のことを知ったのは、BBC記者が突然電話をかけてきたからだという。
――「(久しぶりに大学に行くためにタクシーに乗っていると、携帯が鳴った。)誰からの電話だろうと思ったら、プライベートな番号からの着信だ。ということは、誰かがイラクの外から電話してきているという可能性以外にはない。『ここで降ろしてもらいたいんだけど』と運転手に告げた。(タクシーを降りて電話に出ると、女性の声で『もしもし』という。明らかにイラク人ではない。女性はBBCの記者だと名乗った。これまでにも何度かBBCの記者からの連絡はあった。だから今回もBBCの記者からの電話でも驚きはしなかった。BBC記者は、大きなニュースは耳にしているかと訊いてきた。私はいや知らない、何があったんですかと尋ねた。『昨晩、イラク警察の服装をした武装した男たちがサマラの寺院に押し入り、今朝、警備員を縛り上げてから爆破したんですよ』。私は何が何やらという気分になった。サマラの寺院にはハッサン・アル=アスカリとアリ・アル=ハディが埋葬されている寺院しかない。しかしそんなことをする者などいるだろうか? それがいたのだ。)」

※訳注:AVIの記述の日本語訳で、カッコで示した部分は、Salam Adilの要約には入っていない部分。

次にブロガーたちの意見:

Raed in the MiddleのRaedは、この爆破の結果として内戦になるということに懐疑的である。彼はスンニ派モスクへの報復攻撃はすぐに終わったということを指摘した上で、次のように言う。
――「イラクの火山が噴火したときに火傷するのはイラク人ではない。ブッシュ政権はそういうことを促進しようとしているし、そう主張しようとしているが、イラク人はこれまで1度も内戦をしたことがないのだ。これからだって内戦などはありえない――ただし占領軍がイラクに留まるのなら話は別。……今日の攻撃は、さまざまな宗教・宗派の指導者と社会的な指導者が受け止め対処しなければならない悲惨な事態がまた起きた、ということであり、この事件でさらなる暴力が、それが誰に対するものであっても、引き起こされることはないと僕は考えている。また、そのことで世界に対して、イラク人はどんなにひどい危機に際しても、互いを攻撃しあうことなく、自分たちで対処することができるのだということが示されると、考えている。」

Truth About Iraqisは、いくつもの情報源から情報をアップデートして、何が起きたのかを的確にまとめてくれている。彼はアメリカの利益になる内戦を予想している。
――「イラク内戦の初日:スンニ派が殺され、『数十』のスンニ派モスクが攻撃された……アメリカによるイラク解放計画はついに最終段階に入った。内戦が避けがたいものと思われるなか、米国の対イラク計画は実を結びつつある。」

またTruth About Iraqisはこの後の記事で次のように述べている
――「明らかに外国のエレメントによって、私たちは徐々に内戦へと近づけられてきている。このような犯罪を甘んじて受け入れるイラク人などいない。私たちの国の社会という組織を引き裂こうとするイラク人などいない。」

Baghdad Dwellerは、誰があの攻撃を行なったのかを考察し、イランまたはアメリカではないかと絞り込んでいる。

Free IraqのImad Khaduriは、報道と内務大臣のステートメントとの明らかな矛盾点に注目している。(※訳注:リンク先を参照していただければわかりますが、報道では「軍服の男1人と黒い服の男3人がモスクに入り、爆弾を2つ爆発させた(AP報道)」、「匿名希望の警察官によれば、武装した男たちのうち少なくとも1人が制服姿で、日の出前に聖廟に押し入り、警備担当の警官5人を拘束した(アルジャジーラ)」とあり、一方で内務大臣のステートメント(アラビア語)では「テロリスト・ユニットは2月21日火曜日の午後7:55に聖廟を制圧し」たが、「爆弾が爆発したのは水曜の朝、午前6:40だった」とし、また「聖廟の警備は警察官35名によって行なわれていた」としている。また、Free Iraqでは後にUpdateとして、最初の2件の目撃情報と内務省のステートメントとが一致している点に言及、かつまた、イラク内務省とCIAのつながりに言及し、何やら疑わしいということを示唆している。)

AsterismのSalam Adilは、政治的プロセスとちぐはぐになっていることを指摘、また、次にまた「サマラの事件」が起きて人々が街頭に飛び出す前に、アメリカの政策を根本的に変更する必要があるのではないかと述べている。

最後にBaghdad Treasureから。
――「美しく歴史あるこの国が破壊されるのを見ているのはつらい。アメリカ人がやっただけではまだ足りないというのか。イラク人は苦しみ、殺され、自身が辱められるのをただじっと見ているだけで、互いを殺しあわねばならないのか、ただ単に、アメリカが世界をより安全にする道からサダムを取り除きたかったからという理由で。それともアメリカをより安全にしよう、アメリカ人じゃない者はどうでもいい、と、彼らの一部が言うようなことなのか。イラクの『解放』のおかげで全世界はより安全になったのだから、全世界は喜ぼう、しかし残念なことにイラク人にとっては最悪の状況になってしまった、ということか。」

by Salam Adil at 11:06 PM


次は、同じくSalam Adilの2月25日の記事を日本語にしてポストします。(予定)

投稿者:いけだ