イラク:何千人もの被拘留者たちが基本的人権を否定されている
3月6日、アムネスティが発表した報告。米軍主導の「連合軍」とイラク治安部隊による留置所や監獄での人権侵害。
イラク:何千人もの被拘留者たちが基本的人権を否定されている
アムネスティ・インターナショナル・プレスリリース
2006年3月6日
Electronic Iraq 原文
2005年7月3日、イラクのファルージャにて。海兵隊士官ケネス・シルバース(中央)が、訓練実習で、イラク治安部隊兵士に対し、協力的でない被拘留者たちをどうやって押さえ込むか示している。
米国主導の多国籍軍(MNF)にイラクで拘束されている何千人もの被拘留者たちは、基本的人権を否定する恣意的な拘束のシステムにからめ取られていると、本日(3月6日)に発表した報告書の中でアムネスティ・インターナショナルは語った。同時に、MNFが支援するイラク治安部隊による被拘留者たちへの拷問が増えているという証拠が増えている。
「米軍主導の連合軍は、サダム・フセインを転覆してから3年後、支配下にある被拘留者の基本的人権を尊重する手だてをとらずにおり、また、拷問や他の虐待の可能性から被拘留者たちの安全を保障する手だてをとっていない」と、アムネスティ・インターナショナルの中東北アフリカ・プログラム副代表ハッシバ・ハジ・サハラウイは語った。
MNFが拘束している被拘留者の中には、2年以上も告訴や裁判がなされぬまま拘束されている者たちもおり、拘留された理由について問いただす十分な機会を与えられていない。これらの人々は、自分たちは見ることのできない情報に基づいて、さらに何年も拘束されたままでいるおそれがある。米英が、被拘留者たちのケースを検討する手続きは、法廷の監視も含め、国際的な基準を満たしていない。被拘留者たちは、また、日常的に、弁護士や家族との面会を禁じられる。
「アブグレイブの先:イラクにおける拘留と拷問」というこの報告は、MNFが直接責任を負う人権侵害に焦点を当てているが、MNFとともに活動するイラク治安部隊による拷問の証拠が増えていることも指摘している。その中には、イラク内務省管轄の「狼旅団」も含まれる。イラク部隊の留置場で捕虜が死亡した事件も複数ある。アムネスティ・インターナショナルはこれらの出来事、そして拷問が行われているという情報に対する適切な調査が行われておらず、実行者の責任が追及されていないことに憂慮を抱いている。米英による自軍の虐待の調査もまた、一般に、下級兵士を扱うだけで、判決も罪状の重大性を十分に反映していない。
MNFとイラク当局が緊急の対策をとり、基本的人権の重要性を再確認することが重要である。そうでなければ、イラクはさらなる暴力とセクト主義に向かってしまうであろう。とりわけ、MNFとイラク当局は、被拘留者の権利が完全に尊重されるよう保証しなくてはならず、拷問をはじめとする様々な虐待行為の報告を全面的かつ迅速に調査し、身分がどれだけ高くても、虐待を命じたり実行したりしたものを裁かなくてはならない。
「イラクに適用できる国際人権法と、イラクの国内法は、拘留所の人々の基本的人権を守ることを保証する条項を含んでおり、それには、拷問や虐待を受けない権利も含まれている。紛争に関与するあらゆる側が、法的拘束力をこれまでも現在ももっている諸法を遵守することが必要である」とハッシバ・ハジ・サハラウイは述べた。「アブグレイブの先:イラクにおける拘留と拷問」の報告書はここから入手できる。
翻訳:益岡
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