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2006/03/02

「サマラ危機」~イラクのブロガーたちの伝えていること(3)

サマラのアスカリ聖廟爆破についてのイラク・ブログのひとつ、Truth About Iraqis(「TAI」と略します)の2月24日記事。

……の前に、3月1日記事。回覧されてるジョークだそうです。

Fayrouz(→http://fayrouz.blogspot.com/)が教えてくれたジョークを紹介します。何かこれ、ネット上で広がってるみたいだね。。。

笑いに勝る薬はないってことで、読んだ方に笑っていただければと思います。笑えば生活も考えもちょっとは良くなるんではないかと。

「50年後のイラクはどんな国になっているでしょうか?」

――2055年、イラク国会での熱い討論は3ヶ月間続き、そして日本はイラクから過去最高のコンピュータ輸入量を記録した。

(※訳注:これは、日本製のトランジスタ・ラジオやテレビといった電化製品がイラクでは大変によく普及しているということについてのジョークだと思います。)

2057年、イラクはイラクの大学で学んでいるカナダ人学生たちを強制退去処分にする可能性があると述べた。カナダ人学生のひとりで、PhD取得を目指している者が、イラクの学士論文を盗用したため。

(※訳注:これは、英国が「サダムの大量破壊兵器は45分で」と言ったときの「根拠」なるものが、1992年の大学院生の論文のパクリだった、ということについてのジョークかな?)

2064年、アブ・ムザブ・ザルカウィとして知られるテロリストが98歳で逮捕され、精神病院に送られた。

このジョーク、Fayrouzのブログにもっとたくさんある。(※訳注:でもアラビア語です。T T)


では、2月24日記事。


Friday, February 24, 2006
Day four of Iraq's civil war - violence escalates
http://truth-about-iraqis.blogspot.com/2006/02/day-four...

イラク政府関係者、終わりのない内戦について警告;米軍後退か?

これがシスタニの考える「平和的抗議」ってやつか?
 政府はコントロールしているとか言っているが、イラクの状況はますます悪くなっている。

今入ってきたニュースです: アダミヤ地区の住民たちは、砂袋のほか使えそうなものは何でも使ってバリケードを築き、侵入者が入ってきて人々を殺して回ることを防ごうとしている。たった今、いとこの夫から話を聞いた。彼の血縁者がアダミヤに住んでいる。どうやら、イラク国家警備隊の制服や警察の制服を着た男たちが、銃撃戦を展開しているようだ。誰に対する銃撃なのかは現時点では不明。(どうかサドル派やらバドル旅団やらへの攻撃であってほしい。)

昨日ここで書いたように、米メディアは、外出禁止令のおかげで暴力が軽減したということを示すために全力を尽くしてお話を作ろうとした。これはまったく事実に反する。イラク人と話してみればいい。男性ブロガーから、自分の住んでる通りで3人が射殺された、シーア派の家族が家族全員皆殺しになった、といった恐ろしい話を俺は聞いた。

暴力が軽減しただって?

だが今日、メディアはしくじったということに気づいた。

今日付けのBBC記事が、外出禁止令などどうにもしょうがないということをはっきり書いている。Curfew fails to halt Iraq killing (外出禁止令 殺害行為に歯止めかけられず)

CNNも見出しで:Iraq curfew fails to stop fresh wave of bloodshed (イラクの外出禁止令 新たな流血の波を止められず)

MSNBCも:Iraq violence surges despite security measures (治安維持策とられるもイラクでの暴力激化)

【終わりのない内戦】
一方でイラク国防大臣は、イラクで終わりのない内戦が起きると警告している。

土曜午後の共同記者会見において、サドゥン・アル=ドゥレイミ国防大臣は、暴力を終結させ治安を確保するためには、イラクは街に戦車を派遣することにも躊躇しないとも述べた。

国営テレビで全国放送される記者会見で、大臣は「街を装甲車両でいっぱいにする必要があればすぐにもできる」と語った。

また大臣は、ムスリム法学者協会のトップ、ハリス・アル=ダリ氏をターゲットとした襲撃に、彼の言うところの内務省コマンドーは一切関わっていない、と断言した。

また大臣は、メディアに対し、流血を大袈裟に書き立てないようにしてもらいたいと語り、この数日間の死者数は、数百単位であると報じられているが、実際には多く見ても119、襲撃されたモスクの数は21か22であると述べた。(Aljazeera.net)

※訳注:これを報じているのはアルジャジーラだけではありません。例えば28日ガーディアン記事によると、「ワシントンポストは、サマラでの聖廟爆破以降、バグダードのメインのモルグでは既に1300という数字が記録されていると報じた。イラク警察の統計では死者数は1020である。しかしイラク政府と米軍は死者数はそんなに多くなく、土曜日の段階で119に留まっている、と述べた」そうです。(警察の数字まで否定する政府。orz...)


だが、Iraqirabita.orgは大臣の主張はおかしいといい、襲撃されたモスクすべての名前を、それぞれのモスクの被害の詳細をつけたリストにした。サドル派やバドル旅団に乗っ取られたモスクの写真もある。

モスクの乗っ取りを正当化する理由についての説明も載っている。いわく、サダムによって建てられたモスクはすべて、背教者のモスクであり、きれいに清められねばならないというのだ。彼らはそれらのモスクはワハビのものだと言っている。

俺に言わせればモスクはモスクであってモスクである。これらのサドル派やらバドル旅団やらのやってることは、民族浄化を促進することだ。

(※訳注:Iraqirabita.orgはアラビア語で私には読めません。が、ZeyadのHealing Iraq blogの22日記事の「追記(Update)」分に、イラク・イスラム党の発表に基づいたモスク一覧と地図があります。また24日記事25日記事でそれらの情報がアップデートされています。)

というわけで、宗教指導者たちが話をしているのを聞くと、ちょっとビックリだ。



シーア・スンニ両派の影響力のある宗教的・政治的指導者たちが、バグダードにおいて話し合いの場を持ち、イラクの内戦のおそれを増加させている宗派間の流血を収めるために協力しあっていくと述べた。

水曜日のシーア派の重要な聖廟への爆弾攻撃のあと暴力がエスカレートするなか、土曜日、シーア派のムクダタ・サドル師の代表団が、スンニ派の影響力のある宗教組織およびスンニ派最大の政治ブロックのメンバーほぼ全員と会談した。
(Aljazeera.net)


上の写真は、ムクタダ・サドルの代理の宗教家と、ムスリム法学者協会の宗教家が、バグダードのアブ・ハニファ・モスク(※訳注:スンニ派の拠点的なモスク)の外で一堂に会しているところ。

注目すべきは、サドルはイラクでのパワー・ブローカーとしての地位を著しく向上させたってことだ。(頼むから、サドルが最近イランを訪問していることも忘れないでほしい。)

どうもわからないのは、どうしてみんなこんなに嬉しそうなんだろうってことだ。この宗教家たちは流血を防ぐことができたのか? バグダード・ライオンズがNFLで優勝したのか? 俺にはほんとわからない。

外出禁止令が出されてから、何十人というイラク人が殺されている。この外出禁止令ってのは、内務省と関係のあるテロリストによって悪用されている、俺はそう考えている。

※原文では、ここにアラビア語で1文入っている。

アルジャジーラのアラビア語放送は数十という数の殺人を報道しているが、シーア派主導の国防省はこれを否定している。

バクバでは、シーア派とスンニ派の農民13人が銃殺された。犯人の正体はわかっていない。

カルバラで自動車爆弾、死者8名、負傷者31名。

【バージャットの葬儀に襲撃】
一方で、(サマラ取材中に何者かに)銃殺されたイラク人女性ジャーナリスト、アトワール・バージャット(Atwar Bahjat)の葬列に、2度の襲撃があり、2人が死亡した。

(ブロガーの)Baghdad Dwellerが、アル=アラビヤの生放送を書き取っている。それによると、埋葬を終えた葬列はイラク軍が警備していた。米軍は何もしていなかったようだ。

APの記事では、外出禁止令が出ているにも関わらずさらに2軒のモスクが炎上。外出禁止令は月曜まで延長されている。(攻撃のための時間を増やしただけだ。)国防大臣は戦車を使うと脅している。戦車だってさ。スンニ派の地域を急襲するのに使われるんじゃなかろうか。

【米軍後退か?】
一方、米軍とクロフォードのジョージ(=ブッシュ)には後退ということになるが、イラクの軍隊が格下げされた。

ワシントン(CNN):米軍の支援なしで戦闘能力のあるイラク軍の大隊はわずか1隊だが、その大隊が格下げされた、とペンタゴンが金曜日に述べた。これでその大隊は米軍の後援なしでは戦闘できなくなる。

その大隊は700から800名のイラク陸軍兵士から成っており、イラク軍の独立が順調に進展している見本として米国によって何度も示されてきた。

イラク軍の能力は、米軍が帰国することができつのはいつかという点について、重要なキーとされている。

先月ブッシュ大統領は、「これらイラク軍が主導的役割をもっと担ってくれるようになれば、わが国はわが国の戦略を続けていくことができるのです。つまり、イラク軍が立ち上がればわれわれは引き下がる、と」と述べていた。

ペンタゴンによれば、当該の大隊は前四半期の能力評価を経て「レベル1」から「レベル2」に格下げされた。

「レベル1」とは支援なしで戦闘することができるということを意味する。「レベル2」は米軍からの支援が必要であるという意味である。「レベル3」は米軍と共同で戦わなければならないという意味である。

http://www.cnn.com/2006/WORLD/meast/02/24/iraq.security/index.html


注目点は2点。まず、米軍は自身がバルカン化されていて……何というかその、もっと訓練しなければどうにもならないっていうことに気づいたということでしょうか、これは。それから2点目、これは、この先に行なわれる米軍がイラクを離れることはできないという声明の第一のアスペクトであるということ。イラクを去ることはできない、未来永劫に。

Update:(バグダードのブロガーたちの様子)モハメドからもアキルからもまだ何ら連絡はないです。Baghdad Treasureからはさっきメールが来た。Riverbendは更新なし。


Truth About Iraqisは、アスカリ聖廟爆破の2月22日から「イラクの内戦 第○日目」として記事を立てていますが、「5日目」からはその見出しをやめているようです。

また、最後にあるように、バグダードの他のブロガーたちの安否もずっと報じていて、今のところ誰についても最悪の話はありません。

記事中に出てくる、サマラ取材中に何者かに銃殺された女性ジャーナリスト、Atwar BahjatさんについてはTAIのもう1本の24日記事に少し詳しくあります(彼女のご遺体の写真があります)。コメント欄、BGさん@エジプトのコメントもご参照ください。銃殺されたジャーナリストは占領が始まってすぐにアルジャジーラの記者として現地レポートをしていて、その後アルジャジーラのイラクでの取材活動が禁止され、アルアラビヤに移った方だそうです。言葉がきれいで、しっかりしたレポートをしていたそうです。銃殺後、アルアラビヤにお姉さんか妹さんが出て、「姉の(or妹の)レポートをテレビの前で待っていたのに、今見ているのは彼女の葬儀です」と泣いていたそうです。

イラク人ジャーナリストが危険な状況で仕事をしなければならないことについては、Electronic Iraq掲載のIRIN Report(2月28日付)もご参照ください。

また、私もそうそう余裕がないのでバグダードについての記事しか紹介できないのですが、Zeyadのブログ(Healing Iraq)にはバグダード以外のことも書かれています(報道のまとめなどの形で)。

あと、TAIとはまったく違って「内戦になるわけがない」と楽観的なRaedは、ニューオーリンズに行っているそうです。(Raedはしばらく前から米国在住です。)

投稿者:いけだ

※追記
文中、「イラク軍が格下げされた」件についての部分で、元のCNN記事へのリンクが原文の段階で落ちていたのを付け加えました。

「サマラ危機」~イラクのブロガーたちの伝えていること(2)

サマラのアスカリ聖廟爆破についてのイラク・ブログを概観しているSalam Adilのブログから、2月23日記事(←リンク先は当ブログにおける日本語記事)に引き続き、2月25日の記事。23日のまとめの時点では更新されていなかったブログからの紹介です。

Zeyadが公開している音声ファイルは、私はDLだけはしたんですが、聞いてしまったらどういう気分になるのかがこわくてまだ聞いていません。(<ヘタレ。Salam Paxがときどきpodcastをしていますが、それとはちょっと違う。。。)


Saturday, February 25, 2006
Roundup: Catastrophe in Samarra
原文:http://asterism.blogspot.com/2006/02/roundup-
catastrophe-in-samarra.html


【概要】
サマラの危機は急速に深まっている。前回のイラクのブログのまとめは、Global Voices Onlineにも投稿したが、こういう時にこそ、ブログが他の形態のジャーナリズムを凌ぐのがはっきりとわかるだろう。人々の意見や感情が、ほとんどリアルタイムで伝わってくるメディアはほかにない。この記事と、世界各国のメディアの記事とを読み比べていただきたい。大手メディアがいかに現場から離れているかがわかるだろう。

では、まずは街の声:

Healing IraqのZeyadは、戦闘の只中にありながら、絶えることなくブログを更新している。
――「この3時間、うちの玄関の前で激しい戦闘が続いている。近所の噂では、黒い服の男たちがこのエリアに入ってこようとしているという。武器を持って、3ブロック先にあるこの地域のモスクを守っている子たちが、動くものなら何にでも発砲している。街路にいる誰かが人々に、自衛せよとさけんでいる。(外出禁止令が出ているはずだが、どうもそうは見えない。ネットの接続が不安定なので、できれば後でまた情報を追記したい。)バグダードの他のエリアから聞こえてくる話はぞっとするような話だ。これらを報じているところはどこにもないと思う。」

幸いなことにZeyadは情報を更新している。
――「UPDATE:どうやらうちの地区での攻撃者は退けられたようだ。戦闘は2時間くらい前、この一帯に電気が戻ってきたのとほぼ同時に終わった。今はときどきところどころで散発的な銃声がする程度。携帯電話を使って録音した音声ファイルをアップしたので、聞いてもらえれば何があったのかを把握してもらえるだろう。ファイルのリンク:音声ファイル1音声ファイル2。」

Zeyadのブログではモスクごとの情報が事細かに掲載されていて、この3日間で暴力的事態となった場所の地図もある。

Christopher Allbrittonは、武器を持ち、それでも平和的な大規模なデモ隊が、金曜日の午後4時に内務省へ向かって進んでいったと報告している。続けてクリストファーはスンニ派がシーア派の地域や宗教的な場所に反撃しているという報告をしている。

Iraq the Model [原文ママ](※訳注:←の注記はSalam Adilの原文ママ)では、木曜日の出来事をいくつか報じ、次のように述べている。
――「街の感じやシーア派宗教指導者たちのステートメントからは、報復攻撃は組織化され統制が取れており、サラフィやワハビの人々がよく来るモスクに焦点をあわせたもので、一般的なスンニ派のモスクに対するものではない、ということがうかがえる。」

Mohammed(※訳注:ITMを書いてる人のひとり)はまた、ほとんどの人々が、攻撃の多くはマフディ軍の仕業と考えている、とも書いている。

Truth About IraqisはYahooの機能を使っていとこと連絡を取ったという。そのいとこは「内戦のようだ、状況は本当に悪い」と言っている。TAIはバグダード在住のブロガーたちのことも心配している。またアラビア語の報道と西洋の報道からもまとめて書いている。

Riverbendは近所の様子をレポートしている。
――「うちのエリアに近い街路は不気味にひとけがなく静かだが、緊張感があるので私たちはみなぴりぴりしている。バラディヤト(Baladiyat)では暴動や破壊行為が行なわれたが、そういった地域での問題のことは耳にしている。バグダードでは攻撃されたモスクがいくつかあるということも聞いている。みなが動揺しているのは、反応がこんなに早かったからだろう。まるで起きるのを待っていたかのように早かった。……こんなに緊迫したことになったことがあっただろうか。みんな、ただ状況を見守り、静かに待っているだけだ。内戦だということはさんざん言われているが、それでも私の知っている人たちについては――スンニ派でもシーア派でも――内戦の可能性があるとはとても思えない。教育があり見識の高いイラク人たちは、互いを攻撃しあうなどという考えは受け付けない。そんなに教育のないイラク人たちでも、これはより大きな、より不吉な計画のほんの小さな一部なのだということに気づいている。……

次に犯人探し:

アスカリ聖廟の爆破が非常に計画的だったことを指摘した記事もある。

Baghdad Dwellerは爆破の方法を分析している。
――「これをやった者は、爆発物を所持したまま何の障害もなくモスクに入り、建物の構造をじっくり調べ、ドームだけが破壊されるように爆発物を仕掛ける完璧な場所を見つける時間があった。これはプロフェッショナルで統制の取れた破壊だ。爆弾は建築物解体の専門家によって仕掛けられている。」

The Woman I Was (※訳注:現在のブログ名はAn Iraqi Tear)は次の点に注目している。
――「サマラはアメリカ軍とイラク軍によって何ヶ月も包囲下にあった。許可なく市に入ることは誰にもできなかった。聖廟に爆発物を仕掛けた者たちは、火曜日の朝5:45から水曜日の朝7:00までモスク内に留まっていたのだが、いかにしてこれが可能だったのだろう?」

さらに彼女は、誰が最も得をするのかをリストアップしている。
――「イラクで内戦になったときに利益を得るのは誰だろうか? まずはクルド人。というのは、バルザニは何ヶ月も前に、内戦が始まったらすぐに独立宣言を出すと表明していたのだから。……アメリカ人は、これでまたイラク人を守るという口実ができる。それから政治的な「指導者たち」。イラクの財産から日々富を蓄えている。……ブッシュは常のごとく何ら恥を感じることなく、何十というモスクが燃え何十人という人たちが殺されているその日に、イラク人はメディアの自由と言論の自由を享受しているのであります、とのたまった。」

Zeyadが、シーア派諸勢力は得るところが大きいとコメントしている。
――「この事件のタイミングは非常に不吉なものだ。UIA(※訳注:SCIRI+ダアワ党)に対し、より包括的な政府を作り、宗派的武装集団を解体するようにという圧力が高まっているそのときに、この事態だ。私はめったやたらと陰謀論には組しないし、『これで得をするのは誰だ』で説明するのも趣味じゃない。人はばかげた理由でばかげた行動をとるものだし、暴力に走るのもまた非常に人間らしい反応である。しかしこの暴力の範囲と同時性というものは、非常に気がかりだ。」

Zeyadはまた、公式説明とは矛盾する目撃証言について書いている。
――「公式説明では、爆発の前の晩9時に、米軍とイラク内務省の治安部隊が、聖廟へ続く大きな道路を封鎖していたということだ。水曜日の夜明けにその道路は封鎖解除となり、部隊は撤退したとも。」また、「これはまた別の証言者だが……昨日イラン人が2人逮捕されたと述べている。また、アル=アラビヤの取材班は彼らを撮影していたのだとも。」

(※「アル=アラビアの取材班」とは、サマラ取材で何者かに銃殺された取材班のこと。)

Truth About Iraqisはアメリカだという。
――「アメリカの外交政策によって組み立てられた政府の中でも、この政府は最も腐敗し無能な政府であるに違いない。あの段階でもこの段階でも、まるっきり機能していやしない。しかし、この政府は行政機構ではなく、反体制の種をまたまいているだけだ。この反体制の種は、イラク統治評議会によって(大規模戦闘終結宣言後の)早い時期にまかれていた。それが今、実を結びつつあるのだ。」

Iraqi Punditはメディアの問題を指摘する。
――「自爆だの殺人だの拉致だのといったことが続く中、イラク人たちは本当の内戦を避けるために努力してきた。しかしメディア的にはこういった努力は無視したいものだった。その代わりにメディアはムクタダ・アル=サドル一派の攻撃的な行動に焦点を合わせたのだ。」

そしてThe Baghdad Alcohol Sponge(※訳注:米軍or米大手メディアor米企業関係者か? よく見てないので私には詳細わかりません)は珍しくはっきり書いている。
――「実際に自分で街に出てイラク人と話をしてみた。誰もが同じことを言う――いわく、スンニ派とシーア派の間を炎上させようと人を送り込んでいるのはサウジ・アラビアだと。そして、イランはサウジに反対しているので、イランもまた地元の人間を利用している、と。ヴェトナムをめぐる米ソのようだ。」

さて、トリを飾るのは:

24 Steps to Liberty
――「今日の新聞で、挑発的でいかにも内戦だといった言葉しか紹介されていないのにびっくりした。昨日イラク人の間ではものすごい連帯が示されたのに(少なくとも私たちにはそう見えた)、それを書いている新聞はほとんどゼロ。昨日、スンニ派のモスクが誰なのかわからない男たちに襲撃されたことやスンニ派の人が何人か殺されたことは本当のことだ。しかし、反応として起きたのはそれだけだったわけではない。新聞は中立であるべきだ、両方の側を伝えるべきだと習ったんではなかったか。……みんながイラクの内戦を予想している。そうなるかもしれないが、私はそうなるとは考えていない。こうして新聞は、内戦の最初の一歩に貢献したがっている。恥を知れっての。「自由で嘘のない」報道とはよく言えたものだ。」

それからAn Iraqi Tear:
――「イラクの人々、そして世界の気高い人々は、ブッシュとブレア、それからイラクの血が流れるのをただ見ているだけで止めようとはしない連中全員を、唾棄すべきものとしなければなりません。今また、世界よ、起きてと私は叫んでいます。イラク人よ、目を覚まして。涙があふれてきて書き続けることができなくなりそう……私たちのために祈ってください。モスクを燃やしている人たちはどうして米軍とイラク軍を呪わないのでしょう。(ナジャフの)イマーム・アリ寺院を爆撃したのは彼らだというのに。預言者ムハンマド(彼の上に平安あれ)の最初期の弟子のひとり、マリク・ビン・アナスのバスラの寺院を攻撃した者たちを誰も責めないのはどうしてでしょう。(※訳注:Malik bin Anas (715 - 796) はスンニ派。バスラはシーア派が多数の都市。)……預言者を攻撃している戯画と聖廟の爆破とのつながりを見出そうとする人が誰もいないのはどうしてなのでしょう。

by Salam Adil at 10:39 AM


それぞれのブログの詳細は、それぞれのブログ(リンクしてあります)でご確認ください。

Salam Adil blogでのroundupはこの後も続けられています。余裕がある限りご紹介したいと思っていますが、どなたか先に日本語にされた方がいらしたら、コメントいただくかトラバいただくかでお知らせください。よろしくお願いします。

投稿者:いけだ

「サマラ危機」~イラクのブロガーたちの伝えていること(1)

サマラでのアスカリ聖廟爆破以降、「宗派間対立」が「激化」し、少なくとも1300人が死亡したと伝えられ、Fox Newsなどが「全面的内戦(all-out civil war)」と位置づけています。これら大手メディアの記事とは別に、イラクの/イラク系のブロガーたちの記事からいくつか見ていきたいと思っています。

イラク・ブログから、当ブログ(teanotwar)にて何らかの形でご紹介したいと思う記事はいくつもあるのですが、とりあえずはイラクのブログを巡回してまとめてくれている在英のイラク人Salam Adilのブログから。

彼は先日アルジャジーラの取材を受けていて、その中で「英国のBBCや新聞の報道とイラクのブログの内容を読み比べてみると、まったく別世界のようだ」と述べています。彼自身、だからこそイラクの外でイラクの“ニュース”についてのブログを書いています。(なお、このアルジャジーラの記事は「イラク・ブログ最新事情」的な記事で、Salam Adilのほか、Zeyad、Baghdad Treasure、Riverbend、Hammorabiなど11人のブログ/ブロガーが紹介されています。)

2月23日、Blog Roundup: Catastrophe in Samarraという記事:

Thursday, February 23, 2006
Blog Roundup: Catastrophe in Samarra
原文:http://asterism.blogspot.com/2006/02/blog-roundup...

【概要】
ブロガー全員に共通しているのは、サマラのアスカリ聖廟爆破をやったのはイラク人ではない、という意見だ。外国人テロリストの仕業というブロガーもいるし、アメリカだというブロガーもいる。イランがやったという意見すらある。そしてほとんど全員が、これが全面的内戦の始まりとなるのではないかと心配している。

まずは現場からのレポート:

Christopher Albrittonは、爆破が報じられたときにグリーンゾーンにいた。ある人物にインタビューする予定だったのがキャンセルされたので、何か大きなことが起きたのだということは知っていた。

Iraq the ModelのOmarは、外国から来たテロ集団の仕業と考えている。また彼はバグダードの緊張を次のように報じている。
――「散発的な銃声がバグダードのあちこちでしている。しかしその銃声が銃撃戦なのか、それとも腹立ちのあまり空に向けて撃っているのかは誰もはっきりとはわからない状態だ。」

Healing IraqのZeyadのブログが、今の雰囲気を最もはっきりと伝えている。
――「バグダードの状況は悪い、本当に悪い。シーア派の地域で大規模な抗議行動が起きているとか、バラディヤット(Baladiyat)やシャアブ(Sha'ab)やドーラ(Dora)でスンニ派のモスクへの攻撃があったと知らされて、仕事を早引けして帰宅しなければならなかった。サマラはスンニ派がほとんどの都市で、シーア派の神殿への攻撃はスンニ派がやったとされている。今は街には誰もいないようで、商店も軒並み閉店しているようだ。銃声やら、米軍のヘリやジェットが空を旋回している音がする。」

Baghdad Treasureも家まで帰るのが大変だったそうだ。
――「仕事を早引けして帰宅することにした。治安当局がほとんどの道路を封鎖しているだろうと思っていたのだ。今日ばかりは運転手に言って、装甲を施した車で帰宅することにした。私はこれが大嫌いなのだが避けられない。日没の時間だった。ふだんなら、あまり遅くならないうちにと、人々はこの時間帯に買い物をしたり楽しんだりするのだが、今日のバグダードはまるでゴースト・シティだった。家に着くまでに見かけた車はほとんどなく、見た車もすべて何か危険があってはと猛スピードで飛ばしていた。恐ろしかった。何せまだ完全に日が落ちてはいなかったのだから。」

An Average IraqiのHassan Kharrufaがサマラの爆破のことを知ったのは、BBC記者が突然電話をかけてきたからだという。
――「(久しぶりに大学に行くためにタクシーに乗っていると、携帯が鳴った。)誰からの電話だろうと思ったら、プライベートな番号からの着信だ。ということは、誰かがイラクの外から電話してきているという可能性以外にはない。『ここで降ろしてもらいたいんだけど』と運転手に告げた。(タクシーを降りて電話に出ると、女性の声で『もしもし』という。明らかにイラク人ではない。女性はBBCの記者だと名乗った。これまでにも何度かBBCの記者からの連絡はあった。だから今回もBBCの記者からの電話でも驚きはしなかった。BBC記者は、大きなニュースは耳にしているかと訊いてきた。私はいや知らない、何があったんですかと尋ねた。『昨晩、イラク警察の服装をした武装した男たちがサマラの寺院に押し入り、今朝、警備員を縛り上げてから爆破したんですよ』。私は何が何やらという気分になった。サマラの寺院にはハッサン・アル=アスカリとアリ・アル=ハディが埋葬されている寺院しかない。しかしそんなことをする者などいるだろうか? それがいたのだ。)」

※訳注:AVIの記述の日本語訳で、カッコで示した部分は、Salam Adilの要約には入っていない部分。

次にブロガーたちの意見:

Raed in the MiddleのRaedは、この爆破の結果として内戦になるということに懐疑的である。彼はスンニ派モスクへの報復攻撃はすぐに終わったということを指摘した上で、次のように言う。
――「イラクの火山が噴火したときに火傷するのはイラク人ではない。ブッシュ政権はそういうことを促進しようとしているし、そう主張しようとしているが、イラク人はこれまで1度も内戦をしたことがないのだ。これからだって内戦などはありえない――ただし占領軍がイラクに留まるのなら話は別。……今日の攻撃は、さまざまな宗教・宗派の指導者と社会的な指導者が受け止め対処しなければならない悲惨な事態がまた起きた、ということであり、この事件でさらなる暴力が、それが誰に対するものであっても、引き起こされることはないと僕は考えている。また、そのことで世界に対して、イラク人はどんなにひどい危機に際しても、互いを攻撃しあうことなく、自分たちで対処することができるのだということが示されると、考えている。」

Truth About Iraqisは、いくつもの情報源から情報をアップデートして、何が起きたのかを的確にまとめてくれている。彼はアメリカの利益になる内戦を予想している。
――「イラク内戦の初日:スンニ派が殺され、『数十』のスンニ派モスクが攻撃された……アメリカによるイラク解放計画はついに最終段階に入った。内戦が避けがたいものと思われるなか、米国の対イラク計画は実を結びつつある。」

またTruth About Iraqisはこの後の記事で次のように述べている
――「明らかに外国のエレメントによって、私たちは徐々に内戦へと近づけられてきている。このような犯罪を甘んじて受け入れるイラク人などいない。私たちの国の社会という組織を引き裂こうとするイラク人などいない。」

Baghdad Dwellerは、誰があの攻撃を行なったのかを考察し、イランまたはアメリカではないかと絞り込んでいる。

Free IraqのImad Khaduriは、報道と内務大臣のステートメントとの明らかな矛盾点に注目している。(※訳注:リンク先を参照していただければわかりますが、報道では「軍服の男1人と黒い服の男3人がモスクに入り、爆弾を2つ爆発させた(AP報道)」、「匿名希望の警察官によれば、武装した男たちのうち少なくとも1人が制服姿で、日の出前に聖廟に押し入り、警備担当の警官5人を拘束した(アルジャジーラ)」とあり、一方で内務大臣のステートメント(アラビア語)では「テロリスト・ユニットは2月21日火曜日の午後7:55に聖廟を制圧し」たが、「爆弾が爆発したのは水曜の朝、午前6:40だった」とし、また「聖廟の警備は警察官35名によって行なわれていた」としている。また、Free Iraqでは後にUpdateとして、最初の2件の目撃情報と内務省のステートメントとが一致している点に言及、かつまた、イラク内務省とCIAのつながりに言及し、何やら疑わしいということを示唆している。)

AsterismのSalam Adilは、政治的プロセスとちぐはぐになっていることを指摘、また、次にまた「サマラの事件」が起きて人々が街頭に飛び出す前に、アメリカの政策を根本的に変更する必要があるのではないかと述べている。

最後にBaghdad Treasureから。
――「美しく歴史あるこの国が破壊されるのを見ているのはつらい。アメリカ人がやっただけではまだ足りないというのか。イラク人は苦しみ、殺され、自身が辱められるのをただじっと見ているだけで、互いを殺しあわねばならないのか、ただ単に、アメリカが世界をより安全にする道からサダムを取り除きたかったからという理由で。それともアメリカをより安全にしよう、アメリカ人じゃない者はどうでもいい、と、彼らの一部が言うようなことなのか。イラクの『解放』のおかげで全世界はより安全になったのだから、全世界は喜ぼう、しかし残念なことにイラク人にとっては最悪の状況になってしまった、ということか。」

by Salam Adil at 11:06 PM


次は、同じくSalam Adilの2月25日の記事を日本語にしてポストします。(予定)

投稿者:いけだ

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「はてな」さんのサービスを利用し、イラクのブログを集めた公開型のRSSリーダーを作りました。

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メインはIraqi_blogsのフォルダです。Iraq Blog Countに登録されているブログから、長らく更新停止になっていなさそうなものを選び、その中からさらに、私が読みたくないものは主観で外してあるので、これでイラクのブログのすべてが網羅されているわけではありませんが、よろしければ皆様もご活用ください。

なお、同じく「はてな」のサービスを利用して、公開型ブックマークもつけています(記事少ないんですが)。Mosulの女子高生ブロガーAunt Najmaの「モスル大学に本を」プロジェクト(寄付金募集中)のページなどがリンクしてありますので、こちらもご活用ください。
http://b.hatena.ne.jp/teanotwar/

投稿者:いけだ