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2006/03/02

「サマラ危機」~イラクのブロガーたちの伝えていること(2)

サマラのアスカリ聖廟爆破についてのイラク・ブログを概観しているSalam Adilのブログから、2月23日記事(←リンク先は当ブログにおける日本語記事)に引き続き、2月25日の記事。23日のまとめの時点では更新されていなかったブログからの紹介です。

Zeyadが公開している音声ファイルは、私はDLだけはしたんですが、聞いてしまったらどういう気分になるのかがこわくてまだ聞いていません。(<ヘタレ。Salam Paxがときどきpodcastをしていますが、それとはちょっと違う。。。)


Saturday, February 25, 2006
Roundup: Catastrophe in Samarra
原文:http://asterism.blogspot.com/2006/02/roundup-
catastrophe-in-samarra.html


【概要】
サマラの危機は急速に深まっている。前回のイラクのブログのまとめは、Global Voices Onlineにも投稿したが、こういう時にこそ、ブログが他の形態のジャーナリズムを凌ぐのがはっきりとわかるだろう。人々の意見や感情が、ほとんどリアルタイムで伝わってくるメディアはほかにない。この記事と、世界各国のメディアの記事とを読み比べていただきたい。大手メディアがいかに現場から離れているかがわかるだろう。

では、まずは街の声:

Healing IraqのZeyadは、戦闘の只中にありながら、絶えることなくブログを更新している。
――「この3時間、うちの玄関の前で激しい戦闘が続いている。近所の噂では、黒い服の男たちがこのエリアに入ってこようとしているという。武器を持って、3ブロック先にあるこの地域のモスクを守っている子たちが、動くものなら何にでも発砲している。街路にいる誰かが人々に、自衛せよとさけんでいる。(外出禁止令が出ているはずだが、どうもそうは見えない。ネットの接続が不安定なので、できれば後でまた情報を追記したい。)バグダードの他のエリアから聞こえてくる話はぞっとするような話だ。これらを報じているところはどこにもないと思う。」

幸いなことにZeyadは情報を更新している。
――「UPDATE:どうやらうちの地区での攻撃者は退けられたようだ。戦闘は2時間くらい前、この一帯に電気が戻ってきたのとほぼ同時に終わった。今はときどきところどころで散発的な銃声がする程度。携帯電話を使って録音した音声ファイルをアップしたので、聞いてもらえれば何があったのかを把握してもらえるだろう。ファイルのリンク:音声ファイル1音声ファイル2。」

Zeyadのブログではモスクごとの情報が事細かに掲載されていて、この3日間で暴力的事態となった場所の地図もある。

Christopher Allbrittonは、武器を持ち、それでも平和的な大規模なデモ隊が、金曜日の午後4時に内務省へ向かって進んでいったと報告している。続けてクリストファーはスンニ派がシーア派の地域や宗教的な場所に反撃しているという報告をしている。

Iraq the Model [原文ママ](※訳注:←の注記はSalam Adilの原文ママ)では、木曜日の出来事をいくつか報じ、次のように述べている。
――「街の感じやシーア派宗教指導者たちのステートメントからは、報復攻撃は組織化され統制が取れており、サラフィやワハビの人々がよく来るモスクに焦点をあわせたもので、一般的なスンニ派のモスクに対するものではない、ということがうかがえる。」

Mohammed(※訳注:ITMを書いてる人のひとり)はまた、ほとんどの人々が、攻撃の多くはマフディ軍の仕業と考えている、とも書いている。

Truth About IraqisはYahooの機能を使っていとこと連絡を取ったという。そのいとこは「内戦のようだ、状況は本当に悪い」と言っている。TAIはバグダード在住のブロガーたちのことも心配している。またアラビア語の報道と西洋の報道からもまとめて書いている。

Riverbendは近所の様子をレポートしている。
――「うちのエリアに近い街路は不気味にひとけがなく静かだが、緊張感があるので私たちはみなぴりぴりしている。バラディヤト(Baladiyat)では暴動や破壊行為が行なわれたが、そういった地域での問題のことは耳にしている。バグダードでは攻撃されたモスクがいくつかあるということも聞いている。みなが動揺しているのは、反応がこんなに早かったからだろう。まるで起きるのを待っていたかのように早かった。……こんなに緊迫したことになったことがあっただろうか。みんな、ただ状況を見守り、静かに待っているだけだ。内戦だということはさんざん言われているが、それでも私の知っている人たちについては――スンニ派でもシーア派でも――内戦の可能性があるとはとても思えない。教育があり見識の高いイラク人たちは、互いを攻撃しあうなどという考えは受け付けない。そんなに教育のないイラク人たちでも、これはより大きな、より不吉な計画のほんの小さな一部なのだということに気づいている。……

次に犯人探し:

アスカリ聖廟の爆破が非常に計画的だったことを指摘した記事もある。

Baghdad Dwellerは爆破の方法を分析している。
――「これをやった者は、爆発物を所持したまま何の障害もなくモスクに入り、建物の構造をじっくり調べ、ドームだけが破壊されるように爆発物を仕掛ける完璧な場所を見つける時間があった。これはプロフェッショナルで統制の取れた破壊だ。爆弾は建築物解体の専門家によって仕掛けられている。」

The Woman I Was (※訳注:現在のブログ名はAn Iraqi Tear)は次の点に注目している。
――「サマラはアメリカ軍とイラク軍によって何ヶ月も包囲下にあった。許可なく市に入ることは誰にもできなかった。聖廟に爆発物を仕掛けた者たちは、火曜日の朝5:45から水曜日の朝7:00までモスク内に留まっていたのだが、いかにしてこれが可能だったのだろう?」

さらに彼女は、誰が最も得をするのかをリストアップしている。
――「イラクで内戦になったときに利益を得るのは誰だろうか? まずはクルド人。というのは、バルザニは何ヶ月も前に、内戦が始まったらすぐに独立宣言を出すと表明していたのだから。……アメリカ人は、これでまたイラク人を守るという口実ができる。それから政治的な「指導者たち」。イラクの財産から日々富を蓄えている。……ブッシュは常のごとく何ら恥を感じることなく、何十というモスクが燃え何十人という人たちが殺されているその日に、イラク人はメディアの自由と言論の自由を享受しているのであります、とのたまった。」

Zeyadが、シーア派諸勢力は得るところが大きいとコメントしている。
――「この事件のタイミングは非常に不吉なものだ。UIA(※訳注:SCIRI+ダアワ党)に対し、より包括的な政府を作り、宗派的武装集団を解体するようにという圧力が高まっているそのときに、この事態だ。私はめったやたらと陰謀論には組しないし、『これで得をするのは誰だ』で説明するのも趣味じゃない。人はばかげた理由でばかげた行動をとるものだし、暴力に走るのもまた非常に人間らしい反応である。しかしこの暴力の範囲と同時性というものは、非常に気がかりだ。」

Zeyadはまた、公式説明とは矛盾する目撃証言について書いている。
――「公式説明では、爆発の前の晩9時に、米軍とイラク内務省の治安部隊が、聖廟へ続く大きな道路を封鎖していたということだ。水曜日の夜明けにその道路は封鎖解除となり、部隊は撤退したとも。」また、「これはまた別の証言者だが……昨日イラン人が2人逮捕されたと述べている。また、アル=アラビヤの取材班は彼らを撮影していたのだとも。」

(※「アル=アラビアの取材班」とは、サマラ取材で何者かに銃殺された取材班のこと。)

Truth About Iraqisはアメリカだという。
――「アメリカの外交政策によって組み立てられた政府の中でも、この政府は最も腐敗し無能な政府であるに違いない。あの段階でもこの段階でも、まるっきり機能していやしない。しかし、この政府は行政機構ではなく、反体制の種をまたまいているだけだ。この反体制の種は、イラク統治評議会によって(大規模戦闘終結宣言後の)早い時期にまかれていた。それが今、実を結びつつあるのだ。」

Iraqi Punditはメディアの問題を指摘する。
――「自爆だの殺人だの拉致だのといったことが続く中、イラク人たちは本当の内戦を避けるために努力してきた。しかしメディア的にはこういった努力は無視したいものだった。その代わりにメディアはムクタダ・アル=サドル一派の攻撃的な行動に焦点を合わせたのだ。」

そしてThe Baghdad Alcohol Sponge(※訳注:米軍or米大手メディアor米企業関係者か? よく見てないので私には詳細わかりません)は珍しくはっきり書いている。
――「実際に自分で街に出てイラク人と話をしてみた。誰もが同じことを言う――いわく、スンニ派とシーア派の間を炎上させようと人を送り込んでいるのはサウジ・アラビアだと。そして、イランはサウジに反対しているので、イランもまた地元の人間を利用している、と。ヴェトナムをめぐる米ソのようだ。」

さて、トリを飾るのは:

24 Steps to Liberty
――「今日の新聞で、挑発的でいかにも内戦だといった言葉しか紹介されていないのにびっくりした。昨日イラク人の間ではものすごい連帯が示されたのに(少なくとも私たちにはそう見えた)、それを書いている新聞はほとんどゼロ。昨日、スンニ派のモスクが誰なのかわからない男たちに襲撃されたことやスンニ派の人が何人か殺されたことは本当のことだ。しかし、反応として起きたのはそれだけだったわけではない。新聞は中立であるべきだ、両方の側を伝えるべきだと習ったんではなかったか。……みんながイラクの内戦を予想している。そうなるかもしれないが、私はそうなるとは考えていない。こうして新聞は、内戦の最初の一歩に貢献したがっている。恥を知れっての。「自由で嘘のない」報道とはよく言えたものだ。」

それからAn Iraqi Tear:
――「イラクの人々、そして世界の気高い人々は、ブッシュとブレア、それからイラクの血が流れるのをただ見ているだけで止めようとはしない連中全員を、唾棄すべきものとしなければなりません。今また、世界よ、起きてと私は叫んでいます。イラク人よ、目を覚まして。涙があふれてきて書き続けることができなくなりそう……私たちのために祈ってください。モスクを燃やしている人たちはどうして米軍とイラク軍を呪わないのでしょう。(ナジャフの)イマーム・アリ寺院を爆撃したのは彼らだというのに。預言者ムハンマド(彼の上に平安あれ)の最初期の弟子のひとり、マリク・ビン・アナスのバスラの寺院を攻撃した者たちを誰も責めないのはどうしてでしょう。(※訳注:Malik bin Anas (715 - 796) はスンニ派。バスラはシーア派が多数の都市。)……預言者を攻撃している戯画と聖廟の爆破とのつながりを見出そうとする人が誰もいないのはどうしてなのでしょう。

by Salam Adil at 10:39 AM


それぞれのブログの詳細は、それぞれのブログ(リンクしてあります)でご確認ください。

Salam Adil blogでのroundupはこの後も続けられています。余裕がある限りご紹介したいと思っていますが、どなたか先に日本語にされた方がいらしたら、コメントいただくかトラバいただくかでお知らせください。よろしくお願いします。

投稿者:いけだ