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2005/04/05

ブラックウォーター・セキュリティ社の社内ニューズレター

先週,ブラックウォーター・セキュリティ社の4人が殺された件の前後から振り返った記事を書いたのですが,3日の英オブザーヴァー(ガーディアンの日曜)に,同社関連の記事が出ていました。

何でも,同社の仕事を断った人のところにいまだに送られてくる同社ニューズレター(をいをい,データベース管理大丈夫なのか)が,オブザーヴァーに流れたらしいのですね。

記事の見出しは,海兵隊のマティス中将のあまりにストレートな発言「壊れる前に・・・」さんの日本語訳も参照)をもじったような表現がそのメールに含まれていたことに焦点を当てたものですが,それどころじゃないんではないかという気がします。

ああそうそう,昨年12月に日本語にして,当ウェブログでは最多となる(<多分)7件のトラバをいただいたハリウッドがファルージャを映画化の記事にあった,「ハリソン・フォードが演じる」役が,このマティス中将。で,この映画は結局作られるのか?

「楽しみのために撃つ」というメモに非難囂々
Fury at 'shoot for fun' memo
Outburst by US security firm in Iraq is attacked by human rights groups

Mark Townsend
Sunday April 3, 2005
The Observer
http://observer.guardian.co.uk/international/story/0,,1451137,00.html

※概略(逐語訳ではありません)

オブザーヴァー紙が入手した,イラク最大の私営セキュリティ会社であるブラックウォーター・セキュリティ社の社員宛メールには,人々を撃つことは「楽しい」と書かれていた――このことで人権団体からは囂々たる非難が巻き起こっている。

件のメールは3月7日付け社員向けの電子ニューズレターで,ブラックウォーター社のギャリー・ジャクソン(Gary Jackson)社長の名前入り。文面に「実際,一部の人間を撃つことは『楽しい』ことである(actually it is "fun" to shoot some people)」,テロリストたちは「こてんぱんに叩き潰されなければならない。そして,そのような連中を撃つことは,満足を与えるという意味で,楽しいことである」とあった。

昨日複数の人権団体が,今回の件でイラクなど世界各地の紛争地で活動する民間の(civilian)契約請負者の役割についての問題が新たに持ち上がった,と述べている。

アムネスティ・インターナショナルのスポークスマンは,「セキュリティ会社を使うことが段々と増えてきていますが,非常に懸念を覚えます。これらの会社についてはもっと査察が必要ですし,法的規制も必要です」と述べた。

ブラックウォーター社はすでに,イラクでの私営軍事オペレーション(private military operations)に対する法的規制をもっと強めるよう求めるロビー活動の的となっている。

同社は世界で最速のペースで成長している私営セキュリティ企業のひとつである。昨年,イラクの都市ファルージャで所属する4人の男性がイラク人の群集に襲撃され,遺体が切断された上市内を引き回されたときに,全世界に知られることとなった。

今回論争の的となったブラックウォーター社のニューズレターにおける言葉遣いは,ジェイムズ・マティス(James Mattis)米海兵隊中将の発言を受けて起きた「正義の怒号(righteous outcry)」を批判しようという試みであるように見える。マティス中将はイラクから米国に帰還した後,「ある人々を撃つのは楽しい」と述べていた。【→詳細:私の個人ウェブログの2月4日記事】

マティス中将の見解にはペンタゴンからは冷たい反応が寄せられたが,一方では中将の見解は戦争の厳しい(harsh)現実が反映されていると考える人々もいた。

この論争にブラックウォーター社が加わったことは,「悪い連中(the bad guys)」が当然の報いを受けた場合,満足が得られるということを示しているように見える。

本紙が入手したニューズレターは本物であると本紙では確信しているが,6ページ分のこのニューズレターの冒頭には次のようにある。「私たちの誰もが,1時間半の映画を見たり,スリラー小説を300ページばかり読んだりして,悪い連中が当然の報いを受ける時を待っていた。だからこれは実にわかりきったことである。(All of us who have ever waited through an hour and a half movie, or read some 300 pages of a thriller, to the point when the bad guys finally get their comeuppance know this perfectly well)」

『ブラックウォーター・タクティカル・ウィークリー(Blackwater Tactical Weekly)』と題されたこのニューズレターは,同社社員のみならず,環境活動家のフランク・ヒューイットソン(Frank Hewetson)さんにも送られた。ヒューイットソンさんは昨年,同社の「ミリタリー・クライシス・オペレーションズ・サポート・チーム」で最高で£85,000の給与と健康給付金の仕事をブラックウォーター社からオファーされた。ヒューイットソンさんはこれを断っていたが,データベースからは削除されていなかった。

3月7日付のニューズレターには,ブラックウォーターの訓練学校の広告もあった。人員採用のための8週間のコースについてのその広告には,各種火器やclose quarter protection, physical securityといったものの訓練に加え,「地上戦(ground fighting)」の項目もあった。

戦後イラクでの同社の多くの役割の中には,CPAの地方支部の警備が含まれており,CPAのポール・ブレマー長官を死なせないという契約も結んでいた。

同社はナジャフでの負傷兵の救出で高く評価された。軍事専門家は同社のことを,対テロ戦争におけるアメリカのセキュリティを助ける上で重要な役割を有する主要なプレイヤーであると述べている。

本紙はブラックウォーター社の昨年のメールも複数見たが,そこいは戦闘地域(war zones)における民間の請負業者(civilian contractors)のマーケットは大きいと示されている。うち1通には「現在当社で活躍している人員に加え,少なくとも3000から4000人が必要になると思われます」とある。

イラクには私営企業に属する兵士(private enterprise soldiers)が20,000人もいると考えられているが,彼らを使うことを率先して行なっているのは米軍である。このシステムでは政府の出費が抑制でき,従来型の軍ほどにメディアの注目も引くこともあまり考えられないため,政治的なボーナスも生じる。

本紙ではノースカロライナ州にあるブラックウォーター社の本部にコンタクトを取ろうと何度も試みてきたが,返事はまったくない。しかし,同社スタッフが人々を楽しみのために撃ったという証拠はない。

同社はよく訓練され統率のとれた人員を有すると考えられている。軍の特殊部隊を退役したエリート兵士が相当数いると考えられる。ブラックウォーター社はまた,トラウマになりうる戦場のストレスに対処するための心理カウンセリング・プログラムも行なっている。



最後の1パラグラフがいわゆるbalanceのために書かれたものであることは簡単に推測できるのですが,最後の1センテンスは,何でしょうこれは。「24時間戦えますか」で「黄色と黒は勇気の印」で,栄養ドリンク飲めば24時間戦えます,といわんばかりの「karo-shi(過労死)」が英語になったとかいう話題もあった頃の東京を思い出しましたが。

ところで,先日,英国のラウドロック系のラジオをネットで聞きながら作業をしていたんですが,Nine Inch NailsのThe Hand That FeedsやらRadioheadやら,あとUSのアンチ・ブッシュな方々のアンチ・ブッシュな元気系パンクやらがかかったそのプログラムで,「手に職つけないか? マトモな技能がほしくないか? 無料DVDをお送りしてます。ご請求はなんちゃらかんちゃら・CO・UK」というCMが入りました……英軍関連でした。あまりのシニカルさに笑ってしまいました。


投稿者:いけだ
2005-04-05 02:44:25