汚職の大波:イラクの幽霊部隊
巨大な汚職により、「イラク軍」も「イラク警察」も混乱しています。名前だけの兵士が多数いるらしいという記事。
汚職の大波:イラクの幽霊部隊
パトリック・コックバーン
バグダード発
2005年7月16日
Counter Punch原文
汚職の大波により、反政府ゲリラと戦う米英軍にとってかわるには、イラク軍と警察は人数が少なすぎ武装も貧困すぎることが確実になるかもしれない。これにより、イラクの兵力を削減しようというワシントンとロンドンの計画にとって悩ましいこととなるかもしれない。
イラク軍にはたくさんの「幽霊部隊」がいる。士官たちが、これまで存在したことのなかった、あるいは家に帰ってしまった兵士たちへの給与を着服するのである。元イラク警察官で国会議員のマフムード・オトマンは「私は、2200人いるはずなのに実際には300人しかいない部隊を少なくとも一つ知っている」と語る。「米国は、治安部隊にいる15万人のイラク人について語っているが、4万人以上いるかどうか疑わしい」。
膨大な支出にもかかわらず、イラク軍と警察の武器は貧弱である。「暫定政権は6カ月で52億ドルを防衛省と内務省に費やしたが、それについて示すべきものはほとんどない」と匿名を望んだ上級イラク政府関係者は語る。
彼は、ポーランドから24機の軍用ヘリをはじめとする装備を購入するのに3億ドル以上を費やした例をあげた。イラクの専門家がヘリコプターを点検したとき、それが28年前のものだということがわかった----そして製造者は、25年でスクラップにするよう勧告していたのである。イラクは現在、代金の払い戻しを求めている。
汚職は、2003年、米国が運営する連合国暫定統治機構のもとで始まった。このとき、しばしばほとんど経験のないイラク人が各省の上級ポストに指名された。イラク人たちだけが汚職に手を染めていたわけではない。「アメリカ人はこれらすべての汚職において、イラク人と結託していた」とオトマン博士は語る。有効な武器を変えていないことの帰結は、イラク警察や軍の検問所の至る所で見ることができる。目に付く武器は、しばしば古びたカラシニコフである。エリート警察突撃隊であるはずの部隊が、古いピックアップで兵備もなしに運転している。内務省は最近、大統領警備に50丁のピストルを提供できなかった。
武器がないため、イラク警察や軍がゲリラよりも貧しい武装状態であることもしばしばである。
イラク人兵士は、しばしば、とりわけゲリラ攻撃に脆弱であることが示されている。「この2年間、人々はコロンビアの麻薬王をも驚かせるような規模で金を儲けることができた」とあるイラク人政治家は言う。彼もまた、多くの人と同様に匿名を希望した。「儲けた金を守るために、こうした人々は簡単に人を殺す」。一方、新たに国防相に就任したサードゥーン・アル=デユライミは、ほとんど何のインフラも引き継がなかったため、客にお茶を出すために自分がティーバッグを持ってこなくてはならないと不平を言った。
イラク政府は、米国から武器を無料で得ることを期待していたが、それはいらいらするプロセスであることがわかった。ある官僚は言う:「アメリカ人たちは、我々の兵士や警官を信じていない。彼らは、武器がゲリラの手にわたるかも知れないと言う。けれども私は彼らに、ゲリラはすでにそうした武器をもっているのだから、どうしてこれ以上欲しがるだろう、と言っている」。
投稿者:益岡