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2005/06/18

ドキュメンタリー "Occupation: Dreamland"

米ネットワークCNNで,"Occupation: Dreamland"というドキュメンタリーが紹介されていたそうです。

"Occupation: Dreamland"は米NYCのGreen House Pictures制作のドキュメンタリー。
http://www.greenhousepictures.com/newfilms100.html
Occupation: Dreamland
Directed by Garrett Scott & Ian Olds
78 mins /Completed 2005

Occupation: Dreamland is a melancholy portrait of a squad of the US Army's 82nd Airborne deployed in the doomed Iraqi city of Falluja during the winter of 2004. A collective study of the squad unfolds as they cope with an environment of low-intensity conflict and confusion creeping steadily towards catastrophe. Through the squad's activities Occupation: Dreamland provides a vital glimpse into the last days of Falluja before a final series of assaults began in the spring of 2004 that effectively destroyed the city. The result is a revealing, sometimes surprising look at Army life, operations and the complexity of American war in the 21st century.


このフィルムがCNNで紹介されていたのは,Human Rights Watch International Film Festivalで上映されるとのことで。→CNNの番組のトランスクリプト

フィルムは2004年4月(と11月)に包囲攻撃が行なわれる前,1月にファルージャで任務を行なっていた陸軍の部隊の兵士を追ったもの。兵士たちの生の声で構成されていると同時に, 「ファルージャの市民たちとファルージャ駐留の米兵たちとの間の不信感が増大し,すべての側がより混乱し,疑心暗鬼に陥っていく」(映画紹介の記述より)さまをとらえている,とのこと。

CNNでは監督のひとり,イアン・オールズさんをスタジオに招いて,インタビューをしています。→CNNの番組のトランスクリプト

Human Rights Watch International Film Festivalは,英国(ロンドン)では3月に終了していますが,米国(NYC)では開催中です(6月9日~23日)。

日程:
http://hrw.org/iff/2005/ny/

上映作品一覧:
http://hrw.org/iff/2005/ny/films.html

上映される作品は
* Omagh(北アイルランド,98年のReal IRAによる爆弾テロを題材としたドラマ)
* The Boys of Baraka(ケニア)
* Compadre(ペルー)
* The Education of Shelby Knox(米国南部)
* Justice(ブラジル)
* The Liberace of Baghdad(イラク:かつて「バグダードのLiberace」と呼ばれたピアニストの現在)
* Living Rights(日本,ケニア,ベラルーシの子ども)
* Mardi Gras: Made in China(中国)
* Seoul Train(北朝鮮)
* Midwinter Night's Dream(セルビア)
* No More Tears Sister: Anatomy of Hope and Betrayal(スリランカ)
* Occupation: Dreamland(イラク,ファルージャ)
* Pulled from the Rubble(イラク,2003年8月の国連爆破)
* La Sierra(コロンビア)
* State of Fear(ペルー)
* Una de Dos(アルゼンチン)
* Videoletters(旧ユーゴ:今年4月にBBCのNewsnightで紹介
* Wall (Mur)(パレスチナ)
* Still Life(パレスチナ)
* Darfur: An Unnatural Disaster(スーダン)

# 上映作品は英米でまるっきり違っているのですね。英国での上映作品のリストはこちら。共通しているのはわずか6作品。

――以上,ウェブログ「ニュースの裏's」さんのnobsakuさん記事「イラク戦争映画の紹介」経由。

投稿者:いけだ

シリアとの国境カーイムで新たに米軍の作戦が。

4月,5月と大規模な作戦が行なわれてきたシリア国境の町アル=カーイムで,新たな作戦が開始されています。

* 4月の攻撃についての記事(アルジャジーラなど)
* 5月の攻撃についての記事 1(英ガーディアン)
* 5月の攻撃についての記事 2(IRIN)
* 5月の攻撃についての記事 3(ダール・ジャマイル)
* 5月の攻撃(オペレーション・マタドール)については,いけだの個人ウェブログにも記事3件:記事1記事2記事3

少し振り返っておきます。

5月の「オペレーション・マタドール」のとき,米軍は「ザルカウィ掃討」を目的として掲げていました。それが「ザルカウィ本人」なのか「ザルカウィ支持者」なのかそのどちらもなのかは記事からははっきりとはわかりませんでした。

また,作戦の数日前には,「カーイムで外国人武装勢力と地元の人々との戦闘が発生」という報道がありました(ソース控え忘れ)が,同時に「カーイムには外国人武装勢力はいない」という地元の人の証言も読んだ記憶があります(ソース控え忘れ)。

まさにこの作戦が進行していた5月半ば,正確には15日に,「ザルカウィがラマディの病院に」という報道が英国でありました(サンデー・タイムズ)。

アル=カーイムとラマディの位置関係は,地図をご参照ください。近くはありません。っつか私の感覚ではこれは「遠い」です。遠いとか近いとかは相対的なもので,北米大陸の感覚では「近い」のかもしれませんが,いずれにしても重傷を負った容疑者が検問とか非常線とかを潜り抜けて見つからずに移動できる距離かどうかはわかりません。

「ザルカウィの居場所」についてのサンデー・タイムズの報道が信頼できるかどうかは別として,「報道があった」という事実を書いておくと,同じくサンデー・タイムズは5月29日に「ザルカウィはイランにいる」と報じています(<リンク先はそれに対する反論@バーレーンの英字紙)。

以下は手っ取り早く見つかったところでBBC記事。

米軍,イラクで大規模な作戦を展開
US troops in major Iraq operation
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4103418.stm

米軍はイラク西部において大規模な作戦を開始した。作戦を行なう兵力はおよそ1,000で,目的は反乱者と外国人戦士を根こそぎにすること(to root out insurgents and foreign fighters)である。

作戦名は「オペレーション・スピア(槍作戦)」。不穏な情勢の続くアンバール州のシリア国境地帯で,早朝に激しい銃撃戦の音がした。

この作戦の前には1週間にわたる攻撃があり,米兵11人が死亡している。

一方バグダードでは自動車爆弾が爆発。……【この事件についての詳細を述べている部分はカット】

イラク西部での米軍の作戦は夜明け前に開始された。目撃証言によれば,カーイムとカラビラ(Karabila)の町で激しい銃撃戦があったという。

イラクとシリアとの国境の東20キロほどの地域にある反乱者の隠れ家および武器庫と疑われるものに,戦闘機から爆弾(複数形)が投下された。

この他にも,米軍地上部隊をめがけて発砲していた反乱者(rebels)を標的として投下された爆弾があるとの報告である。

米海兵隊のCaptain Jeffrey Poolは「オペレーション・スピアは,反乱者と外国人戦士を根こそぎにし,カラビラ内部および周辺の反乱者へのサポートのシステムを破壊する目的で,早朝の時間帯に開始された」と述べた。

カーイムのイスラム法学者協会の指導者は,米軍の攻撃への抗議として商業活動は休んだままにしておくよう訴えた。彼によればこの米軍の攻撃は一般市民の生命を脅かすものである。

「米軍は状況をエスカレートさせている。私たちは金曜の礼拝のあと,ゼネストを宣言する」と,法学者協会指導者のムダハファル・アル=アニ(Mudhafar al-Ani)は述べたとロイター通信は伝えている。

米高官は,西部の国境は,昨年11月の米軍の攻撃までファルージャに潜んでいた反乱者にとって,新たな拠点となっていると述べている。

彼らは,外国人戦士がシリアからイラクに潜入し続けているとしている。しかしダマスカス(=シリア政府)はこれを否定している。


ロイター記事によれば,投下された爆弾は500ポンド爆弾が9発,戦闘機はF-16戦闘機とのこと。また米海兵隊のステートメントは,ラマディの海兵隊基地から出されているもの。
http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?storyID=8824578

さらに,BBC記事にかかれていない情報としてロイター記事から:
The chief doctor at Qaim hospital, Hamdi al-Alusi, said six bodies had been brought to the morgue on Friday, including one of a woman. The identities of the five men were unclear.
カーイム病院の医局長によれば,金曜日に6体の遺体が運ばれてきたが,そのうちの1体は女性のものだった。残り6体の身元ははっきりしていない。(ちょっとこの記述曖昧ですが,医師が「身元がわからない」と述べたのか,ロイターの記事を書いた人に身元情報が伝わっていないのかがわかりません。)

It was unclear how much resistance U.S. forces were meeting, but a U.S. Black Hawk helicopter made an "unscheduled landing" near Qusayba, 20 km (12 miles) west of Qaim, the military said. Pool said it was not shot down.
米軍への抵抗の規模は不明だが,ブラックホーク・ヘリが「緊急着陸」している。海兵隊司令官は撃ち落されたわけではないと述べている。

The western, desert regions of Iraq provide strongholds for Sunni insurgents battling U.S. forces and the new, Shi'ite-led government. Iraqi and U.S. officials say Arab foreign fighters have been entering from Syria, although Damascus rejects accusations of helping them do that.
イラク西部の砂漠地帯は,米軍とシーア派主導の移行政府に対して戦うスンニ派反乱者の新たな拠点となっている。イラク政府および米国政府は,シリアからアラブ人外国籍戦士が入ってきていると述べているが,ダマスカスはこれを助けているとの非難を一蹴している。

It is also believed to be the main hideout of Abu Musab al-Zarqawi, the Jordanian militant whose al Qaeda-linked group has carried out many of the deadliest attacks in Iraq and who U.S. forces believe is behind a recent surge in violence.
またここはザルカウィの主要な拠点であると考えられている。

# サンデータイムズは「イランにいる」と言うし,イランとシリア国境では無茶苦茶遠いし……。

Since late April, more than 1,000 Iraqis and 120 U.S. troops have died in rebel attacks. That may help explain a declining approval rating for President Bush at home.
4月以降,イラク兵1,000人以上,米兵120人が反乱者の攻撃で死亡している。米国でブッシュ大統領の支持が下がっている一因と考えられえよう。

A CBS/New York Times poll released on Thursday said 60 percent of Americans thought things were going badly for the United States in Iraq. Fifty-one percent now think Washington should have stayed out of Iraq.
*日本語省略*

In Baghdad, a suicide car bomber blew up his vehicle as an Iraqi security patrol was passing a Shi'ite mosque, wounding four people and causing a fuel truck to explode, police said.
*日本語省略*

Another car exploded near the convoy of an Iraqi general in Falluja, killing two civilians and wounding 11, officials said.
*日本語省略*

Tensions have been high between the minority Sunni Arabs, from where the insurgency draws support, and the dominant Shi'ite sect since the government was formed in late April.
4月に政府ができて以降,反乱を支持する少数派のスンニ派アラブ人と支配的なシーア派との間の緊張が高まっている。
# 今度時間のあるときに,これらの言い方についても調べてみたいと思いますが,イラクで生まれ育ち教育を受け実業家として成功したある女性は「『あなたはスンニ派ですか,シーア派ですか? アラブ人ですか,クルド人ですか?』――私たちがイラク国外に出ると,こんな馬鹿げたことを質問されるようになりました。こんなこと,いまだかつてなかった」と書いています。

Despite tensions, Sunni Arab and Shi'ite leaders managed to strike a compromise on Thursday over the makeup of a committee charged with drafting a new constitution. (Additional reporting by Alastair Macdonald, Luke Baker and Lutfi Abu-oun in Baghdad)
緊張にも関わらずスンニ派アラブ人とシーア派指導者たちは木曜日に新憲法草案作成を行なう委員会の構成について相互に歩み寄った。


「緊張」があることはストーリー展開上必要であるといわんばかりのこの記述。

「サダムはシーア派を弾圧した」,これは事実でしょう。弾圧されたのはシーア派(とクルド人)だけじゃないんだけど。

「サダムはスンニ派である」,これも事実です。だから何? しかもサダムは宗教色が薄い人だった。

「ゆえにシーア派はスンニ派を憎悪している」。そういうこともあるでしょう。しかし「親はスンニ派とシーア派,子どもは宗教にはあんまり関心がない人とわりと熱心なスンニ派」という例や,「友人・知人同士で,A君はスンニ派,B君はシーア派,C君はキリスト教徒,D君は……」という例は,普通にごろごろしているのが当たり前の社会ではないのか?

アラブだということで,ムスリムが多いということで,それだけでものすごいバイアスがかかってないか?

イラクで起きていることは,かつてユーゴスラヴィアと呼ばれていたところで起きたことととてもよく似ていると思う。

投稿者:いけだ