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2005/02/04

CIAが公式に情報を修正。

米CIAが,「イラクの大量破壊兵器の情報」を修正し始めているそうです。まずは化学兵器からのようです。

この件については,日本語でも記事があります(時事通信)。

CIA,侵略前のイラクの兵器情報を修正
CIA Revising Pre-Invasion Iraq Arms Intel
Tue Feb 1, 5:44 PM ET←時間はnews.yahoo.comより
By KATHERINE PFLEGER SHRADER, Associated Press Writer
http://www.guardian.co.uk/worldlatest/story/0,1280,-4771679,00.html

ワシントン発――2003年の侵略前のイラクの兵器能力について,誤りであったと判明した情報を公式に改める遡及的報告書をCIAが準備している。

それらの中には,わずか12ページほどの,「イラク――1990年代初めから大規模な化学兵器開発はなかった」と題されたドキュメントも含まれている,と,この作業をよく知っている情報当局関係者が,匿名を条件に語った。

この報告書は,イラクのサダム・フセイン前大統領は1991年の湾岸戦争の後で化学兵器開発計画を断念したと結論している。

ブッシュ政権は,大量破壊兵器――化学兵器・生物兵器・核兵器――の存在を,イラク政府転覆の第一の理由として利用した。

開戦前のヴォリュームのある分析は,現在では物議をかもすものとなっているが,それらでは情報当局はサダムはおそらく少なくとも100実質内蔵量トンの化学兵器を保持し,さらに,可能性としては500実質内蔵量トンということも考えられるとしていた。「それらの多くは前年に加わったものである」とドキュメントでは言っている。

ジョージ・テネットCIA前長官をはじめとする情報当局関係者は,イラクについての戦前の評価のうち少なくとも3件が誤っていたと認めている。

テネット前長官は1年近く前にCIAを弁護して,演説で「情報部にとって非常に困難な仕事の多くと同様に,イラクについての事実についても,情報部が完全に正しいということも完全に誤っているということもないだろう」と述べている。前長官は化学・生物兵器ではないかとされるものがその時点でもまだ見つかっていないことは認めていた。

昨年夏までに,米上院の情報特別委員会のインクワイアリが,イラクが大量破壊兵器を所有しているとの推測を疑うことをしなかったために情報コミュニティが「集団思考」に陥っていたのだと結論づけた。

イラクに関する新たな一連の部外秘報告書は,CIAの情報分析部門によって準備されるが,米国の情報コミュニティを構成している15の部局に配布されることになっている。この報告書はブッシュ大統領をはじめとする上層の政策決定者にためにまとめられるものではないと,情報当局者は語っている。

今回の作業は,「イラクの大量破壊兵器計画についての情報コミュニティの記録は正確であり,これらの計画についての最も日付の新しい評価を反映していることをはっきりさせる」ことを意図している,と,この当局者は付け加えた。

新たな分析は,大量破壊兵器を評価する情報コミュニティの能力を精査している大統領諮問機関が,3月末に報告書をまとめるのに合わせて作成される。

化学兵器についてのドキュメントの存在を報じたのは,火曜日(2月1日)のロサンゼルス・タイムズ紙が最初であった。

議会情報特別委員会所属の民主党ジェーン・ハーマン議員(カリフォルニア州選出)は,イラクの兵器についての情報を修正する作業を歓迎した。「戦前のイラクの核兵器・生物兵器能力についてのCIAの評価も含め,もっと多くの記録に訂正の必要があります」とハーマン議員は語った。

「ですが,情報コミュニティがよりいっそう優先すべきは,イランや北朝鮮の大量破壊兵器に関する情報の見直しです。イランや北朝鮮では大量破壊兵器計画が存在しているということがわかっており,米国の政策はそれらに基づいて決められているのですから」とハーマン議員は語った。


もう一度,「イラクの大量破壊兵器」騒動を思い出すと,私の記憶では,最初に騒ぎ出したのは英国政府でした(SIS,いわゆるMI6の情報による)。2002年9月のことです。当時,情報部の書類が英国議会に出ると同時にウェブで公開されていて(異例中の異例),それを読んだ限りではcouldとかmightとかの仮定法がいっぱいでした。(が,後から,部分的にcouldをbe capable ofといったように表現を改めた箇所があったことが判明。)→2002年9月の私のメモ(リンク先の25番と32番)

また,英国の書類は,ネット上にあった米国の大学院生の論文をパクったことが2003年2月に判明しました――1991年の湾岸戦争のころのことを書いた論文で,部分的に2002年の状況に合うように文言がかえられていたものの,文法ミスまで同じだったのでバレたのですが。→2003年2月の私のメモこれも。

国連安保理でこの「英国がまとめた書類」が「イラクの大量破壊兵器の証拠」として提示されたのは,その「パクリ」が判明した後のことです。

こういったことがすべて「情報の誤り」だったのかどうか……英国では独立司法調査委員会でそういう判断が出されましたが……。

ちなみに,湾岸戦争のころのイラクの大量破壊兵器・通常兵器については,入手が極めて簡単なものとしては,例えばフレデリック・フォーサイスの『神の拳』に虚実とりまぜて(←重要)書かれています。1994年に発表されたこの長編で,フォーサイスは,1991年の湾岸戦争の真意はクウェート解放ではなかったということを軸にしています。『神の拳』は角川文庫で絶版にはなっていませんので普通に買えますが,古書店でもよく見ます。

投稿者:いけだ
2005-02-03 13:48:39