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2006/03/02

「サマラ危機」~イラクのブロガーたちの伝えていること(3)

サマラのアスカリ聖廟爆破についてのイラク・ブログのひとつ、Truth About Iraqis(「TAI」と略します)の2月24日記事。

……の前に、3月1日記事。回覧されてるジョークだそうです。

Fayrouz(→http://fayrouz.blogspot.com/)が教えてくれたジョークを紹介します。何かこれ、ネット上で広がってるみたいだね。。。

笑いに勝る薬はないってことで、読んだ方に笑っていただければと思います。笑えば生活も考えもちょっとは良くなるんではないかと。

「50年後のイラクはどんな国になっているでしょうか?」

――2055年、イラク国会での熱い討論は3ヶ月間続き、そして日本はイラクから過去最高のコンピュータ輸入量を記録した。

(※訳注:これは、日本製のトランジスタ・ラジオやテレビといった電化製品がイラクでは大変によく普及しているということについてのジョークだと思います。)

2057年、イラクはイラクの大学で学んでいるカナダ人学生たちを強制退去処分にする可能性があると述べた。カナダ人学生のひとりで、PhD取得を目指している者が、イラクの学士論文を盗用したため。

(※訳注:これは、英国が「サダムの大量破壊兵器は45分で」と言ったときの「根拠」なるものが、1992年の大学院生の論文のパクリだった、ということについてのジョークかな?)

2064年、アブ・ムザブ・ザルカウィとして知られるテロリストが98歳で逮捕され、精神病院に送られた。

このジョーク、Fayrouzのブログにもっとたくさんある。(※訳注:でもアラビア語です。T T)


では、2月24日記事。


Friday, February 24, 2006
Day four of Iraq's civil war - violence escalates
http://truth-about-iraqis.blogspot.com/2006/02/day-four...

イラク政府関係者、終わりのない内戦について警告;米軍後退か?

これがシスタニの考える「平和的抗議」ってやつか?
 政府はコントロールしているとか言っているが、イラクの状況はますます悪くなっている。

今入ってきたニュースです: アダミヤ地区の住民たちは、砂袋のほか使えそうなものは何でも使ってバリケードを築き、侵入者が入ってきて人々を殺して回ることを防ごうとしている。たった今、いとこの夫から話を聞いた。彼の血縁者がアダミヤに住んでいる。どうやら、イラク国家警備隊の制服や警察の制服を着た男たちが、銃撃戦を展開しているようだ。誰に対する銃撃なのかは現時点では不明。(どうかサドル派やらバドル旅団やらへの攻撃であってほしい。)

昨日ここで書いたように、米メディアは、外出禁止令のおかげで暴力が軽減したということを示すために全力を尽くしてお話を作ろうとした。これはまったく事実に反する。イラク人と話してみればいい。男性ブロガーから、自分の住んでる通りで3人が射殺された、シーア派の家族が家族全員皆殺しになった、といった恐ろしい話を俺は聞いた。

暴力が軽減しただって?

だが今日、メディアはしくじったということに気づいた。

今日付けのBBC記事が、外出禁止令などどうにもしょうがないということをはっきり書いている。Curfew fails to halt Iraq killing (外出禁止令 殺害行為に歯止めかけられず)

CNNも見出しで:Iraq curfew fails to stop fresh wave of bloodshed (イラクの外出禁止令 新たな流血の波を止められず)

MSNBCも:Iraq violence surges despite security measures (治安維持策とられるもイラクでの暴力激化)

【終わりのない内戦】
一方でイラク国防大臣は、イラクで終わりのない内戦が起きると警告している。

土曜午後の共同記者会見において、サドゥン・アル=ドゥレイミ国防大臣は、暴力を終結させ治安を確保するためには、イラクは街に戦車を派遣することにも躊躇しないとも述べた。

国営テレビで全国放送される記者会見で、大臣は「街を装甲車両でいっぱいにする必要があればすぐにもできる」と語った。

また大臣は、ムスリム法学者協会のトップ、ハリス・アル=ダリ氏をターゲットとした襲撃に、彼の言うところの内務省コマンドーは一切関わっていない、と断言した。

また大臣は、メディアに対し、流血を大袈裟に書き立てないようにしてもらいたいと語り、この数日間の死者数は、数百単位であると報じられているが、実際には多く見ても119、襲撃されたモスクの数は21か22であると述べた。(Aljazeera.net)

※訳注:これを報じているのはアルジャジーラだけではありません。例えば28日ガーディアン記事によると、「ワシントンポストは、サマラでの聖廟爆破以降、バグダードのメインのモルグでは既に1300という数字が記録されていると報じた。イラク警察の統計では死者数は1020である。しかしイラク政府と米軍は死者数はそんなに多くなく、土曜日の段階で119に留まっている、と述べた」そうです。(警察の数字まで否定する政府。orz...)


だが、Iraqirabita.orgは大臣の主張はおかしいといい、襲撃されたモスクすべての名前を、それぞれのモスクの被害の詳細をつけたリストにした。サドル派やバドル旅団に乗っ取られたモスクの写真もある。

モスクの乗っ取りを正当化する理由についての説明も載っている。いわく、サダムによって建てられたモスクはすべて、背教者のモスクであり、きれいに清められねばならないというのだ。彼らはそれらのモスクはワハビのものだと言っている。

俺に言わせればモスクはモスクであってモスクである。これらのサドル派やらバドル旅団やらのやってることは、民族浄化を促進することだ。

(※訳注:Iraqirabita.orgはアラビア語で私には読めません。が、ZeyadのHealing Iraq blogの22日記事の「追記(Update)」分に、イラク・イスラム党の発表に基づいたモスク一覧と地図があります。また24日記事25日記事でそれらの情報がアップデートされています。)

というわけで、宗教指導者たちが話をしているのを聞くと、ちょっとビックリだ。



シーア・スンニ両派の影響力のある宗教的・政治的指導者たちが、バグダードにおいて話し合いの場を持ち、イラクの内戦のおそれを増加させている宗派間の流血を収めるために協力しあっていくと述べた。

水曜日のシーア派の重要な聖廟への爆弾攻撃のあと暴力がエスカレートするなか、土曜日、シーア派のムクダタ・サドル師の代表団が、スンニ派の影響力のある宗教組織およびスンニ派最大の政治ブロックのメンバーほぼ全員と会談した。
(Aljazeera.net)


上の写真は、ムクタダ・サドルの代理の宗教家と、ムスリム法学者協会の宗教家が、バグダードのアブ・ハニファ・モスク(※訳注:スンニ派の拠点的なモスク)の外で一堂に会しているところ。

注目すべきは、サドルはイラクでのパワー・ブローカーとしての地位を著しく向上させたってことだ。(頼むから、サドルが最近イランを訪問していることも忘れないでほしい。)

どうもわからないのは、どうしてみんなこんなに嬉しそうなんだろうってことだ。この宗教家たちは流血を防ぐことができたのか? バグダード・ライオンズがNFLで優勝したのか? 俺にはほんとわからない。

外出禁止令が出されてから、何十人というイラク人が殺されている。この外出禁止令ってのは、内務省と関係のあるテロリストによって悪用されている、俺はそう考えている。

※原文では、ここにアラビア語で1文入っている。

アルジャジーラのアラビア語放送は数十という数の殺人を報道しているが、シーア派主導の国防省はこれを否定している。

バクバでは、シーア派とスンニ派の農民13人が銃殺された。犯人の正体はわかっていない。

カルバラで自動車爆弾、死者8名、負傷者31名。

【バージャットの葬儀に襲撃】
一方で、(サマラ取材中に何者かに)銃殺されたイラク人女性ジャーナリスト、アトワール・バージャット(Atwar Bahjat)の葬列に、2度の襲撃があり、2人が死亡した。

(ブロガーの)Baghdad Dwellerが、アル=アラビヤの生放送を書き取っている。それによると、埋葬を終えた葬列はイラク軍が警備していた。米軍は何もしていなかったようだ。

APの記事では、外出禁止令が出ているにも関わらずさらに2軒のモスクが炎上。外出禁止令は月曜まで延長されている。(攻撃のための時間を増やしただけだ。)国防大臣は戦車を使うと脅している。戦車だってさ。スンニ派の地域を急襲するのに使われるんじゃなかろうか。

【米軍後退か?】
一方、米軍とクロフォードのジョージ(=ブッシュ)には後退ということになるが、イラクの軍隊が格下げされた。

ワシントン(CNN):米軍の支援なしで戦闘能力のあるイラク軍の大隊はわずか1隊だが、その大隊が格下げされた、とペンタゴンが金曜日に述べた。これでその大隊は米軍の後援なしでは戦闘できなくなる。

その大隊は700から800名のイラク陸軍兵士から成っており、イラク軍の独立が順調に進展している見本として米国によって何度も示されてきた。

イラク軍の能力は、米軍が帰国することができつのはいつかという点について、重要なキーとされている。

先月ブッシュ大統領は、「これらイラク軍が主導的役割をもっと担ってくれるようになれば、わが国はわが国の戦略を続けていくことができるのです。つまり、イラク軍が立ち上がればわれわれは引き下がる、と」と述べていた。

ペンタゴンによれば、当該の大隊は前四半期の能力評価を経て「レベル1」から「レベル2」に格下げされた。

「レベル1」とは支援なしで戦闘することができるということを意味する。「レベル2」は米軍からの支援が必要であるという意味である。「レベル3」は米軍と共同で戦わなければならないという意味である。

http://www.cnn.com/2006/WORLD/meast/02/24/iraq.security/index.html


注目点は2点。まず、米軍は自身がバルカン化されていて……何というかその、もっと訓練しなければどうにもならないっていうことに気づいたということでしょうか、これは。それから2点目、これは、この先に行なわれる米軍がイラクを離れることはできないという声明の第一のアスペクトであるということ。イラクを去ることはできない、未来永劫に。

Update:(バグダードのブロガーたちの様子)モハメドからもアキルからもまだ何ら連絡はないです。Baghdad Treasureからはさっきメールが来た。Riverbendは更新なし。


Truth About Iraqisは、アスカリ聖廟爆破の2月22日から「イラクの内戦 第○日目」として記事を立てていますが、「5日目」からはその見出しをやめているようです。

また、最後にあるように、バグダードの他のブロガーたちの安否もずっと報じていて、今のところ誰についても最悪の話はありません。

記事中に出てくる、サマラ取材中に何者かに銃殺された女性ジャーナリスト、Atwar BahjatさんについてはTAIのもう1本の24日記事に少し詳しくあります(彼女のご遺体の写真があります)。コメント欄、BGさん@エジプトのコメントもご参照ください。銃殺されたジャーナリストは占領が始まってすぐにアルジャジーラの記者として現地レポートをしていて、その後アルジャジーラのイラクでの取材活動が禁止され、アルアラビヤに移った方だそうです。言葉がきれいで、しっかりしたレポートをしていたそうです。銃殺後、アルアラビヤにお姉さんか妹さんが出て、「姉の(or妹の)レポートをテレビの前で待っていたのに、今見ているのは彼女の葬儀です」と泣いていたそうです。

イラク人ジャーナリストが危険な状況で仕事をしなければならないことについては、Electronic Iraq掲載のIRIN Report(2月28日付)もご参照ください。

また、私もそうそう余裕がないのでバグダードについての記事しか紹介できないのですが、Zeyadのブログ(Healing Iraq)にはバグダード以外のことも書かれています(報道のまとめなどの形で)。

あと、TAIとはまったく違って「内戦になるわけがない」と楽観的なRaedは、ニューオーリンズに行っているそうです。(Raedはしばらく前から米国在住です。)

投稿者:いけだ

※追記
文中、「イラク軍が格下げされた」件についての部分で、元のCNN記事へのリンクが原文の段階で落ちていたのを付け加えました。