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2006/02/16

「英軍の暴行ビデオ」の件。

2月12日に英タブロイドNews of the Worldで報道された「英軍の暴行ビデオ」について、私(いけだ)の個人ブログの記事から、NOTW紙についての解説の部分などを取り去り、記述を整理して、転載(ダブルポスト)します。

この「暴行ビデオ」については「英軍のアブ・グレイブ」と位置づけたナイジェル・パリーによりElectronic Iraq掲載記事を益岡さんが紹介してくださっています。パリー氏の揚げ足を取りたいわけではありませんが、「英軍のアブ・グレイブ」は昨年すでに露見しているバスラでの「虐待」(行なわれたのは2003年5月、被害者は民間人)にこそふさわしい呼び方であり、今回の「暴行ビデオ」については、アブ・グレイブではなく北アイルランド(特に1970年代前半)にたとえるのがより正確だろうと思います。

なお、昨年露見したバスラでの「虐待」については、ドイツのオスナブルックで軍事法廷が開かれ、被告の3人は2005年2月に有罪判決を受け不名誉除隊となっています。ただし被告のひとりは「命令に従っただけだ」と述べていて、弁護団は「スケープゴート(=トカゲの尻尾切り)だ」と述べています。つまり、被告個々人のレベルで為されたことではないということが主張されたのですが、その辺、どうにもなってないようです。(判決後、3月にBBCに「控訴も」の記事があったのですが続報なし。)

なお、今回の「暴行ビデオ」についての英国のメディアの記事は、下記にメモしてあります。(BBC、テレグラフ、ガーディアンしか見ている余裕がないのですが。)
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/brutality/

では、以下個人ブログからの転載(ダブルポスト)です。

2月13日投稿:
http://ch.kitaguni.tv/u/917/todays_news_from_uk/
0000322635.html


あるビデオを見た。

Tシャツにジーンズといった服装の何人かが、10人足らずの迷彩服の連中に、白い色をした何か壁のような巨大な門扉のようなもののこちら側(白い椅子がある)へ力ずくで連行され、文字通り、殴る蹴るの暴行を受けている。

暴行を受けているのは、体つきから判断するにまだ子どもじゃないかと思ったら、やはりteenagerらしい。

映像の撮影者らしき人物が、明らかに興奮して、「イエ~ス、イエ~~ス」とか言ってる。鼻息も入っている。(正直、非常に気色悪い。)

またもや「News Of The Worldに特ダネのタレコミがあった」ということを、イラクのブログ(下記3箇所)で知った。
http://twentyfourstepstoliberty.blogspot.com/2006/02/...
http://truth-about-iraqis.blogspot.com/2006/02/...
http://baghdadtreasure.blogspot.com/2006/02/...

その特ダネってのが、私の見たビデオだ。

※上記Iraqi blogsのコメント欄はアメウヨのいつもの連中のプレイグラウンド。ちょっと見ただけですが、詭弁について英語の実例をお探しの方には案外いい感じかもしれません。:-P

誰かがNOTWにタレこんだのは、英軍兵士がイラク人の少年たちに暴行を加えている現場を収めた映像。音声つき。

News Of The World
http://www.newsoftheworld.co.uk/
→毎週日曜日にサイトが上書きされます。(→魚拓

※キャプチャ画像(クリックで原寸)
notw_12022006.png

NOTWトップページの左側のコラムにあるClick here to see the video.でビデオが見られる。念のためにURL:
http://www.newsoftheworld.co.uk/armyvideo.shtml

〈略〉

以下はこのビデオを受けての、あるいはこのビデオに関する文字情報。まずはURLだけ。

NOTWの記事、"SHAMED BY 42 BRAINLESS BLOWS" By Robert Kellaway:
http://www.newsoftheworld.co.uk/story_pages/news/news1.shtml
→毎週日曜日にサイトが上書きされます。(→魚拓

NOTWには、元SASのChris Ryan氏がコメントを寄せている。
http://www.newsoftheworld.co.uk/story_pages/news/news2.shtml
→毎週日曜日にサイトが上書きされます。(→魚拓

また、NOTW自体のコメント(論説記事)もウェブ版でも読めるようになっている。
http://www.newsoftheworld.co.uk/NOTWcomment.shtml
→毎週日曜日にサイトが上書きされます。(→魚拓

タレコミされたビデオ映像についての全体的な説明をしているのはRobert Kellawayの記事で、Chris Ryanの記事は元軍人(しかもSAS)としてのこのような行為への非難、NOTWのコメントは「英軍ともあろうものが」&「まことに遺憾である」的論説。

〈略〉

■――NOTWに持ち込まれたビデオの内容など:
次。NOTWにタレコミされたビデオについて。

ビデオ映像そのものと、NOTWのRobert Kellawayの記事を中心にまとめる。
http://www.newsoftheworld.co.uk/story_pages/news/news1.shtml(→魚拓

映像は家庭用ビデオで撮影されたものでヘタクソ。撮影者はある下士官。撮影場所は、英軍が基地として使っている建物の上層階(3階くらい?)の窓かベランダ、あるいはその建物の屋上と思われる(NOTWでは「屋上」とある)。光の状態から、時刻は午後3時とか4時のように私には思われる。(逆に朝かもしれない。)

映像が撮影されたのは2004年の早い時期。(ガーディアンの報道によると撮影されたのは2004年1月。場所はバスラの北に位置するアマラ:Amaraで、ガーディアンはjust north of Basraと書いているが、地図で見ると100キロ離れている。)

2004年といえば、4月に中西部ファルージャに対する米軍の総攻撃(第一次)があり、「人身掌握作戦に失敗したアメリカ、成功したイギリス」みたいな論調が、「南部はこんなにうまく行っていますよ」ということを伝えたい写真(笑顔の子どもと英軍兵士、など)とともに、英国のメディアで見られた。

また、ムクタダ・サドル師の民兵集団が段々とニュースになりつつあったのも2004年。(サドルの民兵が大きな話題になり始めたのは2004年4月だが、サドルの新聞は2003年8月には既に活発に活動していた……つまり相当なアジテーションを行なっていた。)ただしこの映像とサドル師支持者が関係あるかどうかはまったくわからない。単に「同じころにそういうことがあった」というだけだ。

さて、NOTWで公開している映像には写っていないが、最初にこの英軍基地に手製グレネードが撃ち込まれたらしい。その後、riotersが英軍に対して侮辱的なシャントをし、少年たちが基地前の方にやってきた。

映像はその次の場面から始まる。

車の姿がない車道(多分バリケード封鎖済)で、30~50人くらいの少年たち(年齢的には中学生~高校生くらいか?)が集まっている。石を投げている子もいる。

カン、カンという鐘の音のようなものがし、パン、パンという乾いた音(威嚇射撃か?)がして、少年たちが、画面左へと一目散に逃げ出す。カメラが右にパンすると、英軍兵士が十数人(?)、少年たちの方に走っていく。

画面のほとんどが樹木の葉で埋まり、その向こうにダッシュで逃げていく人々が写る。彼らが車の通る道まで達したあたりで英軍の無線連絡の音声のようなものがかすかに聞こえ、パンという乾いた音がし、少年たちが逃げてった方向の路地で英軍兵士が動いているのが、建物の隙間から見える。

NOTW記事によると、無線では

"Black top, blue bottoms! Black top, blue bottoms! GO!"


と言っている。(「黒いシャツに青いズボン」。)その後、"Stop! Back off!"と聞こえるように思う。カメラがズーム。建物の隙間から英兵の姿。

英軍兵士が、3人の少年の首根っこをつかんで、基地に戻ってくる。少年のひとりは黒っぽい半袖Tシャツにジーンズ。映像が荒いのではっきり確認しづらいが、この子以外は靴を履いていない。おそらく、貧しいのだろう。(少し後に、さらに1人の少年が連行されてくる。合計で4人の少年が暴行を受けることになる。)

少年たちが基地の門を通った瞬間、少年のひとりが"Oh no!"と声を上げる。そこで初めて撮影者がしゃべる。まるでサッカーの試合を見ているかのような口調。

"Oh yes! Oh yes! You're gonna get it."


それぞれの少年を2人1組で引っ張ってきた兵士が、少年たちを小突き回し、地面に転がして、警棒で殴打し始める。少年たちは"No"と叫び続ける。撮影者は楽しそうに言う。

"Yes, naughty little boys! Yes! Ha, ha, ha, ha! Yes, Yes!"


笑い声は心の底から楽しそうに。そして最後の2度の"Yes"は、鼻息荒く。(うう、気色悪い。)

殴打は続き、少年が"No, please!"と泣いているような声で叫ぶ。撮影者はそれを真似て子どもっぽい口調で、

"No, pleeeeese. Don't hurt me!"


と言う。ここで撮影者に誰かが声をかける(が、私には聞き取れない)。殴打が続く。ひときわ大きくバシッという警棒の音がすると、撮影者は「ハッハッハッハッハ」と笑う。そしてますます興奮し、F-word連発で罵ったあとに、興奮の最高潮に達したような声で、

"DIE! Ha, ha!"


と言う。撮影者とは別に、甲高い笑い声も一瞬聞こえる。

少年たちは泣き叫び続けている。1人はヘルメットをかぶった英兵からヘッドバットを食らい、腎臓のある場所(背中側、ウエストのほんの少し上)を殴られている。(北アイルランドでのあれこれを読む限り、kidneyを殴るのはマニュアル通り。)

兵士が少年のひとりの股間に蹴りを入れると、撮影者は「うぉぉぉっ」と叫ぶ。

殴打が続けられるなか、少年たちを連行したのとは別の兵士が門扉から入ってくるが、一瞥をくれただけで何もせず通り過ぎてゆく。

その後も続々と兵士たちが基地に戻ってくるが、地面に転がっている少年たちを見ても何もしないか、縛り上げるのを手伝うかのどちらかである。

NOTW記事によると、暴行を行なっているのは少なくとも8名の英軍兵士。映像にはっきり写っているものだけで、殴打の回数は42回。ただしフレームに入っていないものもあるので、実際の殴打の回数はもっと多いはず。

また、このビデオには、イラク人の死体の頭部を、撮影者が罵倒しながら蹴りつけている映像や、無抵抗の男性を3人がかりで蹴りつけている映像もあるという(ここはNOTWのサイトでは公開されていない)。

このビデオがNOTWに渡ったのは、撮影者の所属部隊が拠点としている欧州の基地で、撮影者の友人たちにこれが見せられた後のこと。見た人のひとりがNOTWにタレこんだ。

「殴打されていたイラク人はほんの子どもだし、靴さえ履いていない。英軍兵士は気が昂ぶって制御が利かない状態になっていた。彼らはこれまで勇気と威厳をもってイラクで懸命に働いてきた数千人の兵士たちに対する侮辱だ。彼らはならず者の集団(a gang of thugs)にほかならない。自身にとっても、所属するレジメントにとっても、国にとっても、不名誉である」と、告発者は語っている。

このような「捕虜虐待」を根絶し、駐イラク英軍兵士の評判を守るため、映像は公開されなければならないと考えてのタレコミだったという。

「あのイラク人たちは悪いことは何もしてない普通の子どもだったわけではない。石を投げていたし、ひょっとしたら爆発物も投げていたかもしれない。だからといってあんなふうに殴ってよいわけではない。責任者は本来みなを落ち着かせるべきだが、それどころか率先してやっていた。少年の股間を蹴り上げていたのはその責任者だ。19歳の一兵卒がパニックでわけもわからず暴れるんならともかく、範を垂れるべき士官があれでは……。」

暴行を行なったユニットとレジメントの名称もわかっているが、NOTWでは安全上の理由のため、その公開は差し控える。

NOTWは土曜日の夜に英国防省に証拠書類を提出した。それを受けて軍警察の調査が開始されている。

(……にしても、この後あの男の子たちはどうなったんだろう。)

■――元SAS隊員からの非難:
さて、元SASのChris Ryan氏のコメント:
http://www.newsoftheworld.co.uk/story_pages/news/news2.shtml魚拓

筆者のクリス・ライアン氏は元SAS(1984~94)で、今は軍事ものの小説を書いたりしているベストセラー作家で、タフガイ方面のアドバイスをしたり、「SAS流フィットネス」の本も書いたりしている。SAS時代は対テロ作戦にも従事。1991年湾岸戦争時に秘密作戦のためにイラクに潜入したSAS隊員8人チームのひとりで、唯一殺されもせず拷問されもせずに無事に脱出した(本人の著書『ブラヴォー・ツー・ゼロ 孤独の脱出行』もしくはアンディ・マクナブの『ブラヴォー・ツー・ゼロ』参照)。1961年生まれ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Chris_Ryan
http://www.uktv.co.uk/?uktv=standarditem.index&aID=528007
http://www.thewatchmeman.co.uk/aboutChrisRyan.asp
http://www.randomhouse.co.uk/features/sasfitness/
http://www.fantasticfiction.co.uk/r/chris-ryan/

ライアン氏が書いていることはだいたい次のような内容。

まず、「このようなことが他には起きていないことを祈るのみだ(I can only pray this is an isolated incident)」、「このような一握りの無分別な者が与えたダメージ(the damage this senseless minority has caused)の回復には、何年とは言わぬまでも、何ヶ月もかかるだろう」。「この者どもは、彼らの同僚を、彼らの受けた訓練を、そして英軍がこれまでずっと(traditionally)体現してきたすべてのもの、すなわち義務感と折り目正しさを裏切った。『兵士』と呼ぶにもためらいを覚える」。――つまり、「ごく一部のはみ出し者」論を試みている。

それから、「われわれの敵はこの機に乗じて新たな人員を増やすだろう。この事件はあらゆるところで憎悪をエスカレートさせるだろう」(その通り)。「ジュネーヴ条約で捕虜は人道的扱いをしなければならないというのにこのようなことがあっては、英国の軍人や民間人が拘束または拉致された場合にどうなることか。しかも暴行を受けていたのは子どもであって、敵性戦闘員ですらない」。

そして、「平和維持任務(peacekeeping missions)は戦闘と同様に危険でストレスが感じられるものである。兵士も人間である以上は気分にむらがある。しかし、いかなる者であれ、このように反応する権利はない(nobody has the right to react like this)。このような気分になったときにこそ、訓練と鍛錬で対処せねばならない」という、兵士たちへのメッセージのような部分にかなりの字数が割かれ、最後にビデオを撮影した者や暴行を行なった者への厳しい批判と、再度、「人心掌握のために必要なのは捕虜を適正に処遇することである」ということが書かれている。

なお、ライアン氏は「軍人としての20年、私はこのような事例を経験したことがない(It is something I have never experienced in 20 years of soldiering)」と書いているが、私には今回のビデオ映像は下記リンク先にある写真によく似ているように見える。
- Youth arrested in the Lenadoon area of Belfast after rioting which immediately marked the introduction of internment.
- British troops arresting a youth in Coalisland, County Tyrone, in December 1971.

ちなみに「1971年」というのは北アイルランドでInternmentという「とりあえず拘束・勾留(裁判なし)」というポリシーが導入された年。カトリック系のエリアでは住民は見境なく拘束され(男女問わず:アイルランドのリパブリカン運動には女性の武装組織もあるので)、勾留施設の劣悪な環境の中、頭から袋(感覚遮断)、ホワイトノイズ、スプレッド・イーグル、殴打など、および尋問で手厚くもてなされた。ジェリー・アダムズもそれを経験している。また、BBCの「歴史」のページには、生々しい殴打の痕の写真もある。

その当時、英国政府によって用いられていた用語は、abuseやmistreatmentではなく、brutalityもしくはphysical brutalityだ。(むろん、これを告発した側はtortureという語を用いていた。しかし最終的には「これはtortureではない」という結論を、英国政府はあれこれ根回しした末に、勝ち取った。)
http://cain.ulst.ac.uk/hmso/compton.htm


さて、1971年から75年に行なわれたことを1961年生まれのライアン氏が軍人として知っているとは思えない。それに、このInternmentは74年にアイルランド共和国政府が欧州人権法廷に持ち込んだことで英国には大きなダメージとなり、75年以後は行なわれていない。(また、Internmentは英国治安当局への憎悪をかき立て、その結果、それまで「普通の若者」とはやや距離のある存在だったIRAが一気にポピュラーになった。この「北アイルランドでの教訓」は、英国がhearts and mindsと言うときの根底にある。)

だから、ライアン氏には直接「このような事例の経験がない」というのは本当なんだろう。

だが、ライアン氏のこのコメントで主張されていることを100パーセント信じること――「英軍は(米軍と違って)決して誤ったことをしない(はずだ)」ということを信じることは、残念ながらできない。

〈略〉

ライアン氏のように「偉大な先輩」の立場にある人の発言は、「~であるべき」論であって、若い兵士が読んだときに「本当に先輩の言うとおりだ」と素直に納得できるものとして書かれているはずだから、ライアン氏が書いているのがすなわち「実情」とは考えづらい。そこらへん、I can only pray this is an isolated incidentという文面を深く読んだ方がいいのかなと思う。

■――NOTWのスタンスとコメント:
NOTW自体のコメント(論説記事)は、「メディアとして私たちは英軍を信じ、サポートしていました。今回の事態はまったく遺憾です。しかし報じないわけにはいきません」という内容。
http://www.newsoftheworld.co.uk/NOTWcomment.shtml魚拓

このコメントは別に読んでも読まなくてもいいと思うが、2004年11月にファルージャのモスクで負傷して動けない男性を米兵が射殺する現場をカメラにおさめたジャーナリストのKevin Sitesが、彼ら海兵隊の部隊に宛てた手紙(Kevin Sitesのブログにアップされている)と読み比べてみると、何というか、戦争おっぱじめた奴がのんきにウズラ狩りなどして、ついでに一緒に回ってたお友達を誤爆、じゃなかった誤射してることとかもシンクロして、あのー、思い出したいわけではないんですが、やはり不可抗力で思い出してしまうのがパゾリーニの最後の作品Saloで、いや画としてではなくコンセプト的に。

〈以下略〉



私(いけだ)が個人ブログにこれを書いたのが13日(日本時間)。

その後、14日(英国時間&日本時間)には撮影者と思われる者の身柄が拘束されたことが伝えられ(テレグラフ記事)、その後すぐに、さらに2名の身柄拘束が伝えられた(ガーディアン記事)。(1人目の逮捕は、英国時間Feb 13, 2006 3:55 pmには関係筋には伝えられていたようだ。)

最初に身柄拘束されたのはthe 1st Battalion the Light Infantry(陸軍軽歩兵隊第一大隊)所属のCorporal Martin Webster(マーティン・ウェブスター伍長)。ただしこの人物が容疑者として逮捕されたのか、証人として身柄を拘束されたのかは国防省は明言していない。

国防省では「軍警察はビデオに写っている人物の特定を急いでいる」とコメント。(ガーディアン記事:この記事にあるウェブスター伍長のお父さんの声を読むと、アブ・グレイブ刑務所での「虐待」の実行者のひとり、チャールズ・グレイナー技術兵のご家族が言っていたことを思い出す。)

また、バスラの行政当局は英軍との関係をストップ(BBC記事)。昨年9月の不可解な事件(当ウェブログ過去記事1および過去記事2)でも関係断絶には至らなかったのに……それどころか、その後「紛争をよく知っている」元RUC(北アイルランド警察)トップに警察の調査を任せるとかいうことになったのに。

このことは、このビデオが露見したことによるaftermathは、アブ・グレイブとはちょっと違うということでもあるように私は思います。「地域との緊密な連携」をとり、それをアピールしてきた英軍が、地元との関係をストップされた。アブ・グレイブの件では、米国はそういう影響は受けていません。(ただしバグダードから西、特にアンバール州の「行政当局」が、「虐待」発覚当時に今のバスラのそれほどに機能していたとは思いませんが。)

この件、以後進展があれば、まずは私の「はてなブックマーク」にメモをつけて、それから余裕があればここのコメント欄で追記、あるいは新記事、というようにしようと思います。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/brutality/

投稿者:いけだ