サード・ジャワド博士とのインタビュー
イラクの政治学者サード・ジャワド博士が、占領について語る。
サード・ジャワド博士とのインタビュー
イラク人知識人と占領
2006年1月3日
ライス・アル=サウード
CounterPunch原文
以下に紹介するインタビューは、米国による占領に対するイラクの人々の声を提供しようと私たちが続けている活動の一部である。サード・ジャワド博士は、バグダード大学の著名な政治学研究者である。アラブ世界でもっとも秀でた研究組織の一つであるバグダード大学は、米国の占領により巨大な打撃を受けている。その前に12年間続いた経済制裁のダメージについては、言うまでもない。ジャワド博士と私は、イラクの知識人が今も暗殺去れ続けていることについて話をした。この事態は、西側メディアではほとんど無視されている。米軍の侵略以来、暗殺されたイラク人学者、知識人、科学者は1000人以上にのぼる----そのほとんどが、占領に反対していた。
ライス・アル=サウード(以下LA):政治学者として、イラクの経済的展望をどう評価しますか? とりわけ、アメリカ合州国人たちが進めているということになっている再建との関係で。
サード・ジャワド博士(以下SJ):イラクの経済は、占領により、大きな打撃を受けています。アメリカの支配によりと言ったほうが正確かも知れません。今となっては広く知られていますが、再建に割り当てられた金のほとんどは、略奪されたか、米軍と兵士たちの治安に費やされています。米国の記者たちも、イラクの経済から250億ドル以上を(略奪し)浪費したことについて語っています。米軍の侵略が引き起こした破壊が戦争と侵略と長期(12年)にわたる経済制裁の破壊に上乗せされたのです。
LA:イラクにおける内戦の可能性については、どう評価しますか? 米軍が撤退したら、イラクは内戦になるだろうとよく言われますが、あなたはどう分析しますか?
SJ:内戦の可能性はありますが、はるか遠くにあるものです。内戦を引き起こそうとするたくらみにイラクの人々がどう対応しているか、そして民族間の結婚と兄弟愛の長い歴史から判断するに、内戦の可能性ははるか彼方にあるものだと私は強く信じています。前に言いましたが、外部の勢力がここイラクで内戦を引き起こそうとしていることについて多くの証拠があります。そしてイラク人はそれに気づいており、それに応えないよう断固として努力しているのです。内戦を引き起こそうとするさまざまなくわだてに対するイラク人の対応が、私の議論の正しさを示しています。
LA:イラクのレジスタンスが根気強く勇敢であることに疑問のよちはありません。けれども、今のところ、私たちは、占領を、歴史と民族主義とイスラムというより大きい一般的主題と結びつける知識人のレジスタンスを目にしていません(少なくともあまり注目されていません)。たとえば、知的に言って、人々は、この占領に、どうして抵抗すべきなのでしょうか?
SJ:知識人たちは、旧体制への嫌悪と、米国の支援のもとで新たに民主的なイラクを建設する期待との間でまったく分断されています。残念ながら、米国が何一つ助けにならないことは証明されました。旧体制への嫌悪により、かなりの数の知識人が、とりわけ占領の最初の年に、セクトの線にそった意見を表明しました。それが、知的な側面でのレジスタンスを形成する動きが遅かった理由です。けれども、占領政策への失望と、占領者と一緒にやってきた自称イラク人への失望のあと、レジスタンスの動きは進んでいます。
LA:イラク人インテリゲンチヤは国でどのくらい影響力を持っていて、その専門性はイラクに安定をもたらすためにどのくらい有用なのでしょうか?
SJ:私が知る限り、たとえば憲法草案作成の際、相談を受けたイラクの学術団体は一つもありません。こうした無視はとてもあからさまではっきりしています。憲法が、米国の希望と狭歪なセクトと民族の線にしたがって起草されたのは、そのためです。けれども、現在、政治的運動のほとんどは、知識人の助言を得ています。今や、ほとんどの運動と組織が、知識人を含んでいるのです。知識人の役割がほとんどの場合小さいのは本当ですが、それでも知識人はいます。
LA:注目している人々の目には、イラクの知識人が信じられない程の頻度で標的にされていることはよく知られています。誰がやっていて、理由は何でしょうか?
SJ:多くの分子が、イラク人知識人や科学者を標的にしています。[誰がどのような方法で標的とされたかを分析するならば]イスラエルと米国が知識人の一部を狙ってい[ことははっきりしています]。イランとセクト政党が別の知識人を狙っています。バース党員たちは、昔の同志たちが米国に強力しているのを知って、殺しました。地元のマフィアが誘拐して身代金を支払わせたあと殺すこともあります。安全の問題、というよりは安全の欠如が、知識人がさまざまな行為のかくも簡単な標的となっている大きな理由です。けれども、まさにこの混沌の故に、イラクの知識人が体系的に暗殺されていることは、外の世界にはほとんど伝わりません。イラクからもっとも優秀な思想家たちが流出してしまいました。ですから、イラクが真の独立を達成するために重要な要素が一掃されてしまったのです。
LA:カイロ会議で米軍撤退の時期について出された要求についてはどうお考えですか?
SJ:米軍兵士たちの撤退スケジュールについてカイロ会議で出された要求(それはその後承認されましたが)は、反対派が会議に出席するときに求めた前提だったと思います。そのときまで、米国政府は、この問題について語ることを拒否し、誰にもそれを語らせなかったのです。米国人たちは、できる限り恒久的に長期にわたり駐留を続けたがっています。けれども、私見では、急激な撤退は好ましくありません。撤退する前に、米国政府は、イラク軍と治安部隊、警察のかなりを回復させるべきです。これらの機構が国に治安と秩序をもたらすのですから。私が回復させるというのは、全面的に回復させるということです。つまり、任務遂行に必要な武器と装備を完全に備えることです。そうでなければ、プロや専門家は全員任務からはずされ、アマチュア全員が任務につくという、現在の転倒した状況のもとに暮らすことになります。さらに、軍を追い出された者たちは弾圧され、賃金をもらえず、侮辱され、いつでも殺害の脅迫を受けています。それに対し、新たに米国のお仲間に入った者たちは、脛に傷持つ歴史にもかかわらず、高い賃金を手にして守られています。旧軍隊のメンバーが、レジスタンスに参加し、自分たちを壊滅させようとするくわだてを拒絶したとして、誰がそれを避難できるでしょうか? 軍と治安組織が確立されたとき----そして、そのメンバーはよく訓練され任務にすぐ就くことができるのですから、そんなに時間がかかるはずはありません----、米軍兵士たちは撤退を開始すべきです。
ライス・アル=サウードは社会科学を教える大学講師で、イラク占領に政治的に反対する「人々の闘争運動」のメンバー。
投稿者:益岡
なお、関係して、イラクの学識者を救うための緊急アピールというのがあります。
イラクの学識者を救うためのアピール
ここにアクセスし、一番下のほうにあるClick Here to sign Petitionをクリック、名前、メールアドレス、肩書き、国は必須入力項目で最後にPreview Your Signature をクリックしてご自分の仮署名を確認、そしてApprove Signatureをクリックすれば完了です。
中身は、以下の通りだそうです:
イラクの学識者を救うための行動呼びかけ
1. 私たちはすべての人々、特に学校関係者と学生に、イラク学識者の暗殺という進行中の犯罪とイラクの教育インフラの破壊についての沈黙を止め、また独立して民主的で、外国の占領や覇権のないイラクで生きたいというイラク学識者の希望と権利を支援するよう呼びかけます。
2. 私たちは、学術機関や組織がイラクの仲間との連帯を宣言するよう要請します。
3. 私たちは、亡命中あるいはイラク在住のイラクの教育者と世界の大学との間に学識者がリンクを形成するよう要請します。
4. 私たちは、学生組織がイラクの学生組織と同盟するよう要請します。
5. 私たちは、イラク学識者の苦境についてのセミナー、ティーチ・インおよびフォーラムを組織し、イラクの知的な富の救済の問題を取り上げ、教育関係者が同僚や関心のある市民を動員するよう要請します。
世界の学識者と知識人はイラクの同僚の命を救うために今や行動しなければならない。
ブラッセルズ法廷は、他の組織と協力して連絡用ネットワークを構築し、一般大衆の注意を喚起し始めており、この問題について動員したい個人とグループに情報と支援を提供することができます。私たちは、このキャンペーンのための受託者およびハブの役割をすることができます。
http://www.brusselstribunal.org/Academics.htm