都市インフラの破壊(BBC、4月5日)
Iraq blighted by poor services
Last Updated: Tuesday, 5 April, 2005, 17:24 GMT 18:24 UK
By Caroline Hawley
BBC News, Baghdad
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/middle_east/4414291.stm
バグダード陥落から2年が経過したが、公共サービスの状態についてはイラク人の間に深い不満がある。
イラクの多くの場所では継続的に停電が発生し、病院は適切な治療を提供するのに大変な苦労をしている。
下水が処理をされぬまま川に流れ込んでいることも珍しくない。そしてその川の水をイラクの人々は飲料水としなければならない。
首都バグダードを見ると、この2年での最もはっきりとした変化は、コンクリート製の爆発防護バリアが雨後の筍のごとくできたことだ。
ほとんどの地域では、復興の目に見える兆候はほとんどなく、バグダード全域で、多いときで1日のうちの半分が停電しているという状態だ。
電気設備の労働者たちが先日、暴力と破壊行動を非難するデモを行なった。
発電所や鉄塔に対しては、反乱勢力による攻撃が繰り返し発生している。
治安の悪さは復興にとっての最大の障害となっている。しかしイラクの役人と話をすると、このほかに大きな問題があるという――資金である。
公共事業省のHumam Misocniは、状況を夏の日差しの中の氷のかけらにたとえる。
「資金が十分ではないので、我々としても動きが取れないのです。昨年、イラク全土で15の浄水施設を開始しましたが、今年は新しい施設を建てるための資金がないのです」と彼は言う。
米国はイラク復興に184億ドルを出しているが、Misocni氏の話では、公共事業省に当てられていた金の7割以上が、現在では防衛と治安に配分し直されているという。
そのために、非常に必要とされるプロジェクトが白紙撤回されざるを得なくなっているのだ。
現在のイラクは必要としている飲料水をすべては作れない状態である。
「私たちの国民は、川や井戸から直接、水を飲んでいます。処置された水あるいは浄水と呼ばれているものも、実際には清潔ではありません」とMisocni氏は言う。「下水で汚染されているのです。」
ということは、とりわけ子どもたちが病気になっているということを意味する。
予防できるはずの病気が、戦争から2年経過したここでは、人々を殺している。
統計は手に入れることが困難であるが、ある役人はBBCに対し、新生児10人のうち1人が、5歳になる前に死亡するだろう、と語っている。
上記のように、BBCでは、「インフラが壊れたままなのは、インサージェンツが攻撃するからだ」というような感じの書き方をしています。
しかしそれが――それだけが事実であるのかどうかは、別途検証が必要な部分だろうと思います。(むろん、「インサージェンツ」の破壊行為があるにしても。)
今年の1月に、バグダード郊外部のアル=ドーラ地区を取材したダール・ジャマイルは、次のような住民の話を記事にしています。
15歳の学生,モハメドは,自宅の側に立って自分の見たことを語る。「ブルドーザーで潰されたおばあさんの墓があります。」そして近くの道路を指差して,「米軍が柵を壊してしまったので,家畜を襲うオオカミが出没しています。農作業に使う機械もたくさん破壊していきました。あと最悪なのが,電気を止めたことですね。」
〈中略〉
「畑に水をまくポンプを動かすのには電気がないと」とモハメドは言葉を続ける。「今は川からバケツで水を汲んできてますが,大変です。彼らは状況を改善すると言ってますけど,ますます悪くなってる。サダムのほうかこれよりかはまだましでした。うちの親戚が3人サダムに処刑されてますが,それでも。」
また、記事を読んだ感想みたいなことですが、このような状況が最もつらいのは、イラク人のエンジニアたちではないかと思います。電気や上下水道といった、生活に必要なインフラを作ることを仕事としている人たちは、「まともな飲料水がなく下水設備もないために病気が増えている」という自分たちの国の状況を、どんな思いで見ていることか。
4月9日、バグダードでは「大規模な反米デモ」があったとのことです。BBCによると、「シーア派指導者ムクタダ・サドル師の支持者」たちが数万人、サドル・シティからフィルドス・スクエア(サダムの銅像引き倒しの現場)まで行進したそうです。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/middle_east/4429137.stm
いけだ