敵の武器に金を払うな
米国がイラクにもたらした「自由」の一側面とそれに対する抵抗について、クリスチャン平和構築チームのジョー・カーが伝える。
敵の武器に金を払うな
イラク人活動家たちは米国製品をボイコットしようと計画している
ジョー・カー
2005年6月4日
Electronic Iraq 原文
新しい銃を試している米兵たち(写真:米国海軍軍曹ジェフリー・S・ヴィアノ)
今日、私は、占領に対するレジスタンスの新たなあり方を議論するイラク人活動家たちのミーティングに出席した。このミーティングは、女性の権利と社会正義を求める組織である「女性の意志」で行われ、バグダードの最も急進的な左派グループの代表が参加していた。会議の大部分は、侵略後にイラクの市場にあふれだした米国製品とイスラエル製品をボイコットするという提案をめぐる議論に費やされた。
会議の最初に女性が、「私たちは今やもう一つの独裁体制下で暮らしている。私たちが手にしているデモクラシーがどんなものかおわかりと思う。これはむしろブラッドクラシー(血の支配)だ。彼らがどんな解放をもたらしたかもみなさんは目にしていると思う。失業、殺人、破壊。私たちはこれに抵抗しなくてはならない。抵抗は、占領下に置かれたすべての人々の権利だ。とりわけ女性たちは、最も簡単な抵抗の武器を使うことが出来る。経済的なボイコットだ」。彼女たちはビラを回していた。そのひとつは、翻訳すると、「敵の武器に金を払うな」というものだった。
高い教育を受けた活動家たちは、米国占領の経済戦略を検討している。「彼らはイラクを自分たちの生産物の免税市場にして、イラクの生産物を売れなくしようとしている」。そうした生産物の多くが健康問題を引き起こしている。「彼らは賞味期限切れの食べ物や私たちに有害な食べ物を輸入している。保健省は、発ガン性があったり不妊になったりするために禁止された産物が市場に出回っていることに気付いた」。薬を手に入れることも難しいため、店やブラックマーケットでまがいものの薬や危険な薬が得られている。ある男性は、糖尿病の女性がインシュリンの注射でHIVに感染した話をした。
「私たちは、イラクの同胞市民に、米国とイスラエルの製品をボイコットすることもレジスタンスの一部となりうることを教えたい」とある活動家は語った。「占領の大きな目的は経済的利益にある。だから、ボイコットをすれば普通の人々も持続的な変化をもたらすことができる」。彼女たちは、易い輸入品のかわりとなるイラク産の製品が沢山あると主張する。そして、変化をもたらすことは大部分、イラク人女性にかかっている、と。
彼女たちは、イラクの人々に、輸入産品が引き起こす健康問題について警告し、米国製品と占領との関係を示すキャンペーンを始める計画を立てている。彼女たちは、マスメディアを使うことを議論している。「けれども、彼らは決してそれをテレビでは見せないだろう」と活動家の一人は言った。「テレビは占領者たちに統制されている」。彼女たちは、米国の誘惑的な宣伝技術に抵抗する困難に直面することに気付いているが、小さな教育キャンペーンでも多くの人の心を変えることができると考えている。ある女性は、自分の家の近くにある店が、主として米国からの輸入品を売っていることについて報告した。それを止めるよう彼女たちが求めても、やめなかった。「私たちはデモをして、そこで買うのをやめるよう皆に言った。そしてその店は閉店した」。
「ウェブサイトを作ってもよい」とある活動家が提案した。「モスクや大学の外でビラを配ろう」と別の活動家が述べた。彼女たちは、こうしたレジスタンスを公に組織することで直面する危険をよく知っている。会議には、米国の占領に反対する声を挙げて逮捕された地元のイマームもいた。「私が金曜日の演説で米国の宣伝に反対する話をしてまもなく、米国のスパイがやってきて、私を連れ去った。私は5カ月間拘束され、尋問者たちは、私が拘束されたのは、米国製品に反対する話をしたからだと言った」。こうしたたぐいのファシストの弾圧はイラク人にとって新しいものではない。イラクの人々は、自由が命を危険に晒すことを知っている。
「レジスタンスは、国境を越えて製品を運んでくるトラックを襲撃することもできる」とある活動家は言った。「けれども、私たちは自分たちの任務を果たし、製品を買うことを止めなくてはならない」。「今日、10人か20人を説得できるだろう。たぶん、明日は100人を説得できる」と一人が希望をもって言った。「イラクにマクドナルドが出来ないように、今すぐに始めなくてはならない」。会議の閉会の際、ある女性が革新的な宣言を次のように述べた。「占領下にありながら何もしないのは私たちにとって恥ずべきことだ。沈黙を守ることは私にとって拷問だ」。
筆者ジョー・カーはミズーリ州カンサスシティ出身の24歳で反抑圧活動家・パフォーマンスアーティスト。ワシントン州オリンピアの大学に入り,2003年3月にパレスチナのラファのISM(国際連帯運動)を組織し,イスラエル軍兵士が米国人平和活動家レイチェル・コリーと英国人平和活動家トム・ハンドールを殺すのを目撃した。現在はCPTパレスチナでフルタイムで活動しているが,イスラエルへの入国を拒否され,今はCPTバグダードで活動している。6月に米国に帰国する予定。
ジョー・カーの最近の文章として、「米軍司令官は泣いていた。しかし何もしなかった」――ファルージャ訪問記があります。
占領下で「賞味期限切れの食べ物や私たちに有害な食べ物を輸入している」というのは、お馴染みの事態です。インドネシアが米国や欧州・日本の後押しを受けて、東ティモールを不法占領していた中、インドネシア当局は、世銀の「人工調整プログラム」から補助を得ながら、発ガン性の高いデボプロヴェラという避妊薬(これは発ガン性が高くて「先進」国で使用が禁じられたためだぶついた製品をインドネシアに投下したもの)を、東ティモール人女性に、「ビタミン剤だ」などと偽って、学校などで強制投与していました。民族絶滅政策の一部。
実は、米国市民も、このような意味では米国の占領下で実験台にさせられてきました。ウィリアム・ブルムの『アメリカの国家犯罪全書』には、次のような説明があります:
「これはちょっとした混合薬で、使うと気分がよくなる」。ヘレン・ハッチソンは、1946年7月、バンダービルト大学病院出産前診療所を訪れたときに医師が言ったこの言葉を回顧する。気分はまったくよくならなかった。放射能を帯びた鉄が含まれていたのである。彼女は、二年間にわたって様々な実験薬を投与された829人の一人だった。ハッチソンと当時お腹の中にいた娘は、一生にわたって奇妙な病気を抱えることとなった。ある時から彼女の頭髪は抜け落ちはじめ、悪性貧血に悩まされたのである。日光に過敏反応を起こした。成人となった彼女の娘は、免疫不全と皮膚癌にかかっている。
ここで紹介されている会議の閉会の言葉にならって、私たちは、「占領に加担する政府を持ちながら何もしないことは、私たちにとって恥ずべきことだ」と言えるでしょう。どんな企業をボイコットすべきかについては、たとえば注意深くお金を使うためになどがよくまとまっています。他にブッシュ支援企業も。もう一歩進めてフェアトレードなんてのも。
投稿者:益岡