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2005/03/26

Downtown Baghdad Blues

アイリッシュ・アメリカンのニューヨークのバンドが,イラクにいる米軍兵士の気持ちをDowntown Baghdad Bluesという曲にしてます。

なんとなく読んでみたアイルランドのニュースを中心に放送している米国のラジオ局のウェブログで,ニューヨークのBlack 47というバンドのDowntown Baghdad Bluesという曲を知りました。

下記URLで全曲聞けます。(曲の前後にやけに淡々としたバンド紹介などが入っています。)
http://www.npr.org/dmg/dmg.php?mediaURL=/asc/asc80/20050317_asc_03&mediaType=RM

バンドの公式サイトamazon.co.jpでも試聴はできますが,全曲ではありません。

曲としては,アイリッシュ・トラッドがベースのロックにヒップ・ホップのスタイル――とどっかのレビューには書いてあったのだけど,ロックというよりアイリッシュ・トラッドで,声質のせいかヒップ・ホップっていうよりむしろルー・リード(笑)という感じで,非常に聞きやすいと思います。ヘッドフォンで少し音量を上げて聞くと,いろいろな音が入っているのがはっきりわかります。

このDowntown Baghdad Bluesは,今年の3月1日にリリースされたアルバムに収録されている曲で,曲名でネットで検索すると何件もレビュー記事が読めます。

曲を書いたLarry Kirwanは,「イラクにいるうちのバンドのファンの人たち(米軍兵士)からのコメントを反映した」とインタビューで言っています。

歌詞はアルバムの公式サイトで読めます。
http://www.black47.com/elvismurphy/index.htm
※Read song lyrics from the albumというところをクリックすると,小窓が出ます。

少し引いておきます:
I wish I was back in the land of Giuliani
Instead of takin' heat from Ayatollah Sistani
Don't know what I'm doin,' but one thing is clear
Twenty years old, I can kill but I can't buy a beer
Keep your head down, don't get your brain cells fried
You'll be home by Christmas - dead or alive!

シスターニにあれこれ言われてるより
ジュリアーニの街に戻りたいよ
自分でも何してんのかわかんないけど
ひとつはっきりしてんのは
僕は20歳で,
人を殺すことはできるのに
ビールは買えない
頭は上げるな,脳みそのフライはごめんだろ
クリスマスには家に戻れるさ――死体になってるかもしれないけどね

……

Shia don't like me, want Islamic Revolution
Sunni say civil war is part of the solution
Maybe someday there'll be peace in Fallujah
McDonald's on the boulevard, Cadillac cruisin'
I'm tryin' hard to keep this whole thing straight
But will someone tell me what am I doin' here in the first place?

シーア派はイスラム革命がやりたいんであって
僕のことなど嫌ってる
スンニ派は内戦もありだと言う
いつかファルージャにも平和が訪れるかもね
大通りにマクドナルドができてキャデラックが走り回る
あれもこれもとりあえず何とかするしかないわけで
けどさ,一体そもそも僕はここで何をしてるわけ?
誰か教えて


バンドについての情報:
listen.co.jp(ほとんど情報らしい情報なしですが日本語ページ)
バンド公式サイト

Black 47はニューヨークを拠点とするアイリッシュ・アメリカンのバンド。バンド名は,アイルランドのじゃがいも飢饉が最もひどかった1847年がこう呼ばれていることに由来。

ニューヨークのアイリッシュ・アメリカンというと,2001年9月11日に世界貿易センターで亡くなった消防士には,アイリッシュ・アメリカンがたくさんいました。

そして「テロとの戦い」であるとされる「イラク戦争」で,イラクに送られたアメリカ人が――アイリッシュな音楽をやってるバンドのファンだからおそらくはアイリッシュじゃないかと思うんですが―― will someone tell me what am I doin' here in the first place? と言う。

……思いつきで「アイリッシュ」をこんなふうにつないでみたのですが(「アイリッシュ」というくくり自体の使い方がうさんくさいし,だから何ら意味あるものではないし,茶飲み話にすらならないのですが),歴史は皮肉だとつぶやきたくなります。

さらに「アイリッシュ」には「IRAのテロ活動(武装闘争)」という要素があり,これについては,話をする機会のあったある英国人(保守党支持者で白人)が「WTCで死んだ消防士の多くはアイリッシュだ。そしてニューヨークのアイリッシュ・コミュニティはIRAを支持してきた。したがって彼らに自分たちはテロの犠牲者ですという顔をする資格はない」と言っていました(ものすごい三段論法)。このケースだけではなくネット上ではこれと同じような感情はしばしば見かけます。「うちらに対してテロ活動をしてきたIRAを支援していたUSAをうちらの政府が支持してうちらの国の軍隊がドンパチやってる不条理」というか。

さらにそのアイルランドに対し英国は……,ということを考え出すといつまでも終わらないので,ここらへんで終わりにします。

なお,この曲が収録されているアルバムは,アイリッシュ・アメリカンであるバンドのリーダーLarry Kirwan(文筆家でもある)の回想録と同時リリースされるものです。

アルバムのリリース元レーベルによるCDの内容紹介:
http://www.gadflyrecords.com/products/289.htm

回想録の内容紹介:
amazon.co.jp(英語のエディターレビュー)
amazon.com(ユーザーレビュー数件あり)

インタビューではthe Irish Echoのものがおもしろかったです。

あと,The Contemporary Pop Music of the Irish Diasporaという文章もあります。ここで紹介されているStiff Little Fingersというパンクバンドの代表曲に,Suspect Deviceという曲があります。その歌詞に,Their solutions are our problemsとか,They take away our freedom in the name of libertyとかいうフレーズがあります。思わず笑ってしまうくらいに「同じ」です。


投稿者:いけだ
2005-03-25 12:50:54

米国はイラク人誘拐者をスパイに仕立て釈放した

米軍は、サダム時代の治安部隊等を「治安」のためにやとっていますが、それと誘拐等とのからみ、そして誘拐犯を米軍がスパイ活動と引き替えに釈放していることについて。

彼らはイラク社会崩壊を促している
米国はイラク人誘拐者をスパイに仕立てて釈放した
パトリック・コックバーン
2005年3月23日
CounterPunch原文

イラクに駐留する米国の諜報と軍事警察士官たちは、日常的に、危険な犯罪者たちを、ゲリラ(insurgents)をスパイするという約束と引き替えに釈放している。

私たちが書類を実際に見た一つのケースでは、警察が医者を誘拐した者たちと銃撃戦を行なって医者を救い出した、誘拐ギャングの二人を逮捕し、その二人は全面的に自白した。けれども米国軍事警察が二人の拘留を引き継ぎ、そして釈放させた。ギャングに脅迫されたあと、くだんの医者はエジプトに逃げ出さなくてはならなかった。

これら二名の誘拐者が拘留されていた警察署には、二名を米軍が運営するキャンプ・クエルボの拘留所に移動させるべく米国軍事警察の中尉に引き渡されたという記録が残されている。けれども、米軍報道官は、軍のデータベースにその二名の記録はないとIoS(インディペンデント日曜版)に語った。

「アメリカ人たちはイラク社会が崩壊するがままにさせている。というのも、彼らはゲリラと戦うことにしか関心がないからだ」と上級イラク警察官は語る。「我々は誘拐や強請や暴力犯罪の蔓延を扱っている。けれども、アメリカ人たちは、しばしば身代金交渉に使われるケータイや衛星電話の通話を傍受しているにもかかわらず、我々に刑事犯罪関係の情報を提供しない。アメリカ人たちは、情報をゲリラと戦うためだけに使いたがっている」。

あるイラク政府筋は、刑事犯罪の容疑者がしばしば、ゲリラについて密告することに合意すれば釈放されているのは本当だとのべた。普通のイラクの人々にとって危険であるにもかかわらずである。イラクの中流階級は、サダム・フセイン政権が崩壊してから誘拐者たちの大きな標的となってきた。多くの医者----お気に入りの標的である----やビジネス関係者がシリアやヨルダン、エジプトに逃げ出した。警察は、次から次へと起きる拉致を阻止することはできないことを認めた。

タミル・モハメド・アリ・ハサファ・アル=カイセイ(60歳)は3台の車に乗った11人の誘拐者に拘束された。12月23日午後6時30分、自分の診療所から家に車で帰る途中だった。「家から50メートルくらいのところで、ジープ・チェロキーに乗った銃を持った男たちが私を止め、拳で私を殴った」とハサファは後に警察に語った。「彼らは私の顔を床に押しつけて車に連れ込み、私のジャケットで私を縛り付けた」。

イラク中部では、誘拐者はほとんど不処罰に近い状態で活動しているが、ハサファ医師は例外的に幸運だった。誘拐者たちが警察の検問に出くわし、銃撃戦が始まった。殴られて彼の足は折れたが、車から這い出すことができ、警察に向かって叫んだ:「私は医者だ。誘拐された」と。

このケースは警察にとってめずらしいブレークスルーだった。インディペンデント紙日曜版が入手した誘拐者たちの二人の告白によると、この二名の容疑者----一人は現役の警察中尉だった----はこのギャングの活動法について稀な情報を与えており、驚くほど多くの誘拐を実行していることがわかった。

警察中尉ムハメド・ナジム・アブドゥラ・アル=ドーリとアドナン・アシュル・アリ・アル=ジャブーリはいずれも、サダムが直近の治安部隊と軍士官の多くを登用した有力な部族のメンバーだった。けれどもギャングの動機はどうやら純粋に犯罪にあるようである。

アドナン・アシュルは調査を行なった判事に対し、ギャングの指導者はアブ・ファハドというあだ名を持つ携帯電話店経営者エイハブと弟のヒシャムだと語った。彼によると、エイハブは旧政権で40年の禁固刑を言い渡された犯罪者であるが、どうやら2002年末の一般恩赦で解放されたようである。

バグダード東部のサドル・シティのムハメド・ナジムは特別な警察の家に暮らしている。彼は言う:「私はサダム政権崩壊前からヒシャムと関わっていた。それから彼は著名人の誘拐に関して私に接触してきた。私の仕事はギャングの安全を保証することだった」。ギャングのメンバー全員が拳銃で武装していた。彼らは誘拐の犠牲者を拘束しておく複数の隠れ家を持っていた。容疑者は二人とも、この数カ月間、沢山の他の誘拐にも参加してきたという。犠牲者たちは一軒につき最大6万ドル(700万円)を払ったという。皮肉なことに、ハサファ医師は誘拐する価値があると彼らに通告したのは、医師が住む通りの住民を守るために雇われた守衛であった。

イラク警察は、誘拐ギャングがどうやって活動しているかについての詳しい情報をついに手に入れたと歓喜した。拘束された二人は、ギャングの他のメンバーの名前と住所を進んで提供しよう都市、イラクのテレビと地元新聞はこの成功を大きく取り上げた。けれども、警察が驚愕し肝を潰したことに、米国軍事警察の一団が12月30日に、ムハメド・ナジムとアドナン・アシュルを拘留していたアル=カンサ警察署に現れたのである。警察署にいたイラク警察官は次のように記録している:「米軍事警察は2名の犯罪者の保護を要求した」。イラク警察は残りのギャングの告発を諦めた。

一方、ハサファ医師は囚人の家族たちから2度の訪問を受けた。一度はムハメド・ナジムの父の訪問で、誘拐の告訴を取り下げれば金を提供すると述べた。彼は、自分がイラク共和国防衛隊にいたと述べ、脅すようにこう付け加えた:「我々に何ができるかはご存じでしょう」。

二度目の訪問のとき、ハサファ医師は誘拐者たちが釈放されたと知った。彼は家族に対する殺害脅迫に負けず告訴取り下げを拒否したが、1月にヨルダンに逃げ、それからエジプトに避難した。


投稿者:益岡
2005-03-24 21:50:23

※コメント欄での補足情報
■ 上記記事はおそらく英Independent on Sunday掲載の記事です。
上記記事の筆者であるPatrick Cockburnは,英インディペンデント紙にも書いていますが,この記事は3月20日のインディペンデント・オン・サンデーに掲載されたもののようです。

インディペンデントのウェブ版では,有料記事になっていますが,URLは下記です。
http://news.independent.co.uk/world/middle_east/story.jsp?story=621845
いけだ (2005-03-24 23:38:22)