イラクのIMFローン
イラクに対するIMFの貸し付けをめぐって。
イラクのIMFローン
ジョシュア・フランク
2005年12月28日
CounterPunch 原文
国際通貨基金(IMF)は、2005年12月24日、イラクに対する6億8500万ドルの貸し付けを承認した。それにより、戦争で荒廃したイラクの経済は、世界経済に全面的に編入される----それも無期限に。イラク再建は、まもなく、今まで以上に、産業諸国とその利益に向けて開かれることになるだろう。
イラクが近い将来に主権を回復したり独立することは、ブッシュ大統領の言葉に反して、ないだろう。そのかわりに、イラク財政の未来は、新たなる巨大な経済的占領にさらされ、それを完遂するために、地上部隊兵士、戦車、外国軍の基地などなどが用いられるだろう。これらはすべて、米国と英国そしてIMFのおかげである。
この新たな貸し付けは、まもなく、イラクにおける今後の「経済的安定」の焦点となることだろう。もちろん、この占領と、IMFの慈悲深い援助の根底にあるのは、戦争の災厄を利用しようと言う欲望である。まちがいなくこれこそが、ブッシュ政権とそのお仲間たちが、これまでずっと望んできたことなのだ。
「この取り決めは、イラクの経済的安定を支え、オープンで反映する経済の基盤をしく一助となるだろう」と財務長官ジョン・スノーは、貸し付けが承認された直後の発表で述べている。翻訳すると:イラクはまもなくビジネスに開放される。
イラクがますます増える債務をどうやって返済するのがもっとも良いかについてIMFが指図できるようになったので、イラク復興を他人の手に手渡し、米国は利益を刈り取ることができるだろう。そのために毎年何百万バレルもの石油増産をせよと言われるならば、イラクはそうすることを強制される。実際、石油増産は、IMFの対イラク計画の中心にある。
先週公表した声明の中で、IMFは、イラクの新政府は、IMFが推進する包括的な経済計画に従って、石油生産を拡大するために、来年、予算を割り当てており、イラク経済が上向きになることが期待されると述べている。言い換えると、イラクはより多くの石油採掘開始を強制される。
そしてもちろん、IMFと裕福な投資家たちによって民主主義が真に実現されることは決してないし、それは望まれてもいない----イラクは、帝国主義の目標と資本家のどん欲の新たな草刈り場となるだろう。独立についてはそれでおしまい。というのも、産業世界に土足で踏まれた国は真に自由にも民主的にもならないから。市場は、自己利益があれば、いつでも民主主義を踏みにじる。そしてイラク市民は、IMFの貸し付けパッケージ----向こう15カ月のうちに分配される----のもとで、現実に利益を得ることはなさそうである。
イラクがグローバリズムのがつがつした欲望を近い将来振りはらうことができるなどと決して信じてはいけない----米軍兵士が配置転換されたとしてもである。資本主義の触手は今やバビロンに完全にまとわりついている----まるでこれまではそうでなかったかのように----し、まもなく石油が流れ出すだろう。米軍兵士が配置展開されたとしても、あるいは、断じてないだろうが、帰還したとしても、イラク占領は続くだろう。
ジョシュア・フランクは、Common Courage Pressから出たばかりの最新刊「Left Out!: How Liberals Helped Reelect George W. Bush」の著者。割引価格でwww.brickburner.orgに注文できる。ジョシュアのメルアドは、Josyua(atmark here)brickburner.org。
投稿者:益岡