子供たちの心の健康が不安から悪影響を受けている
長引く不法占領と暴力。先行きのわからない生活。それが「日常化」する中での子供たちについて。
子供たちの心の健康が不安から悪影響を受けている
IRIN
2006年2月7日
Electronic Iraq 原文
バグダード発。イラク心理学者協会(API)は報告書を発表し、その中で、米軍が率いたイラク侵略と占領が、イラクの多くの子供たちの心理的な発達に大きな影響を与えていると述べた。
「イラクの子供たちは、あらゆる不安----とりわけ誘拐と爆発----に関して心理的に重大な苦しみを受けています」とAPIの報道担当マルアン・アブドゥラは語った。「強度のストレスに苦しむ子供たちもいるのです」。
この研究では、過去4カ月に、全国の1000人以上の子供たちに聞き取りを行なっている。その結果を受けた報告書が公開されたのは2月5日のことである。
アブドゥラによると、この調査は、心理カウンセリングを求める子供たちの数が目に見えて増えたことから行われた。こうした子供たちの多くが学習困難を抱えていることがわかった。
「結果がどれだけ強烈なものかは信じがたいほどです」とアブドゥラは言う。「心を占める唯一のものは、銃と縦断、死と米軍の占領に対する恐れです」。
調査を受けた子供たちの92%に学習障害があることがわかった。ほとんどの場合、現在の、恐怖と不安の状況によるものである。
「学習が不足する主な理由は誘拐へのおそれです。とりわけ、政府職員や、医者や教師といった高い階級の専門職を親に持つ子供の間でそれは顕著です」とアブドゥラは言う。
「調査した子供たちの50人ほどは、もし治療を行わなければ、精神遅滞を引き起こす可能性があるほどの危機的な恐怖状態にあります」と彼は続けた。
APIはまた、心理的な処置に対する不正確な理解が問題を難しくしていると結論している。
「イラク人の多くが、心理学者は狂った人々の治療を行うと思っています」とアブドゥラは言う。「そのため、治療を受けさせるために子供たちをつれてこないのです」。
昨年7月、イラク赤新月社(IRCS)は、戦争のトラウマに苦しむ子供たちを助けるプログラムを開発した。けれども、資金不足のため、その数カ月後に、このプロジェクトは中断された。
「子供たちに対するこれまでの研究も、そうした心理的影響を確認していた」とIRCSのフェルドス・アル=アバディ報道官は述べた。「けれども、残念ながら、資金不足のために家を追放された人々の緊急事態を優先せねばならず、この研究を続けることはできませんでした」。
APIは、児童心理を専門とするセンターとメンタルヘルスを扱うプログラムを設置するために国際社会の援助を呼びかけている。
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基本的な生活をまともに送るための資金はほとんどないままに、様々な努力を続けるイラクの人々の、あくまで人間的で理性的な振舞い。
不法占領を「再建」とか「復興支援」と称して巨額の金をつぎ込んで自衛隊を派遣している日本の政策がどのようなものかが、こうした記事に示されている現地の事情と並べて考えると、はっきりわかります。
日本国内でも、ナントカ博覧会みたいなもののために強制的に野宿者を公園から追放してその生活を破壊したりといった政策がごり押しされていますが、全体の図式によくあてはまります。
ここでもまた、追放された人々の、人間的で理性的な声明。
投稿者:益岡