戦争はますます不浄なものになっている
戦争はますます不浄なものになっている
ダール・ジャマイル&アリ・アル=ファディリ
2007年1月17日
Electronic Iraq原文
ファルージャ(IPS)。モスクや宗教指導者、イスラムの習慣を標的とした軍事攻撃が強化されたことから、イラク人の多くが、米軍主導の侵略は本当に聖戦だったと信じるに至っている。
黒い十字架がモスクの壁やコーランの本に書かれた写真、そして兵士たちがゴミをモスクの中に捨てている写真が出回っている。モスクへの侵入攻撃やイスラム聖職者への残忍な仕打ちを報ずるニュースが頻繁に伝えられており、多くのイラク人が、侵略と占領はイスラムに対する戦争だったのではないかと考えている。
イラク人の多くが、今や、2001年9月11日の出来事があったあとで米国大統領ジョージ・W・ブッシュが記者団に語った「この聖戦、この対テロ戦争にはしばらくの時間がかかるだろう」という言葉を思い出している。
「ブッシュは一度ならず口を滑らせ、ファシスト・イスラム主義者と言ったりそれと似た言葉を使って、世界中のムスリムの逆鱗に触れました」。主導的スンニ派グループであるイスラム法学者協会(AMS)のアブドゥル・サラム・アル=クバイシ師は、バグダードでIPSに対し、このように述べた。「それが単なる失言だったと思いたいが、繰り返し繰り返し起きていることを見ると、ますます強く、これは聖戦だと思わざるをえなくなります」。
占領軍の兵士たちは、レジスタンスの戦士たちがモスクを利用しているから、その聖なる場所に侵入攻撃を加えるのだと主張する。
昨年11月末に米軍がファルージャで配ったリーフレットには、「多国籍軍」に対する攻撃を行うために「ゲリラ」がモスクを使っており、そのため「それらのモスクに対してしかるべき処置を加える」と書かれている。
この文言は、占領軍兵士に対する日々の狙撃攻撃に言及しており、それによって多くの米軍兵士が死んだ。
地元の人々は、連合軍のこうした主張は事実に反していると言う。
「戦士たちがアメリカ人を攻撃するにあたってモスクを使うことは決してありません。米軍の反応とモスクに引き起こす結果を知っているからです」。ファルージャの市議会議員の一人は、匿名を条件に、IPSにこう語った。「それにもかかわらず、米軍の兵士たちは、いつもモスクとミナレットを標的にするのです」。
2004年11月の「亡霊の憤怒作戦」の際、ファルージャで、ダメージを受けたり完全に破壊されたモスクは数十にのぼる。ファルージャは、とても多くのモスクがあるため、モスクの町として知られている。
その多くはスンニ派のモスクだった。AMSの指導者たちは、占領米軍にとっても、シーア派が支配する政府にとっても、最大の標的となっている。
メンバーが絶え間なく逮捕され、スンニ派地域全土でモスク----バグダード郊外にあるAMS本部もその一つである----が攻撃されているため、AMSは、自分たちが迫害されているとの見解を繰り返し表明してきた。
一方、占領軍は、米国がイラクに作りだした政治機構に参加する聖職者には支援を与えている。たとえば、シーア派聖職者や、ダーワ党のヌーリ・アル=マリキ現首相などである。マリキは、AMSの指導者ハリス・アル=ダーリ博士を「テロリストの指導者」と呼び、殺人者と呼んだ。
聖職者や宗教関係者ではないスンニ派の多くも、占領軍による迫害を受けていると感じている。
「私はアル=ダーリも他の宗教指導者も信奉していません」とバグダードにある国立科学研究所のマリク・アル=ラーウィ教授はIPSに語った。「実際、スンニ派のほとんどは、宗教的な理由から何らかの指導者に文字通り従うことはありません。けれども、アメリカ人たちが私たちの宗教的シンボルを標的にしているのですから、私たちは、私たちを占領軍に売り払ったりしない人のもとに団結する必要があったのです」。
ラーウィ博士----完全に世俗的なスンニ派である----は、2004年に米軍がファルージャを攻撃して以来、占領軍が「宗教戦争」を仕掛けていると信じるイラク人の数は劇的に増加したと語る。
「ファルージャ包囲、それに続いてサマラ、アルカーイム、ハディサで起き、そして今シニヤで起きている事態をすべて考えると、人々は聖戦という言葉を思い浮かべるに至ります」と彼は続ける。「アメリカ人は、理由はわかりませんが私たちを憎んでいます。私たちとしては、宗教以外にその理由を思いつきません」。
占領軍が自分たちのモスクを尊重していないと主張するのはスンニ派のイラク人だけではない。シーア派が大多数を占めるナジャフも、2004年8月、大規模な米軍の攻撃に晒された。攻撃の多くが、イマーム・アリの聖廟近くに加えられ、聖廟の外壁が損傷した。
バグダードで米軍がシーア派の複数のモスクに対して加えた侵入攻撃も、シーア派の人々の大きな怒りを買った。
イラク人アナリストの中には、占領が進むにつれて、宗教的衝突が目に見えて拡大していったと述べる者もいる。
「米軍兵士たちが気の向くままにモスクを攻撃し聖職者を逮捕することに米国政府がゴーサインを出すことで、状況を新たな宗教紛争というブラックホールに向かわせていることに世界は気づくべきです」とバグダード大学所属の政治アナリスト、カシム・ジャバールはIPSに述べる。
「最も高い教育を受けた人々の間でも、米国の指導者たちが、私たちの国の宗教的シンボルに対する攻撃を制限させないのか、不思議に思っています」。
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米軍/CIAによる拷問の歴史について見てみると、「アラブの文化的アイデンティティ」を意図的に狙った方法が導入されています。モスクへの攻撃も同じ流れに位置づけられるように思えます。
投稿者:益岡