人体の内側から焼く兵器、その名は「ウィリー・ピート」~イタリアRAIニュース報道
まずはRAIの映像を見る方法を書いておきます。言葉がわからなかろうと何だろうと、とにかく見るべきだと思います。が、「ぜひご覧ください」とか「見なさい」とは言えません。これまでこのウェブログで触れてきた静止画像もしくは動画のどれよりも凄惨、「酸鼻その極み」という常套句で説明せざるを得ない内容です。具体的に一例を挙げれば、ぐずぐずになって何が何だかわからない頭蓋から、眼球が飛び出していたりします。そういうのを見たら確実に体調がおかしくなるという方は、イタリア人女性のインタビュー(2件)が終わったあたりで見るのをストップしてください。
■ダウンロード方法:
1)イタリア語版(Windows Media Player)
http://www.rainews24.rai.it/Notizia.asp?NewsID=57784
クリックすべき場所などは下図を参照。(画像はクリックで原寸表示。)
2)イタリア語版、英語版、アラビア語版(Windows Media Player / Real Player / asfファイル)
http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/body.asp
下図の、赤い○で囲んであるところが英語版。その部分の拡大が、赤い四角形で囲んである部分。DLしたいフォーマットをクリックするなどして再生/保存。○印の左側がイタリア語版、右側がアラビア語版。
あるいは、↑のリンクが切れていたりした場合は:
http://www.informationclearinghouse.info/article10907.htm
↑リンクをクリックするといきなり映像が始まるようになっています。
※追記(11月12日):
内容については、スクリプトの日本語訳(ゆっくすさんによる翻訳)をご参照ください。
rai.itもinformation clearing houseも、8日午前2時とか3時とかに見たときは非常に重くなっていて、1~2分ごとにバッファリングで中断してしまいました。「名前をつけて保存」(Windowsなら右クリックから)した方がスムーズに見られると思いますが、保存するにも非常に時間がかかりました。ファイルサイズは、Windows Media Player用のファイルで、41MBくらいあります。
……インタビューに答えていた元米兵の言っていた"burning inside"という言葉が、頭を離れません。
これまでに見たファルージャでの死者の写真の多くが、鼻から口にかけて(特に口)および眼球が、「銃撃されて死んだ」とか「爆死」とかとは素人目にもまったく異なった、ひどい形状になっていました。そして「ウィリー・ピート」が「人体の内側から焼く」のだ、と、昨年のあの作戦の現場にいた元米兵が説明しているのです。私は兵器についてはド素人ですから、直感が働くような知識は持ち合わせていません。説明されてはじめて、それが人間に対して何をするのかがわかる。
「ウィリー・ピート」はファルージャの米軍で用いられていたスラングです。
▼以下、スクロールダウンするとちょっときつい画像が出てきますので、見たくない方はブラウザで画像をOFFにしてページをリロードしてください。
少しスペースを空けておきます。
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スペースはここで終了です。
フィルムの中で元米兵は言います――「ウィリー・ピート」は「服は必ずしも焼かない。人体だけ焼く」。
昨年の今頃、11月のファルージャ攻撃(「幻の怒り」作戦)のときに、こういった遺体について「野犬に食われたから」という説明が多く為されていました。もちろん野犬が食った例も多かったはずです。狂犬病が蔓延していたくらいです。でも、すべてが野犬に食われていたのではなかった、ということです。
元米兵は言います――「それを吸い込むと、口の中から喉、呼吸器が焼ける。人間の体の中が焼ける(burning inside)」。
「それは女も焼く。子どもも焼く」。
20歳そこそこという肌のツヤをした元米兵は、そう語っているのです。
「ウィリー・ピート(Willy Pete)」、RAIニュースによれば、コードネームでは「MK77」(<これは不正確なようです)。MK77が使用されていたことが占領国側からの確実な情報として伝えられたのは今年の6月でした。英国の下院議員への私的な書状において、英国防省のミニスター(国防省においては「閣外相」)であるアダム・イングラムが、米軍がファルージャにおいて「MK77」を使用していたことを認めた、ということを、英紙インディペンデントがスクープ。
→US lied to Britain over use of napalm in Iraq war (by Colin Brown of the Independent)
→当ウェブログ過去記事
その2週間後、Information Clearing Houseのマイク・ホイットニーは、「英国での報道があったというのに米国メディアは沈黙している」という記事の中で、次のように書いています。
http://www.informationclearinghouse.info/article9307.htm
The US also used napalm in the siege of Falluja as was reported in the UK Mirror ("Falluja Napalmed", 11-28-04) The Mirror said, "President George Bush has sanctioned the use of napalm, a deadly cocktail of polystyrene and jet-fuel banned by the United Nations in 1980, will stun the world.. Reports claim that innocent civilians have died in napalm attacks, which turn victims into human fireballs as the gel bonds flames to flesh.Since the American assault on Falluja there have been reports of 'melted' corpse, which appeared to have napalm injuries."
"Human fireballs" and "melted corpses"; these are the real expressions of Operation Iraqi Freedom not the bland platitudes issuing from the presidential podium.
英デイリー・ミラーでは、米軍がファルージャ包囲攻撃でナパームを用いたことを報じている(2004年11月28日, "Falluja Napalmed")。記事には「ブッシュ大統領は、1980年に国連によって禁止されたナパームの使用を許可した。伝えられるところによれば、事態に関係のない一般市民がナパームによる攻撃で死亡している。こういう場合、ナパームに含まれる燃料が肉にくっついた状態で燃えるので、人間は火の玉になる。米軍によるファルージャ攻撃以降、死体が「溶けていた」という報告は複数あるが、これはナパームによるものと思われる」とある。
「人間が火の玉に」、「溶けた死体」――「イラクの自由作戦」を本当に表現するのはこういう言葉だ。大統領執務室から出されるような言葉ではなく。
As journalist Dahr Jamail reported later in his article "What is the US trying to Hide?", "At least two kilometers of soil were removed..exactly as they did at Baghdad Airport after the heavy battles there during the invasion and the Americans used their special weapons."
ダール・ジャマイルが「米国は何を隠そうとしているのか "What is the US trying to Hide?"」という記事で報じているのだが、「少なくとも2キロに渡る地域の土が運び去られた。(2003年の)侵攻のときの激しい戦闘の後、バグダード空港で同じことを米軍は行なった。バグダード空港では米軍は特殊な兵器を使用した。」
# ジャマイルの記事は、上にあるのと同じ記事かもしれないし、別の記事かもしれませんが、今年1月の記事が当ウェブログにあります。
このとき(今年の6月)、私は「問題となっているコードネームMKなんちゃらというのは、いわゆる『ナパーム弾』の一種なのだ」とは思っていました。
ナパーム弾 (Napalm bomb) とは、ナフサ、パーム油などを主成分とする油脂焼夷弾。……「ナパーム」 (Napalm) とは、ナフテン酸 (naphthenic acid) とパルミチン酸 (palmitic acid) のアルミニウム塩 (Aluminum Salts) の略語で、ガソリンやジェット燃料などの油脂と混合するとゼリー状にゲル化する性質を持った添加剤のこと。……主燃焼材のナフサ、粘稠材としてのパーム油、その他可燃材(亜鉛、リン、ガソリン、重油など)を混合し、ナパーム剤でゼリー状としたものを落下燃料タンクに充填し、これに信管をつけて投下する。
http://ja.wikipedia.org/より
しかし、この「MK77」がwhite phosphorus bombs――白燐弾――であるとわかったのは、11月8日、昨日のBBCの記事を見たときのことです。(よく読めばウィキペディアにも「リン」って書いてあるのに、頭の中でつながらなかった。)(後日追記:「MK77」=「WP」はRAIの誤認で、両者は別のもの、という話もあります。)
US 'uses incendiary arms' in Iraq
Last Updated: Tuesday, 8 November 2005, 11:13 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4417024.stm
Italian state TV, Rai, has broadcast a documentary accusing the US military of using of phosphorus bombs against civilians in the Iraqi city of Falluja.
イタリア国営テレビRAIが、ファルージャで米軍が一般市民に対して白燐弾を使ったと告発する内容のドキュメンタリーを放送した。
冒頭で触れた映像は、このBBC記事にある「RAIテレビの放送したドキュメンタリー」です。
RAIのドキュメンタリー・フィルムは、ヴェトナムでの映像から始まります。戦闘機から次々と投下され炎の塊を地上に出現させる爆弾と、服を全部焼かれて逃げてくる子ども(あの有名な写真が撮影されたのと同じ現場です)――説明のために、映画ですが『地獄の黙示録』を引き合いに出しておきます。
『地獄の黙示録』のように見える映像は、ステレオタイプな「あいるらんどのような田舎」のような美しいヴェトナムの村落を爆撃する米軍戦闘機から、撮影担当の米兵が技巧を凝らして爆弾の効果をフィルムに収めた映像、バックに流れるMamas and PapasのCalifornia Dreamin'は、当時米軍ラジオからよく流れていた曲だそうです。(正直、これはキます。コッポラの映画より私にとってはダメージが大きいです。)
続いて米軍エンベッドの映像(暗視カメラ)が数秒流れ、昨年11月のファルージャでの戦闘に参加した米兵のインタビュー。続いてジャーナリストのジュリアナ・スグレナ、NGO『バグダードへの橋』の人……とインタビューが続き、それからファルージャからの映像、イラク人医師のインタビュー、再度米兵へのインタビュー……と続いていきます。白旗を掲げた男の人が銃撃を受けているところの映像や、米軍エンベッド記者のケヴィン・サイツが撮影した、モスク内部で無抵抗の人を米兵が銃殺しているところの映像も入っています。そして…………
えーっと、このドキュメンタリーについては説明があるので、まずはそれをご覧ください。
イタリア語記事 http://www.uruknet.info/?p=17579&hd=0&size=1&l=x
英語記事&フォトギャラリー http://www.uruknet.info/?p=17582&hd=0&size=1&l=x
「フォトギャラリー」は、以前ダール・ジャマイルが紹介していたことのある「遺体の身元確認のために資料として撮影が許可された写真」と、もっと強烈な写真が何枚も出てきます。卒倒しそうな方は画像をOFFにしてからクリックしてください。これらの写真は、RAIのフィルムに出てくる映像のスチールです。
「フォトギャラリー」の、最初の何葉かの写真はこれまでに見たことがあるもので、こういう言い方はアレですけど、私にはそんなにショッキングではなかったです。ちょっと見えるくらいなら。(じっくり見るとたまらないけどね。)
それらの写真の後は、破壊された学校での女子の授業の光景とかが何葉か続いているので、ちょっとほっとします。1葉、骨だけになった不思議な遺体の写真がはさまって、次は瓦礫の山となった建物や、再度学校。校庭というかパティオでの写真で、イラクの学校も日本の学校みたいに学生のかばんは指定されてるようだ、とか思ってスクロールすると……。
……あのですね、警告しておきます。マジで、心臓が弱い人とか不整脈のある人とか、喘息や肺炎といった呼吸器疾患のある人、あと妊娠中で安定期ではない人、食事前の人。。。最初の「遺体確認資料写真」で大丈夫でも、スクロールするのは校庭の写真までにしておくのがいいかもしれません。
今年の1月に「報道ステーション」でちょっと流れた映像がありました。テレビではすりガラスを通して見ているくらいまでにぼかしがかかっていて何が写っているのかもわからないような有様になってました。結論から言えば、uruknet.infoに出ている写真は、テレビ局がぼかした部分がぼかされずに写った写真です。(……とか書くと、別なもの探してる人を検索で連れてきてしまうか。。。と一応書き添えておく。)
具体的に言葉で書きましょう。まず、死体です。黒くなってますがその理由はわかりません。皮膚がずるずるとむけたりもしています。そして……びっしりと蛆虫が。
実はこの動画は、私は今年の5月に高遠菜緒子さんのスピーキングツアーで拝見しています。生き物の身体はあんなにも蛆虫の餌になる。そして、私はあんなにたくさんの蛆虫をたとえ映像でも見たことはないです。。。動画ですから、虫が全部動くんですよ。遺体袋を開ければポロポロとこぼれだしてくるし。動画でも1匹や2匹ならどうってことないけど、あまりにも多すぎです。
で、このときの映像で「何だこりゃ?」と目が点になったのが、手の皮がきれいにペロンと、まるで医者が使う薄いゴム手袋のように剥けている映像。色も形も本当にゴム手袋にしか見えないんですが、人間の皮膚。
この「ゴム手袋」も、RAIの映像に出ています。
それから白旗を手に巻きつけたまま死体になった少年(←リンク先はいきなり画像:この画像についての説明@当ウェブログ過去記事)――この、顔が破壊されずに「死体写真」として全世界に知られることになった子は、少なくともこの子だけは、衣類や家具からではなく、顔から身元が判明しただろうという点でもとりわけ印象に残っているのですが、RAIの映像に出てきます。
イタリア国営テレビの番組だけあって、殺されたイタリア人ジャーナリストのエンゾ・バルドーニについての言及もあります。彼は行方知れずになったとき、突っ込んだ調査をしていたのだそうです。惜しまれます。
RAIのフィルムは、私が見たときは1分ごとにバッファリングしてるような状態でしたし、映像で限界超えたらしく、英語がまるっきり聞き取れなくなってしまいました。
よって、もう一度見ないと内容がはっきりわからないのですが、詳しい内容についてはまた後ほど、可能であれば書きます。
投稿者:いけだ
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追記:
RAIニュース24の記事のイタリア語から日本語への翻訳とバックグラウンドの解説(飯田亮介さんによる)、ぜひお読みください。ウェブログ「反戦翻訳団」さん掲載。
【隠された大虐殺】ジークフリード・ラヌッチ、Rainews24(2005/11/8)
http://blog.livedoor.jp/awtbrigade/archives/50119768.html
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追記2:
RAIニュースのスクリプト@日本語(翻訳はゆっくすさん)、ウェブログ「フットボールは未来の兵器である」さん掲載。
燃える雨2(「ファルージャ 隠された大虐殺」日本語訳)
http://www.doblog.com/weblog/myblog/7844/2043448#2043448