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2005/03/22

イラクの石油をめぐる米国の秘密計画

ブッシュ政権によるイラク侵略から2年。侵略の大きな目的の一つが石油支配であることはほとんど報じられませんが、BBCニューズナイトでそれをめぐる話がありました。

イラクの石油をめぐる米国の秘密計画
グレッグ・パラスト
BBCニュースナイト 3月17日
ZNet原文

ブッシュ政権は2001年9月11日にニューヨークとワシントンのビルが攻撃される前から戦争計画をたてており、イラクの石油を狙った計画を立てていたが、それがネオコンと巨大石油企業の間に軋轢を引き起こしていたとBBCのニューズナイトは暴いた。

2年前の今日----ジョージ・ブッシュ大統領が米国と英国と連合軍がバグダード爆撃を開始すると宣言した日----それに反対し抗議する人々は、サダムを征服したあかつきに実施するためのイラク石油に関する秘密計画を米国は持っていると主張した。

実際には、二つの対立する計画があった。そこには、ペンタゴンを中心にしたネオコンと、「巨大石油企業」の経営者たち及び米国国務省の「プラグマティスト」たちの連合との間に、水面下で政策をめぐる闘争があった。

「巨大石油」が勝利を収めたように見うけられる。米国国務省からニュースナイトが入手した最新計画は、米国石油産業のコンサルタントたちが草案を作成したことを我々は知った。

内部の関係者はニュースナイトに対し、計画が開始されたのは2001年にブッシュが政権の座についてから「数週間」のうちであり、9月11日に米国のニューヨークとワシントンの建物が攻撃される遙か前だった。

イラク生まれの石油業界コンサルタントファラー・アルジブリーは、カリフォルニアとワシントンそして中東での秘密会議に参加したと述べている。彼は国務省がたてたクーデターをむりやり起こさせる計画について述べた。

アルジブリー氏自身がニュースナイトに対し、自分はブッシュ政権のためにサダム・フセインの後継者候補とインタビューしたと語った。

秘密売却計画

石油産業ご推奨の計画は、2003年の侵略直前に立案されたもう一つの秘密計画----イラクの油田すべてを売却することを提案していた----により脇へ置かれることとなった。新たな計画はネオコンが作成したもので、OPECの生産割当をはるかに上回る巨大な増産によりOPECカルテルを破壊することを目的としていた。

ロバート・エベルによると、米軍がバグダードに侵攻した直後、アフメド・チャラビを中心としたロンドンでの秘密会議で売却に青信号が与えられた。元CIAの石油アナリストであるエベルは----現在はワシントンの戦略国際研究センターのフェローとなっている----自分は国務省の求めに応じてこのロンドン会議に参加したとニューズナイトに語った。

かつてロナルド・レーガンとサダムを結ぶ「裏のチャネル」を務めたアルジブリーは、2003年に米国が据えた政府評議会が推進したイラク石油の売却計画は反対勢力を刺激し、米英の占領軍に対する攻撃を促したと主張している。

「ゲリラたちはこれを利用し、次のように言う:『ほら見ろ、我々は国を失っている。我々は資源を失い、その資源は裕福な億万長者たちの手にわたっている。奴らは我々を征服し、我々の生活を惨めなものにしようとしている』」。アルジブリーはサンフランシスコ近くの自宅からこのように述べた。

「我々は石油施設やパイプラインへの爆撃の増加を目にしている。これは、私有化がなされつつあるとの前提でなされているものだ」。

石油産業は私営化を阻止

米国シェル石油の元最高経営責任者(CEO)フィル・キャロルは、侵略の一カ月後に米国政府のためにイラクの石油生産責任者となったが、売却計画を阻止したのは彼である。

キャロルはニューズナイトに対し、彼は2003年5月にイラク入りした米国占領軍のボス、ポール・ブレマーに対し次のことを明言したと語った:「私が関わっている限り、イラクの石油資源私有化はあり得ない」。

キャロルの後継者として選ばれたコノコ石油社の重役は、石油業界が好むかたちの国営石油企業に関する新たな計画の立案を命じた。

ネオコンのヘリテージ財団のアリ・コーエンはニューズナイトに対し、イラクの油田を私有化する機会を逃したと語った。コーエンはその計画を米国がOPECを打倒するための手段として提唱していた。彼はまた、アメリカはこの「誰にでも自明な(頭がカラッポの)」決定を採用すべきだったと語った。

キャロルはこれに反駁して、ニューズナイトに対し、「コーエンの発言に同意したい気持だ。私有化は「誰にでも自明な(頭がカラッポの)」ことだ。そんなことを考えるのは脳味噌のない者たちだけだ」と述べた。

米国情報公開法によりニューズナイトとハーパーズ誌が米国国務省から入手した新しい計画は、米国石油産業が好むかたちの国有石油企業の創設をうたっている。この計画が完成したのは2004年1月で、テキサス州のジェームズ・ベーカー・インスティチュートに務めるエイミー・ジャッフの指導によるものであるとの情報をハーパーズ誌は入手した。元米国国務長官ベーカーは、現在弁護士をしており彼の法律事務所ベーカー・ボッツはエクソンモービル社およびサウジアラビア政府の代理をしている。

イラク計画の一部は次で見ることができる:
www.GregPalast.com/opeconthemarch.html

ニューズナイトの質問に対し、ジャッフは、米国石油産業はイラク油田の売却よりも国家による支配を望んでいる、というのもロシアのエネルギー私有化と同じ問題が繰り返されることを恐れているからだ、と語る。ソ連崩壊後、米国の石油企業は油田の入札から除外された。

ジャッフは次のように言う:「米国の石油企業・・・・・・がイラクの企業の資産をすべて私有化しその中で取り残されることに熱狂的でないのは確かである」。

さらにジャッフは、米国の石油企業はOPECを崩壊させるような計画を歓迎しないと言う。「石油企業は石油の価格を心配しなくてはならない」と。

「私が米国の石油会社の社長をしていたとして、私を嘘発見器にかけた状態で、私が石油価格高騰は私にとってあるいは私の国にとって良くないことだと言うかどうかは定かではない」。

シェル社の元ボスも同意する。ヒューストンから、彼はニューズナイトに対し、「ネオコンの多くは、市場と民主主義、あれやこれやについて一定のイデオロギー的信念を持っている。国際的な石油企業は例外なしに、極めてプラグマティックな商業組織である。神学は持っていない」。

グレッグ・パラストの映像----BBCニューズナイトとハーパーズ誌共同調査の結果として生まれた----は2005年3月17日放映予定。

侵略から2年。めまぐるしく起きる出来事を報ずる主流派メディアが、侵略自体の犯罪性と米国の意図について最善でもだんまりを決め込んでいる中、改めてそれらを確認し広める必要性を感じています。

チェイニーのタスクフォースが中心になって、イラクの石油を略奪するために計画を立てていたことは既に侵略前から明らかにされています。米国のイラク侵略の大きな目的の一つが石油にあることは、多くの証拠とともに自明ですが、大手メディアはこれについて最良の場合でもほとんど全く触れずにきており、最悪の場合は、石油が要因であるという主張は「単純すぎる」という極めて単純で根拠もない「識者」の主張をたれ流していました。

この記事に登場する者たちは、いずれも、イラクの石油は自分たちのものという前提を当然のものとして話を進めていますが、その点を含めこうした問題をきちんと扱わない多くのメディアも、その傲岸な植民地支配メンタリティを当然のものとしているようです。

ここで紹介した記事の背景にある事態の全貌を説明するには膨大なスペースが必要になります(ベネスエラのチャベス政権に対するクーデターを米国が後押ししていること、コロンビアへの米国の軍事介入強化なども図式に入ってきます)。現在、このテーマに関する極めて優れた本(カナダのベストセラー)の日本語版を準備しつつありますので、おって(といっても数日といったタイムスパンではあり得ませんが)この場でも一部を紹介できればと考えています。


投稿者:益岡
2005-03-19 21:55:46