暗闇の中の笑い
タルアファルにイラク軍・米軍の攻撃が加えられ、数百人の犠牲者が出ています。そうした中、イラクの人々が語る「ジョーク」。
暗闇の中の笑い
シェイラ・プロヴェンチャー
2005年9月8日
Electronic Iraq 原文
ジョークは多くを語る。専門的な論文や政治演説、メディアのレポートの多くよりも、雄弁に事態を明らかにするのではないかとさえ思う。そこで、最近イラクで耳にしたジョークをいくつか紹介しよう。
私がよく車で通るバグダードのタフリル広場近くに、政府による3階建ての高さほどもある広告掲示板がある(本当にある)。そこには、巨大なアラビア文字で「一つの国。一つの民衆。一つの憲法」と書いてある。
先週そこを車で通り過ぎたとき、タクシーの運転手は笑って、この広告掲示板は意味がないと言った。彼は、実際、それは次のように読むべきだと述べた。「三つの国。狂った民衆。憲法はなし」。
同僚のマシュー・チャンドラーは先日、カナダ-TVのインタビューを受けた。イラク人カメラマンがジョークを教えてくれるかと聞いた。「不快に感じないで欲しいのだけど」と言って、彼は次のように答えた。
「3人が死んで地獄に送られた。一人はアメリカ人、もう一人はヨーロッパ人、もう一人はイラク人。三人とも、家族に電話したいと懇願した。アメリカ人は10分間話し、悪魔たちは彼に2万ドルを請求した。ヨーロッパ人は5分間話し、悪魔たちは彼に5000ドル請求した。イラク人は約2時間話し、悪魔たちは彼に50セント請求した。『おいおい!』とアメリカ人は言った。『どうしてこいつは何時間も話したのにたった50セントしか請求されないんだ?』
『さて』と側にいた悪魔が答えた。『実際、市内通話だからさ』」
あるイラク人の友達は、今でも人気のあるこのジョークは、経済制裁の時代に生まれたかなり古いものだと教えてくれた。イラクは市民にとって、かなり前から地獄のようだったのである。1990年代に生まれたジョークのもう一つ:高速道路を走るタクシー運転手の前に巨大な配送トラックが割り込んできたため、運転手は速度を落とさなくてはならなかった。彼は窓から身を乗り出しトラックの運転手に叫んだ。「おい! 俺を先にいかせなきゃいかん! 俺は大学の教授だ」とタクシー運転手は叫んだ。
「だからどうした!」とトラックの運転手は応じた。「俺は大学の学長だ」。
最近のより陰惨な状況から作られたジョークもある。隣人のヌーアは、バグダードからナジャフへ向かう南部高速道路の一部が誘拐者の主な標的だと教えてくれた。「シーア派の人を一人誘拐して殺してくれるなら、誘拐者たちは誰にでも1000ドル払う」と彼女は言った。それからいたずらな笑いを浮かべ、「ああ! 私は自分を殺すべきなんだ」と言った。
同じ様なジョークはスンニ派の友人たちからも聞いたことがある。スンニ派の人々は、シーア派グループの戦闘部隊の手で誘拐と拷問の脅しを受けている。
暗闇の中での笑い。どうして笑うのだろう? もしかすると、かつてC・S・ルイスが言ったように、邪悪な者たちは笑われるのに絶えられないからかも知れない。だから、私たちは、暗闇を追い払うために笑う。あるいは、笑わなければ、泣くしかないからかも知れない。そして笑う方が簡単だから。私たちのほとんどは笑うし、泣く。
けれども、大切なこと---最も大切なこと---は、耳を澄ませることだ。一見したところ絶望的でシニカルなユーモアにも耳を傾けること。そうすれば、人の心が本当はどのように感じているかがわかるから。誰か、耳を傾けているだろうか?
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クリスチャン平和構築チームは全教会が参加する暴力削減プログラムで、歴史的な平和教会を起源とする。訓練を受けたチームのワーカが世界中の紛争地域に住んでいる。CPTは2002年10月以来イラクにいる。CPTについてのさらなる情報はhttp://www.cpt.orgを参照。CPTプロジェクトの写真はhttp://www.cpt.org/gallery。
投稿者:益岡