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2005/10/22

特別法廷についての記事とメモ

サダム・フセインの特別法廷の初公判が行われた翌日、20日(木)の晩、弁護団の一員である法律家のSadoun Nasouaf al-Janabi氏(サダム・フセイン政権の司法長官の弁護を担当)が、バグダード東部で拉致された(ジャナビ氏のほかに7人が拉致されたとの報告もある)。

拉致された翌日の21日(金)、ジャナビ氏は頭部と胸部を撃たれた死体となって、バグダード市東部、ウル(Ur)地区のフィルドゥス・モスクの建物の外で発見された。(モスクの位置情報はガーディアン掲載のAP記事より。)

oct21news
※画像クリックでBBC記事へ。(時間が経過して、同じURLで、より詳しい記事へのサシカエが行われています。)

この裁判に関わる判事や検察官は、安全上の理由から、ほとんどが名前などを明らかにしていない。一方で弁護団はアイデンティティを秘密にしておらず、サダム・フセインの弁護団長であるKhalil Dulaimi氏は、脅迫を受けた者が多い、と述べている。

ガーディアン掲載のAP記事によると、弁護団は判事らと違ってサダム支持の反乱勢力からターゲットにされにくいだろうからとのことで、判事らほど警備されていなかった。(政府は今後は弁護団から申し出に応じて警備を提供するとしている。)また、ハリル・ドゥレイミ氏は、今回の拉致・殺害が、サダムを弁護していることに怒っている者(反サダム)による犯行であるか、または弁護団がこの法廷に関わっていること自体に怒っている者(サダム支持)による犯行であるかは特定しなかった。

――さて、この弁護団ですが、初公判の日に出たBBC記事にわりと詳しい情報があります。ハリル・ドゥレイミ氏はイラクの弁護士ですが、弁護団側の本部的な役割を担うのは、20年前にイラクから英国に亡命したDr Abdul Haq al-Ani氏で、弁護団に加わっているorそれを要請されているのは:

・デス・ドハーティ(Des Doherty)氏=サダム・フセインのソリシター
 北アイルランド、デリー(ロンドンデリー)のソリシターで、「血の日曜日事件」(1972年1月30日にデリーで英軍がデモ隊に発砲して13人を殺した事件)の真相究明調査委員会にも尽力した人物

・アントニー・スクリヴナー(Anthony Scrivener)氏、QC(←肩書き:Queen's Counsel)
 英国人法廷弁護士で専門は人権。英国最大クラスの冤罪事件で被告人の無罪を勝ち取った人物(いわゆるGuildford Four事件:PIRAの爆弾テロの犯人として有罪判決が下された4人についての再審で、裁判がでたらめだったこと暴き、4人を無罪とした。東京での公開が決定した映画『ホテル・ルワンダ』の監督が脚本を書いた映画、『父の祈りを』を参照)

・ラムゼー・クラーク(Ramsay Clark)氏
 元米国司法長官

・マハティール・モハマド(Mahathir Mohamad)氏
 元マレーシア首相

・アイシャ・ムアンマル・カダフィ(Aysha Muammar Gaddafi)氏
 法学博士、リビア国家元首カダフィ大佐の娘

また、「特別法廷」について弁護団が主張している問題点は、19日のBBC記事から要約すれば:

・この特別法廷を行うことが決定されたのは、米国がイラクを軍事的に占領していたとき(「主権移譲」前にCPAによって決定され、選挙ではなく指名で選ばれたイラク統治評議会によって承認された)であり、したがって法的正当性が認められない(ジュネーヴ条約に反する)

・サダム・フセインは国家元首で訴追免除(国際刑事裁判所では国家元首でも訴追免除にはならないことになっているはずですが、イラク特別法廷は国際刑事裁判所ではなく、またイラクは同裁判所の条約は署名とか批准とかをしていない。米国も同じ)

・弁護団長と被告人(サダム・フセイン)との接見も、アメリカが厳しく監視しており、十分にできない

・800ページもの訴状が弁護団側に渡されたのはつい最近で、しかも判読できないページが多く、準備が十分にできない

――以上、メモでした。

投稿者:いけだ