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2005/12/06

隠された空中戦

 
駐留兵士を減らす画策を進める一方で、米国政府は、空からのイラク攻撃を強化しようとしている。

隠された空中戦
2005年12月5日
ノーマン・ソロモン
CounterPunch原文

米軍はイラクで空からの戦争を仕掛けている。「ここ数ヶ月、米軍の爆撃が増加したようだ」とシーモア・ハーシュは12月5日付『ニューヨーカー』誌で語っている。「標的の大部分は、敵対している、スンニ派が多数を占める地域で、バグダード周辺とシリアとの国境地帯である」。

ハーシュは続けて、「今のところ、米国議会も米国市民も、この空襲について議論も論争もしていない」と語る。

大きな理由は次のようなものである。主な米国のニュース機関は、ペンタゴンの空襲の規模をごまかしている。イラク駐留米軍兵士の規模を縮小するにともなって空襲を強化することが極めてありそうなことを考えると、このごまかしは言語道断なものである。

そんなわけで、レキシスネキシスのメディアデータベースでは、米軍がイラクで現在行っている攻撃に関わって、今年ニューヨーク・タイムズ紙に何回「エア・ウォー」という句が現れただろうか?

12月上旬の段階で、答えはゼロである。

2005年、ワシントン・ポスト紙に現れた「エア・ウォー」という言葉は?

答えはゼロ。

米国で最大の発行部数を誇る『タイム』誌では、今年、「エア・ウォー」は何回?

ゼロ。

この徹底したメディアによる黙殺を変えなくてはならない。とりわけ、ワシントンでイラク駐留米軍の一部を撤退させるという議論が進んでいることにより、米軍がイラクで今度は空からの殺人を強化する準備がなされることになるのだから。

この数週間、米国ではイラク戦争の政策をめぐる論争に劇的な変化があった。キャピトルヒルと主要なニュース機関では、米軍兵士を速やかに撤退させるという選択肢----これまでは党の主要人物にとってもメディアの識者にとっても想像できないものとみなされていた----が主流はメディアのまじめな議論の一部になったのである。

少なくとも暗黙のレベルでは、ニュース報道は、地上にいる兵士数を米国のイラクにおける戦争の規模の指標と見なしてきた。その結果、一般の議論は----誤って----米軍兵士の規模を縮小することは、ペンタゴンの大虐殺への関与を減らすものだと考えてしまうことになった。

実際には、マス・メディアの言説の下で、来年秋に控えた米国議会選の前に、米軍司令部は、米占領軍の駐留兵士数を減らす一方でイラク爆撃を強化するだろうということが強く示されている。ホワイトハウスがイラクから米軍の関与を減らし続けていることを示したがっている中、2006年に兵士がちょっとでも撤退するならば、メディアは大々的にそれを喧伝するだろうことが予測される。

「イラク内での米軍の空襲は、対ゲリラ戦の中で恐らくもっとも重大な----そしてほとんど報じられていない----ものである」とハーシュの『ニューヨーカー』記事は書いている。ペンタゴン一方的に教え込む情報に依存する米国のメディアの中では、米軍が行っている爆撃の規模がどれだけのものかは謎のままである。「バグダードとワシントンの軍当局は、ベトナム戦争で日常的に行っていた、空軍と海軍、海兵隊の部隊の出撃規模と投下する爆弾の量について日々の報告を行っていない」。

ホワイトハウスのメディア物語の紡ぎ手は、イラクでの空中戦が米国メディアのレーダーには引っかからないことをはっきり知っている----この無関心は、米軍の兵士規模を減らす一方で空襲を増加させるシナリオを予言しているものである。ハーシュの報道は、それは近い将来起きることを示唆している:「大統領の公式発言の中では述べられていない、縮小計画の中心要素は、撤退する米軍のかわりに米国の空軍力が投下されるという点である。米軍戦闘機による速やかで殺人的な攻撃は、最も弱いイラク戦闘部隊の戦闘能力をさえ劇的に強化するための方法だと見なされている」。

米国の主流派メディア組織は、直感に反すると同時にあり得そうな可能性をまだ認めていない:イラクに駐留している米軍兵士が少ないほど、いっそう多くのイラク人を殺すことになる可能性があるという点である。「米軍兵士の数を減らすと同時に空中戦を激化させて手先のイラク軍を創設することは、一部の者が指摘するように、殺されるイラク人の数をさらに増やす可能性が高い」とアメリカン・フレンズ・サービス・コミッティーのジョセフ・ジェルソンは語る。「これは、戦争を続けることが米国市民により受け入れやすい要に死体の色を変える効果を持つことになるだろう」。

このように政治的な戦略には大きな前例がある。1969年、リチャード・ニクソン大統領は「ベトナム化」政策の開始を発表した。これは、ベトナムに駐留する米軍兵士の数を3年で50万人以上削減するものである。けれども、その期間に、ベトナムに投下された米国の爆弾の量は実際に増加したのである。

似たような出来事が来年、2009年から上院・下院をどちらの党が支配するかを決める11月の選挙の前に起きる可能性は高い。イラクにおける軍事的敗北を避けたいという欲望と人気のない戦争の中で国内で共和党任期を高める必要性との間で、ブッシュ大統領が、イラクで空襲をエスカレートさせ続ける一方で駐留米軍の規模を削減する可能性は高い。そして彼は、空襲がイラクの人々に引き起こすおぞましい帰結を米国のニュース・メディアが見逃し続けるだろうと期待する十分な理由をもっているのである。

ノーマン・ソロモンは、「War Made Easy: How Presidents and Pundits Keep Spinning Us to Death」の著者。


投稿者:益岡