「政党ではなく選挙パクトだ」(パトリック・コックバーン)
政党ではなく選挙パクトだ
シーア派とクルド人がイラク新政府を支配するだろう
パトリック・コックバーン
CounterPunch原文
2004年2月8日
バグダード発
外相のホシヤー・ゼバリによると、イラクでは、選挙でうまくやった政党間の交渉が間もなく始まり、シーア派とクルド人からなる民族団結政府が結成されることになるだろうという。
延期に熱心に反対してきたゼバリ氏は、選挙後の喜びムードにつつまれて、「このすばらしい歴史的勝利を無駄にしてはならない。うまくやらなければ結果は破滅的なものとなるだろう」と述べた。
彼は、暫定政権首相イヤド・アラウィが仕事を失うことになるとはっきりは述べなかったが、新政府で首相ポストに就く候補は二人に絞られたと考えている。
一人は現副大統領でシーア派政党ダーワのイブラヒム・ジャーファリであり、もう一人は現財務相でイラクイスラム革命再考評議会のアデル・アブドゥル・マフディである。
ゼバリ氏は、投票前自ら行なった選挙結果推定で、シーア派連合の統一イラク連合(United Iraq Alliance)が、国会275議席のうち130から140議席を占めるだろうと述べている。
「クルド人連合は75から85議席を、アラウィは50から60議席を獲得すると思う」と。彼はまた、第アヤトラーのアリ・アル=シスタニ師のもとで結成されたシーア派の連合がいつまでもつか疑問に思っている。「この連合は選挙パクトであって政党ではない」とゼバリは続ける。
「既に彼らは誰を首相にするか、どの地位を得るかで口論を始めている」。
クルド人指導者たちはどの地位を望むかについて既に合意した。ジャラル・アル=タラバニが大統領候補である。ゼバリ氏は、新政府の上級ポストはすべて「一つのパッケージの一部」として合意されなくてはならないだろうと述べる。
反乱の中心であり大部分が選挙をボイコットしたスンニ派アラブ人を懐柔するために、トップの3ポストすなわち大統領か首相、国会議長のいずれかをスンニ派アラブ人に与える必要があるとゼバリ氏は言う。
スンニ派は憲法策定に一定の役割を果たさなくてはならない。彼はまた、大きな会議、「イラク社会を構成するすべてからなる全国対話」が必要であると付け加えた。憲法草案を作成する前でも後でもよいが、いずれにせよ憲法を批准するための住民投票が行われる前に開催しなくてはならないと。
世俗的なクルド人たちが、シーア派宗教諸政党の大勝利を心配していることが伺える。クルド人たちはまた、シーア派諸政党を通してイランの影響が強まることも心配している。「我々の悪夢は、誰かが3分の2の投票を勝ち取ることだ」とゼバリ氏は語る。新政府結成のためには、国会の3分の2が必要である。
アラウィが首相職を退く可能性が高いことについてゼバリ氏は申し訳なさそうに「アラウィはできることをすべてやった。引き受けた混乱を正すにはあまりに時間がなかった」と述べた。
けれども、ゼバリ氏は、選挙後、イラクは「2003年5月に戻るチャンスがある」と言う。サダム・フセインが失墜した月である。そしてそのときにしなくてはならないことをすべて行うチャンスがあると。
治安の欠如は、昨日モスルとバクバで警察署への自爆攻撃があり、27人が殺され20人が負傷したことからも明らかである。モスル警察署への迫撃砲による攻撃で他に一人が死亡している。
なお、あるウェブサイトによると、イラクで拘束されているイタリア人ジャーナリストが数日のうちに釈放されるだろうとのこと。ジュリアナ・スグレナは拘束者であるジハード組織から「スパイ行為に関与していない」と認められたとのこと。
ファイル作成者:益岡
投稿代行:いけだ
2005-02-10 23:22:18
<< Home