「イラクの選挙は自由ではない」(在英イラク人たちより)
イラクの選挙は自由ではない
Iraq elections are not free
Friday January 21, 2005
The Guardian
http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/
0,2763,1395206,00.html
イラクはサダムの残虐な独裁政治に数十年間耐えてきたが,その後になっても,自由で公正な選挙は拒まれている。米国および英国の占領政府は,米国が任命したイラク暫定政権を再生産し,占領を長期化させ,宗派間・民族間の紛争を掻き立てるプロセスを成立させようと画策してきた。
数百万人というイラク人が,自身の祖国の多くの地域で包囲された状態に置かれ,選挙権を剥奪された状態となるであろう。この非民主的な事態をボイコットする一方で,私たちは,それ(=選挙)に参加するイラク人に対するありとあらゆる形態の暴力を,強く非難する。私たちは,亡命者として,国内・国外を問わず,それぞれがどのような立場で参加しようとも,大多数のイラク人が,米国が主導する占領を終わらせ,民主主義を打ち立てるために団結するであろうということを,確信している。
占領下にあり,米国主導の軍による戦争犯罪の対象とされているときに,自由で公正な選挙を行なうことは不可能であると強調するイラク国内からの世論に,私たちも同調する。
しかしながら,私たちは最小限の地ならしが必要であるとの声を支持する。すなわち,すべての占領軍の撤退の厳密なタイムテーブルを定めること,すべての攻撃を終結させ,撤退の日まですべての占領軍を兵舎から出られないようにすること,戒厳令を解除し,すべての政治囚を釈放すること,イラクの引退した判事らによって率いられる独立した選挙委員会を設立すること,イラクの政治勢力すべてを含めること。これは,反占領の考えを持った人物,例えばネルソン・マンデラや国連などによって支援されうるであろう。
【署名】
Sami Ramadani, Haifa Zangana, Prof Kamal Majid, Tahrir Numan, Dr Imad Khaddur, Mundher Adhami, and 14 others.
ガーディアンのウェブページに "Letters" とあるので,この「手紙」が掲載されたのは投書欄ではないかと思います。
が,文面を読む限り,特にガーディアンだけに宛てて書かれた手紙には見えません。(Lettersは,通常,「○月○日付けの貴紙記事*****についてですが」という感じで書かれている。)
しかし,Google News UKで見てみても,ほかのメディアにこの「手紙」が掲載されているという情報は得られませんでした。
ともあれ,署名の筆頭にあるSami Ramadaniさんは,こちらさんによると,an Iraqi refugee who teaches sociology at London Metropolitan University(ロンドン・メトロポリタン大学で社会学を教えるイラクからの難民/亡命者)。
Haifa Zanganaさんはイラクで生まれ英国に亡命した小説家/芸術家(記事一覧),「イラク国際戦犯民衆法廷京都公判」さんのサイトに日本語でプロフあり。
Kamal Majid教授は,UKにあるThe Kurdish Scientific and Medical Associationの立ち上げのときの議長(ソース)。
……という感じです。
それぞれのお名前を検索していたら,2002年8月にMundher Al-Adhami(Researcher, Kings College London), Kamil Mahdi(Lecturer, Exeter University), Tahrir Numan (Teacher, Orpington London), Haifa Zangana(Novelist, London)の4名の方々が連名で出したステートメントがありました。
http://www.casi.org.uk/discuss/2002/msg01187.html
また,「選挙」については,下記の文章もありました。
http://www.globalpolicy.org/security/issues/
iraq/election/2005/0118farce.htm
Registration for expatriate Iraqis to vote in the Iraq elections began on Monday in fourteen countries - Australia, Britain, Canada, Denmark, France, Germany, Iran, Jordan, the Netherlands, Sweden, Syria, Turkey, the United Arab Emirates and the United States and runs until January 23.
However, according to a renowned expert on international law, Sabah Al Mukhtar, the London-based President of the League of Arab Lawyers, the election is not alone fatally flawed, it is illegal. "Under the Vienna Convention, an occupying force has no right to change composition of occupied territories socially, culturally, educationally or politically. This election was based on the laws laid down by former 'Viceroy' American Paul Bremer and is entirely unconstitutional. Bremer personally appointed the overseers for the election", says Al Mukhtar, thus, far from 'free and fair' and heralding Iraqi 'democracy' they are entirely engineered by Bush's man.
イラク選挙に投票するために国外在住のイラク人の登録が,オーストラリア,英国,カナダ,デンマーク,フランス,ドイツ,イラン,ヨルダン,オランダ,スウェーデン,シリア,トルコ,UAE,米国の14カ国で,月曜日(17日)に開始された。23日まで受け付ける。
しかし,国際法の著名な専門家で,ロンドンに拠点を置くアラブ法律家連盟の会長であるSabah Al Mukhtarによると,この選挙は致命的な欠陥があるのみならず,違法であるという。「ジュネーヴ条約のもとでは,占領軍には,占領した地域の社会面,文化面,教育面,また政治面の構造を変える権利はない。この選挙は,アメリカの元「総督」であるポール・ブレマーによって制定された法に基づいており,完全に違法である。ブレマーは選挙の監督にあたる者を自身で任命した。したがって,これは「自由で公正」とはとてもではないが言えず,イラクの「デモクラシー」の到来ではない。すべてブッシュの部下によって策定されたものである。」
さらに,「選挙」については,トルクメン人もボイコット?という記事があります。→Iraqi Turkman Group Threatens To Boycott Iraqi Elections Over Kurdish 'Games'
投稿者:いけだ
2005-01-23 09:23:49