.comment-link {margin-left:.6em;}

teanotwar - mirror/archive (Japanese fonts required)

Official mirror site of our blog, for those who can't access it, http://teanotwar.blogtribe.org, due to the technical problems, firewall setups, etc. http://teanotwar.blogtribe.org/のミラーリングを目的としています。記事部分に何も表示されていない場合は下までスクロールしてください。個別記事へのリンクは,記事の投稿時間のところをクリックすれば表示されます。

2005/02/24

誰に投票しようと勝つのはワシントンだ

イラク戦争計画』の著者ミラン・ライによるイラク「新政府」へのワシントンの影響力分析。

誰に投票しようと勝つのはワシントンだ
ミラン・ライ
2005年2月16日
ElectronicIraq原文

新たに結成されるイラク国会をワシントンはどうやって支配しようとしているか。

イラクの選挙は普通の人々が自分の国の運命に影響を与える前例のない機会であったが、選ばれた国会は米国が押しつけた制限をあまりに大きく受けているため、創生される内閣は独立政府というよりは鎖につながれた囚人に近い。

今年1月、シーア派連合の著名なイラク人政治家がニューヨーカー誌に、米国は選挙前に諸政党に秘密裡に、新たな政府には三つの条件が課されていると語ったと述べている:イランの影響のもとにあってはならないこと、米軍撤退を求めてはならないこと、イスラム国家を樹立してはならないこと。

重要だが無視されてきた問題の一つには、米国の指示のもとで治安部隊が着々と再バース党化されてきていることである。この再バース党化をシーア派連合は強く拒否しているため、新政府にとってこれは重大な問題となる。

英国のマスメディアは、他の地域のマスメディア同様、スンニ派とシーア派、クルド人のコミュニティ間での権力分配、そして「勝利を収める」シーア派連合の中の異なる団体の権力の分配のみを扱う傾向がある。そこで検討されていないのは、新たに選ばれる国会とまもなく指名されるだろう「イラク移行政権」がその中で活動しなくてはならない大枠である。

メディアの驚くべき自己検閲のためにアジェンダから除外されているのは、選ばれたイラク国会と選挙で選ばれたのではない米国主導の占領支配者たちとの権力分配である。米国は支配力を維持するために数レベルの権力を作り上げた。

米国が支配に用いる道具の一つは暫定行政法(TAL)である。これは、ワシントンで書かれた暫定憲法であり、2004年3月にイラクに押しつけられた。

シーア派二大政党の一つダーワの党員であるジャワド・アル=マリキは正しくも、「私たちが選んだ組織はこの文書よりも正当性が大きい」と述べている(フィナンシャル・タイムズ紙2005年2月14日)。残念ながら、TALは、住民投票により恒久的な憲法が採用されるまでデフォールトのイラク憲法であると自らを規定している。

TALは、シーア派の多数党が強く拒否する文言で、恒久的な憲法はイラクの18州のうち16州で少なくとも3分の1の有権者の賛同を得なくてはならないとしている。この文言はクルド人地域に最終憲法への拒否権を与えるために盛り込まれた(スンニ派が多数を占める地域にも同じ拒否権を与える)(Nathan J. Brown, Post-Election Iraq: Facing the Constitutional Challenge (pdf), Carnegie Endowment for International Peace Democracy and Rule of Law Project, Feb 2005)。

クルド人がこの拒否権を行使するならば、TALが憲法であり続ける(そしてTALの第59条によると、イラク軍は米国司令下に置かれ続ける)(Nathan J. Brown, Post-Election Iraq: Facing the Constitutional Challenge (pdf), Carnegie Endowment for International Peace Democracy and Rule of Law Project, Feb 2005)。

暫定行政法(TAL)のこれら条項は、ワシントンに最も強い忠誠を誓うお抱えの者たち----クルド人たち----に政治的前進に対する強力な拒否権を与える効果を持つ。

米国がイラク支配に使うもう一つの道具は2004年11月にまとめられた債務救済計画である。この計画のもとで、対イラク債権国の一部はイラクの債務の一部を(段階的に)免除するが、その際の条件として、イラク政府がIMFの「自由化」プログラムに従うことが必須とされている。この計画は外国の投資、私有化、「税制改革」を優先事項とするが、失業と貧困は重視しない。

イラクの新政権は国際経済金融秩序の支配者たちを拒絶するか、IMFに従うかの選択をしなくてはならない。IMFに従うことはまた、米国行政官ポール・ブレマーがイラクを支配していたときに発効させた経済リストラと私営化の追求を意味している。

米国によるイラク支配の最大の道具は、もちろん軍事力である。フィナンシャル・タイムズ紙が最近指摘したように、「米国の影響力は、シーア派が自分たちの政府は米国の支援継続なしに内戦を生き延びることはできないと知ることにかかっている」(2005年1月13日)。選挙で最大の票を得たシーア派連合はバグダードにある米国が支配し「米兵に守られた」「グリーンゾーン」の会議場で候補者リストを発表しなくてはならなかった(インディペンデント日曜版、2004年12月19日)。

2003年11月、米国が「委譲」プロセスの最初のバージョンを明らかにしたとき、ある上級米国政府職員はニューヨーク・タイムズ紙に次のように語っていた。「これはギャンブルだ。とてつもないギャンブルだ。けれども我々が今手にしている、出来事への支配力を過剰見積もりし、それをどれだけ維持できるかを過少見積もりするのは容易だ」。別の米国上級政府職員は、イラク暫定政府の創設後も「我々には皆さんが考えるよりも多くのレバーがある。恐らくはイラク人が考えるよりも多くのレバーが」と語っている。米国が使えそうなレバーとしては、米軍駐留そのもの、200億ドルにのぼる米国のイラク再建予算、米国投資家の要求がある("America's Gamble: A Quick Exit Plan for Iraq", NYT, 16 November 2003)。

支配のためのもう一つの道具は、ポール・ブレマーが退任直前に指名した5年任期の中枢官僚である。2004年6月、米国人支配者ブレマーは、米国が押しつけた暫定「首相」イヤド・アラウィが選んだイラク国家安全保障顧問と諜報局長の任期を5年とする命令を発した。これによりアラウィが選んだ人物が選挙で選ばれた政府に押しつけられることになる。ブレマーはまたすべての省の監察官を5年任期で指名し、通信と公共放送、治安市場の委員会を設置しそこに人員を配置した(ワシントン・ポスト紙、2004年1月27日)。

アラウィの選択が最も重要なのなのなの国家安全保障の領域である。自身が元バース党員であるアラウィは(これについてはJNV速報67を参照)、サダム政権に使えていた者たちを中枢ポストに抜擢し、治安部隊に元バーシストを多数あてた。サダムの特殊部隊兵士たちと元諜報職員たちが警察の突撃部隊に再雇用されさえした。昨年夏、アラウィの政府は秘密警察総監ポストにラシード・フライェーを指名した。1991年のシーア派蜂起を残虐に弾圧する行為にナシリヤ市治安部隊長としてフライェーが関与していたとして脱バース化最高評議会が反対したのを押し切っての指名である。

昨年10月、アラウィは脱バース化評議会(彼の古いライバルであるアフメド・チャラビを長とする)を解散させようとして失敗した。アラウィは元バース党員たちを、法廷で重大犯罪をめぐり有罪とされない限り堂々と権力の座に復帰させることを可能にしたいと考えており、ワシントンはこの方針を支持している。選挙に「勝利」したシーア派連合はこうした再バース化の流れを逆転させると約束した。アラウィが再バース化に熱心なので、アラウィが新政権の妥協として首相になることはそのために阻止されるかも知れない。

1991年以来、米国政府はイラクで「体制安定化・指導者すげ替え」政策を追求してきた。2003年の政権崩壊のショックから、まだワシントンは復帰していない。ブッシュ政権はその後退却と攻撃のジグザグな道をたどることを余儀なくされ、その結果、今日、(米国の資金を大規模に受け取った)ブッシュのお抱え候補アラウィの大敗北となり、親イラン派の政党が多数の票を得、国会では脱バース化を求める声が強い地位を占めることとなった。この脱バース化の声は、米国が指示するイラクの再ナチ化を押しとどめようと決意している。

ワシントンは手にしている権力支配のレバーすべてが必要となるだろう。

JNV(復讐ではなく正義を)を支援して下さい。0845 458 9571
できる限り多くのブリーフィングを作成します。その印刷と配布を助けるために、チェックを以下に送って下さい:
'JNV', 29 Gensing Rd, St Leonards-on-Sea, East Sussex TN38 0HE. UK.


ブレマーは、イラクの農民に自分たちの種子を使うことを禁じ、米国大企業の遺伝子組替作物を使うことを強制する政令さえ発布しています。

投稿者:益岡
2005-02-18 00:31:48