人権関係諸団体がドイツでラムズフェルドを刑事告発
人権関係諸団体がドイツでラムズフェルドを刑事告発
2006年11月14日
憲法権利センター声明
Electronic Iraq 原文
憲法権利センター(CCR)、国際人権連盟(FIDH)、共和主義弁護士協会(RAV)をはじめとする諸団体が、ベルリンの弁護士ヴォルフガング・カレックを代表として、本日(2006年11月14日)、イラクおよび米国が統制しているグアンタナモ湾の捕虜収容所で戦争犯罪を犯したとして、米国の文民・軍人双方の上級職員をドイツで刑事告発した。告発された中には、ドナルド・ラムズフェルド国防長官とアルベルト・ゴンザレス司法長官も含まれている。原告の中には、世界各地の国際人権団体数十団体、そしてノーベル平和賞受賞者のアルドルフォ・ペレス・エスキレルやマルチン・アルマダ、国連の拷問に関する特別報告者を務めたテオ・ヴァン・ボーヴェンも含まれている。
この告発は、ドイツにおける2002年の普遍的管轄規定により可能となったもので、11人のイラク市民のために起こされたものである。これらのイラク市民は、悪名高いアブグレイブ監獄で、激しい殴打、睡眠や食事の剥奪、目隠し、性的拷問といったおぞましい犯罪の犠牲となった人々である。サウジアラビア市民でグアンタナモ収容所に拘束され、ラムズフェルドの明確な認可のもとミラー少将の監視下で拷問と虐待を受けたモハメド・アル・カフタニも原告の一人となっている。
ラムズフェルドは、先週辞任したため、もはや国家元首や政府官僚の立場で免責特権を主張することはできない。被告は、戦争犯罪を命じ、戦争犯罪を幇助または教唆し、あるいは部下による戦争犯罪を阻止しなかったとされる。これらは、ドイツの2002年国際法の侵害に関する刑事法典(CCIL)のもとで犯罪であることが明記されている行為であり、ドイツ連邦検事は、被告や原告がどこにいるかにかかわらず、犯罪がどこで犯されたかにかかわらず、また関係者の国籍にかかわらず、戦争犯罪で起訴することができる。
2004年11月、ドイツ連邦警察は、今回と同じ被告の多くに対する告発を起訴にまでもっていかなかった。アメリカ合衆国がドイツに圧力をかけて起訴しないよう求め、結局、2005年2月、米国国防長官ドナルド・ラムズフェルドがドイツを訪問する前日に断念されたのである。普遍的管轄法が成立して以来の4年間でただ一つの訴訟も認めようとしなかった連邦検事は退任し、現在は新たな検事がその職に就いている。
この訴訟を却下するにあたり、くだんの検事は「告訴状に述べられている侵害についてアメリカ合衆国当局と法廷が刑事手続きを行っていないとか行わないだろうことを示唆するものは何もない」と述べていた。訴訟弁護団と人権団体は、2006年に米国で軍犯罪法が成立し、政府関係者などを起訴しない免責を認めようとしていること、さらに明らかになった多くの証拠から、この主張は成り立たないと述べている。
「ドイツで最初の告訴を行ってから2年経った今、アメリカ合衆国では上層部が拷問プログラムに関与していたことについて何一つ調査追求が行われないことは完全に明らかになっている」とCCRの代表ミカエル・ラトナーは述べる。「最近採択された軍犯罪法は、米国政府関係者・軍人の戦争犯罪に恩赦を与えることを意図するもので、これは、アメリカ人を起訴しないというアメリカ合衆国の立場を示す最新の証拠である。これらの犯罪は、一部の腐ったリンゴによるものではなく、アメリカ合衆国政府の最上層で計画され実行されたものである」。
この2年間に明らかになった驚くべき新情報を考慮し、新たな告訴では、元ホワイトハウス法律顧問のアルベルト・ゴンザレス、元司法副長官・次官ジョン・ヨーとジェイ・バイビーをはじめとする、ブッシュ政権における拷問行為の法的立案者たちをも告発対象としている。いわゆる拷問メモの存在、そしてラムズフェルド長官、サンチェス准将等が人道法と人権法に違反する特別尋問技術の使用を認めたことが明らかになっていることから、アブグレイブをはじめとする米国の収容施設で行われた虐待行為の責任は明らかになっている。アブグレイブの司令官として最初の告発で被告となっていたジャニス・カーピンスキー元准将は、今回、原告のためにドイツの法廷で証言する予定である。
ベルリンのヴォルフガング・カレック弁護士は、「2004年11月、私たちは最後の手段としてドイツの法廷に行きつきました。2006年にもやはりドイツの法廷は最後の場所なのです。外国の国内法廷に訴える以外、訴える場所はありません。私たちは責任明確化と正義を求め、戦争犯罪の犠牲者にとって最初の頼みとなる普遍的人権を強化するために、機会があればいつでも、人権団体および弁護士の世界的なネットワークとして活動しています。普遍的管轄の原則を利用することで、私たちは、戦争犯罪がどこで起きようと、誰が戦争犯罪を犯そうと、それに立ち向かうことができます。今回私たちが起こした告訴は、とりわけ、拷問と闘い、さらなる犯罪を抑止する試みと考えることができます」。
「アメリカ合衆国は、世界に対して道徳的・法的基準を示すと言いながら、イラクやアフガニスタン、キューバのグアンタナモ湾海軍基地にある米軍の収容所に収容された何百人もの捕虜に対して犯した犯罪について、指揮系統の最上層にいる者たちの役割を真面目に調査することを拒否しています」とFIDHの代表シディキ・カバは話す。「私たちは、今回、ドイツの検事に、独立、公平、客観的なやり方で、検事としての義務を果たすことを求めます」。
関連するリンクおよびさらなる情報については、www.ccr-ny.orgを参照。
日本では、11月20日(月)午後4時より 札幌地裁8階5号法廷で、イラク派兵差止北海道訴訟(箕輪訴訟)の第14回弁論が開かれます。
また、11月4日より毎週土曜日、午後1時から6時まで、全国の弁護士が当番を決めて、「自衛隊員、同僚、家族の声を聴く・何でも110番」を開設しています。電話番号は、フリーダイヤル 0120-307-392 (0120-みんな-すぐに)です。全国に広めてください。
投稿者:益岡