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2006/06/10

抵抗する勇気

 
米軍のエレン・ワタダ中尉が、イラク派兵に抵抗し辞表を提出しました。一部大手メディアでも報じられていますが、そのワタダ中尉へのインタビュー。

抵抗する勇気
サラ・オルソンがエレン・ワタダにインタビューする
ZNet 原文
2006年6月9日

エレン・ワタダは29歳。アメリカ合州国軍の中尉である。彼が軍に入ったのは2003年、イラク戦争に向かっていたときだった。2006年1月、彼はイラクでの戦争に抗議し、辞表を提出した。彼は6月後半にイラク派遣命令を受け取る予定であり、イラク派兵命令を拒否した最初の中尉となるだろう。それは、GIの抵抗運動として、ベトナム戦争以来最大のものとなる可能性がある。彼は軍事法廷にかけられ、故意の任務不履行、恥ずべき任務放棄などをはじめとするいくつかの点で最大2年間の禁固刑を受ける可能性がある。彼は、不法かつ不道徳な戦争に反対して声を上げることには、そうした罰を受けることやその他のこととは比べられないほどの価値があると語る。ジャーナリストのサラ・オルソンが、5月、ワタダにインタビューした。

サラ・オルソン:2003年に軍に入ったとき、何を目標としていましたか?

エレン・ワタダ中尉:2003年というのは、9月11日のテロ攻撃から2年がたっていたときでした。私は、自分がわが国に必要とされており、国に仕えなくてはならないと思いました。今でも強くそう思っています。軍務と責任を強く信じています。軍に入った理由の一つはそれです。愛国心です。

私は合州国憲法の前で宣誓し、憲法が体現している価値と原則に宣誓を誓いました。合州国憲法は、われわれを特別なものにしています。専制を許さず、説明責任とチェック機能、バランスを信じ、人民による人民のための政府を信じています。軍は、私たちを特別なものにしているそれらの自由と原則と民主主義を守らなくてはなりません。私自身を含めてたくさんの人が、祖国を愛し、祖国の表すものを愛しているために軍に入ったのです。

オルソン:あなたが軍に入ったのは、イラク戦争に向かっているときでした。けれども、あなたは戦争に疑念を抱いていました。どうして疑念を抱いたのですか?

ワタダ:アメリカ合州国と世界中の人々と同様、私は、大規模な大量破壊兵器や、アルカーイダや9月11日の出来事との関係についてテレビで彼らが語っているのを聞きました。また、何百万人もの人々が世界中で戦争に反対して抗議するのを見ましたし、抗議のために政府を辞任する人々の話を聞きました。私は、合州国大統領とその補佐官たちがイラクに対して向けている非難の証明がない限り、戦争はおそらく正当化できないだろうと悟りました※。

けれどもまた、私は、大統領に「疑わしきは罰せず」の余地を与えるべきだと思いました。当時、私は、われわれの指導者が、われわれの彼に対する信頼を裏切っているなどと信ずることも、考えることもできなかったのです。

オルソン:軍での経験はどんなものでしたか?

ワタダ:最初の任務地は韓国でした。士官の役割を学ぶのは難しく、海外勤務も困難でした。難しい状況に置かれたのです。何をすべきか命令されるだけではありません。士官として、常に例を示さなくてはなりません。望まないときでも、正しいことをしなくてはならないのです。戦地に行ったときの仕事は、1日が終わって家に帰り、シャワーを浴びてリラックスし、おいしいご飯を食べるような民間人の仕事とは違います。

オルソン:それで、韓国から帰国したあと、イラク赴任の命令を受けたのですね。そのとき何を考えましたか?

ワタダ:韓国では、別の任務の訓練を受けましたが、イラクで起きていたことについては皆が知っていました。司令官は、戦争に備えよ、そのための訓練を始めよ、と言っていました。

帰国したあとも、戦争について、どうしてわれわれが戦争しているかについて、疑問を持っていました。私がイラクに派遣されると聞いたとき、私は「了解、それに向けて訓練します」と言い、部下の兵士たちの訓練を始めました。自分ができる限り、それをきちんとやろうと思ったのです。

オルソン:では、何があなたを変えたのですか?

ワタダ:戦争に行くためには、できる限りの勉強をしなくてはならないと気づきました。まさにこの戦争に派遣されるのはどうしてか? この戦争がもたらすものはなにか? 帰国した兵士を待ち受けているものは何か? 私は手に入る限りのものを読み始めました。

たくさん読んだ本の中の一冊は、ジェームズ・バムフォードの『戦争の口実』でした。この戦争を始めて進めるにあたりブッシュ政権がどれほど巨大な偽りを行ったか読み、ショックを受けました。私は軍服を着ていることを恥ずかしく思いました。イカサマと嘘に基づいて戦争を始めたと知りながら、伝統ある軍服を着続けることなどどうしてできたでしょうか? それは、合州国市民の信頼を裏切るものでした。そして、政府の嘘は、軍と兵士の信頼を裏切るものだったのです。

心がどよめきました。命令に従い、自分では誤ったものだと考えていることに参加すべきだろうか? 軍に入ったとき、命令には疑問を持たずに従えと教わりました。兵士たちは非政治的で、自分の意見を声を上げて表明しはしません。

私は自問し始めました:どうして私たちは死んでいるのだろう? どうして四肢を失うのだろう? 何のために? 大統領とその補佐たちが、われわれは民主主義のために、よりよいイラクのために戦っていると言うのを聞きました。そうした言葉について考え始めました。われわれがイラクにいて、命を失う本当の理由はそこにあるのだろうか? でも私は何もできることはなかったし、この政府はこれまでずっと、自分たちの目的を達するために法律を破り、それを止めるものは何もないと感じました。

決定的な瞬間が来たのは、2006年1月です。軍葬の映像を見ました。家族の写真を見ました。子どもたち。墓のそばに座る母親たちと父親たち、彼らが葬儀から出てくるところを見ました。小さな少年が父親の葬儀から出てくるところはとてもつらいものでした。その子どもはカメラに向かうことが出来ず、目を覆っていました。私も、もう見ていられないと思いました。沈黙して、完全に間違っていると思うものを見逃すことはできないと思いました。

オルソン:イラク派兵命令を拒否することに決めたあと、何が起きましたか?

ワタダ:1月に自分の司令官にそれを告げ、イラク赴任命令を拒否すると言いました。彼は考え直すように言いました。一週間ほどあと、「OK、私は決断しました。この戦争は不法かつ不道徳だと考えており、イラク派遣命令は法律に違反するものだと考えます。この命令には従いませんし、間違っていると自分が信じていることに参加はしません」と言いました。私の司令官たちは、別の立場でイラクに行くことができると言いました。その場合、武器を使うこともないだろうし、害を加えるようなこともないだろうと。けれども、問題はそこにはありませんでした。辞任の手紙の中で、私は、深く誤っていることをするよりは、投獄されることを選ぶと書きました。この戦争全体が不法なものだと私は強く考えています。私は、武器を持って人々と戦うことに反対しているだけではありません。私は、不当な戦争に反対しているのです。

オルソン:これについて考える時間が6カ月近くあったわけですが、投獄される可能性が高いというのは、かなりの衝撃だったのではないかと思います。今、どう感じていますか?

ワタダ:両親を含め、たくさんの人々が、私を説得しようとしました。私は彼らに言わなくてはなりませんでした。むろんまず自分を説得したのですが、つまり、これは生き延びようとするというだけの問題ではない、と。自分の安全を確保しようとするだけの問題ではないのです。将来、自分の子どもの目を見つめるとき、あるいは臨終の場で、自分の人生を振り返り、とても大切な瞬間に、正しい決断をする機会があったとき、好ましくない結果を背負うことになったとしても、正しい決断をしたと人生を振り返りたいのです。

オルソン:イラク戦争に対して、知的・道徳的にどう反対しているのですか? 何にもとづいて反対していますか?

ワタダ:第一に、この戦争はイカサマの口実に基づいています。大統領がわれわれにサダムの大量破壊兵器を破壊するためにわれわれはイラクに行くのだと言いながら大量破壊兵器など一つもないとき、どうしてわれわれはイラクにいるのでしょうか? それから大統領はサダムガアルカーイダおよび9月11日の事件と関係していると言いました。 この主張もまた、偽りだったことが証明されました。それではどうしてわれわれはイラクに行くのでしょうか? 大統領は、われわれはイラクで民主主義を広め、イラクの人々を解放するのだと言いました。そんなことも起きていません。

第二に、イラク戦争は、国内法から見ても国際法から見ても不法です。この戦争は合衆国憲法に違反し、大統領が軍の最高司令官として都合の良いときに武力を行使することを制限する戦争権限法にも違反しています。国連憲章とジュネーブ条約、ニュルンベルク原則は、すべて、侵略戦争を禁じています。

最後に、占領そのものが不法です。陸戦法を規定する軍戦場マニュアル27-10を見ると、占領勢力の責任を述べています。占領勢力として、私たちはそれらの規定の多くに従っていません。われわれがどうしてイラクにいるのか、そこで何をしているのか、何一つ正当化できないのです。

オルソン:軍内の抵抗者に対する批判として多いものの一つに、同僚を見捨て、自分のかわりに他の人々を戦争で戦わせているというものがあります。これについてはどう応えますか?

ワタダ:司令官は私に「誰もが君のようにイラク行きを拒否したら、何が残るというのか?」と問いました。彼は、そうすれば軍人がいなくなってしまうだろうと言いたかったのだと思います。困ったことです。けれども、私は彼に次のように言いたかったのです。「そうなれば、戦争は止まるでしょう。戦う者が誰もいなくなるのですから」。

人々が、お前はチームプレイヤーじゃないな、とか仲間を見捨てている、というとき、私は、自分が今でも同僚のために闘い、支援していると言いたいのです。ただ、仲間を支援する良心的な方法は兵器を投下してさらなる破壊をもたらすことではなく、戦争に反対して、兵士が全員家に戻れるよう戦争を止めようとすることです。不法な命令に従わないこと、道徳的にとがめるべきことがらに参加しないことは、私の義務です。

オルソン:あなたの気持ちは軍の中で一般的なものですか?

ワタダ:軍内の人々の一般的な気持ちは、「この戦争にはちょいと嫌気がさし飽き飽きしている」というものです。最近のゾグビーの世論調査で軍の70%以上の人々が、今年末までに撤退したいと言っていることからもそれがわかります。公に意見を表明する機会を与えられていない軍の人々から出た、強力な見解です。

オルソン:今米国はイラクで何をすべきだと思いますか?

ワタダ:兵士を即時撤退させるべきだと思います。内戦は、われわれが侵略し戦争を始めたことでわれわれが引き起こしたものです。今、私たちが内戦を緩和できるとは思いません。

オルソン:裏切られたという気持ちについて、説明してもらえますか?

ワタダ:大統領は総司令官で、リーダーですが、強い信頼関係がなくてはいけません。強固で効果的な軍を持つためには、司令官と兵士のあいだに一定の信頼が必要なことは、軍にいる者なら誰でも知っています。信頼がなければ、事態は崩壊し始めます。

私は、命令に従い言われたことをするという契約に署名しました。それに疑問を呈することも、命令の合法性を判断することもできない時期もあります。ですから、最終的に司令官を信頼しなくてはなりません。大統領の言葉を信用し、正しいことをすると信頼しなくてはなりません。自分たちの命を、正当で道徳的な理由でのみ犠牲に捧げることについて大統領を信じなければ行けません。彼がゴマカシで持ち込んだ戦争にわれわれを引き出そうとしたことを知り、その信頼は崩れました。大統領が私の信頼を裏切ったのですから、私の側で彼がやれと言っていたことを評価するときがきたのです。私は、この戦争に行くことは悪しきことだと気づきました。

オルソン:この国の反戦気分の増大についてはどうお考えですか?

ワタダ:それが現れているとは言えません。イラクから帰国した兵士たちは、多くの人がここでは戦争が続いていることを知らないようだとの印象を受けると言っています。兵士の家族や友人たちでさえ、戦争よりもポップカルチャーとアメリカン・アイドルに熱中していると。人々は、毎週命を落としている何百人ものイラク人や数十人のアメリカ人には関心がないのです。

オルソン:イラクの人々についてはどうですか? 彼らの苦しみがあなたの派兵拒否に影響しましたか?

ワタダ:サダム・フセインは残忍な独裁者で抑圧的でした。拷問も使いました。けれども、われわれがイラクに行ってからも拷問と人殺しは止みません。私も含めこの国の誰であれ、それに参加すべきではありません。

戦争ではいずれの側も相手を非人間化します。米軍兵士はイラク人を、イラク人市民など自分たちにとって何者でもないというところまで非人間化しました。そうして、多くの残虐行為が起きたのです。アメリカ人の若い男女がたくさん、残虐行為を行い、考えもせずに罪のない民間人を多数殺しているのです。イラクの人々は、おそらく、われわれがイラクを侵略する前よりも酷い状態に置かれているでしょう。

オルソン:辞表を提出した今、次は何をしますか?

ワタダ:私は辞任の書類を提出しましたが、認められませんでした。司令官は、今でも気は変わらないかと聞き、私はむろん変わらないと応えました。今も6カ月前と同じ考えです。彼は、私が実際に命令に背くまでは告発できないと言いました。そして、私は6月下旬にイラクに赴任する命令を受けたのです。それを拒否すれば、司令系統は私を告発し、軍事法廷にかけるでしょう。

オルソン:人々があなたの話を知ったとき、あなたの行動とその理由について、人々の頭と心に特に置いておいて欲しいことがありますか?

ワタダ:憲法はわれわれ皆に自由を与えていると思いますが、とりわけ神がくれた最も重要な自由は選択の自由だと思います。もはや選択肢はないと言うときは、自由を失うときなのです。随一の自由を。みなさんに言いたいことは、とりわけこの戦争を疑う人々に言いたいことは、みなさんにはその自由があるということです。それは決して剥奪できないものです。彼らはみなさんを投獄するでしょう。厳しく処罰するでしょう。見せしめにしようとするでしょう。でも、選択の自由はあります。残りの一生を、そうして生きなくてはなりません。

※本記事はLeft Turn #21 に掲載予定。購読は http://www.leftturn.org/ まで。

なお、Imai Kyoheiさんが、ワタダ中尉の声明を日本語化しました。転送・転載歓迎とのことですので、転載致します。

声明
エレン・ワタダ中尉
2006年6月7日

家族、友人、信仰心篤い地域のみなさん、マスコミのみなさん、そしてすべてのアメリカ人同胞のみなさん。本日はおこしいただき、ありがとうございます。

私はエレン・ワタダと申します。アメリカ合衆国陸軍中尉であり、3年間服務しています。

合衆国陸軍の将校として、重大な不正義に対して声を上げることは自分の義務であると考えます。私の道徳と法的義務は、憲法に対するものであり、無法な命令を下す者に対して負うものではありません。きょう私がみなさんの前に立つのは、兵士たち、アメリカの民衆、そして声を上げることもできない罪なきイラクの人たちのために何かを行い、彼らを守ることは私の任務だと考えるからです。

米国軍隊の将校として、イラク戦争は道義的に過ちであるばかりでなく、合衆国の法をも手荒く侵害する行為であるという結論に達しました。私は抗議のために退役しようと試みましたが、にもかかわらずこの明白に違法な戦争に加わることを強制されています。違法行為に参加するようにという命令は、間違いなくそれ自身が違法です。私は、名誉と品性を重んじる将校として、この命令を拒否しなければなりません。

イラク戦争は、抑制と均衡というわが国の民主的システムを侵害しています。この戦争は、憲法の規定によってアメリカの国内法と同等とされる国際条約や国際的慣習に違反しています。ほとんど満足な説明もなされていないイラク民衆への大量殺戮と残虐行為は、道徳的に重大な誤りであるにとどまらず、陸上戦に関する軍事法そのものの違反行為でもあります。この戦争に参加すれば、私自身が戦争犯罪の片棒を担ぐことになるでしょう。

平常であれば、軍隊にいる人間も、自分の思うことを話し、自分の利益になるよう行動することは許されます。そうした時代は終わってしまいました。私は上官に対して、われわれの行動の意味するところを大局に立って判断するよう求めました。しかし、まっとうな回答は得られそうにありません。私は将校に就任するとき、アメリカの法と民衆を守ることを宣誓しました。違法な戦争に参加せよとの違法な命令を拒むことにより、私はその宣誓に従います。

ありがとうございます。

関係の情報が、http://www.thankyoult.org/にあります。

投稿者:益岡