米軍は、一貫して、ジャーナリスト殺害を調査しないでいる
不法占領下のイラクで民間人を無差別に殺し、ジャーナリストをも殺害してきた米軍。ジャーナリスト殺害に対する米軍の調査の実態。
米軍は、一貫して、ジャーナリスト殺害を調査しないでいる
CPJ/IFEX
2005年9月14日
Electronic Iraq 原文
ニューヨーク発。米軍は、自軍の兵士がイラクでジャーナリストたちを殺した事件について十分に調査をしておらず、また、メディアの安全状況を改善するために自ら出した勧告を実行に移してもいないと、本日(2005年9月14日)「ジャーナリストを守る委員会」(CPJ)が発表した分析は述べている。
2003年3月に米軍主導の戦争が始まって以来、米軍兵士は、13人のジャーナリストを殺してきた。紛争を取材しているジャーナリストは少なくともさらに40人殺されている。CPJの分析によると、13人の死のいくつかは、米軍兵士が、報道関係者を含む民間人の存在に何の注意も払っていないことを示している。ほかに、メディアの支援職員21名もイラクで殺されている。2人は米軍により殺されたものである。
ほとんどの場合、米軍はジャーナリスト殺害の調査を行わないか、行なってもそれを公表していない。公表されたわずかな調査の結果は、ジャーナリスト射殺をめぐる責任明確化について十分に扱っておらず、また、米軍兵士たちが戦闘地域で戦闘員と民間人を区別するために必要な手だてを講じているかどうかについても扱っていない。
最も最近のケース----2005年8月28日にロイター通信の音響担当ワリード・カレドが射殺された事件では、米軍は報告書を作成し終えたが、調査結果を発表していない。9月1日、バグダードの主任軍報道官リック・リンチ少将は、米軍兵士たちは「確立した交戦の規則」に従っており、発砲するときには「適切な」かたちで行なっていると述べた。
「射殺事件のすべてを扱わず、また、今後の悲劇を避ける手だてを採っていることも示さない米軍は、深く憂慮すべきまでに民間人----紛争を取材しているジャーナリストも含まれる----の安全を無視している」とCPJの代表アン・クーパーは言う。「私たちが知る限りでは、米軍は、ごく少数の事件についてしか調査を行なっておらず、報告を公表したのはたった二つの事件についてだけである。このような記録を考えると、ペンタゴンは自分自身の信頼性に対する重大な問題に対処する必要があり、そのために、責任を明確にし、ジャーナリストの射殺に関する疑問に真の回答を与えなくてはならない」。
CPJはニューヨークに本拠を置く、独立の非営利団体で、世界中の報道の自由を守るために活動している。
報告書の全文はこちらから入手できる。
2004年、ファルージャで、米軍がまず病院を占拠し医師を拘束したのは(これは戦争犯罪です)、怪我人の治療にあたる医師から、米軍が何をしているのか(化学兵器やクラスター爆弾による無差別殺人、民間人を後ろから射殺したり白旗を掲げた人を射殺したりなど)についての報道が漏れることを嫌ったためと言われています。ユーゴスラビアの中国大使館が米軍により「誤爆」されたのも、中国大使館がセルビア政府の放送のために施設を提供していたからであるという説明もあります。
不法占領と無差別殺人を続けるペンタゴン。そもそもこの記事のように大量殺人者の「信頼性」を語るのは異様なことですが、まさにジャーナリストを殺害し、イラクで米軍が何をしているか伝わらないようにしているからこそ、こうした語りが成立してしまうという側面があることを考えると、何とも理不尽なものです。
投稿者:益岡