.comment-link {margin-left:.6em;}

teanotwar - mirror/archive (Japanese fonts required)

Official mirror site of our blog, for those who can't access it, http://teanotwar.blogtribe.org, due to the technical problems, firewall setups, etc. http://teanotwar.blogtribe.org/のミラーリングを目的としています。記事部分に何も表示されていない場合は下までスクロールしてください。個別記事へのリンクは,記事の投稿時間のところをクリックすれば表示されます。

2006/11/13

ベクテルの撤退は幻想をさらに破壊した

「イラク復興」で米国政府と巨額の契約をしたベクテル社が、何一つ完成させずに、イラクからの撤退を決定。イラク復興基金・米国の納税者の税金から巨額の金を持ち逃げか!

ベクテルの撤退は幻想をさらに破壊した
ダール・ジャマイル&アリ・アル=ファディリー
2006年11月9日
Electronic Iraq 原文

バグダード発(IPS通信)。巨大建設企業ベクテル社がイラクから撤退する決断を下したことで、少なからぬイラクの人々が裏切られたと感じている。ベクテル社の撤退で、イラク再建に残された希望が潰えたと感じている。

「サダム・フセイン時代よりも、今ははるかに酷い状況です」と共産党の党員ナイフ・ジャシムはIPS通信に語った。「占領下での苦しみを生きのびなくてはならない今となっては、イラク人のほとんどが、サダム・フセインが政権に戻った方がよいと感じています。アメリカ人は、私たちの石油を略奪し、人々を殺す以外、何一つしませんでした」。

ベクテル社----取締役たちはブッシュ政権と密接な関係を持っている----は、先週、戦争で破壊されたイラクでの操業の試みとは全て手を切ると発表した。ベクテル社は、イラク再建基金と米国の納税者の税金から230億ドルを受け取っているが、着手した仕事のほとんどを完成させることなく撤退する。

イラクの平均的な家庭には、現在、1日平均2時間しか電気が通じていない。失業率は70%で、イラクの人々の68%は、安全な飲み水を手に入れることができず、下水が通じているのはたったの19%である。石油生産でさえ、侵略前のレベルにすらなっていない。

安全状況は恐ろしく悪い。権威ある英国の医学誌ランセットに発表された最近の研究では、侵略と占領の結果として、65万5000人の死ぬ必要のない死者が出たと推定している。

メッドアクトというグループは、最近、子どもたちの死亡全体のうち70%が、下痢や呼吸器疾患といった簡単に治療できる病気によっており、さらに「2005年末までに米国が建設しようとしていた診療所180のうち、完成したのはたったの4つであり、それらも含め開院したところは一つもない」と発表した。

一次医療センター142軒を建設するために提案された2億ドル規模のプロジェクトは、たった21軒の診療所を建設しただけで資金が底を突いた。世界保健機関(WHO)は、この状況を「ショッキング」と言い表している。

イラクの人々は、経済制裁時代よりも激しく不満を表明している。電気が通らないため、発電機を自前で動かすために、ガソリンの需要が高まっている。けれども、イラクには石油が豊富であるにもかかわらず、ガソリンは最も不足している商品の一つである。

「私たちは、とても古くなった発電所と送電網を受け継ぎましたが、負荷の高い日で50%、通常の日ではそれ以上の電力供給を行うことができていました」と電力省のある技師はIPSに語った。

「現在の状況は、それよりはるかに酷くなっており、アメリカ合州国の企業と巨額の契約がなされたにもかかわらず、事態が改善している様子はありません。電力につぎ込まれた数十億ドルが、まったく改善をもたらさないどころか、実際には状況を悪化させているというのは、奇妙なことです」。

この技師は、「私たち電力省は、主要発電所のために必要な機材を実質上何も受け取っていません。そして、配電網のための小規模変電機はとても質が悪いのです」。

ベクテルの契約には、浄水システム、発電所、下水設備、空港と道路の再建が含まれていた。

イラク電力省の元大臣2人が、占領下に設置されたイラク道徳委員会により、汚職のために告発されている。その一人、アヤム・アル=サマライーは禁固刑判決を受けたが、彼を護衛する米国の治安要員によって連れ去られた。彼は、電力省の金を略奪したのは自分ではないと主張している。

イラク全国の水道部門の管理担当者たちは、自分たちができた修理は、国連事務所と人道援助組織の援助を通してのものだけだったと言う。担当省は、水処理のために必要な塩素をほとんど彼らに提供しなかった。新たなプロジェクトといえば、単純な維持管理だけで、インフラの崩壊を止めるにはほとんどなすすべがない。

ベクテル社は、米国副大統領ディック・チェイニーが勤めていたハリバートン社とともに、利益を保証する固定額契約を手にした最初の企業の一つである。

イラクの大手建設企業で働いているアフメド・アル=アニは、ベクテルが採用したモデルは失敗するに決まっていたと言う。

「彼らは、契約にあたって巨額の金を要求し、それらをより小さな企業に売り払ったのです。今度はそれらの企業が、経験のない小さなイラクの契約企業にそれらを下請けに出したのです」とアニはIPSに語る。「そうした経験のない企業は、今度は、給与がとても低いことと経験がないことから、質の悪い仕事をせざるを得ません」。

イラク人政治アナリストの中には、ベクテルの撤退を、楽観的に、別の視点から見る者もいる。

「米国のイラク撤退の始まりだと思います」とマキ・アル=ナザルはIPSに語る。「占領は、ベクテルとハリバートンのプロパガンダから始まりました。現場からの撤退をもって終わるかも知れません。これら企業はブレマーとともに姿を現し、自らをイラクに繁栄をもたらす英雄であり救世主であると魅せようとしましたが、やったことといえば、米国のプロパガンダを売りつけただけです」。

米国大統領ジョージ・W・ブッシュは、6月にイラクを訪問した際、記者団に対し、「何メガワットという電力が送信されていることからも、進歩がわかるというものだ。イラクの人々のために市場で売られている石油の量から、進歩が量れるというものだ」と述べていた。

彼の基準を適用するならば、イラクの状況は、今、以前よりもはるかに悪い。

投稿者:益岡