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2005/04/19

発火性爆弾:名を変えたナパーム

 

イラク・アナリシス・グループ
2005年4月15日
エレクトロニックイラク原文


米国コロラド州バックリー空軍基地のナパーム弾(バックリー空軍基地歴史アーカイブ)


要約

本報告では、イラクで米軍が発火性兵器(「ナパーム」)を使い続けていることについて検討を加える。英国政府は、イラクにおける発火性兵器の使用を軽く見せかけたり否定しようとしてきたが、米国政府関係者はMK-77発火性爆弾----ナパームの現代版----を使っていることを認めざるを得なくなった。英国は、民間人に危害を加える恐れのあるこうした兵器を禁止する国際条約を批准している。イラクで英軍は、国際的に合意された戦争の基準を遵守しない連合軍の一部となっている。

イラク・アナリシス・グループ 2005年3月

1. ナパーム 過去

発火性爆弾は、燃料ジェルを薄い材質で覆った容器である。衝撃によって発火し、燃えたジェルを広範囲にばらまく。燃料ジェルの組成は、年を経るごとに発展してきた。

第二次世界大戦:ガソリン+ナフテン(naphthenic)酸とパルミチン(palmitic)酸
ベトナム&朝鮮:ガソリン、ベンジン、ポリスチレン
イラク(MK-77第5版):灯油を使ったジェット燃料とポリスチレン

過去において、発火性爆弾が使われた最も悪名高い出来事は1945年ドレスデンの爆撃と、米軍によるベトナム爆撃である。1972年、ナパーム攻撃を受けた村から裸の体を火に包まれながら走って逃げてきたキム・プックの写真は、ベトナム戦争に世界中が反対することを決定的にした瞬間だった。

ナパームは過去にイラクでも使われたことがあった。サダム・フセインのバアス党政権は1991年の国内蜂起に対してナパームを用いた。1992年のヒューマンライツ・ウォッチ報告は次のように述べている:

難民たちは、イラクのヘリが様々な爆発物を民間人に投下したと主張した。その中には、ナパームや燐爆弾、化学物質や硫酸などが含まれていた。火傷を負った難民たちや火傷の写真を見た人権団体と人道団体の代表たちは、その火傷がどうしてできたものかを確認することはできなかったが、イラク人怪我人を診療した医師たちは、傷のいくつかはナパームの使用と矛盾していないと語った [1]。


2. ナパーム 現在

米軍は現在の兵器の中にナパームの現代版を備えている。MK-77第5版として知られるその爆弾は、飛行機から投下され、衝撃を受けると発火する。この爆弾には、飛行機燃料とポリスチレンが混ざった、極めて殺傷能力の高い、粘りつく発火性のジェルが入っている。発火する際、ジェルは様々なものや犠牲者の体に粘りつく。軽いアルミ製の容器には進路を安定させるフィンが着いていないので、正確な兵器というには程遠いものになっている。

米軍が現在使っている発火性兵器はMK-77だけである。MK-77は、ベトナムと朝鮮で使われたM-47とM-74ナパーム弾を発展させたものである。この新しい兵器では、発火性ジェルは、灯油から創られるジェット燃料とポリスチレンからなっている。MK-77爆弾には、また、酸化物質も含まれていると言われている。このため、一度火が付くと消すのがさらに難しくなっている。

兵器の構成は発展したが、標的は同じである。発火性兵器は、典型的には、塹壕に隠れた兵士や供給施設、木造建造物、地上の車列などに使われる。

発火性兵器の使用は1980年の、「過度に負傷能力が高く無差別の効果を生む可能性のある武器」に関する国連の条約で制限されている [2]。英国はこの条約をすべて批准しているので、条約とその追加議定書を遵守しなくてはならない。ほかに80カ国以上がこの条約を批准している。

世界中のほとんどが、ナパームと発火性兵器は恐ろしい、とても恐ろしい兵器だということを知っている」と、「社会的責任を求める医師たち」の代表ロバート・ムージルは言う。「そのため非常に多くの医療資源が必要になる。おぞましい傷を負わせるんだ」[3] 。

しかしながら、米国はこの条約を批准しているが、発火性兵器に関する議定書に署名していない。

3. イラクでの発火性爆弾

発火性兵器はイラクの米軍に提供されている。どうやら、主として海兵隊空挺部隊に対してのようである。米軍は、2003年の侵略のときにイラク軍兵士に対して発火性兵器を使い、使用が続けられていること----ファルージャを含め----に関する証拠はますます増えている。

例えば、軍属記者の二人(シドニー・モーニング・ヘラルド紙とCNN)は、2003年3月21日、クウェート国境地帯を望むサフワン丘のイラク軍監視ポストに対する発火性爆弾による攻撃を目撃している:

海兵隊のコブラ戦闘ヘリが南から低空飛行してきてヘルファイヤー・ミサイルを発射した。それから射程距離30キロの海兵隊の榴弾砲がそれから8時間にわたって連続砲撃を続けた。これを援護する米国海軍の航空機は、4万ポンドの爆弾とナパームを投下した、とある米軍士官がヘラルド紙に語った。

サフワン丘は巨大な火の玉となって燃え上がり、イラクの監視所は消滅した。「そこにいた皆のことを哀れむ」と海兵隊のある軍曹は言った。「降服するように言ったんだ」[4]。

侵略の際そしてその直後に、米国政府関係者は、ナパーム兵器が使用されたという主張を否定した [5]。しかしあんがら、イラクにいた軍関係者と記者たちがすぐにそれが使われた証拠をだち手来たため、2003年8月までに、ペンタゴンの報道官は、MK-77着火性爆弾を投下したことを認めざるを得なくなった。これまで否定してきたのは、質問者が「着火性爆弾」とか「MK-77」と言うかわりに「ナパーム」という用語を使ってきたのだからとして正当化された。米国は「ナパーム」の蓄えはすべて破壊したと主張しており、MK-77はナパームに属さないと主張する。しかしながら、ペンタゴンは、MK-77がナパームを「驚くほど似通った」機能を持つ発火性兵器であることを認めている [6]。

実際、米軍自身、この新世代MK-77を「ナパーム」と呼んでいる。この言葉は、「対テロ戦争」の進捗を報ずる米国国防省の公式月刊誌『アメリカを守れ』といった公式の文書でさえ使われている。2003年2月、この雑誌は、これから開始される戦争準備について誇らしげに記述し、クウェートでの兵器準備を詳しく述べている:

手榴弾から2000ポンド爆弾やナパームまでのすべてが送られ、海兵隊第三空挺部隊がそれを必要とするならばいつでも使える状況にある [7]。

軍人たちも、しょっちゅう、MK-77を「ナパーム」と呼んでいる:

「我々はあの[橋の]アプローチのどっちにもナパームを食らわせた」と海兵隊第11空挺団の司令官アレス大佐はいった。「困ったことに、そこには人がいた。[コックピットの]ビデオで見えたはずだ。いたのはイラク人兵士だった。素敵な死に方じゃない」。彼は続けて次のように言った:「将軍たちはナパームが大好きなんだ。どでかい心理的効果があるからな」[8]。


4. 着火性兵器の最近の使用:ファルージャ爆撃

2004年11月、米軍はファルージャ市に大規模な攻撃を加えた。町の大部分が破壊され、何十万人もの人々が難民となって町を逃れた。

町の中には焼けただれ溶けた遺体があるという報告が現れた。ナパームやそれと同様に問題のある白燐兵器(ウィリー・ピートとも言われている)で起きるような状態である。

攻撃を生き延びた住人たちは、着火性爆弾が町で使われたと述べた。ファルージャで最も酷い攻撃を受けた地区の一つであるジュラン地区に住んでいたアブ・サバーは、次のように言う:

「奴らは、キノコ雲のような煙を出す奇妙な爆弾を使った〔・・・・・・〕そのあとで、長い煙の尾を引いた小さな欠片が空中から落ちて来るんだ」。

彼は、これらの奇妙な爆弾の破片は爆発して大きな火となり、水をぶっかけても皮膚を焼き続けると言った [9]。

「普通、我々は手袋をはめる」とメリーランド州ゲーサーズバーグのエリック・クリヴダ大尉は言った。彼は第一歩兵部隊の第2-2タスクフォース戦略作戦司令センターを統括する上級士官である。「この作戦では、我々は手袋をとった」。

白燐弾を発射した大砲もあり、白燐弾は水で消せない火の幕を創りだした。ゲリラたちは、皮膚を溶かす物質で攻撃を受けたと語っているが、それは白燐の燃え方と一致している。

地元病院のカマル・ハディーティ医師は次のように言う:「我々が受け入れたムジャヒディーンの遺体は焼けており、溶けている遺体もあった」[10]。




2004年11月3日、欧州最大の爆弾貯蔵地であるバークシャーの英空軍ウェルフォードに入り込み、「戦争反対」「子どもへの爆撃を止めろ」といったバナーをつりさげ、爆弾に「ファルージャから手を引け」とチョークで書き込んだ。写真の爆弾はナパームでない可能性が高い(写真:ヴォイシズUK)


5. 国際法と英国の否定

1980年の「過度に負傷能力が高く無差別の効果を生む可能性のある武器」に関する国連条約の第三議定書は次のように述べている:

いかなる状況であれ、文民が集中している中に位置するいかなる軍事標的をも、空から発射する着火性兵器のい攻撃対
象とすることは禁じられる。

「文民の集中」は、ファルージャのような「町の居住区域」を含むものとして定義されている。英国はこの議定書に署名している。

2004年12月6日、アリス・マホン議員は、ナパーム型兵器を連合軍が使っていることに関して軍大臣アダム・イングラムに議会で質問し、答えを受け取った。イングラムはイラクでいっときでもナパームが使われたことを否認した:

アリス・マホン議員:防衛担当国務大臣に、ナパームあるいはそれに類似した物質が、連合軍により、(a)戦争の際、そして(b)戦争以降、使われてきたかどうかお聞きします。

アダム・イングラム議員:戦闘の段階もそのあとも、イラクで連合軍によってナパームは使われていない[11]

イングラムの部分的な回答は、ナパームとして知られていた以前の着火性兵器と新型MK-77との区別に依拠している。この兵器を実際に使っている米軍は区別していないものである。


結論

英軍は、名前以外は完全なナパーム兵器を使っている軍と連合して活動している。ファルージャ攻撃の際、英軍兵士は、英国が国連の着火性兵器およびその他の非人間的兵器を制限する国連の条約を批准しているにもかかわらず、米軍の司令下に置かれた。

対人地雷の全面禁止を推進するといったこの条約の他の部分を進めるために英国は多くのことをやってきたが、着火性兵器については、英国政府は、国際的に合意された基準を大きく踏み外しているにもかかわらず、連合軍のパートナーの行為を見逃している。


イラク・アナリシス・グループのこのブリーフィングはアリソン・クレヴナス、パー・クレヴナス、レイチェル・ローレンス、マイク・ルイス、ジョナサン・スティーブンソンにより準備された。イラク・アナリシス・グループは、英国を拠点に、元の「イラク経済制裁に反対するキャンペーン」のメンバーたちが2004年に創設したもの。ウェブサイトはwww.iraqanalysis.org

注・参考文献

[1] Endless Torment: The 1991 Uprising in Iraq And Its Aftermath, Human Rights Watch, June 1992.
[2] UN Convention On Prohibitions Or Restrictions On The Use Of Certain Conventional Weapons Which May Be Deemed To Be Excessively Injurious Or To Have Indiscriminate Effects And Protocols (1980). The full text is at www.icrc.org. State signatories are at www.icrc.org.
[3] 'US admits it used napalm bombs in Iraq', The Independent, 10 August 2003.
[4] 'Dead bodies are everywhere', Sydney Morning Herald, 22 March 2003.
[5] 'Dead bodies are everywhere', Sydney Morning Herald, 22 March 2003.
[6] 'Officials confirm dropping firebombs on Iraqi troops', San Diego Union Tribune, 5 A
ugust 2003.
[7] 'Sailors Offload Ammo For U.S. Marines', Defend America, US Dept of Defense, 2 February 2003. See also www.usmc.mil.
[8] 'Officials confirm dropping firebombs on Iraqi troops', San Diego Union Tribune, 5 August 2003.
[9] 'U.S. uses napalm gas in Fallujah ? Witnesses', Al-Jazeera.com, 28 November 2004, and 'Fallujah Napalmed', Sunday Mirror, 28 November 2004.
[10] 'U.S. drives into heart of Fallujah', San Francisco Chronicle, 10 November 2004.
[11] Hansard, 6 December 2004. See also www.theyworkforyou.com.