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2005/11/01

イラクはベトナムではない、が・・・

 
アメリカ合州国はアメリカ合州国である。強大な軍事力を繰り返し行使する、世界最大の連続殺人者。

イラクはベトナムではない、が・・・
ノーマン・ソロモン
2005年10月26日
ZNet原文

多くの政治家と専門家たちが、「イラクはベトナムではない」と私たちに教えてくれる。当たり前のことだ。りっぱな地理学者ならば誰もが同意するだろう。

実際、イラクとベトナムの歴史は大きく異なっている。そしてこれら二国に対する米国の軍事介入のダイナミクスも----アメリカのニュース・メディアが一般に認めているよりは類似点は多いものの----同じであるとはとても言えない。

イラクはベトナムではない。けれども、アメリカ合州国はアメリカ合州国である。

何十年にもわたっていつもいつも、戦争に次ぐ戦争すべてにおいて、米国のニュース報道は、米国政府内にいる輩たちにずっと仕えてきた。政府の輩たちはといえば、戦争の全国アジェンダを熱心にたて、軍事介入の道に板石を敷いてきた。

一九六四年八月上旬に起きたトンキン湾事件をめぐる米国メディアのイカサマ報道から21世紀最初の年になされたイラクの大量破壊兵器をめぐるイカサマ報道に至るまで、米国のニュース・メディアは、アメリカ合州国が戦争をする際に不可欠の役割を果たしてきた。

我々は、次から次へと米国が戦争を行う手助けをしている企業メディアの役割に挑戦しなくてはならない。民主主義的要素がかなりある国では、人々がどう考えるかは重要である。それゆえ、メディアのプロパガンダ機能は戦争屋にとって極めて重要である。

例外的に優れたニュース報道もあるが、定義上、それらは例外である。最も重要なのは、全国にゆきわたりこだまする日々のニュース報道である。反復はプロパガンダの神髄であり、戦争国家は休みなくメッセージを発し続けている。

数十年前、ドワイト・アイゼンハワーは「軍産複合体」について警告を発した。彼がその存在を認めた最後の大統領だった。軍産複合体が強大になればなるほど、メディアも政治もその存在を認めなくなっていった。

昨年、『簡単になった戦争』という本のために調査をしていたとき、私はペンタゴンが関係している多くの軍事契約企業----小企業・中企業・大企業を問わず----の年次報告書に目を通した。これらの年次報告書は明快である:戦争は我が社にとって大儲けになる。もっと戦争があれば、豊かな利潤が得られる。一方、戦争が無くなれば我々の利益は大きな打撃を受ける。とはいえ心配はいらない。

マーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が「軍事主義の狂気」と呼んだ状況のさなかにある今日、我々は真のジャーナリズムを要求しなくてはならない。そして、ニュースの操作に対抗しなくてはならない。

民主主義にとって、自由な情報流通は政治的生命の血液と言える。企業メディアと乱れた政治権力がその流通を封鎖している。

この封鎖は、死へと向かう政治的文化の原因でもあり結果でもある。5000億ドルという米国の定常軍事予算に見られる社会の優先順位は致死的である。ペンタゴンの武器は人を殺す。経済的不正義もまた、人を殺す。

地球上のほかのどのプレイヤーも夢見ることさえできないような大規模な暴力を繰り返し行使するアメリカ合州国は、この地上で最大の連続殺人者である。世界の大部分にとってかくも明らかなこの真実は、米国の企業メディア群すべてにより、目の前にありながら隠されている。

アメリカ合州国はアメリカ合州国である。そしてそれこそが、ベトナム戦争と今日のイラク戦争との間に見られる究極の連続性である。

本記事は、2005年10月22日、カリフォルニア州ソノマ州立大学における「プロジェクト検閲」年次受賞式典におけるノーマン・ソロモンの基調演説から。ソロモンは『War Made Easy: How Presidents and Pundits Keep Spinning Us to Death』の著者。詳しくは、www.WarMadeEasy.comを参照。

投稿者:益岡