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2005/02/07

「彼らの希望は,かなえられる可能性は低い」

ワシントンのInstitute for Policy StudiesのフェローであるPhyllis Bennisによる選挙解説。

★まだやりかけですが,次に投稿できるまでに時間が空いてしまうので,できてるところまででアップしておきます★

選挙を読む
Reading the Elections
Phyllis Bennis, Institute for Policy Studies,
2 February 2005
http://electroniciraq.net/news/1854.shtml


*投票に現れた数百万のイラク人は,暴力と占領を終わらせたい,生活をもっとよくしたいという希望を投票していた。彼らの希望は,かなえられる可能性は低い。

*この選挙で大勝利を収めるのはジョージ・ブッシュであろう。この選挙を,自身のイラク占領の理由を主張するために利用するのだ。この選挙は,イラク侵略とイラク占領が正当なものであるということは意味しない――デモクラシーは銃を突きつけて強制することはできない。

*軍事占領下で行なわれ,カーターセンター(website)のものをはじめ,国際基準に合わないこの選挙は,依然として法的正当性を持たない。法的正当性とは,票を投じた人の数で決定されるものではない。

*シーア派主導の政党が勝利をすると予測されているが,それでも新たな議会が米軍の即時撤退を求める結果になる見込みはない。

*イラクの経済的・政治的・社会的生活に対する米国の支配は,軍事占領と,通貨システム・司法制度・政治的支援を引き続きコントロールすることを通じて,継続されるであろう。

*米国には,戦争と占領という条件下で行なわれる選挙を,自身の不法な戦争に法的根拠を与えるものとして利用してきた長い歴史がある。2005年のイラクの選挙は,1967年の南ヴェトナムの選挙の鏡像である。これもまた,ワシントンの傀儡政権に信頼性を与えるために行なわれた選挙である。


投票するために現れた個々のイラク人は,確かに,非常に勇敢であり,自身の国のコントロールを取り戻したがっている。彼らは自身の希望のため,子どもたちが学校に通えるような安全な街,電気や清潔な水,職,そして米国の占領の終結のために,投票していた。

しかし選挙はこういった目的のどれひとつとして達成しないであろう。暴力は継続しそうである。今よりひどくなるかもしれない。米億の占領は解決ではなくまだ問題であり,占領を続けながら選挙を押し付けることではなく,米軍の兵員を故郷に戻すことだけが,暴力を終結させるであろう。

何百万というイラク人がこの選挙に参加した。しかし正確な人数はまだ明らかではない。外国のジャーナリストはバグダードの5箇所の投票所しか取材ができず,そのうちの4箇所はシーア派の地域にあって投票率は高いことが予想されていた。米国が支援する選挙委員会は,当初,投票が締め切られた直後に投票率72パーセントとアナウンスしたが,その後になって数字を「60パーセント近く」に引き下げた――そして実際には57パーセントだったという。しかしこれらの数字ですらまだ事実を誤認させる。

ワシントン・ポスト紙は,投票の2日後にthe Style selectionの7ページで,60パーセントという数字は,1400万の有権者のうち800万人が投票所に足を運んだのだという主張に基づいていると報じている。しかしこの1400万という数字自体が,事実を誤認させる。というのは,1400万という数字は選挙登録をしたイラク人だけしか含めていないからである。実際の有権者数は1800万である。

同様に,在外イラク人の極めて高い投票率という主張も事実を誤認させる。というのは,登録し投票する要件を満たしている在外イラク人はおよそ120万人であるのに,登録したのは28万人に過ぎないのであるから。

立候補者(米国が支援している選挙法を強制されている)として,そして票を投じた有権者としての女性の参加は顕著なものであったが,イラクの女性たちの主要な要求は,特に不釣合いにも女性には許されていない経済的・社会的権利に関するものは,今回の選挙プロセスではかなえられそうにもない。

少なくとも短期的には,今回の選挙で大勝利を収めたと言える人物はジョージ・ブッシュであろう。イラク人の選挙への参加と熱意が,自身の占領が継続していることと,そのような事態をもたらした予防戦争に法的根拠を与えるに等しいものであるという虚偽のプロパガンダ的主張を,ブッシュは展開するであろう。

この選挙は,イラクの「自由への道」におけるマイルポストを定めようという試みの最新ものである――以前には,「任務完了」という主張や,サダム・フセインの身柄拘束,「主権委譲」があった。そしてそのどれひとつとっても,イラク人にとって,自由・独立・安全につながったものはない。それどころか,法的根拠があるとのブッシュの虚偽の主張は,今後もイラクの人々と15万の米兵を,ブッシュのアジェンダと占領の人質とし続ける。

ブッシュ政権の目標は,占領と,より強力な対反乱戦争を含めて広域イラクプロジェクトの法的根拠を強化させ,米国人と国際社会の世論と政府の評価の目アピールすることである。これは,特に一部の欧州諸国のトップがブッシュ陣営に戻りたいと願うきっかけとなるかもしれない。自国国民が引き続き米国の占領に反対しているのに対抗する基礎として,選挙の「成功」を利用することになるかもしれない。欧州議会のホセ・マニュエル・バローゾ議長は,イラクの人々の勇気をたたえ,選挙は「ヨーロッパ的価値」を表していると述べたのである。

デモクラシーを求める熱意が,軍事占領という条件下で押し付けられた選挙という形でイラクに「提供された」ときになってやっと現れたのだ,と主張することは,イラクの人々にとって非常に大きな侮辱である。

Iraqi citizens stand in long lines outside a polling station in Baghdad, Iraq, on Jan. 30, 2005 (photo: DoD)

イラクの選挙は正当なものではなかった。外国の敵対的軍事占領下という条件で行なわれている。1907年のハーグ条約では,占領軍が占領地域の政府について恒久的変更を加えることを一切禁じている。そして米国はハーグ条約に署名している。今回の選挙は,占領している国によって設置され後ろ盾を得ている選挙法のもとで,占領している国によって設置され後ろ盾を得ている選挙管理委員会によって進められた。

非常に暴力的な環境でおこなわれたため,投票する人々には候補者の名前すら知らされず,選挙前後の3日間はイラクは完全にロックされていた。例えば,定められた時刻を過ぎてから外にいる者を目撃したらその場で撃つという外出禁止令が多くの地域で出されており,空港は閉鎖され国境は封鎖され,道路も封鎖された。

占領下で行なわれる難しい選挙なのに,その期間中,イラクには国際監視団はいなかった――アフガニスタン(監視団122名)やパレスチナ(監視団800名)とは違っていた。カナダが主導する国際選挙「査定団」は,選挙は国際基準に適っていると初期段階で述べていたのだが,実際にはイラク国外,隣国ヨルダンに拠点を置いていた。

米国にあるカーターセンターは,10年以上にわたって世界各国の選挙を監視してきたが,イラクに関わることを拒絶した。しかし同センターは選挙の正当性を決定するためのキーとなる基準を特定することはしたし,同センターのスポークスマンは選挙前日に,そのいずれにも適っていないと述べている。これらの基準には,有権者が自由で安全な環境で投票できることや,候補者が選挙運動で有権者に近づくことができること,自由に選ばれ不偏不党の選挙委員会が管理すること,有権者が恐怖を感じたり脅迫を受けることなく投票できること,などがある。

今回選挙されたイラクの移行議会は,シーア派が主流の政党がある程度の多数を占めるであろうが,それにもかかわらず,米軍の即時撤退を求めることはありそうにない。占領を終結させたいという多くのシーア派指導者たちの声にも関わらず,この「政府」は,占領軍とのつながりのため正当性に疑問符が残ったままとなるのだが,米軍の後ろ盾があってのみ政権を担ってゆくことになるだろう。現在の暫定大統領であるスンニ派のガジ・アル=ヤワルは,米国の占領を最も批判的に語るひとりであるが,投票後には占領を終結させるよう求めるなど「まったくのナンセンス」となるだろうと宣言した。

投票のプロセスを警備する兵士たちには「イラク人の顔」を入れておこうとはしたが,ニューズウィーク誌の表現を借りれば,「米軍の役割がこの選挙において極めて重要であったこと」は明らかである。米大使館職員たちは,サンフランシスコ・クロニクル紙に,選挙を可能にしている治安のレベルについて「深読みしすぎないこと」が重要であると語っている――投票施設を警備することは,反乱勢力に対して戦闘を行なうよりも簡単である,と職員らは述べたのである。ブッシュは選挙のあとで,「デモクラシーがイラクを掌握したが,アメリカのイラクでのミッションは継続する」と宣言している。新たに就任したコンドリーザ・ライス国務長官は,「米軍は,イラク人がすべきことができるようになるまで,駐留を続ける」と断言している。

米国によるイラクの支配は,この選挙でも何も変わらぬままである。米国が押し付けた「暫定行政法」は,米国の占領によって押し付けられたものであるが,今回の選挙が行なわれた後になってもイラクの法であり続ける。この法を修正することには議会の圧倒的多数と大統領評議会の満場一致の賛成が必要であり,それは,満たされなければならないconstituencyの幅を考えると,ほぼ不可能である。

Inspector General, the Commission on Public Integrity, the Communication and Media Commission といった要職は,5年の任期でブレマーによって指名されており,「理由(cause)」がある場合にのみ罷免することができる。判事評議会(The Council of Judges)は,それぞれの判事・検事と同様に,米占領当局によって選ばれ,入念に査察され,訓練を受けており,米国の後ろ盾のある在外年数の長い亡命者がほとんどである。

私企業請負業者【訳注:「傭兵」と言い換えることもできる人々も含む】や米政府関係者を含め,4万強の文民および軍事「顧問」が,イラクの省庁やすべての公的機関に出向しているが,それらの人々は引き続き力を持ち続ける。これらの省庁には新議会から新たな人員が送られるが,米国の「顧問」たちがinstitutional memoryを保ち続ける。

The of U.S. taxpayer money not spent in the reconstruction effort (the billions paid to Halliburton, Bechtel, and others has come almost entirely out of U.S.-appropriated Iraqi funds) as well as the $50 billion/year military costs will become a potential slush fund for the new assembly's favored projects. The U.S.-backed privatization schemes imposed by former U.S. pro-consul Paul Bremer remain in place. The current interim finance minister, Adel Abdul Mahdi, touted by the Los Angeles Times as a potential candidate for deputy president or prime minister, recently announced his support for the complete privatization of Iraq 's oil industry.

A New York Times article of September 4, 1967, is entitled "U.S. Encouraged by Vietnam Vote: Officials Cite 83% Turnout Despite Vietcong Terror." It reads, "United States officials were surprised and heartened today at the size of turnout in South Vietnam's presidential election despite a Vietcong terrorist campaign to disrupt the voting. According to reports from Saigon, 83 per cent of the 5.85 million registered voters cast their ballots yesterday. Many of them risked reprisals threatened by the Vietcong. A successful election has long been seen as the keystone in President Johnson's policy of encouraging the growth of constitutional processes in South Vietnam... The purpose of the voting was to give legitimacy to the Saigon Government..."


Phyllis Bennis a fellow at the Institute for Policy Studies in Washington DC, specializing in Middle East and United Nations issues. Formely based at the United Nations, she began working on Palestine, US domination of the UN leading up to the Gulf War, economic sanctions on Iraq, international interventions and US foreign policy in the Middle East. In 1999 she hit international headlines by leading the first US congressional staff delegation to Iraq to investigate the impact of US-led sanctions on the civilian population.



投稿者:いけだ
2005-02-04 18:12:41

イラク選挙に関する簡単なガイド(2)

ファルージャ2004年4月』著者の一人で「ファルージャの目撃者より」を書いたジョー・ワイルディングのイラク選挙ガイド(続)。


イラク選挙に関する簡単なガイド
ジョー・ワイルディング
2005年1月27日
原文

8.誰が選挙に勝っても、占領は続く
・米軍は巨大な基地をイラクに設けており、イラク撤退の意志はない。
・米国はイラクでの戦争に既に1000億ドル以上をつぎ込んでいる。ブッシュはさらに戦争継続経費として800億ドルを求めている。
・米国政府関係者は、多くは匿名で、選挙は米国政府が定めた条件の範囲内でのみ自由になされることが認められるという点をはっきりさせている。ある関係者によると、米国は一定範囲での神権政治を「我慢する」準備があるという。
・匿名のシーア派関係者が述べたように、イラクの候補は「停止線」の存在に気付いている。選挙で選ばれた者たちは自ら選んだ政策を自由に実施することができない。

9.新政府は既に手足を縛られている
・次の投票(憲法をめぐるもの)はブレマーが決めた法律のもとで行わなくてはならないことになっている。18州知事の3人が集まれば、憲法が90%の票により賛成されたとしても、拒否することができる。
・ブレマーだけでなく占領者が新たな法を実施することは不法行為である。というのも、占領者は占領した国の法律を変えることを許されていないからである。それにもかかわらず、ブレマーはイラクのあらゆるものを私営化することを決め、暫定政権はそれに署名して法とした。これにより100%の外国による所有あるいは少なくとも40年にわたる海外への租借が認められた。資源や生活設備、公共サービスがそれに含まれている。
・治安が悪いため、今のところほとんど売却されたものはないが、この不法な法は将来の政府をも拘束するとされている。
・イラクは負債の輸出に対する比率で言うと世界で最も大きな負債を抱えた国である。サダムが行なった戦争により今や1800億ドルにのぼる大規模な負債を抱えることとなった。西側諸国とIMFは喜んでサダムに貸し付けや武器売却を行なっていた。その中にはクルド人を攻撃するために使われた化学兵器や関連ハードウェアも含まれている。それに加えて、クウェート侵略の賠償請求(300億ドル)がある。この請求は主として想像しがたいほどリッチな石油企業等から出されている。イラクが負債の返却をできなかったときにずっと積み上げられてきた複合的な利息も加えられ、負債額は巨大である。
・パリ・クラブ等は「構造調整」プログラムのヒモ付きで負債削減パッケージに合意した。これによってイラクはアルゼンチンやルーマニアをはじめとする世界資本主義の破滅的政策に追いやられた諸国の後を追う
ことになる。負債免除の3割は無条件で、3割は「標準的IMF政策」を受け入れることにかかっており、2割はIMF政策実施をめぐる3年の評価にかかっている。イラクはそれに抵抗する切り札を何一つ有していない。
・IMFが示した条件のうち2つは次のようなものである。一つはイラク石油産業を「開放」すること(極めて安くブッシュ屋たちに売却する)。もう一つは食糧配給の削減である。食料の配給は現在行われている唯一の主な社会福祉プログラムで、これを廃止する理由は、現在は金のない人々も無料で食料を得ているが
、代金を支払うべきだというものらしい。有力な議員候補はこれらすべてに合意している----だからこそ資金援助を得て有力候補となることができたのである。
・条件つきながら約束された期間の負債免除の後に残された負債は、今後何十年もイラクを奉仕的状況に置くに十分以上の額である。

10.イラクには自由なメディアは一つもない
・アラウィとお仲間たちは、メディアは政府の見解を反映した出来事のバージョンを発表しなくてはならないとの規則を発布した。
・アラウィに「敬意を払わない」メディアは禁じられる。
・これに従うことを拒否したために、アルジャジーラとアルアラビヤそして多くの小さな報道局が既に禁止された。

11.イラクの人々はこの選挙を求めて闘ってきた
・昨年、イラクの人々は選挙実施を求める大規模なデモを行なった。他のデモに対して「連合軍」が発砲してきたことを考えると、イラクの人々が身の危険を犯して選挙を求めたといっても誇張ではない。
・占領軍・占領者が譲歩して選挙をねじ曲げ自分たちの有利に使おうとし始めたのは、それまで静かだったエスニックグループや地域の人々が何千人も不満を表明するのに直面したときである。
・選挙に押しつけられたねじ曲げに対する反対は全国に広がっている。占領に反対する何千人もの人々がイラク全土で拘束された(戒厳令のもとで)。
・明らかに望ましい選択肢は占領を終わらせることであるが、暫定政権----選挙委員のことは言うまい----よりも遙かに人々の意向を反映しているグループであるイラク国民基金会議(INFC)の選挙をよりフェアにしようとするための要求がある:
1)国際的なおよびアラブ・イスラム世界で公平性と誠実さで信頼を集めている人々からなる委員会によって選挙を監視すること。
2)この委員会は選挙のあらゆる段階で地方委員会を指導すること。
3)透明性と誠実性のあらゆる基準に反して米国人元統治官により指名されたいまだに匿名の常設選挙委員会を基本的に変えること。最低限:
a.選挙に参加するリストから代表を加えること。
b.誠実さで知られるイラクの現・元判事を多数加えること。
c.恣意的に候補者を選挙から除外する権利を取り除くこと。ただし、法的手続きで有罪とされた候補の場合を除く。
4)あらゆる都市と町で安全で公平な選挙実施の手だてを採ること。以下のように:
a.町や近郊へのあらゆる軍事作戦をただちに停止すること。
b.選挙の少なくとも1カ月前にすべての占領軍を町や近郊から撤退させること。
c.とりわけ特定の告発を受けていない者をはじめとして、政治的立場にかかわらず、あらゆる政治囚を釈放すること。

本リストの作成とその理解にあたっては、ダール・ジャマイル、エワ・ジャシウィックス、荒野の声のガブリエル・カーライル、そしてイラクの沢山の友人たちに感謝する。


投票者:益岡
2005-02-05 17:15:05

イラク選挙に関する簡単なガイド(1)

ファルージャ2004年4月』著者の一人で「ファルージャの目撃者より」を書いたジョー・ワイルディングのイラク選挙ガイド。

占領下で米軍による攻撃と監視、レジスタンスによる爆弾攻撃が行われている中、基本的な対立政党の立候補などもないそもそもからのイカサマ選挙ですが、それでも技術的詳細は大切だと思いますので、紹介します。

イラク選挙に関する簡単なガイド
ジョー・ワイルディング
2005年1月27日
原文

1.イラク人は政党や個人にではなくリストに投票する。
・個人や政党の候補は非常に少なく、大多数はリストの一部となっている。例えば、「シーア派中枢リスト」や他のシーア派リストいくつか、そしてクルド人のリストがいくつかある、などなど。
・リストには合計で7000人以上の候補が含まれているが、その多くは安全上の問題から名前さえ挙げられていない。
・したがって、人々は人物や政党の信頼性や政策にもとづいてではなく、エスニック・グループや民族集団、宗教グループなどにしたがって投票することを余儀なくされることになる。

2.イラクの人々には大統領や首相を選出する機会はない。
・選挙により275名からなる国会が作られ、国会で3名からなる大統領評議会が選ばれる。その評議会が首相を選ぶ。「暫定法」には書かれていないが、選出は275名の議員の中から行われることになる。

3.国会に選ばれた議員の中で地域を代表する者はいない。
・米国の元総督ポール・ブレマーは、イラク全体を一つの選挙区として、選挙は全国比例制となった。
・投票数の275分の1の票を得れば、同じ町あるいは州から他に何人が選ばれていようと当選する。
・この投票制では、全国レベルで投票率が高いグループが過剰に代表を多く選ぶことになる。例えば、治安状況が良好で人々が選挙を望んでいるクルディスタンでは、クルド人代表を多く送り込むことになりそうである。もちろん、過去数十年にわたってクルド人は自らの代表を持たなかった(これはウィンストン・チャーチルとその後継者たちのおかげでもある)が、単にその不正を逆転させるだけでは解決にならない。

4.イラクの広い範囲で投票が可能とは思えない。
・暫定政権指導者アヤド・アラウィは、4つの州で治安状況から投票が難しいと述べている。彼はその中に人口の半分が集中するバグダードが含まれていることは述べなかった。
・ファルージャの人々は投票登録もできず投票カードも手にしていない。
・多くのイラク人が、たくさんの攻撃や争乱は占領軍が秘密作戦を引き起こしていると考えている。このような秘密作戦は、暫定首相アラウィと現在の米国属州総督(「大使」)ジョン・ネグロポンテの常套手段である。治安上「投票が難しい」地域は、「お気に召さない」候補に有権者が投票するかも知れない地域である。
・いくつかの地域では脅迫があった。フェリシティ・アーブスノットは、ある家族を地元の店員が訪れ配給手帳を「安全のため」よこせと求めたことを報じている。配給手帳は投票のIDとして必要なので家族は断ったが、後にその店員は涙ながらに再びやってきて、全員の配給手帳を集めないと家族を殺すと脅されていると語った。

5.投票規則と誰が候補になれるかは基本的に米国が決めている。
・投票規則を定めたのは「独立イラク選挙委員会」とか何とか言う委員会である。このグループのメンバーは、一人か二人を除いて、ポール・ブレマーが「権力」を6月に委譲する前に指名した。
・委員会は候補や組織を除外する絶対的権限を持っている。委員会は何人もの候補を禁じたが、秘密になされたため、誰も誰がどのような理由で立候補を禁止されたかわかっていない。法のしかるべき手続きは存在せず、禁止前に候補に対して禁止を立件することもない。
・参加する候補と組織は宣誓してブレマーが押しつけた法律に忠誠を誓わなくてはならない。
・立候補禁止条件の一つは「道徳的劣行」である。これ自身はさほど珍しくはない----例えば、一定の犯罪で有罪判決を受けた人の立候補を禁じている国は多い。けれども、この禁止事項は米国が暫定政権に指名し大規模な汚職で有罪判決を(不在裁判で)受けたアフメッド・チャラビや、サダム支配下のイラクでスクールバスや映画館などの爆撃を司令したCIA工作員であり米国に指名された暫定政権首相アヤド・アラウィには適用されない。

6.亡命/国外投票者が結果を左右すると考えられる
・イラクの外に住んでいる極めて多くのイラク人が投票できる。英国に三カ所、米国に数カ所そして世界中で14カ国に投票所が設置される。在外有権者に有権者登録をする誘いは選択的になされているようである

・国連は在外投票が不正を伴いやすいとして反対したが選挙計画者たちは聞き入れなかった。
・在外投票者はイラク内部の人々のように安全上の問題がないため、投票できる人は投票すると思われる。
・投票資格の基準は不明確であるが、イラクに住んだことがなくても両親がイラクに住んだことがあれば投票できるようである。

7.政党や個人の中には米国から資金供与を受けている者もある。
・米国共和党と結びついた組織である国際共和インスティチュートは一部のグループのキャンペーンに資金を提供しており、それらグループは極めて有利となった。
・同インスティチュートは在外投票も組織していると考えられている。
・このインスティチュートはベネスエラでクーデターを仕組んだりしている。

以下第8項から第11項までは続く。


投票者:益岡
2005-02-04 08:43:37