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2005/03/22

イラクのレジスタンス

イラク侵略から2年、著述家で活動家のタリク・アリが、米国の中東戦略および占領に対するイラク人レジスタンスの隆盛について『ソーシャリスト・ワーカー』紙に語る。

イラクのレジスタンス
タリク・アリへのインタビュー
2005年3月17日
ZNet原文

ソーシャリスト・ワーカー:ブッシュとブレアはイラク人レジスタンスをテロリスト、サダム・フセイン支持者、イスラム原理主義者などなどとして悪魔化しています。レジスタンスについてどうお考えかお聞かせ下さい。

タリク・アリ:帝国主義に対するレジスタンス運動はすべて、テロリストと名付けられてきました。ケニアのマウマウは悪魔化され英国による残虐な拷問の対象となりました。同じように、アルジェリアのFLNはフランスによって、ベトナムはフランスとアメリカによって。

今日、イスラエルのアリエル・シャロンはパレスチナ人をテロリストと呼び、ロシアのウラジミール・プーチンはテロと闘うという名目でチェチェン人を弾圧し、トニー・ブレアーはテロとの闘いという名目で英国の伝統的な市民的自由に対する攻撃を行なっています。イラク人レジスタンスが同様の特徴付けを受けるのはほとんど驚くようなことではありません。

はっきりしていることは、帝国主義の占領者を追い出そうとするために使われる手段は、占領の性質によって決まってくるという点です。米軍兵士の残忍さと米軍兵士たちが体系的に用いる拷問については沢山の証拠があります。それに対してレジスタンスが美徳を持って接するということが可能でしょうか?

アルジェリア独立戦争のとき、民族解放戦線(FLN)のある指導者が、アルジェのカフェを爆破したことについて、フランス人民間人に対するテロの行使はいかがなものかと聞かれたことがありました。彼は次のように答えています:「我々に空軍があったなら、フランス軍兵舎だけを攻撃すると約束しましょう。けれども、それまでは・・・・・・」。

ソーシャリスト・ワーカー:帝国主義とイラクのレジスタンスとの間の闘争は、アルジェリアにおけるフランスの植民地支配やベトナムにおける米国の植民地支配に対する闘いと比べてどのようなものでしょうか? 帝国主義勢力が使う技術は変化したのでしょうか? レジスタンスの性格は違ったものになったのでしょうか?

タリク・アリ:帝国主義者たちの技術は全く変わっていません。ベトナムではベトナム人200万人と米軍兵士5万人が死にました。今日のイラクでは、10万人のイラク人と1500人の米軍兵士が死んでいます。比率は変わっていません。

変わったのは私たちが暮らす世界です。伝統的左翼の崩壊にともなって大きな空白が生まれています。ベトナムやアルジェリアでは、運動を率いていたのは共産主義者(ベトナム)や世俗的民族主義者(アルジェリア)でした。

今日のイラクでは、イラク共産主義者たちの末裔----その指導者は英帝国により絞首刑にされて殺されたのですが----はあらゆるレベルで野蛮な協力者となっています。

武装レジスタンスを率いているのは宗教グループ、元バアシストそして地域によってはイラク人民族主義者たちです。民族解放戦線を結成できなかった政治的失敗は、レジスタンスにとってのアキレス腱となっています。

ザルカウィのアルカーイダ・グループは、米軍の占領後にイラクに入り込んだのです。このグループは非常に小さな少数派で、占領に反対するイラク人のほとんどから、その戦略は批判されています。

さらに、ムクタダ・アル=サドルとそのグループによる政治的レジスタンスもあります。これはバグダードのシーア派スラム、バスラの貧しい地区そしてイラク南部の他の都市を基盤としています。彼はあらゆる外国軍の撤退を要求し、イラクにおける米国の常駐基地にノーと言うでしょう。

統一イラク同盟(UIA)の指導者たち、アブドゥル・アジズ・アル=ハキム、そしてシーア派聖職者アリ=シスターニが----いかさま師アフメド・チャラビについては言うまでもなく----が屈服すれば、レジスタンスはイラク南部に広がるでしょう。

統一イラク同盟(UIA)の指導者たち、アブドゥル・アジズ・アル=ハキム、そしてシーア派聖職者アリ=シスターニが----いかさま師アフメド・チャラビについては言うまでもなく----が屈服すれば、レジスタンスはイラク南部に広がるでしょう。

私の見解では、占領を行なっている帝国主義軍隊の保護のもとで選挙を要求しその選挙を受け入れることは、さらなる共謀を招くだけです。シスターニは自らガンジーをモデルにしていますが、インドはイラクと大きくことなった歴史を持ち、またガンジーは第二次世界大戦のさなか英国に対しインドを放棄するよう呼びかけました。

米国政府内には誰がイラクを率いるかをめぐって意見の対立があります。最初の選択肢はイヤド・アラウィで、第二の選択肢はシスターニ/アル=ハキム/チャラビです。けれどもこうした机上の空論は、シスターニ政権が迅速な撤退を実現できなければすぐさま崩壊するでしょう。

ソーシャリスト・ワーカー:2003年以来、私たちは、ファルージャに対する二度の攻撃、ナジャフの蜂起、そして選挙と新たな暫定政権の据え付けを目にしてきました。2003年以来、イラクのレジスタンスはどのように発展し変化してきたのでしょうか?

タリク・アリ:ファルージャはアラブ世界のゲルニカです。一都市が破壊され、人々は殺され、拷問され、追放され、子どもたちは孤児にされました。悲劇的なことは、最初のファルージャ攻撃のときとは対照的に、シスターニが11月の二度目のファルージャ攻撃に沈黙していたことです。

すなわち、シスターニが率いる派閥は、権力の一部を担うことと引き替えにファルージャ破壊を受け入れたのです。この出来事はイラクの団結に対する最初の重大な破れ目でした。

米国政府は当初選挙を譲歩と見なしていました。とはいえ、米国のジャーナリストであるトマス・フリードマンは、シスターニがゲリラを弾圧するほうが米国人がゲリラを弾圧するよりも良いという理由で、ニューヨーク・タイムズ紙上で選挙を強く求めていたのですが。ちょうど、シャロンよりもアブ・マーゼンがパレスチナ人レジスタンスを粉砕するほうがはるかによいというようなものです。

被占領国で、帝国主義者たちはいつも分断支配を行います----イラク、アフリカ、ベトナム、朝鮮、キプロス、アイルランド、アラブ東部などは過去のそうした例です。アメリカ帝国は傀儡政権を据えてお互いに反目させるために各グループを活用します。

アラウィはシスターニに反目し、武装レジスタンスはアル=サドルに反目しといった具体です。だからこそ、政治的レベルでの基本的な団結が決定的に重要になります。多数派コミュニティの声としてシスターニがファルージャ破壊を批判していたならば、何らかの団結の基盤となっていたことでしょう。そんなわけで、私の見解では、レジスタンスはこの2年間ほとんど前進していません。これはイラクにとって悲劇的です。

ソーシャリスト・ワーカー:米国がイラクでしていることにはいくつかの要素があります。軍事的、政治的、経済的要素などです。レジスタンスはこれら3領域でどれだけ抵抗しているのでしょうか?

タリク・アリ:軍事的には、レジスタンスはイラクを統治不能にしました。数百万人の人が暮らす都市バグダードも含めてです。経済的には、外国企業とパイプラインを標的にすることは有効でした。石油企業ハリバートンはバスラでは歓迎されましたが、バグダードでは歓迎されませんでした。

これは最初の重大なネオリベラル型占領で、米軍と英軍に次ぐ三番目に大きな占領軍勢力は企業が運営する私設軍隊です。

数カ月前、南アフリカ人傭兵が一人射殺されました。後にこの傭兵はスティーブ・ビコを拷問した者の一人だということがわかりました。そのとき私は南アフリカにいましたが、多くの人が喜びました。

ソーシャリスト・ワーカー:レジスタンスは勝利できるのでしょうか? そして勝利するというのは何を意味するのでしょうか?

タリク・アリ:すべての外国部隊の撤退、外国軍の基地をイラクに置かないこと、そしてイラクの石油をイラク人がコントロールすることが勝利と言えるでしょう。けれども米国はそうなることを認めるでしょうか?

ヘンリー・キッシンジャーはイラクのバルカン化を提唱しました。その準備が出来ている唯一のグループはクルド人----油田を手にするという条件でですが----です。トルコ----自らのおぞましい理由で----もイラクの他のグループもこれを望んで受け入れはしないでしょう。

ですから、状況は酷く混乱しています。軍事的・政治的レジスタンスに全体としての政治的計画がないことは、非常に重大な弱点です。

あくまで個人的な印象ですが、新旧の教条主義的左翼勢力を含めた様々なグループにより「帝国主義」といった言葉が喚情的に使われすぎたため、状況を認識し理解するための言葉としてなかなか使われにくくなっている状況があるように感じます。

また、ソ連の崩壊などにより左翼勢力とか進歩派と呼ばれる人々が過剰に防衛的にあるいは批判を先取りして旧左翼的な傾向や体制を批判するような状況も生まれています。けれども、現実の状況をめぐる因果関係を認識せずにこうした防衛的反応を取るのは、イデオロギーに固執する態度と形式的には同一と言えます。

タリク・アリのこのインタビューは非常に基本的なことを明言しています。レジスタンスは不法占領に対して起きていること。レジスタンスが採用する手段は占領の残虐さに応じて決まってくること。さらにここから、存在するのは暴力の連鎖ではないことがわかります。イラクからの米国や米軍への攻撃など何一つ存在しない中で米国はイラクを侵略し占領し民間人を殺し、拷問・強姦したのに対し、レジスタンスはそれへの反応として起きたものであり、米軍が侵略をやめればレジスタンスは終わると思われる一方、レジスタンスをやめても米軍の侵略占領は終わらないことは米国政府自身が示唆しています。

大手メディアでは、「イスラエル」における、パレスチナ人の「自爆テロ」がしばしば報じられます。けれども、次のような事実はほとんど報じられません:2000年9月末に第二次インティファーダが始まってから最初の3カ月間、被占領地でのパレスチナ人の死者は279人、そのうち82人は子供である一方、同じ時期、イスラエル人の死者は41人、子供はゼロ。そして4人を除いて全員が、ガザと西岸地区すなわちイスラエルが不法占領している地域で犠牲になっていること。また、第二次インティファーダが開始されてから、イスラエル領内で「自爆テロ」が最初に起きたのは、パレスチナの被占領地内で、イスラエル軍や入植者たちが5週間のうちに200人以上のパレスチナ人を殺した後のことだということ。

レジスタンスの手段は占領の残虐さに応じて決まるとかレジスタンスは米軍占領に対する反応であるといったことを言うと、日本政府も加担している不法侵略と占領と大量殺人と拷問と強姦を擁護する人たちから「サダムの悪行を放置していればよかったのか」といった非理性的な反応が起こることがありますが、自らが強盗殺人を行うために先行の強盗殺人者を追放した強盗殺人者を擁護するために先行の強盗殺人者の悪行をあげつらう立場に、さほどの説得性があるようにも思えません。


投稿者:益岡
2005-03-20 11:05:56