ダール・ジャマイルが中東に戻りました(イラクには入れない状況であり,隣国ヨルダンの首都アンマンを拠点として,
ウェブサイトで記事を更新していくかたちになりそうです)。というわけで14日のEI掲載記事。
下記記事で述べられている,アル=カーイムへの攻撃(オペレーション・マタドール)については,当ウェブログでは
5月11日にガーディアン掲載記事,
13日にEI掲載記事を日本語にしてあります。
また,私(=いけだ)の個人ウェブログに次の記事があります(5月16日付け)。
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「ザルカウィ重傷」を伝える“英紙”記事。(「ザルカウィが重傷でラマディの病院に現れた」との5月15日英サンデー・タイムズ報道。)
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「オペレーション・マタドール」という名の破壊が現在行なわれているのにそれはほとんど報道さえされていない。(上記サンデー・タイムズ報道の解説のつもり。)
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「テロリストは殺せ」――Shoot To Kill(直接はイラクには関係ないかもしれない。英国が北アイルランドでやってたこととの比較。年代から推測しても,80年代半ばまでの対IRA作戦,俗称Shoot to Killの実行者が,現在PMC(私営軍事企業)の経営者・幹部になっていることが多いです。)
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ラマディ関連および「オペレーション・マタドール」関連。(記事リンク集。昨年のものから今年のものまで2つか3つづつ。)
以下,ダール・ジャマイルの記事です。
アンマン,イラクそしてアル=カーイムAmman, Iraq, and Al-Qaim Dahr Jamail, Electronic Iraq, 14 May 2005
http://electroniciraq.net/news/1958.shtml
アンマンにいてイラクについて書くなんて,中途半端な感じがする……けれども,近い友人たちもアブ・タラット(親友であり通訳である)も直感もすべて,同じことを言っているのだ――イラクの中に入ってはならない,今は。
だから私はアンマンにいる。1週間ほどになる。これからここアンマンから記事をアップしていこうと思う。アンマンにいるイラク人についての記事を数本書いているところだ……もうすぐアップできると思う。
ここアンマンで会っている人たちのほかに,バグダード(およびそのほかのイラクの各都市)にいるイラク人のコンタクトを使い,アルジャジーラのテレビ放送を見て,現状についてのニュースや写真をやり取りしている。
アブ・タラットは今日バグダードにいる家族に電話をしていた。4日間,電気が途絶えているという。イラク全土で数日にわたって電気がまったくないのだとの話だ(裏は取れていない)。アブ・タラットが言うように,「バグダードは発電機で動いている」のだ。
むろん深刻な石油不足もいまだ解消せず,それが電力不足に拍車をかけ,そして攻撃は増加する一方だ。
さっき,アンマンの整然とした街路をタクシーに乗って,イラクの状況について話をしていた。運転手に,バグダードから来たんですよと言った後で,アブ・タラットは「自分がイラク人だなんて恥ずかしくて言いたくなくなった」と言う。「何しろ僕の国は完全にめちゃくちゃにされてしまっているのだから。」
私は窓の外を見ている。何と言ったらいいのかわからないのだ。「でもそれはきみが悪いわけじゃないだろう,ハビビ【注:habibi, 英語にすればmy dearという感じ】」と言おうと思ったが,黙ってただじっと座っている。言葉など,何にもならないと思えて。
「オペレーション・マタドール」が進行しているアル=カーイムの辺りの状況は,ミニ・ファルージャという感じがする。軍もコーポレートメディアも,あたかも「外国人戦士たち」がカーイムとその周辺の村々の実権を掌握しているかのように状況を描き出すことを続けているが(ファルージャについても同じことが言われていたのだ),現地からのレポートでは,取材に応じて戦士たちはみな自分はイラク人だと言っている。
もちろん,軍にとっては,自分たちは「外国人戦士たち」と戦っているのだと主張することは必要だ。というのは,ファルージャやそのほかの場所でのときと同様に,軍が戦っている相手は,自分たちの国を占領している者から独立を勝ち取ろうと戦っているイラク人であると認めることは,新聞記事になったときによい印象を与えないのだから。ファルージャの海兵隊ですら,ファルージャで殺した外国人戦士の数は合計で35であったと認めた。外国のテロリスト集団が都市を乗っ取って市民たちに恐怖をもたらしているという神話は,これで崩れているようなものではないか。
カーイムとファルージャの類似点はほかにもある。戦闘が原因で,人道上の危機が発生しているということだ。1300世帯(人数にしておよそ8万人)が住む場所から追われ,病院は5月8日のレジスタンス戦士と地元の人々との間の戦いの中,破壊された。5月9日にはカーイムとその周辺では電気も水も途絶えており,学校は閉鎖されていた。11日に米軍戦闘機がオベイディ(Obeidy)をはじめとする近郊各地に爆撃を加え続けた。
上記の数値はすべて,アンマンに拠点を置くイタリアのNGO,イタリアン・コンソーシアム・オヴ・ソリダリティ(Italian Consortium of Solidarity)の友人から得たものである。ICSは人道支援を行なっているNGOだが,アル=カーイムのための緊急作業グループを立ち上げている。現地にコンタクトもいる。彼女は,アル=カーイムの人々にはシェルターと食料と水と医療が必要だとも伝えている。
人命の失われるケースは一向に減らない……先週,4月28日から進行している巨大な規模の包囲戦で,少なくとも37人の米兵が殺され,少なくとも450人のイラク人が死んだ。4月28日というのは,イラクの政府が公式に発表された日である。
イラク政府通信局アル=カーイム支局責任者であるアブドゥル=ハリク・アル=ラクウィ(Abdul-Khaliq al-Raqwi), は,アルジャジーラに対し,この前の水曜日に米軍ヘリ2機がクセイバー(Qusaybah)で撃ち落されたことは事実であると述べた。しかし軍はこれを否定している。現地の目撃者もまた,撃墜の報を事実であると述べている。
このほかにも興味深いことは起きている。今月初めに,F-18ホーネット・ジェット戦闘機が2機,イラクで墜落したのだ。軍は攻撃されたことを示す材料は何もないと主張しているが,2機はそれぞれ別の地点で墜落している。この墜落のあった日にはバグダード空港は商業航空をシャットアウトしていた。空港の閉鎖は3日間続き,当局から何ら理由の説明はなかった。
(c)2004, 2005 Dahr Jamail.
ジャマイルのサイト,http://dahrjamailiraq.com/に記事や写真が多く掲載されています。
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投稿者:いけだ