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2006/09/12

普通のイラク人の一日

 
「この破滅の犠牲になっているのはひとえに私たち罪のない人たちです。私たちは、サダム・フセインの独裁政権下での暮らしのほうが、今よりもよかったと、私たちは思い始めています」。普通のイラク人の生活と発言。

普通のイラク人の一日
IRIN
2006年9月11日
Electronic Iraq原文

バグダード発。48歳の店員、ムスタファ・クバイシにとって厳しい日々である。米軍の主導でイラクが侵略され、サダム・フセイン元大統領が追放されてからの3年間、彼は困難な生活を送ってきた。

「残念なことに、私たちの国は酷い状況にあります。必需品がなくて値段は上がるし、安全状況は悪化しているし。この破滅の犠牲になっているのはひとえに私たち罪のない人たちです。私たちは、サダム・フセインの独裁政権下での暮らしのほうが、今よりもよかったと、私たちは思い始めています」とクバイシは語った。

彼は朝5時に起き、体を洗って夜明けの祈りをあげる。このごろは、地元のスンニ派モスクに行くよりも、家で祈りをあげることを選んでいる。彼の住む地域は、大多数がシーア派である。基本的に、彼は人が集まる場所や群衆を避ける習慣を身につけた。自分のモスクがいつかシーア派の民兵の標的になるのではないかと恐れている。

朝食を採りながら、クバイシは、テレビとラジオでバグダードで起きた最近の暴力について情報を仕入れる。また、年老いた両親と病気の叔母に電話して昨夜は何ともなかったかと聞く。政府が非常事態を延長し外出禁止令を敷いたため、地元の人々は、夜、医者の治療を受けるのが困難になっていることもある。

朝食後、クバイシはふたりの娘ラナとハラを、古いポンコツの車に乗せてバグダード大学まで送る。本来なら10分しかかからないこの行路に1時間もかかる。バグダードの朝の交通渋滞が、道路封鎖でさらに悪化しているためである。ラナはフランス語を専攻しており、ハラは歯医者になるための勉強をしている。

近頃のバグダードでは、自動車爆弾とロケット攻撃と誘拐が日常的に起きているので、クバイシはいつも注意深くしており、自分とふたりの娘を守るためのボディガードとしてもふるまっている。

「毎日、私は違う道を選ばなくてはなりません。暴力の犠牲者になるのを避けるためです」とクバイシはいう。彼は政府の建物から離れた道を選ぶ。政府の建物周辺が、毎日のように爆発が起こる場所だからである。クバイシは、娘たちを一人にしておくことはできないと言う。とりわけ、大学から帰る途中で女性たちが強姦されたというニュースを聞いてからは。

「娘がいるのでとりわけなのですが、今や誰も信じられません。娘たちの名誉を守らなくてはならず、この酷い安全状況では、私たち父親しか娘を守ることができる人はいないのです。6カ月前、ラナは大学の門のところで爆発により怪我をしました。娘たちに生きていて欲しいなら、目を見開いていなくてはいけないのです」と彼は言った。

大学まで疲れる旅をこなしたあと、クバイシは自分の店に行き、家族を養うために、収入を得ようと努める。

「私は服を売っているのですが、この1年近く、大きな問題を抱えています。人々は以前のように新しい服を買うお金がないのです。給与が低くなって貧困が増大しています。妻と娘にまともな生活を送ってもらうために十分なディナールを得るのは日毎に難しくなっています」と彼は語る。

「夜10時に家に戻ってから、どうやって色々な支払いをするか苦心しなくてはなりません。発電器[電力供給は不安定]と車の巨額のガソリン代、野菜は毎日ますます高くなっているし、家の高い家賃も払わなくてはなりません。2003年から、家賃は300パーセントも値上がりしました」とクバイシは言う。

ガソリン代は、首都で、2003年の0・1米ドルから2006年には1・3米ドルへと、13倍も値上がりした。また、調理用ガスの値段は20リットルあたり0・5米ドルから16米ドルへと、32倍も値上がりした。

ガソリン代が値上がりしたにもかかわらず、ガソリンスタンドによっては今や2キロ以上の列ができている。石油生産が世界3位とされている国での状況なのである。イラクの人々が、時によっては通常よりも10倍高い値段で車にガソリンを入れるために激しい暑さの中、何時間も並んでいる光景が見られる。

クバイシはまた、シーア派の隣人たちから、15年間にわたって働いてようやく買った家を立ち去るよう圧力を受けている。

「隣人のほとんどはシーア派で、私たちへの態度はまったく変わりました。ますます強硬に、乱暴になってきており、私たちはスンニだからここにいると危険で、この地域にゲリラを引き込みかねないと言う人もいます」と彼は言う。

米軍主導の侵略が起きる前は、人々はとても親切でしたが、この国に広まるセクト的暴力のために人々は変わり始めています。これまで常に維持してきた善意を忘れつつあるのです」とクバイシは語る。

こうした困難にもかかわらず、クバイシは妻と生活を続け、まもなく娘たちが一人で授業に行けるようになると希望を持ち、妻が買い物に付き添いなしでいけ、彼が必要なものを困難なく手に入れることができる日を期待している。

「人間の中で希望は最後に死に絶える感情です。ですから、今のイラクの状況にいらだちを感じていますが、いつか、停電もなしに綺麗な飲み水とおいしい食事をソファーに座って楽しむことが出きる日を期待してます。それが10年以上あとのことになろうとも」とクバイシは言う。「暴力によって私からその楽しみを奪うことはできません」。

このニュースは国連人道ニュース・情報サービスIRINから届けられるが、必ずしも国連やその機関の見解を反映するものではない。IRINの文書はすべて無料で再ポスト・再プリントできる。使用条件については、IRINのコピーライト・ページを参照のこと。IRINは、国連人道問題調整局のプロジェクトである。

投稿者:益岡