.comment-link {margin-left:.6em;}

teanotwar - mirror/archive (Japanese fonts required)

Official mirror site of our blog, for those who can't access it, http://teanotwar.blogtribe.org, due to the technical problems, firewall setups, etc. http://teanotwar.blogtribe.org/のミラーリングを目的としています。記事部分に何も表示されていない場合は下までスクロールしてください。個別記事へのリンクは,記事の投稿時間のところをクリックすれば表示されます。

2005/01/23

イラクの「津波」(ジャマイル,1月15日)

ダール・ジャマイルのウェブログ,1月15日の記事。バグダード市内の病院の遺体安置所を訪問。

なお,リンク先の写真(「photo」と記してリンクしてありますが)は,いずれも非常にショッキングです。

ダール・ジャマイルは,12月にもファルージャ市内で放置されていた遺体の写真を紹介していますが(当該の過去記事),この12月の写真は「身元が確認できるように」という,記録というか何というか,そういう性質のものであり,さらにジャマイル自身が目撃した光景ではなく,他の誰かが撮影した写真をジャマイルが写真に撮ったものでした。

今回は,ジャマイルがその目で見て,そして臭いを感じて,同じ空間に身を置いています。そういう写真です。

私は引き込まれるようにして見てしまいましたが,正直,あとがきついです。これまでにないきつさがあります。

以下は,ジャマイルのウェブログから訳しましたので文章だけですが,Electronic Iraqのサイトに掲載された同じ記事(←クリックして出てくる画面に凄惨な写真があります)は,文章だけでなく写真も添えられています。

また,あまり写真だけを一覧できる方法としては,ジャマイルのギャラリーがあります。

このギャラリーのページを開いた状態のキャプチャ画像を,このエントリの一番下に付け加えておきます。縮小してはありますが,こういった画像が苦手だという方は,ブラウザで画像表示をオフにしてください。

イラクの「津波」
The Tsunami of Iraq
Dahr Jamail, January 15, 2005
http://dahrjamailiraq.com/weblog/archives/dispatches/000169.php

バグダードの各病院の遺体安置所(モルグ)は収容数いっぱいになっている。バグダード中心部にあるヤルムーク病院(Yarmouk Hospital)では,3台の冷凍設備から腐敗してゆく遺体の臭いがしている。気温は低いのにもかかわらず。

ドアが開くと悪臭が一気に私たちに押し寄せてくる。私は,ネパールの火葬場で遺体の燃える臭いをかいだことがあるが……これは違う。この臭いは……どうやったら説明になるだろうか。とにかく,その臭いは,病院を後にしてずっと時間が経っても,私にまとわりついている。

遺体( photo)の多くは,ファルージャから運ばれてきたものだ。路上に放置されていたもののようだ。一部は犬に食われている(photo)。ファルージャから運ばれてきた遺体は,奇妙に色を失った肌(photo)をしているというのが典型だが,他にも普通ではない点がある(photo)。

第一冷凍室を出ると,金属の柱がある。私がそこで茫然自失していると,アブ・タラットを含め,同行していたうちの2人が,大丈夫かと声をかけてくる……柱があることさえわかっていなかった。次の冷凍室に進もうとしたら,いきなり行く手を阻まれた。それが柱だったというわけだ。

遺体は冷凍設備の中に積み上げられている(photo)。ほとんどの遺体には覆いはかけられていないが,かけられているものもある。どうにも私の頭から離れなくなってしまっているイメージは,遺体の目だ(photo)。

一緒にいた医師は,遺体のほとんどは銃で撃たれていると言う……そしてそれらはファルージャから運ばれてきたものではない,と。イラク人に対する暴力は留まるところを知らず続いている……日に日にひどくなっている。

私は私の仕事をする……これまで見たことのないような恐ろしい光景を,次から次へとカメラに収める。遺体の多くはすでに古くなっていて,縮んでいる。

最後の冷凍室を見て,私たちはその場を後にした。こびりついた臭いを引き離そうとして,私は唾を吐き続けた…アブ・タラットは遠くへ目を漂わせている。私が吐き気を催すと,冷凍室を案内してくれた病院職員が,香水の入った小さな瓶を持ってきてくれ,私の鼻の下の部分にそれをあてがってくれた。

「シュクラン・ジャズィーラン(どうもありがとうございます)」と私がその職員に言うと,彼はアブ・タラットのところに行き,同じことをして,そして歩いていった。

ふらふらと歩きながら,私たちは医師ともっと話をした。「どこの病院も,遺体安置所には毎日ご遺体が運ばれてきていっぱいになっています。ほとんどは兵士に射殺されたご遺体です」と彼女は言う。「それだけでなく,犯罪や事故で亡くなった方のご遺体もあります。一般市民がこんなにも,死んでいるのです。」

私たちは病院を出て――歩いて出たというより,ふらふらになってやっと出たという感じだ――車へ向かった。

「これまでこんなに恐ろしい(photo)ものを見たことはないよ」と,私はアブ・タラットに言った。

車に乗り込んで,ただ走らせる。

「どうしたらいいのだろう」と私はアブ・タラットに言う。「きみは何をしたい?」

彼は両手を空中に上げ,俺にもわからないよというしぐさをする。「とにかく車を進めようか」と私は言う。

「そうだな,俺もとりあえず車を走らせようとしてるよ」と彼は答える。

医薬品をいくらか買いに行こう……鼻の下でいい匂いをかがせてもらったけれど,腐敗していく遺体の臭いを思い出してしまい,なんとか平常心を保とうとして私はそう考える。

昼食時だからというだけの理由で昼食を買う。腹が空いていて当然の頃合でもある。それからホテルに向かって車を走らせる。

私の頭はくらくらしている。アブ・タラットも同じだ。「ショックきついな」と私は彼に言う。「そうだな,俺も頭がくらくらしてる」と彼は答え,それから「シャワーを浴びたいな」と言う。

「体の内側から洗いたい気分だ」と私は言う。

「外から洗うのはとても簡単だ」と彼は静かな声で言う。「でも,内側からどうやって洗うんだ?」

私たちは私の部屋に入った。私は書き始める。さっき買った昼食は,袋に入ったまま,カウチに置かれている……アブ・タラットは「イスラームでは,死体に触ったら,あるいは死体を見ただけでも,シャワーを浴びなければならない」とバスルームへと歩きながら言う。

ふと足をとめ,窓の外をぼうっと見つめながら彼は私の身体を抱きしめる。「おい,考えないようにしろよ。つらいことだけど。」私はゆっくりと目を上げて彼を見る。「俺にはあんたよりきついよ。俺はイラク人だからな。もう,ボロボロだよ」と彼が言う。

部屋のバスルームに彼は入ってゆき,シャワーを浴びる。私はこの原稿を書く作業に戻る。

亡くなった人たちが誰なのか,知る者はいない。冷凍室は満杯だ。他の病院でも,冷凍室は満杯だ。

アブ・タラットがシャワーを終えた。私がシャワーを浴び始めると,彼は祈り始める。私はとにかく洗い落とそうとする。少しはましになる。

けれども,あの目( photo)。あの目にやられた。そしてあの目は,どうしても脳裡から離れない。
Posted by Dahr_Jamail at January 15, 2005 12:36 PM




【画像】
ジャマイルのギャラリーのキャプチャ画像:



投稿者:いけだ
2005-01-23 03:52:02