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2005/02/02

女性の置かれている状況。

シーア派だスンニ派だクルド人だ,といったことに隠れてしまっていた「女性」の問題について,イラクの女性団体の英国支部長を務める在英イラク人女性の文章を。

元は英インディペンデントだそうですが,私はこれをシアトル(US)のウェブサイトで見たので,そのシアトルのものを原典とします。

女性にとっては選挙は残酷なジョーク
Iraqi women find election a cruel joke
Sunday, January 30, 2005
By HOUZAN MAHMOUD
GUEST COLUMNIST
http://seattlepi.nwsource.com/opinion/209809_iraqiwomanvote.html

私はイラク人の女性です。私は選挙をボイコットします。女性が投票をするということは,囚われの未来に投票をするということです。数十年間の専制政治ののちにやっと実現したのだと今回の選挙を支持する人たちは,ついにデモクラシーという形態が到来したと言います。不完全だが,それでもデモクラシーではないかと。

現実には,イラクの女性たちにとっては,今回の選挙は残酷なジョークも同然です。サダム・フセインの失墜以降,自爆攻撃や誘拐や米国主導の軍事攻撃が打ち続いていますが,ほとんど報道されていない現象があります。イラクの女性に対する迫害が急激に増加していることです。女性たちは,中世の野蛮な状態を回復しようとしているイスラム主義集団の新たな犠牲者です。女性のエンパワメントのことなどほとんど考えてもいない政治的エスタブリッシュメントの犠牲者です。

イラクの女性たちは,何年にもわたって他の中東諸国の女性たちよりも大きな権利を享受してきましたが,今では基本的な自由さえ失いつつあります――着るものを選ぶ権利,自分の思う相手を愛し,その人と結婚する権利などを。むろん,サダム政権下で女性たちは大変な辛苦を強いられていました。私はサダムの残忍な統治から逃れたのです。私は私自身の目で,多くの残虐を目撃しました。しかし,女性を服従させることが,バアス党の目的であったことはありません。今,私たちが目撃しているのは,深く懸念を抱かせるものです。非難を浴びている占領と,堂々と反動的なことをするイスラム主義武装暴動が,イラクを新たな暗黒時代へと連れて行っているのです。

毎日,国中でリーフレットが配られます。女性たちにヴェールも被らずに外出するべからずとか,化粧などするのではないとか,男性と一緒にいてはならないと警告する内容のものです。大学の多くの女子学生たちは,イスラミストから自身の身を守るために,勉学をあきらめてしまっています。

新たな規範は――イスラム主義過激派によって銃を突きつけられて強要されているのですが――女性のことを,栄誉と恥辱の詰まった容器だと見ることです。それも,家族や部族としてだけでなく,国として。ケン・ビグリーさんを拉致した者たちは,邪なことに,女性の囚人たちの解放をもってイラクの「栄誉」を取り戻そうとしました。いったいいつから,イスラム主義集団が――人質を取ったり拷問をしたり殺害しているその人々が――イラクの女性の権利を気にかけるようになったのでしょうか?

アナヒードの場合はこうでした。アナヒードはバグダードのニュー・バグダード地区で木に吊るされ,最初は父親(何と,事務弁護士/行政書士です)によって撃たれ,それから彼女の部族の者たちによって1発づつ撃たれました。そしてさらに,ばらばらに切り刻まれたのです。

これは部族の名誉を汚した恥を濯ぐためでした。彼女は愛していた男性と結婚したいと思っていたのです。これが起きたのは2003年の終わり,「解放」から何ヶ月も経った後のことでした。

この6ヶ月で,モスルだけで少なくとも8人の女性が殺害されています――すべて女性の自立を潰そうとするイスラム主義集団によるものと思われます。モスル市の法律学校の教授も殺害された女性のひとりです。彼女は打たれて斬首されました。出勤途中の獣医も殺害されました。Alkhansah病院の薬剤師は玄関先で撃ち殺されました。

占領は,こういった女性に対する新たな暴力を噴出させました。独自の変化をした事例もあります。イラク人女性は,刑務所で,米兵によって拷問されています。性的虐待について口にすることは,イラクでは極めて強い社会的タブーであり,これらの女性たちは釈放されても誰にも頼れないということはほぼ間違いないでしょう。

Methal Kazemは占領者によってどのような扱いを受けたかを公に口にしている女性のひとりです。昨年2月,米軍ヘリが彼女の家の屋根に着陸しました。彼女はフードをかぶせられ,手を縛られて,アブ・グレイブに連行されました。

以前バアス党秘密警察の女性警察官であったことで告訴され,彼女は角の尖った砂利の上を走らされ,縛り上げられて吊り上げられ,ほかの収容者の悲鳴を強制的に聴くようにされました。ある男性が何度も「私の名誉に触れるな」と叫ぶのを聞き,そして,その男性の妻が男性の目の前で強姦されているのだとわかりました。

昨年6月,連合軍が暫定政府に主権を委譲した際に,アムネスティ・インターナショナルが主張したように,囚人も引き渡すべきだったのです。しかしそうせずに,彼らは2000人以上を,容疑もなく,不法に拘束してきました。この中に女性は少ないでしょうが,それでも数千人もの妻や母親や姉妹たちが,苦痛と絶望の中に取り残されるのです。

また,米兵がイラク人女性を強姦したということも,私は本当だと思います。しかし,彼女たちはそのことを口にしようとはしません。もししゃべれば,自分の家族によって殺されるかもしれないからです。イラクにいる私の知人がカウンセリングをしている女性に,Liqaaという人がいます。イラク軍の女性兵士だったのですが,2003年11月にある米兵に強姦されました。残酷な真実ですが,もしも彼女が自宅に戻ったら,家族のうちの男性たちが彼女を「不名誉」のために殺害するかもしれないのです。

もしもイラクの女性たちが選挙に参加するとしたら,誰に投票するでしょうか?

ほとんどの候補が女性の権利など無視しています。米国政府は,イラクを反動的で自民族中心主義の宗教エリートによって統治させて平気でいるようです。

ひとつほのかな希望がありあます。強姦と誘拐に反対する勇気あるデモンストレーションが行なわれているのです。9月には,女性たちの抗議が占領反対の抗議と合わさって,すべてのイスラム主義民兵集団に町から立ち去るよう求め,女性にとって安全な町をと声を上げました。この新しい,女性主導の非宗教的進歩的運動は,暫定政府に反対し,政治的イスラムの暴力と抑圧に反対しています。私たちを支持する人たちは,このうさんくさい選挙を公に放棄し,本当に自由なイラクのために行動します。

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筆者のHouzan MahMoudは英国在住のイラク人で,「イラクにおける女性の自由の組織」の英国支部長。この記事の初出は,英国のインディペンデント紙である。


投稿者:いけだ
2005-02-01 21:27:59