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2006/03/17

水曜日、米軍がサマラ近くで民家を攻撃、11人死亡。

ファルージャのときもカーイムのときもそうでしたが、大規模な攻撃の前には規模の大きくない攻撃が行なわれます。

今回のサマラ攻撃の前にも、近く(数字にばらつきがあるのですが、だいたい20キロくらい)の村で「反乱者拘束作戦」が行なわれ、1人を捕まえるために空と陸から攻撃をし、しかも弾が飛んでった先は民家で、しかもその民家にはそこの住人がいて、11人死亡。そのほとんどは女性と子供だったそうです。

ただし米軍は「死者4人、内訳は男性1人と女性2人と子供1人」と説明しています。

が、この攻撃では、たまたまだったのかもしれませんが、APの取材スタッフが現地にいて、誰が見ても1人ではない子供の遺体をカメラに収めています。

というわけで、A Citizen of Mosul blog経由、Free Iraq blog経由、Yahoo News (US)

Iraqis Say U.S. Raid Kills 11 People
http://news.yahoo.com/s/ap/20060315/ap_on_re_mi_ea/iraq

概要:
水曜日、バグダードの北で行なわれた米軍による急襲/強制捜査(raid)で11人が死亡したと警察と犠牲者の親族が述べた。11人のほとんどが女性と子供だった。米軍は攻撃を認めたが、死亡したのは男性1人、女性2人と子供1人の4人だけだとしている。

警察署長によれば、攻撃があったのはバラド(Balad)の近くのイサハキ(Isahaqi)村。戦闘機と装甲車両が村の一軒の家屋を完全に破壊した。

現場にいるAP記者は、家の屋根が崩落し、車3台が破壊され、牛が2頭殺されたと伝えている。

11人の犠牲者は毛布に包まれ、3台のピックアップに載せられて、さらに北のティクリートの総合病院に運ばれた、と親族は語っている。

APの写真では、男性2人、子供5人とそのほか4人の遺体が、嘆き悲しむ親族に付き添われて、病院に到着しているところをとらえている。犠牲者は砂埃まみれで、髪の毛には瓦礫がからまっている。

米軍は、この急襲の標的は、アル=カーイダ・イン・イラクのテロネットワークを支援している疑いのある男で、本人は身柄を確保されたと述べている。

軍スポークスマンは「兵士らは建物に近づくと敵からの銃撃を受けたので、空からおよび陸から反撃したものである」と述べた。

この家の家長のFaez Khalafは死亡しており、その甥であるRiyadh Majidは病院でのAPの取材に対し、水曜早くに米軍はヘリでやってきて、家を急襲した、と述べた。

Khalafの兄(弟)のAhmedは、犠牲者のうち9人が同居していた家族で、2人は客人だと述べた。

「死んだ家族はレジスタンスには参加していない、女性と子供だ」と彼は述べた。「アメリカ人は私たちにもっとよい生活を約束しているが、私たちの得るのは死だけだ。」

……以下略(宗教行事に際し、シーア派の聖地を警備するために部隊が派遣された、など興味深いことが書かれています。後半はイラク政界の動きについて)……



以下、正方形の写真(トリミングなどしたもの)をクリックしてください。(ただしリンク先@Yahoo.comがいつまで見られるかはわかりません。しばらくするとネット上から削除されるのではないかと思います。)

att1 att2 att3
att4 att5 att6
att7

 1列目左から:ロイター、ロイター、AP 2列目と3列目AP


バグダードの北およそ80キロのところにあるイサハキ(Isahaqi)村にて、2006年3月15日。

警察の説明では、水曜(15日)早くに1軒の家屋が米軍の急襲/強制捜査(raid)で爆撃され、11人が死亡。遺体はさらに50キロ北の病院に搬送された。死んだ11人のほとんどが子供と女性だった。

米軍では4人の死者が出たことを認めているが、この急襲/強制捜査で反乱容疑者1人の身柄を確保したとしている。

――ロイターおよびAP写真キャプションより。


また、木曜日に開始された「オペレーション・スウォーム」ことサマラ攻撃作戦についてのAPの報道のページから、写真が大量に閲覧できます。大量ですが、根気よく順番に見ていってください。1枚目はサマラ攻撃準備のブラックホークの列、2枚目・3枚目もこの作戦での米兵のもので、その後しばらくカルバラの宗教行事(シーア派)の写真があり、10枚目がタルアファル、11枚目がタジ、12枚目がモスル、13枚目がハラブジャ(「反政府デモ」で死者が出ています)、14枚目がキルクーク、15と16枚目がvoidで、17枚目がハラブジャ、18枚目がサマラ(出撃前の兵士たち)、その後数枚がブラックホーク・ヘリの写真で、21と22枚目がラマディ・・・という感じです。全部で100枚。同じのがダブってたり、キャプションが違ってたりしてわかりづらいものもあります。

ハラブジャについては、現地のミリアムさんのブログをご参照ください。
http://pearlsofiraq.blogspot.com/2006/03/
protests-for-aid-in-halabja-region.html


タラバニ大統領に近いクルド人自治区でなぜ「反政府デモ」になったかということが説明されています。

投稿者:いけだ

サマラに対する「オペレーション・スウォーム」開始/米国家安全保障戦略



米軍によるサマラ攻撃が開始されました。画像はBBCの「中東」カテのトップページのキャプチャ@16日深夜。

「中東」カテだけじゃなくてBBC NEWSそのもののトップページでもこのBreaking News(速報)がトップでした(国際版:UK版はブレア政権の汚職スキャンダル関連記事がトップ)。

Breaking Newsの段階での記事を運良く見ることができたので、キャプっておきました。


※短いけどこれで全文。

数時間後には、新しい情報が入ってきてBBC NEWSトップ(国際版)はこうなってました↓。この写真(ヘリコプターの列)はガーディアン記事でも使われています。ロイター配信だそうです。


記事も、同じURLで時々刻々と更新されています。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4814094.stm

というところで、概況だけですが、今回のサマラ攻撃作戦について、BBCとガーディアンの記事から何がどうなのかだけまとめておきたいと思います。

BBC記事:
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4814094.stm
ガーディアン記事:
http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,,1732546,00.html


米軍の発表によると、50機を超える米軍戦闘機が、サマラを空爆している。2003年のイラク侵攻以来最大の空からの攻撃となる。【訳注:BBCでもガーディアンでも、「最大規模」という表現ではなく、「最大の」で断定されてます。the biggest air offensive】

攻撃されているのはサマラの北東部(バグダードから北へ60マイル、だいたい100キロ)。攻撃が開始されたのは木曜日の朝。米軍が攻撃しているのは同地を拠点とする反乱勢力。作戦名はOperation Swarmer(群れ作戦)。作戦の目的は、米軍のステートメントによると、「反乱者が活動していると疑われる地域を一掃するため(to "clear a suspected insurgent operating area")」。

米軍が今回の作戦の詳細を明らかにしたのは同日午後。これによると、米軍とイラク軍の約1500の兵員と、200台の戦術車両が戦闘に参加しており、この作戦は数日続く見込み。また、米軍ステートメントによれば、「対象となるエリアの徹底的な捜索を行なう("as a thorough search of the objective area is conducted")」ことになっている。

作戦の火蓋は、イラク軍と米軍がともに空と陸からの攻撃を開始することで切って落とされ、続いてthe 2nd Commando Brigadeが建物を制圧した。

米軍によれば、作戦初日が終わるころには、砲弾や爆発物、IEDを製造するための材料や軍服などが蓄えられていた敵の武器庫を複数おさえた。

(以下、BBC記事から:ただし同じURLで上書きされる可能性もありますので、時間経過により記述が一致しなくなるかも)

BBCのバグダード特派員、Jim Muirは、アメリカがサマラ地域に反乱者のポケットがあると本当に信じていることは明白である、と述べている。

同特派員によると、サマラは(2月22日のアル=アスカリ)神殿爆破以降、宗派間暴力(sectarian violence)の代名詞となっており、米国は暴力の根を攻撃していると見せたがっている、とのことである。【原文:Samarra has become a byword for sectarian violence following the shrine attack, our correspondent says, and the US is keen to be seen as attacking the roots of the violence.】

またBBCのワシントン特派員のAdam Brookesは、大規模な力の誇示は、内戦へとつながりかねないエスカレートする暴力の連鎖を断ち切りたいという期待で行なわれている。【原文:The BBC's Adam Brookes in Washington says a major show of force is being carried out in the hope of breaking a cycle of escalating violence which could lead to civil war.】

また、ペンタゴンは、米軍とイラク軍が共同で作戦を行なうことができるということを示したがっているとも彼は述べている。

さらに、ブッシュ政権がここ数週間でイラクでは進捗が見られるとの政治的メッセージを出しているが、この軍事作戦はそれをバックアップするものであるとも、彼は述べている。【原文:The military operation is also backing up the political message from the Bush administration in recent weeks that progress is being made in Iraq, he adds.】


・・・・・・えっと。。。(^^;)

「イラクの状況は良くなっている」という主張をブッシュ政権がしていることは事実ですが、いつもそう言うので、「最近数週間」にそういう主張をしてたかどうかとかあんまり気にしてなかったんで、最後の部分はよくわかりません。

というか、破壊することで「状況は良くなっている」ということを示す、ということの意味が、わかりません。

ってか「状況は良くなっている」なら破壊じゃなくて建設じゃん?

「暴力の連鎖を断ち切る」ために、戦闘機50機を送るというのも、よくわかりません。

私、イラク関連の記事を注意して読むようになって3年、それなりにコミットして翻訳とかするようになって2年経ち、いろいろとひどい文章も写真もフィルムも見てきたので、さすがに感覚がマヒしてきて何にも驚かなくなってきてるんじゃないかと最近よく思うんですが、さすがに今回のこの記事には、参りました。

サマラについてはこれまでいくつもの「伏線」があったので(アル=アスカリの前にも)、自分としてはifではなくwhenだろうと何となく思っていたのですが、イラクの「政府」のメンバーもなかなか決まらないような状況でこういうことになるとは思っていませんでした。

なお、ブッシュ政権の発言では、直近のものでこんなのがあります。「国家安全保障戦略(national security strategy)」最新版についてのBBCの報道です。

US backs first-strike attack plan
Thursday, 16 March 2006, 13:33 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/4812562.stm

The US will not shy away from attacking regimes it considers hostile, or groups it believes have nuclear or chemical weapons, the White House has confirmed.

In the first restatement of national security strategy since the invasion of Iraq in 2003, the US singles out Iran as the greatest single current danger.

The new policy backs the policy of pre-emptive war first issued in 2002, and criticised since the Iraq war.

But it stresses that the US aims to spread democracy through diplomacy.

The new strategy also highlights a string of other global issues of concern to the US, such as the spread of Aids, the threat of pandemic flu and the prospect of natural and environmental disasters.

National Security Adviser Stephen Hadley is due to make a speech launching the new strategy on Thursday.

以下略


この後も眺めているだけで頭がおかしくなりそうなというか脳貧血になりそうなことが箇条書きで書かれているのですが、大まかには、「国連やNATOの枠組みにとらわれない」とか、「ロシアや中国は民主的自由を抑圧しているのでよくない」とか(んじゃートルクメニスタンは?とかいうことを考えるともっと脳貧血になります)、「ベネズエラのチャベス大統領は『デマゴーグ』である」とか、「ハマスはイスラエルを認め、暴力を停止し、武装解除しなさい」とかいったことです。

箇条書きが終わったあとは、いつものメンバー勢ぞろいってな感じです。

ていうかこの記事を書いたBBCの人も、相当驚いてますよね。

GWB再選時の"Four More Years"という世界同時多発「orz」は、ますます拡大の一途をたどり、「orz」の連鎖に歯止めがかかりません。。。という気分が蔓延しています。(GWBの支持率は33%に落ちた[→魚拓]そうですが、これで「orz」になってる人は別の「orz」だろうと思います。)

私は心配するのをやめて愛するようになりたい気分なのでこの映画でも見ます。

『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を・愛する・ようになったか』


3年前、ここまで予想してました? 正直なところ、私はここまでは予想してませんでした。

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今週の土曜日、東京:
WORLD PEACE NOW
日比谷野外音楽堂(13:30開会、石坂啓さんほかの発言&ソウル・フラワー・モノノケ・サミットのコンサートなど)

これとは別に、

渋谷の勤労福祉会館(18:00~21:00、相澤恭行さん、林克明さん、松尾晴紀さん、森沢典子さん、渡邉修孝さんのリレートーク)

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休眠状態にあったブログが、ここ数日、続々と復活しています。

投稿者:いけだ