バグダードの交通渋滞
外国軍の占領下に置かれながら、それにはまともに言及せずに「新憲法」「議会」などと日本の大手メディアが報ずる中、米軍占領下にあるバグダードの状況。
バグダードの交通渋滞
2005年9月14日
アーロン・グランツ
Antiwar 原文
これが自由だと言えるのだろうか。
ハムヴィーと武装人員輸送車を備えた米軍の支援を受けたイラク警察は、先週バグダード回りに数百の検問所を設けた。すべての運転手のナンバープレートをチェックするためである。
深刻な石油不足ととぎれのない渋滞のために、バグダード住民は、一日おきにしか運転を認められていない。
「病院に行かなくてはならなかったり、緊急事態があっても、自分の車を使うことはできない」とタクシー運転手のムシュタクは言う。一方で、「今、交通量は以前より少ない」とも。
占領が始まって以来、バグダードの路上は交通渋滞で車が窒っていた。信号はまったく機能せず、米軍は、治安の名をかたって幹線道路を封鎖したりした。
スモッグのかかった街が何マイルも続く。けれども、乗客を各所に運んでいたロンドン風のダブルデッカー・バスは過去のものとなった。小型のバン路線は私営化され、バグダードの治安が悪いために、多くのバグダードっ子が使うのを躊躇している。
ジャーナリストのイサム・アル=アダミは、この日替わりシステムは汚職から生まれてきたものだと語る。
「日替わりシステムを執行する責任は警察にある」と彼は言う。「そのため、汚職が増えている。警察は違反したら20ドルの罰金を求める。警察ができるだけ早く法律を通そうと熱心に働きかけたのはこれが最初だ」。
バグダードはまた、ガソリン不足に悩まされてもいる。街にうねうねと伸びた長い行列は、配給制および政府よりも50%高い私営のガソリンスタンドの増加にとってかわった。イラクは世界で最も豊富に石油を持つ国の一つなので、自分たちがどうして燃料を簡単に手に入れることができないか理解できるイラク人はほとんどいない。サルマド・アル=ハムダニはIraq4Allニュース・サービスをやっている。彼は、戦争前にはイラクの石油は国内で精製されていたが、今や占領下で外国に送られていると語る。
「トルコがイラクの石油を取っていって精製し、それをガソリンとしてイラクに送り返している」とハムダニは言う。
米国の侵略前、イラクの精製所には何の問題もなかった。多数のイラク人同様、ハムダニも、占領下で以前よりも汚職が増えていると指摘する。
「汚職の汚染はあらゆる省庁に行き渡っている。省庁をセクト的に分割しているからだ」と彼は言う。「そしてこの汚職は石油省にも及んでいる。石油省の汚職度は少ないことになっているのだが。というのも、アメリカ人たちが、占領初日から石油省を奪取したのだから」。
ガソリン不足と交通渋滞の理由はともあれ、イサム・アル=アダミ記者は、イラク人は限界ぎりぎりのところに置かれているという。悪循環だ、と彼は言う。苛立った人々は、しばしば暴力に訴えるから。
「人は、時限爆弾のようなものだ」と彼は言う。「いつ何時爆発するかわからない。人々はこんな状況にこれ以上絶えられない」。
世界で最も潤沢に石油を持つ国で、一日交替の運転。ブッシュがわめき散らした民主主義とは、自由とは、このようなものだ。
投稿者:益岡