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2006/03/04

「サマラ危機」~米国政府とイラク政府の見解@2月末

日本では主に「報復合戦、長期化の様相 イラク」(→魚拓)などと報じられているのですが、イラク政府と駐イラク米大使の考えはこれとは違うようです。

イラク政府は、立場としては「このようなことで内戦にはならない」という方です。が、私のアンテナの張り方が悪いのか感度が悪いのか、その具体的根拠を書いたものはなかなか見つかりません。ジャファリ首相が外遊中(でタラバニ大統領が不快感を抱いている)のためもあるかもしれないのですが。

一方、3月1日時点でBBCは非常に慎重な見出しの記事(Iraq PM defiant after bloody week)しか出していないようですが、国際面については英メディアで1,2を争う飛ばし屋のスコッツマン(スコットランドの新聞)は2月28日にこんな記事を出しています。

Iraq civil war threat 'is over'
28 Feb 2006, the Scotsman
http://news.scotsman.com/international.cfm?id=307932006

【要旨】
イラク治安当局は、アル・カーイダ・イン・イラクの幹部1名の身柄拘束を発表した。当局はこれにより、宗派間暴力の急増の扱いについて噴出している批判を押さえ込みたいと考えている。

イラク内務省によると、拘束されたのはAbou al-Farouq(アブ・アル=ファルーク)というシリア人で、ラマディにおいて、ザルカウィのために働くグループの資金調達や調整を行なっていた。

バグダードの西およそ100マイルのバクル(Bakr)において、内務省の「オオカミ旅団(Wolf Brigade)」がファルークのほか5名のザルカウィ支持者を拘束した。

イラク国防大臣は、サマラの聖廟爆破以降イラク全土において、イラク治安部隊が反乱者35名を殺し、487名を逮捕したと述べている。

また米国のハリルザド駐イラク大使は、先週の危機は終わったと述べた。「イラクは内戦の間際まで来ていたが、イラク人はその道を取ることを望んでおらず、協調した」と大使はCNNに語った。「あの攻撃をおこなったテロリストが内戦を起こしたかったということは明白だ。当初48時間は非常に危なく思われたが、イラク人は協調を選択したのだと私は信じている。」

なお、スンニ派指導者らは、シーア派が制圧したモスクをスンニ派に返せば、新政府についての交渉ボイコットを撤回するとしている。

月曜日にもイラク全土で36人が殺害されているが、サマラの聖廟爆破に続いた宗派間の衝突は急速に収まってきており、バグダードの外出禁止令も解除され、市民は通常通り出勤している。

また月曜、拉致されている米国人ジャーナリストのジル・キャロルさんの最終期限と提示されていた日を過ぎたが、キャロルさんは生存している、とイラク内務省は述べた。拉致実行者らがキャロルさん殺害を予告どおり行なっていないと信じる自由についての質問には、内務省の高級官僚は応えなかった。

一方で、銃弾を受けた遺体9体がバグダード南東で発見された。遺体にはスンニ派のMahamdeh族のシャイフ、Sheikh Hamid Irbat Ghaziとその甥2人も含まれている。


ハリルザド大使の発言は米国の一般市民に向けて為されたものであり(CNNのインタビューです)、また大使という立場上、政治的配慮を尽くした発言であることは前提とすべきと考えられるもので、これをどう解釈するかはそう単純にはいかないだろうと思います。(というのは、先ほど、とても有名なネオコンの論客が「内戦だ」と断言している3月に入ってからのインタビューを少しだけ見たので。。。)

しかしまあ、スコッツマンの記事を書いた人は、よくもこんなにばらばらの情報を1つの記事に詰め込んだものです。Meanwhileの使い方の例としてはかなり極端なサンプルです。

なお、冒頭部分に出てくる「拘束されたアルカーイダ幹部」ですが、香田さん殺害実行を自供した容疑者とは別に拘束されているようです(拘束日時と場所が違う)。

既にテレビのニュースなどでも大きく報じられていますが、香田さん殺害を自供した容疑者は、共同記事では「フセイン・ファハミ」という名前、時事記事では「フセイン・ファハミ・バドル」という名前で、「別のテロ事件に関連して約3週間前にバグダッド市内で内務省対テロ部隊『オオカミ旅団』により逮捕された。取り調べに対し、香田さんの殺害についても供述した」(時事記事より)とのことです。

「オオカミ旅団」については、昨年秋に「イラク内務省の地下室に拷問部屋」というニュースが報じられたころから、「拷問を行なっているイラク内務省の情報・治安部隊」として何度か名前を見かけています。「米国で訓練を受けた秘密警察」とかいった説明も見かけた記憶があります。(記憶に頼ってます。すみません。元々は「ムハバラトはもうムハバラトとは呼ばれてないんじゃないの?」というどっかのブログのコメントかフォーラムの投稿へのやり取りで見たような気が……。)

あ、そうだ、いろいろと固有名詞が出てきてよくわからないと思ってたときにSalam Paxのウェブログで何となくわかった気がしたんでした。
http://justzipit.blogspot.com/2005/11/more-on-ministry-of-interior-affairs.html

今検索してみたら次のような解説がありました。
http://www.cfr.org/publication/8175/#6

What is the Wolf Brigade?

The most feared and effective commando unit in Iraq, experts say. Formed last October by a former three-star Shiite general and SCIRI member who goes by the nom de guerre Abu Walid, the Wolf Brigade is composed of roughly 2,000 fighters, mostly young, poor Shiites from Sadr City. Members of the group reportedly earn as much as 700,000 Iraqi dinars, or $400, per month, a large sum in Iraqi terms. They dress in garb--olive uniform and red beret--redolent of Saddam Hussein's elite guard; their logo is a menacing-looking wolf.


They dress in garb--olive uniform and red beret(オリーヴ色の制服に赤いベレー帽)とのことですから、イラク関連でよく書かれている「黒服の男たち」(←これもまた特定の集団を示唆する言い方)とは別ですね。また、上記解説文ではyoung, poor Shiites from Sadr Cityとありますが、その記述だけでサドル派かどうかはわかりません。一方で彼らとダアワ党とかSCIRIの関連について触れられているものはあります(上記Salam Pax blogなど)。……と、あまりにこういう方面からだけ考えていると、「シーア対スンニ」の論にはまってしまうのですが。

それから、昨年の記事ですがこんなのも。
CBS report on Iraq's "Wolf Brigade" ignored reports that feared unit engages in torture
Mon, Dec 5, 2005 11:19am EST
http://mediamatters.org/items/200512050002

また、マルタ共和国の新聞に、国連人道支援室長を退いたばかりのジョン・ペイス氏(マルタの人らしい)のインタビューが掲載されています。
http://www.timesofmalta.com/core/article.php?id=215387

US 'aware' of Iraq torture

Herman Grech

The US is "aware" of torture taking place in Iraqi prisons, according to the outgoing Maltese UN human rights chief in Iraq.

"Yes, torture is happening now, mainly in illegal detention places. Such centres are mostly being run by militia that have been absorbed by the police force," says John Pace, who retired last week as human rights chief for the UN assistance mission in Iraq.

In a frank interview with The Times, Dr Pace says photos and forensic records have proved that torture was rife inside detention centres. Though the process of release has been speeded up, there are an estimated 23,000 people in detention, of whom 80 to 90 per cent are innocent.

He says the Baghdad morgue received 1,100 bodies in July alone, about 900 of whom bore evidence of torture or summary execution. That continued throughout the year and last December there were 780 bodies, including 400 having gunshot wounds or wounds as those caused by electric drills.

...

After two years serving in Iraq, Dr Pace says that the non-existence of law and order has left society without any protection, clearly reflecting that the US invasion was not properly planned.

Monday, February 20, 2006
The Times of Malta
http://www.timesofmalta.com/core/article.php?id=215387


※太字は引用者による。

昨年11月1日付けのCPT(Christian Peacemakers Team)の行動要請などもご参照ください。
→当ウェブログ過去記事(行動要請の日本語訳):
http://teanotwar.blogspot.com/2005/11/blog-post_03.html

投稿者:いけだ

まとまってないし英語の引用ばかりで申し訳ないです。