ラムズフェルドはピノチェトと同じに扱うべきだ
アムネスティー・インターナショナル米国の発表など。
ラムズフェルドはピノチェトと同じに扱うべきだと米国アムネスティの代表は言った
ジム・ローブ
2005年5月27日 IPS
ZNet原文
ワシントン発5月(IPS)
イラクをはじめとする各地で行われている、捕虜に対する米国の虐待に対して本当に独立の調査をジョージ・W・ブッシュ政権ができないならば、外国の諸政府はこれら虐待に責任を負う米国の上級政府関係者を調査し処罰すべきだと、5月25日、アムネスティ・インターナショナルの米国チャプタの代表は語った。
アムネスティの年次報告の発表にあたり、ウィリアム・シュルツは、米国政府が拷問と虐待を行う「先導的な仕掛け人兼執行人」になったと告発し、諸外国の政府は米国政府上級職員たちをジュネーブ条約と国連拷問禁止条約違反で訴追すべきだと発表した。
訴追対象となるべき政府職員として、シュルツは、ブッシュ大統領、ドナルド・ラムズフェルド国防長官、ダグラス・フェイス国防次官(政策担当)、アルベルト・ゴンザレス司法長官、元CIA長官ジョージ・テネット、およびキューバのグアンタナモ湾とイラクのアブグレイブにおける米国の収容所の上級職員の名を挙げた。
「米国政府が責任逃れを続けるならば、アムネスティ・インターナショナルは外国政府に国際法のもとでの責任を遂行し、拷問スキャンダルに関与した米国政府上級職員全員を調査すべきだと呼びかける」とシュルツは言う。彼はまた、米国のほかに138カ国が批准している拷問禁止条約への違反は、どの司法管轄下でも訴追できると付け加えた。
「調査の結果訴追に価することになったら、諸政府は自国領土に足を踏み入れた合州国政府職員をすべて逮捕し、彼らに対して法的裁きの手続きを開始しなくてはならない」と彼は言う。「拷問の政策を立てたと思われる上級米国政府職員達は、次の休暇にアカプルコやフランスのリヴィエラで過ごすと決める前に、よく考えなくてはならない。というのも、1998年にアウグスト・ピノチェト[チリの元独裁者]が直面したように、逮捕されるかも知れないからだ」。
シュルツはまた、弁護士会に、専門的・倫理的責任を犯して虐待行為にあたる尋問方法の行使を正当化したり擁護しようとする法的見解を準備する手助けをした政府弁護士の調査を行うよう呼びかけた。
彼は、とりわけ、ディック・チェイニー副大統領の顧問弁護士デヴィッド・アディントン、ペンタゴンの顧問弁護士ウィリアム・ヘインズ、そして司法省法務局の上級職員の名を挙げた。法務局職員の一人ジェイ・バイビーは、その後、連邦上訴裁判所の判事に指名されている。
「米国の拷問政策を立案し推進した者たちは秘密主義の壁に守られている」とシュルツは言う。「拷問の青写真を作ってそれを承認し、その実行を命令した者たちの責任が追及されない限り、かつて人権の模範例を誇っていた米国の評判はずたずたになったままである」。
シュルツが外国政府にイニシアチブを取るよう呼びかけたと同じときに、約350人の弁護士と法律学者が超党派で米国政府に対し、虐待と拷問の問題を扱う独立委員会の設置を求めた。この委員会は、上級政府職員と軍士官たちの責任も調査すべきであると。
「超党派の独立委員会を設置して、テロリスト容疑者に対する虐待の問題を調査することで、議会と大統領は、それが米国市民であれ戦争捕虜であれ人類全員の本質的な価値と威厳を尊重することに米国が献身していることを世界の他の地域に示すまたとない機会を手にすることができる」とロナルド・レーガン政権の国務副長官ジョン・ホワイトヘッドは述べた。
ホワイトヘッドは、上級の独立調査が必要であるとしている。というのも、ペンタゴンが進めている、また最近終えた調査は対象範囲が狭く、将来の虐待を防止するための勧告をしていないからだ、と。
[以下省略します]
アメリカ合州国は奴隷制度を維持していた国でした。「奴隷解放」後も、長い間、黒人や先住民には権利が与えられていない国でした。それは公式には1960年代まで続き、その後も非公式には続いています。また、第二次世界大戦後50もの地域に介入し、ラテンアメリカを中心に軍事独裁政権の軍を訓練し資金を提供して、悪魔的な拷問や殺害を支えてきました(ちなみにイヴ・モンタン主演の映画「戒厳令」という映画は、ウルグアイで、米国人ダン・ミトリオネが合州国政府のお墨付きのもとでしてきた拷問とそれに対する解放運動側によるミトリオネの誘拐を扱っています)。
世界人権宣言には、自由権的権利の他に、社会権的権利があります。「いわゆる先進国」で、国民健康保険が唯一ない国もアメリカ合州国です。
したがって、「かつて人権の模範例を誇っていた米国の評判はずたずたになったままである」という文言は、実は何を意味しているのか、私にはわかりません。また、「すべての悪をその内部に蓄積している」「侵略戦争」(ニュルンベルク裁判での裁判官の言葉)の罪を全面的に問わなければ、いくら拷問に対する独立委員会を設置してジョージ・W・ブッシュを裁いたとしても、「人類全員の本質的な価値と威厳を尊重する」ことにはならないように思います。
とはいえ、米国内でここで紹介したような動きがあるのは大変大切で、アムネスティ・インターナショナルもイラクについて「人権」喜劇グループにならずに済む最低限の一歩を踏み出したという点で大変歓迎すべき動きです。
6月5日(日)午後10時10分から、NHKのBS1で、「『テロとの戦い』の真相」という番組が報道されるとのこと。お勧めのようです。詳しくはこちらをどうぞ。
投稿者:益岡